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●イラク戦争(米国から)06Ⅲ

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1212 「バカげた考え」イラク報告書に共和党保守派が猛反発 [読売]

 【ワシントン=貞広貴志】イラク政策見直しを勧告した米国の超党派諮問機関「イラク研究グループ」報告書に対し、共和党陣営で新保守主義(ネオコン)や伝統的な保守主義に連なる政治家と専門家から一斉に批判の声が上がっている。

 中間選挙の敗北を機に、現実派の発言力増大が目立つ共和党内で、イラク戦争の当初の目的完遂を求める強硬派が反撃に出た形だ。

 ネオコンを代表する論客として知られるアメリカン・エンタープライズ研究所のリチャード・パール研究員(元国防次官補)は、政策変更の第三者機関への諮問を「大統領の最高司令官としての任務を外注(アウトソーシング)するもの。バカげた考えで無視すべきだ」と切り捨てた。雑誌「ウィークリー・スタンダード」のビル・クリストル編集長は、マケイン上院議員が勧告とは逆に米軍増派を主張していることを指摘し、「共和党を代表する大統領候補が反対している以上、今後の方策として合意があるとは言えない」と評した。

 伝統的な保守陣営では、中間選挙でイラク戦争を支持し落選したリック・サントラム上院議員が、「報告書は降伏への処方箋(せん)」と断じた。

 強硬派の反発は、研究グループの共同代表を務めたベーカー元国務長官をはじめとする現実派が、イラクと中東全域の民主化という理想の旗を引きずり下ろし、イランやシリアなど“敵”とも手を結んで戦争を終わらせようとしている、という不信感に根ざしている。

 批判を受けベーカー氏は10日、テレビ4局の討論番組に相次いで出演した際に「報告書は、民主主義の目標を否定したものではない」などと弁明に努めた。

 ブッシュ大統領は11日に国務省を訪れ、ライス国務長官から同省での政策見直し結果を聴取、イラク政策転換の作業は大詰めを迎える。

(2006年12月12日1時17分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061211id23.htm

1207 イラク米軍「08年に大半撤退可能」 米超党派が提言 [朝日]

2006年12月07日01時26分
 米国のイラクをめぐる新たな戦略について、超党派の立場で検討を続けてきた有識者の集まり「イラク研究グループ」(共同議長・ベーカー元国務長官、ハミルトン元下院議員)が6日午前(日本時間同日夜)、08年春までにイラク駐留米軍の戦闘部隊の大半を撤退させることが可能だと指摘し、イラン、シリアとの直接対話も含めて外交を活発化させるなどの提言をまとめた報告書を、ブッシュ大統領と議会に提出した。
ホワイトハウスで6日、イラク研究グループから報告書を受け、ベーカー元国務長官(右から2人目)らメンバーと並んで記者団に語るブッシュ大統領(中央)=AP


 大統領は「真剣に検討する」としつつ、「すべての提言には賛成しないだろう」とも述べた。同報告書は、イラク政策の変更に向けた「たたき台」になるもので、政権側の対応が注目される。

 「前進への道――新たなアプローチ」と題した報告書は、イラクの現状は深刻で悪化しているが、なお改善は可能だと認識。その上で、イラク側への戦闘任務の移管により米戦闘部隊を「責任ある方法」でイラク国外へ再配置を開始するなど、79項目にわたって提言した。

 現在約13万人いる駐留米軍の兵力水準をめぐっては、最小限の勢力を除き、米戦闘部隊の大半を削減することが可能だ、と指摘した。

 米国はイラク政府に対して、大量の米軍部隊をイラクに無期限で駐留させると約束するべきではないと警告した。イラク側が目標を満たさなければ政治経済、軍事的支援水準を下げることも辞さないと圧力をかけるべきだと提唱している。

 外交面では、ブッシュ政権がテロ支援国家とみなして接触を拒んできたシリア、イランと直接「建設的に関与」していく方策も含め、イラクの近隣諸国を招いた地域和平の枠組みを通じて安定を実現するべきだと指摘した。

