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■強度偽装事件06Ⅰ

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■強度偽装事件 へ続く


0524 耐震偽装見逃した検査員、イーホームズなど18人処分 [読売]

 耐震強度偽装事件で、国土交通省は24日、偽装物件を見逃した民間の指定確認検査機関4機関の確認検査員(建築基準適合判定資格者)18人を登録取り消しや業務禁止の処分とした。

 2000年の建築確認の民間開放後、資格者に対する処分は初めて。

 処分を受けるのは、元1級建築士・姉歯秀次被告(48)による偽装98物件中最多の37件で見逃しがあった「イーホームズ」(東京都新宿区)が11人、業界最大手の「日本ERI」(港区)が5人、「東日本住宅評価センター」(横浜市)と「ビューローベリタスジャパン」(同)が各1人。このうち複数の物件で見落としがあったイーホームズの2人を登録取り消しとし、他の16人は業務禁止11~1か月とする。

 国交省では、今回の処分に当たり、偽装98件について、手口や結果の重大性によって処分の軽重を判断。別々のデータで計算した複数の書類を組み合わせただけの単純な手口や、震度5強程度の地震で倒壊の恐れのある分譲マンションの偽装を見逃した資格者については厳しい処分となった。

 国交省では、法人としての指定機関についても月内に取り消しなどの処分を公表する方針。イーホームズについては、電磁的公正証書原本不実記録罪で起訴された社長の藤田東吾被告(44)が保釈されたため、改めて聴聞手続きを実施、日本ERIなどと合わせて処分する。

(2006年5月24日14時35分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060524i106.htm

0524 総研・内河所長から事情聴取 [読売]

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部が、強度不足のホテルの開業を指導していたコンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)の内河健所長(72)から任意で事情聴取したことが24日わかった。

 総研がコンサルタントをした「サンホテル奈良」(奈良市)を巡って、「木村建設」(熊本県八代市)の元社長、木村盛好被告(74)(建設業法違反の罪で起訴)が、強度の偽装を知りながら、工事代金の一部約2億2500万円を受け取ったとして詐欺容疑で逮捕されている。

 捜査本部は、木村被告が強度偽装を認識した後、総研側とどのようなやりとりをしたのかなどについて、内河所長からも説明を求める必要があると判断した。

 サンホテル奈良については、総研がコストを抑えるために鉄筋量を減らすように指示したのは明らかなどとして、オーナー側が総研などを相手取り、計約7億1300万円の損害賠償を求めて奈良地裁に提訴している。

(2006年5月24日12時25分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060524it07.htm

0519 シノケンの耐震偽装物件、18日までに3棟解体 [読売]

 福岡市の不動産会社シノケンの篠原英明社長は19日、元1級建築士・姉歯秀次被告(48)が構造計算し、耐震強度が不足している同社の7物件の解体状況などを発表した。

 いずれも東京都内のマンションで、18日までに3棟を解体し、7月14日までに別の3棟も解体する。もう1棟は補修の準備を進めている。

 同社は、解体費や、土地・建物の買い戻し、住民退去の費用の総額を22億9000万円としている。

(2006年5月19日22時37分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060519ic24.htm

0518 姉歯容疑者ら5人起訴…建築士法違反ほう助などで [読売]

 耐震強度偽装事件で、東京地検は17日、元1級建築士・姉歯秀次容疑者(48)ら計5人を建築士法違反ほう助などの罪で東京地裁に起訴した。

 ほかに起訴されたのは、建築デザイナー・秋葉三喜雄(46)(建築士法違反)、木村建設元社長・木村盛好(建設業法違反)、同元東京支店長・篠塚明(45)(同)、イーホームズ社長・藤田東吾(44)(電磁的公正証書原本不実記録など)の各容疑者。

 木村容疑者の共犯として逮捕された木村建設元専務・森下三男容疑者ら2人と、藤田容疑者の共犯として逮捕された司法書士は、関与の度合いが低かったとして、処分保留で釈放された。森下容疑者は同日、詐欺容疑で再逮捕された。