 ブッシュ大統領はこの朝、同グループから報告書について説明を受けた後、記者団に対し「興味深い提案がなされており、どの案も真剣に受け止めた上で、すみやかに対処したい」と述べた。 
URL:http://www.asahi.com/international/update/1207/002.html

1130 米・イラク首脳会談、治安権限の移譲加速で合意 [読売]

 【アンマン=貞広貴志】ブッシュ米大統領とイラクのマリキ首相は30日、ヨルダンの首都アンマンで会談し、イラク治安部隊への治安権限の移譲を急ぐとともに、マリキ首相率いる政府の強化を図ることで合意した。

 大統領は、会談後の会見で、「(マリキ首相が)敵との戦いを主導することを望む」と述べ、イラク政府が治安対策の前面に立ち、米国は支援の役回りを担うという原則を示した。その一方で、大統領は「任務が完了するまで、我々はイラクにとどまる」と断言し、米国内で高まっている「早期撤退論」を改めて否定した。

 さらに、大統領は「イラクをいくつかの部分に分離することはイラクの人々の望んでいることではないし、宗派抗争を激化させるだけだ」と述べ、米国内などで浮上しているイラクの3分割論を明確に否定した。

 一方、イラク情勢鎮静化のための外交努力については、両首脳は会談後の共同声明で「紛争に対処するため周辺国からより大きな協力を得るべく努力する」とした。ただ、具体的な措置や国際会議開催などには踏み込まなかった。

 マリキ首相は会見で「テロはイラクだけの危機ではなく、文明世界が一つになって取り組まねばならない」と述べたが、その一方で「どの国もイラク内政に干渉してはならない」と他国の動きをけん制した。

(2006年11月30日23時59分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061130it13.htm

1129 イラク駐留、1年延長 アナン氏「内戦状態」 [朝日]

2006年11月29日12時59分
 国連安保理は28日、米軍などの多国籍軍によるイラク国内の駐留期限を07年末まで1年間延長する決議案を全会一致で採択した。

 米国や英国、日本など5カ国が提案。「イラク側の要請があれば駐留期限を短縮できる」としている。多国籍軍の駐留については、イラクのマリキ首相と米国のライス国務長官がそれぞれ、延長を認めるよう求める書簡を安保理議長にあてて、送っていた。

 米国のボルトン国連大使は「ブッシュ大統領とマリキ首相が会談する直前に採択できた」ことを歓迎した。

 一方、国連のアナン事務総長は同日、記者団に対し、イラクがほぼ内戦状態に至っているとの認識を示した。また、イラク新戦略をまとめている米国の「イラク研究グループ」のメンバーと27日に電話会議を行い、国連がより大きな役割を果たすことなど「かなりの数の提案をした」ことを明らかにした。

 また米国がイラン、シリアと直接対話をすることについて「両国には果たすべき役割があり、解決策の一翼を担うべきだ」と強く支持した。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1129/010.html

1129 イラク情勢:「内戦」表現の米メディア増える [毎日]

 【ワシントン和田浩明】イラクの治安状況を「内戦」と表現する米報道機関が増えている。有力紙ニューヨーク・タイムズやロサンゼルス・タイムズ、主要ネットワークのNBCテレビなどだ。「イラク人も内戦とは言っていない」(ハドリー大統領補佐官)とのホワイトハウスの主張と対立するもので、米国が敗退した60~70年代のベトナム戦争当時の状況との類似性を指摘する専門家もいる。

 ニューヨーク・タイムズのビル・ケラー編集主幹は声明で「現場の記者、担当編集者が議論した結果、イラクの紛争を内戦と表現してもよいと合意した」と説明した。ただ、「複雑な現場状況をとらえ切れない場合がある」として慎重に使用する方針を明らかにしている。