(2006年5月18日1時46分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060517it11.htm

0518 ヒューザー・小嶋社長を逮捕、GS藤沢の詐欺容疑 [読売]

耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は17日午後、開発会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産手続き中)の社長・小嶋進容疑者(52)を、神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ(GS)藤沢」を巡る詐欺容疑で逮捕するとともに、「木村建設」(熊本県八代市、破産)元社長・木村盛好容疑者(74)ら2人を、「サンホテル奈良」(奈良市)の工事代金の一部をだまし取った同容疑で再逮捕した。

 捜査本部は、代金が振り込まれる前に、3容疑者が建物の強度不足を認識していた点を重視。重要情報を顧客に伏せたまま代金を受け取った行為は「不作為の詐欺」にあたるとして、詐欺罪を適用できると判断した。

 調べによると、小嶋容疑者はGS藤沢の構造計算書が改ざんされ、耐震強度が大幅に低減されていることを知りながら、昨年10月28日、顧客の男性にこの事実を告知せず、代金5000万円余りを振り込ませ、だまし取った疑い。

 木村容疑者と、共に再逮捕された同社元専務・森下三男容疑者(51)は、耐震強度が偽装されたサンホテル奈良の安全性に問題があると認識しながら、オーナー側に伝えず、昨年11月7日、代金の一部約2億2500万円を振り込ませた疑い。

 調べに対し、3容疑者とも容疑を否認している。

(2006年5月18日1時44分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060517it06.htm

0517 3建築士事務所、「偽装」などで処分 [読売]

 元1級建築士・姉歯秀次容疑者(48)による耐震強度偽装や、ホテルチェーン「東横イン」の不正改造問題に絡み、東京都は17日、3建築士事務所を建築士法に基づく登録取り消しなどの処分にした。

 取り消し処分を受けたのは姉歯物件の元請け設計会社「井上建築企画研究所」(渋谷区)。元請けとして名義を貸していた「KSM」(新宿区)は10か月、「東横イン」で不正な設計を行った「設計工房飛翔」(杉並区)は7か月の業務停止処分とした。

(2006年5月17日23時15分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060517ic21.htm

0517 耐震強度計算の新方式、自治体45%が対応不能 [読売]

 元1級建築士・姉歯秀次容疑者(48)による耐震強度偽装が表面化して17日で半年となるが、建築確認審査事務を行う全国276の自治体のうち、約6割の165自治体が審査担当職員の増員など何らかの対応策を講じる一方で、2000年から認められている新しい構造計算方法「限界耐力計算」に対応できない自治体が全体の45%に上ることが読売新聞の全国調査でわかった。

 一連の問題では自治体が52件の強度不足などを見逃していたが、自治体の構造審査が依然、脆弱(ぜいじゃく)な実態が浮かび上がった。

 調査対象は、構造計算が必要なマンションなどの建築確認事務を行うことを、建築基準法で認められている276自治体。

 それによると、審査体制強化のため、愛知県が外部委託を含め構造担当者を8人増やしたほか、千葉県が4人増やすなど76自治体が担当を増員。また島根県や東京都足立区が構造担当の管理職を新設したりするなど、計91自治体が増員や組織改編を行った。このほか92自治体が大臣認定の構造計算ソフトや専用パソコンを導入した。

 その一方、2000年の民間開放以降、自治体への確認申請が減少していることなどを理由に、「増員の必要性を感じない」(大阪府寝屋川市)、「公務員削減を求められる中、増員する環境にない」(福井県)とする回答も多かった。

 00年から使用が認められている構造計算方法「限界耐力計算」については、約45%の123自治体が「対応可能な職員が1人もいない」と回答。この中には宮城県、京都府など12府県、大阪、千葉、神戸の3政令指定都市も含まれていた。

(2006年5月17日3時5分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060517it01.htm?from=top

0512 強度偽装見逃し、国交省が2機関を処分へ [読売]

 北海道の浅沼良一・2級建築士による耐震強度偽装問題で、国土交通省は12日、偽装が判明した16物件中6件に対し、二つの住宅性能評価機関が「耐震強度などに問題がない」とする住宅性能評価書を交付していたことを明らかにした。

 国交省は住宅の品質確保促進法に基づき2機関を処分する方針。

 偽装を見逃したのは「日本ERI」と「ハウスプラス住宅保証」。両機関は2001~04年にかけて、偽装が判明した札幌市内の分譲マンション3件ずつに対し、耐震性や耐火性、防音性能などが一定の水準に達していることを証明する同評価書を交付した。

 住宅性能表示制度での偽装見逃しは、元1級建築士・姉歯秀次容疑者(48)の偽装物件1件でも見つかっており、国交省では「消費者保護のための制度が結果的に機能しなかったことは遺憾で、評価方法を検討したい」としている。

(2006年5月12日23時22分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060512ic21.htm

0426 姉歯元建築士・木村元社長・藤田社長ら8人を逮捕

耐震強度偽装事件で、警視庁と神奈川、千葉両県警の合同捜査本部は26日午前、元1級建築士・姉歯秀次(48)、「木村建設」(熊本県八代市、破産)元社長・木村盛好(74)、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)社長・藤田東吾(44)の各容疑者ら計8人を逮捕した。

 捜査本部は今後、8人を含む関係者による「偽装の構図」の全容解明を急ぎ、強度不足を知りながらマンションやホテルを顧客に引き渡したとされる詐欺容疑の立件に全力を挙げる。

 調べによると、姉歯容疑者の知人の建築デザイナー秋葉三喜雄容疑者(46)は2004年3~10月にかけ、建築士の資格がないのに千葉県船橋市内のマンション2件を設計するなどした建築士法違反の疑い。姉歯容疑者は秋葉容疑者に、この2件の設計で建築士の名義を貸した同法違反ほう助の疑い。

 姉歯、秋葉両容疑者は、容疑をおおむね認めているという。

 木村容疑者と、同社元東京支店長篠塚明(45)、元専務森下三男(51)、元常務橋本正博(48)の各容疑者は05年4月、建設業の許可の更新を受ける際、赤字だった04年6月期決算を黒字に粉飾し、虚偽の決算書類を国土交通省九州地方整備局に提出するなどしたとして、建設業法違反の疑いで、熊本県内などで逮捕された。

 藤田容疑者とイーホームズ元監査役の司法書士、岸本光司容疑者(66)は01年10月、同社が2700万円を増資したように見せ掛け、資本金を約5000万円とする虚偽の登記をしたとして、電磁的公正証書原本不実記録などの容疑で逮捕された。

(2006年4月26日12時25分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060426it02.htm

0426 耐震偽造:イーホームズが国指定業務を廃止へ [毎日]

 民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区、藤田東吾社長)は25日、建築確認など国指定の業務を5月いっぱいで廃止することを国土交通省に伝えた。事件の発覚による業績不振などが理由という。検査機関による自主的業務廃止は初めて。

 同社は姉歯秀次元1級建築士が構造計算書を改ざんした98件のうち37件を見逃して検査済み証を発行、国交省が指定取り消しを含めた処分を行う方針を固めていた。

 国交省によると、同社の担当者は撤退理由について、「事件発覚後、新規受注が減るなどして業績不振が続いている」などと説明。同社が受けた建築確認の審査業務が現在約200件残っており、同省は混乱を招かないよう指導したという。

 藤田社長は同社のホームページで、資本金増資に関する嫌疑により立件されるとの報道に触れ、「会社の信頼を失う事態を招いたことは私の不徳の致すところ」と謝罪。「今回の嫌疑は耐震偽装事件にはまったくかかわるものではない」としたうえで、「人命を優先して事件を公表した」と自らの立場を正当化した。【長谷川豊】


0425 都市機構の賃貸住宅、旧耐震基準2100棟が強度不足 [読売]

 都市再生機構は25日、1981年以前の旧耐震基準で建てられた同機構の賃貸住宅約1万2200棟の耐震診断をした結果、約17%の計約2100棟が現在の基準では耐震強度不足になると発表した。