 ロサンゼルス・タイムズ紙は社内議論を経て10月から「内戦」の表現を使い始めたという。NBCテレビは27日朝の番組で、専門家らの意見を聞いた上で使用に踏み切ったと明らかにした。クリスチャン・サイエンス・モニター紙なども「内戦」の表現を使用しているが、編集幹部は同紙のインターネット・サイトで「明解な表現ではないので、追加説明を加えるようにしている」と述べている。

 ボストン・グローブ紙は「他報道機関の動向も見て検討中」としながらも、「ベトナム戦争で米国が勝てないとの見方を米メディアが報じ始めた時の状況に似ている。世論の動向に影響を与えそうだ」との専門家の見方を報じている。

毎日新聞 2006年11月29日 10時49分
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/news/20061129k0000e030031000c.html

1116 米中央軍司令官、民主党のイラク段階的撤退論を拒否 [読売]

15日、米議会の公聴会でイラク段階的撤退に反対するアビザイド司令官=ロイター 【ワシントン=寺田正臣】イラクなどを管轄する米中央軍のアビザイド司令官は15日、上院軍事委員会の公聴会で、イラク駐留米軍の規模を現状のまま維持する方針を表明した。

 中間選挙で上下両院を制した民主党議員の間では段階的撤退論が強まっているが、司令官の証言はこれを改めて拒否した形だ。

 司令官は、イラク国内の治安情勢の悪化と新戦略の必要性は認めたが、早期撤退や時期の明示は「現地司令官の(作戦上の)柔軟性を損なう」と指摘、「米兵力のレベルを現在の状態で維持することが賢明な道」述べた。また当面の目標が米軍によるイラク人治安部隊の訓練にあることを強調した。

 訓練期間については当初、1年から1年半かかるとされていたが、司令官は「1年以内で可能かもしれない」と語り、期間を短縮し早期に治安をイラク人に任せられるとの見通しを示した。

 共和党のマケイン上院議員らが主張する増派の可能性について司令官は、増派は一時的な効果はあるものの約14万人の駐留米軍の負担をさらに大きくするとして拒否した。

 イラク政策についてはベーカー元国務長官らが率いる超党派の「イラク研究グループ」が12月に政策提言を行う予定だが、ブッシュ大統領は駐留米軍の規模の変更は現地司令官の判断に基づくとの立場を堅持、中間選挙後の同グループとの会談でもこの方針を伝えている。

(2006年11月16日10時51分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061116i102.htm

1118 「イラクは大惨事」英首相認める 戦略失敗は否定 [朝日]

2006年11月18日21時22分
 ブレア英首相は17日、中東の衛星テレビ、アルジャジーラの報道番組で、ブッシュ米政権とともに主導したイラク戦争以来の事態を「大惨事」と認めた。1年以内に辞任する意向を表明している首相は、残る任期の最優先課題として中東情勢の改善を掲げており、敵視してきたシリアやイランにも「建設的役割」の期待を表明。与野党からは「対イラク戦略の失敗」を批判する声が強まるばかりだ。首相はイラクの泥沼に足をすくわれたまま、任期切れを迎えそうだ。

 ブレア首相の発言は、アルジャジーラの英語放送の開局を記念して行われた。首相はイラク戦争中、米英に批判的な現地報道を続けた同テレビに繰り返し不快感を表明してきたが、イスラム世界での影響力を念頭にインタビューに応じたとみられている。

 同テレビの看板記者から「イラクへの介入はこれまでのところ大惨事をもたらしたのではないか」と問われ、ブレア首相は「そうだ」と回答。その上でイラクの混乱は、米英側の戦略に問題があったから広がったのではなく、責任は「戦争を望む少数派の(国際テロ組織)アルカイダと協力するスンニ派武装組織と、イランを後ろ盾とするシーア派民兵」にあると主張した。

 またシリア、イランに対してはテロ支援をやめ、イランには核不拡散の国際的な義務を守って中東で「建設的な役割」を果たすよう求めた。

 こうした発言に対し、イラク戦争に反対してきた第3党、自由民主党のキャンベル党首は「首相はようやく、イラクに対する武力行使を大罪と認めた。戦略を誤ったのは明らかだ」と批判。英議会と国民に対し謝罪を求めた。

 政府や与党労働党にも対イラク戦略への批判は広がっている。17日付の英地方紙によると、ホッジ閣外相(貿易担当)は党の内輪の集会で、首相のイラク外交は「大きな過ちだった」と語り、物議を醸している。

 また、英軍はイラクの約7000人に加え、アフガニスタンにも4000人以上を派遣しており、要員や装備の不足も顕在化。陸軍トップのダナット参謀総長が、英軍のイラク駐留長期化によりかえって治安が悪化していると異例の警告を発するほど不満が募っている。

 そんな中、ブレア首相の後継候補であるブラウン財務相は18日、初めてイラク入りし、英軍の駐屯地を訪問した。サレハ副首相との会談では追加経済支援を約束。財務相の職責を超える外交や治安などの分野でも積極的に発言し始め、「ブレア後」を見据えて徐々に存在感を増している。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1118/015.html

1107 フセイン判決に距離を置く発言相次ぐ EU加盟国 [朝日]

2006年11月06日10時40分
 フセイン元大統領ら旧政権幹部3人に死刑を言い渡した5日のイラク高等法廷の判決に対し、死刑に反対の立場をとる欧州連合(EU)の加盟国から距離を置く発言が相次いでいる。ドストブラジ仏外相は「すべての国で死刑を撤廃するのがわが国の立場」と表明。スペインのサパテロ首相も「わが国で死刑判決は歓迎されないだろう」と述べた。

 ドストブラジ外相は同日、「判決は独立したイラク司法によってなされたもので、イラク人に属する」と、あからさまな批判は避けた。だが、「この判決がイラクに新たな緊張をもたらさないことを望む」とも述べ、治安悪化につながる懸念を示した。

 AFP通信によると、EU議長国のフィンランドは声明で「死刑を執行しないよう求める」とイラクに呼びかけた。ドイツのメルケル首相、イタリアのプロディ首相も死刑反対の立場を述べた。

 フランスは81年、スペインは95年に死刑制度を撤廃。EUは死刑廃止を加盟条件にしている。EU加盟国では英国が判決を歓迎する立場を表明している。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1106/002.html

1105 フセイン元大統領に死刑判決 イラク高等法廷 [朝日]

2006年11月05日18時10分
 イラクのサダム・フセイン元大統領(69)ら旧政権幹部を裁くイラク高等法廷は5日、82年のシーア派村民大量殺害事件で、フセイン被告に求刑通り死刑の判決を言い渡した。終身刑以上の判決は自動的に控訴委員会で審査され、被告側による再審請求もできるため、判決の確定は当面先になる。

 高等法廷の判決は、フセイン政権崩壊から3年半で初めて。旧政権で弾圧されたシーア派やクルド人は元大統領の死刑を求めていた。一方、元大統領支持者の多いスンニ派の武装勢力が判決を受けてシーア派主導の現政府やイラク駐留米軍への反発を強めるのは必至。一向に改善しないイラクの治安がさらに悪化する可能性もある。

 判決は、元大統領らは82年7月にイラク中部ドゥジャイル村を訪問した際に起きたシーア派による大統領暗殺未遂事件の報復として、村民らを大量に拘束。拷問や処刑、砂漠につくられた収容所の劣悪な環境による病死などで148人を死亡させたとして、元大統領らの責任を認めた。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1105/005.html

1030 イラク米兵、10月の死者100人に 多国籍軍へ攻撃増 [朝日]

2006年10月30日20時54分
 イラク駐留米軍は30日、アンバル州で戦闘中に負傷した米海兵隊員1人が29日に死亡した、と発表した。ロイター通信によると、これで10月の米兵の死者は100人に達し、05年1月以来の人数となった。イラクでは、イラク人同士の宗派間の殺し合いが激化するとともに、多国籍軍への攻撃も増加している。