 うち約100棟について緊急に補修工事を実施する。

 さらに50棟については「震度7程度の大規模地震で倒壊の恐れも否定できない」としており、住民に対し一時的な退去を求めるケースも出てくるという。

 緊急工事が行われるのは、1階が柱だけで壁が少ないピロティ形式のものか、住宅階で大幅な強度不足が見つかった計100棟。東京都北区の団地など計約10棟は両方の条件が重なっており、危険性が高いという。

 今回の耐震診断は、耐震強度偽装事件などを受けて行った。診断結果はホームページ(http://www.ur‐net.go.jp)で公表している。

(2006年4月25日22時53分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060425i115.htm

0424 強度不足の疑い、再計算で12件…国交省が抽出調査 [読売]

耐震強度偽装
 耐震強度偽装事件を受け、国土交通省が、姉歯秀次・元1級建築士(48)らが関与していないマンションなど103件について構造計算書を検証したところ、少なくとも12件で、強度が建築基準法の基準を下回る疑いがあることが24日、わかった。

 いずれも国指定の民間指定確認検査機関が建築確認をしていたが、再計算の結果、強度が暫定値で、基準の60~90%しかなかった。

 国交省が、国指定機関50機関が建築確認をしたマンションなど約500件を無作為に抽出。このうち計算上の強度が基準ぎりぎりの100~110%の物件103件について、耐震強度を国交省の所管団体「日本建築防災協会」で再検証した。

 この結果、12機関の12件の強度が、暫定的な数値で60~90%台しかないことが判明。いずれも偽装ではなく、計算間違いや、構造計算書の数値を設計図に写す際の転記ミスなどの可能性が高いという。

 国交省では、今後、検査機関や担当の自治体に連絡し、設計者から事情を聞く予定。強度不足が確定すれば、建築士や検査機関に対する厳しい処分を検討している。

(2006年4月24日23時29分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060424i315.htm

0421 耐震偽造:姉歯元建築士が業者に検査機関の変更求める [毎日]

 耐震データ偽造事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)が、名義を貸して継続的に謝礼を受け取っていた千葉県の建築設計業者(46)に対し、建築確認の申請先を「イーホームズ」(東京都新宿区)に変更するよう要求していたことが分かった。警視庁など合同捜査本部は、姉歯元建築士が、自らデータを偽造した耐震強度不足の物件の確認申請をパスさせるため、同社のずさんともいえる検査実態を利用したとみて追及する方針。

 関係者によると、姉歯元建築士は6年前から、この建築設計業者に1級建築士の名義を貸し、総額約1000万円の謝礼を受領。この業者は当初、最大手の民間確認検査機関「日本ERI」(港区)に建築確認を申請していた。

 ところが03年ごろ、姉歯元建築士が申請先をイーホームズに変えるよう要求。理由について姉歯元建築士は「日本ERIは構造計算のチェックが厳しく、イーホームズの方が甘いから」と説明したという。

 これを受け、申請先をイーホームズに変更。その後、この業者から請け負った3件の構造計算で姉歯元建築士はデータを偽造したが、いずれもイーホームズの審査をパスしていた。

 民間信用情報調査機関によると、イーホームズの収益額(3月期決算)は03年の1億3500万円が、04年は6億1600万円、05年は11億2800万円と急速に拡大した。捜査本部は、急速に伸びた業績の背景に「チェックの甘さ」があるとみて、検査や経営の実態も調べている。


0420 木村建設社長、粉飾決算認める [読売]

 耐震強度偽装事件で、偽装物件の多くを施工していた「木村建設」(熊本県八代市、破産)の木村盛好社長(74)が、警視庁などの合同捜査本部の事情聴取に、利益を水増しする粉飾決算をしていたことを認める供述をしていることが19日、関係者の話でわかった。

 捜査本部は、虚偽の決算書を国土交通省に報告した建設業法違反の疑いが強まったとして、姉歯秀次・元1級建築士(48)が名義貸しをした建築士法違反容疑とともに、月内の立件に向け詰めの捜査を急いでいる。