 米ブルッキングス研究所によると、イラク戦争後の米兵の月間死者数(事故死を含む)は、ファルージャやナジャフなどで掃討作戦が続いた04年11月、137人にのぼった。その後、05年1月に107人を記録して以降は、100人未満にとどまっていた。

 一方、バグダッドのサドルシティーの市場で30日、爆弾が爆発し、アラブメディアによるとイラク人計29人が死亡した。最初に小さな迫撃砲弾が爆発。負傷者はなかったが、大勢の買い物客ややじ馬が集まったところで、強力な仕掛け爆弾2発が爆発したという。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1030/014.html

1026 イラク戦術、必要な変更を行う方針…米大統領が強調 [読売]

 【ワシントン=貞広貴志】ブッシュ米大統領は25日、ホワイトハウスで記者会見し、宗派対立が悪化の一途をたどるイラク情勢について、「米国民が満足してないのを知っているし、私自身、満足していない」とした上で、「現地司令官の要請があれば(イラク駐留米軍を)増派する」と述べ、勝利のため必要なあらゆる戦術変更を行う方針を強調した。

 大統領はさらに、ベーカー元国務長官を中心にイラク政策の見直しを進めている「イラク研究グループ」を挙げて、「あらゆる提言を注意深く検討する」と述べ、中間選挙後にイラク政策の方針転換を図る可能性も示唆した。

 ただ大統領は、「敗北は、米国が勝利をおさめる前に撤退する場合だけ」と強調し、民主党などが主張する段階的撤退論を退けた。

 大統領は、宗派対立を抑え込むための政治プロセスとして〈1〉イラクの政治・宗派代表と協力し、暴力阻止に立ち上がらせる〈2〉民兵の解体や石油収入の配分、憲法修正など対立要因の解決〈3〉周辺国と国際社会による各派への働きかけ――の3段階アプローチを明らかにした。

(2006年10月26日1時44分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20061025i117.htm

1022 米兵死者、最悪水準に イラク、今月既に78人 [産経]

 イラク中西部アンバル州で21日、米軍と武装勢力が戦闘になり、米兵3人が死亡した。今月の米兵死者は78人に達し、ことしの月間死者数としては最悪となった。AP通信が伝えた。

 イラク問題を主要争点にした中間選挙を控え、米兵の犠牲拡大はブッシュ米政権にとって大きな痛手となりそうだ。

 一方、中部マハムディヤの市場では同日夕、迫撃弾による攻撃があり、警察によると、少なくとも18人が死亡、70人が負傷した。死者は30人との情報もある。マハムディヤはイスラム教シーア派の住民が多く、宗派対立に基づくテロとみられる。

 自転車5台に仕掛けられた爆弾が爆発し、その後、少なくとも12発の迫撃弾が撃ち込まれたという。ほかにも爆弾が仕掛けられた自転車が見つかったが、警察が処理した。(共同)


0929 イラク駐留軍への攻撃「15分に1回」 米記者が暴露 [朝日]

2006年09月29日19時57分
 権力の内幕報道で知られる米紙ワシントン・ポストのボブ・ウッドワード氏が、近く出版する著書で、イラクでの米英など駐留軍に対する攻撃は、実は15分に1回以上の頻度で、週800~900回発生しているが、ブッシュ政権はそれを隠していると暴露していることが分かった。

 米CBSテレビが28日、10月1日に放映する同氏のインタビューの抜粋を公開した。

 ウッドワード氏は、米情報機関はイラクの状況が07年にはさらに悪化すると予測している、とも明かした。だが、ブッシュ大統領は強気の姿勢をまったく崩しておらず、与党共和党の幹部らに対して、「ローラ(夫人)と(飼い犬の)バーニーしか私を支持しなくても、(イラクから)撤退しない」と述べたという。

 ウッドワード氏によると、大統領とチェイニー副大統領はしばしば、キッシンジャー元国務長官から「有効な出口戦略は勝利しかない」といった助言を受けており、それが大統領の確信を深めさせているという。

 新著は、2年間の取材期間をかけ、ブッシュ政権高官を含む200人以上にインタビューした結果を盛り込んだ。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0929/010.html