 捜査本部は今月17日、木村社長や同社の経理担当役員ら約10人に対する任意の事情聴取に踏み切った。

 関係者によると、木村社長は、2005年6月期決算について説明を求められたのに対し、自ら決算書に押印したことを認めたうえで、「粉飾はした」と供述したという。一方、具体的な粉飾額については「覚えていない」などと話しているという。

 同社が国交省などに報告した05年6月期の経常利益は約2億6100万円、当期利益は約6700万円。しかし捜査本部は、同社は利益を水増し計上するなどして、決算を粉飾した疑いがあると見ている。

 粉飾決算をしていた理由について、同社関係者は「銀行からの融資を受けやすくする目的のほか、建設業界での評判維持のためには、赤字決算では困るとの判断があったようだ」と話している。

(2006年4月20日3時1分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060420i301.htm

0420 耐震偽造:イーホームズ、虚偽増資の疑い 指定得るため [毎日]

 耐震データ偽造事件で、姉歯秀次・1級建築士(48)が構造計算書を改ざんした多数の物件を建築確認した民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が、国土交通相から検査機関の指定を受けた際、資本金を増資したように装った疑いのあることが、警視庁など合同捜査本部の調べで分かった。捜査本部は公正証書原本不実記載容疑での立件を視野に捜査している。

 同社は01年10月、2300万円から5000万円に増資。その2カ月後、検査機関に指定された。しかし、この増資は、一時的に第三者から借りて調達したもので、登記後、引き出していた可能性があるという。捜査本部は、法務局に対し虚偽の登記申請を行った疑いがあるとみている。

 検査機関は、建築基準法に基づき国に登記簿などを提出して経営基盤などを証明する必要がある。検査対象の規模で必要な資本金は違うが、床面積が2000~1万平方メートルの場合、5000万円が必要となっている。


0418 耐震偽造:木村建設と総研 建築費、発覚前に全額回収 [毎日]

 「サンホテル奈良」(奈良市)を施工した「木村建設」(熊本県八代市、破産手続き中)が昨年10月下旬、コンサルタント「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)とともに、オーナー側に建築代金を前倒しして支払うよう求めていたことが分かった。同建設は、耐震データ偽造問題が公表される前に代金を全額回収していた。警視庁などの合同捜査本部は、詐欺容疑を視野に慎重に捜査を進めている。【合田月美、平野美紀】

 ホテルオーナーの不動産会社によると、総研などから「絶対にもうかる」と強く勧められ、ホテル建設に乗り出した。木村建設には昨年3月に工事を発注。11月15日を完成予定日とし、建築代金は着工、中間、完成の各時期の3回に分けて計約6億3000万円を支払うことになった。

 9月末の打ち合わせ時点では、完成時に支払う予定の残金2億2500万円が未払いだったが、予定変更の話はなかった。ところが10月下旬になって、木村建設と総研の担当者から「予定より早く11月5日にオープンできる。鍵は2日前に引き渡すので、前日には残金を支払ってほしい」との要請があった。

 不動産会社側の都合で支払いは11月7日になったが、ホテルはその2日前にオープンした。しかし、17日に国土交通省が問題を公表。オープンから20日後に営業中止に追い込まれた。「木村建設の担当者が姿を見せなくなったのも17日だった」と不審がっている。

 民間確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)は前月の25日に、マンション販売会社「ヒューザー」(大田区、破産手続き中)や元請け設計事務所などに、姉歯秀次・元1級建築士(48)のデータ偽造を伝えており、捜査本部は木村建設などがこの情報を得ていなかったか調べている。

 一方、このホテルを担当した同建設の元社員は「『早くオープンできないか』と持ちかけたのはオーナー側だ」と疑惑を全面的に否定している。


0417 偽装マンション、建て替え始動わずか1件 [読売]

 姉歯秀次・元1級建築士(48)による強度偽装が表面化してから17日で5か月となるが、強度不足が明らかになった分譲マンション25件のうち、建て替えや補強の計画が固まっているのは1件しかないことが、読売新聞の全国調査で分かった。

 震度5強の地震で倒壊の恐れがあるとされるマンションには、行政側が建て替え案を示しているが、1戸あたり2000万円前後に上る追加負担がネックとなり、住民側との協議は難航している。また営業再開にこぎつけたホテルも3件にとどまり、事件に巻き込まれた関係者の苦境が続いている。

 姉歯元建築士が強度を偽装した85件(建築中は除く)のうち、耐震性の不足が判明した建物は72件。このうち耐震強度が基準の50%未満で、震度5強の地震で倒壊の恐れがあるとされる分譲マンションは都内と神奈川県内の11件で、いずれも開発会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産手続き中)が建築主だった。

 強度50%未満のマンションの解体や建て替えは政府の支援策の対象となっており、すでに独立行政法人「都市再生機構」が建て替え案を提示している。

 しかし、同機構が当初示した試案では、1世帯当たりの追加負担が平均2700万円に達した。設計を単純化するなどコスト削減を図った2次試案でも平均2000万円となり、住民にのしかかる負担は重い。

 このため、建て替え計画の概要が固まっているのは川崎市の「グランドステージ(GS)溝の口」の1件だけ。ただし、同マンションの管理組合は同機構の建て替え案を採用せず、民間業者に計画・施工を依頼して自主的な建て替えを進めることにした。現在、業者を選定中で、今秋には解体に着手、来年1月に建て替え工事を始める予定だ。

 それ以外のマンションでは、建て替えの事業主体を行政に委ねるのか、GS溝の口のように住民が自主的に行うのかどうかさえ決まっていないケースがほとんどだ。「GS東向島」(東京都墨田区)の管理組合の場合、「現状の90%の広さで、1戸あたりの追加負担1800万円」とした同機構の建て替え案を3月26日の住民集会で否決。追加負担額を下げる方策を模索中という。

 一方、強度が50%以上の分譲マンションは14件あるが、具体的な補強方法が決まらず、補強工事が始まった物件はまだない。これに対し、開発業者などが所有している賃貸マンションでは、強度不足の15件のうち7件で解体工事か補強工事が始まっている。
(2006年4月17日3時4分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060417ic01.htm

0417 耐震偽造:「核心」企業、木村建設へ本格捜査 [毎日]

耐震データ偽造事件の中核的存在、木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)の木村盛好社長(74)ら同社役員に対する一斉聴取が始まったことで、地震に対するマンション、ホテルの安全性を揺るがせた問題が、捜査のヤマ場を迎える。一連の偽造物件の施工者としてコンサルタントや建築主から工事を受注し、姉歯秀次・元1級建築士(48)にコストのかからない設計を強く要求していた木村建設。警視庁などの合同捜査本部は、事件の真相を解くカギはコストダウンを追及した同社の経営体質にあるとみている。

 「世界中回って、一生懸命努力して、いい品物を安く提供するよう努力してきた」。姉歯元建築士が構造計算書を改ざんしていたことが明らかになった後の昨年11月、木村社長は記者会見で、悔しさをにじませながら自慢の工期短縮工法への誇りを語った。通常の工法より大幅に早いため、建築主に大きな評価を得た。「勉強に30年かかった。姉歯とは関係ない」。

 ところが、その後、姉歯元建築士と木村建設の密接な関係が次々と明らかになった。同社は、ヒューザー(東京都大田区、破産手続き中)が販売したマンションや、総合経営研究所(総研、千代田区)が開業指導したビジネスホテルで多くの工事を受注していた。

 元請け設計事務所を介在させながらも、事実上、姉歯元建築士に構造設計を託していたのは木村建設だったとされる。同社の子会社「平成設計」(破産)の社名入りの名刺を姉歯元建築士は持っていた。関係者は「(コストを減らす)経済設計のために姉歯を使うのは暗黙の了解だった」と話した。