0914 湾岸戦争症候群:「従軍が原因」の証拠なし 米医学研究所 [毎日]

 【ワシントン和田浩明】湾岸戦争(91年)に従軍した兵士が「湾岸戦争症候群」と呼ばれる慢性の複合的健康障害を訴えている問題で、米科学アカデミー医学研究所は13日までに、健康障害の発生率は非従軍者より高いが、同戦争への従軍が唯一の原因だと示す証拠はないとの医学文献調査の結果をまとめた。復員兵団体は「従軍者の健康状態に問題があるのは事実で、一層の研究や支援をすべきだ」と指摘している。

 従軍者が訴える主な症状は、慢性疲労や記憶力・集中力の低下、関節痛、皮膚症状など。同研究所によると、従軍者1061人と非従軍者1128人を比較したところ、複数の身体症状を訴える人の比率は従軍者で29%に上り、非従軍者の16%のほぼ倍に達したとする調査があった。心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ症状でも、4886人を対象にした別の調査で従軍者の発生率は6%で非従軍者(3%)の倍だった。筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)や脳腫瘍(しゅよう)、睾丸(こうがん)がんでも、従軍者の方が非従軍者より発生率が高いとの複数の調査があった。

 しかし、いずれの疾患も非従軍者にも見られるものであり「湾岸戦争への従軍だけに関連付けられるとは言えない」と結論づけた。一方で、従軍と健康被害の関連を判定するうえで必要な科学的データの不足から過去の研究には限界があるとして、将来の紛争での派遣前後の健康調査の徹底や、がん、ALS、先天性障害の継続調査を勧告した。

 調査は米連邦議会の指示に基づく復員軍人省の委託で行われ、湾岸戦争従軍兵の健康状態に関する過去の研究論文850本を専門家13人で構成する同研究所の委員会が精査した。独自の調査は行っていない。


0913 イラク米軍、「西部で兵力が絶対的に不足」 分析報告書 [朝日]

2006年09月13日19時06分
 イラク西部のアンバル州で米軍の兵力が絶対的に不足しており、現状のままだと国際テロ組織アルカイダ系の勢力を抑えることがほぼ不可能、とする悲観的な分析報告書を、現地駐留の米海兵隊部隊の情報担当者が8月半ばに出していた。米有力紙が相次いで伝えた。イラクの状況が、政権の描く楽観的なイメージよりはるかに深刻である可能性を物語っているといえる。

 ワシントン・ポスト紙が11日、ニューヨーク・タイムズ紙が12日に報じた。

 それによると、アンバル州では政治・治安の両面で情勢が急速に悪化中で、援助増大と師団規模の兵力増強がない限り流れを止められないと、報告書は判断している。

 スンニ派が集中する同州では、反米攻撃が以前から繰り返されてきた。

 だが、スンニ派とシーア派とが混住する首都バグダッド周辺の宗派間対立による紛争がこの春以降、内戦寸前にまで悪化。米軍も、シーア派中心のイラク治安部隊も、首都の治安を安定させることを当面の優先課題としている。多くの部隊や武器が首都に振り向けられた結果、アンバル州がその分だけ空白地帯と化しつつあるという。

 米国内では、ブッシュ政権のイラク政策が失敗だとの考えが国民の間で広まり、11月の中間選挙を前に、与党共和党の議員からも撤退日程の設定を提唱する声が少数ながら出てきている。

 こうした声に、ブッシュ政権は「撤退期限を定めれば、テロ集団は勝利が手に入るとみなす。米軍のいなくなったイラクを、かつてのアフガニスタンのように米本土へのテロ攻撃の拠点として使う」と反論している。

 現場から兵力増強を求める声が出てきたことで、撤退論の圧力をしのぐ材料として政権側に使われそうだ。しかし、米軍の力不足を率直に記している内容だけに、イラクの「泥沼」イメージを増強することにもつながりかねない。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0913/012.html

●イラク戦争(米国から)06Ⅱ より続く

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