 国会証人喚問で姉歯元建築士は、構造計算書を偽造した「動機」を問われ、「仕事の90%ぐらいを木村建設から請け負っていた。鉄筋量を減らさなければ仕事を一切出さないと言われた」と証言。名指しされた篠塚明・元東京支店長(45)は法令違反の認識を否定したが、「価格競争自体はどの案件にもついて回る」とコスト削減を要求したことを認めた。

 捜査本部が注目するマンション「グランドステージ藤沢」(神奈川県藤沢市)。構造計算書の偽造に加え、木村建設の施工に手抜きがあった疑いが指摘されている。建物の強度が建築基準法に基づく基準値の15%と姉歯物件の中で最も低い。

 さらに、問題公表の直前に総研がオーナーからの代金回収を急いだ「サンホテル奈良」(奈良市)も、施工は木村建設だった。約2億円の残金を受け取ったのは、同社だった。捜査幹部は「事件は木村建設を中心とした構図でとらえなければ全体が見えない。木村建設の経営実態を解明することが、事件の究明につながる」と語った。

  ◇

 篠塚明・元東京支店長は17日正午前、熊本県八代市の自宅から姿を現し「本日は事情聴取は中止、と警察より連絡ありました。子どもも帰宅するので、引き取り下さい。篠塚」と手書きした紙を玄関前に張り出した。篠塚元支店長は、報道陣の問いかけには一切応じず、紙を張り終わるとそのまま家の中に入った。
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060417k0000e040062000c.html

0406 耐震偽装の緊急調査委、最終報告は行政責任に言及せず [読売]

 耐震強度偽装事件の行政対応を検証する国交相の私的諮問機関「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」(座長・巽和夫京大名誉教授)は6日、北側国交相に最終報告書を提出した。

 同委員会は、偽装が見逃されて被害が拡大した行政責任や、政治家の介入の有無などを明らかにすることが期待されていたが、最終報告では行政責任についてほとんど言及せず、政治家の関与も「不自然な点は認められなかった」などとするにとどまった。

 事件では、姉歯秀次・元1級建築士による強度偽装を全く見抜けなかった建築確認制度の機能不全が露呈した。また事件公表直前、自民党の伊藤公介・元国土庁長官が、開発会社「ヒューザー」社長と国土交通省の担当課長との面談に同席したことなども発覚した。

 だが最終報告では、問題の公表時期などについて、「政治家からの働きかけでゆがめられたことをうかがわせるような不自然な点は認められなかった」とだけ記述。具体的な検証内容は明らかにしなかった。

 また建築確認事務を民間機関に開放するよう建築基準法が改正された1998年当時、「チェックが甘くなるのでは」などと問題が指摘されていたにもかかわらず、現在まで改善策が取られてこなかったが、この行政の「不作為」についても最終報告は具体的には言及していない。

 一方、危険性の高い建物の名称などの公表に関し、「不確実性を残したまま発表して招きうる混乱より、発表を控えることで混乱が広がることもある弊害の方がはるかに大きいことを教訓にすべき」と指摘。行政に対し、積極的な情報開示を促す見解を示した。

(2006年4月6日21時33分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060406i413.htm

0331 建築基準法改正を閣議決定 耐震偽装受け罰則強化 [共同]

 政府は31日の閣議で、耐震強度偽装の再発防止のため危険なマンションなどを造った建築士や施工者に対する罰則強化を盛り込んだ建築基準法など4法改正案を決定した。国会に提出し、成立後、1年以内の施行を目指す。
 建築基準法改正案では、建築士らへの罰則を「50万円以下の罰金」から「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」に大幅に引き上げる。法人に対する罰則も、違反建築の是正命令などの手続きを経ずに「1億円以下の罰金」を科すとした。
 構造計算書を偽造した建築士には、建築士法改正案で「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とする罰則を創設する。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2006033101000467

0328 総研が表明、耐震偽装被害ホテルへの指導料返還せず [読売]

 耐震強度偽装事件で、多くの偽装ホテルの開業を指導したコンサルタント会社「総合経営研究所」(東京都千代田区)が、ホテルの経営者らに対し、受け取った指導料などを返還する意思がないことを文書で表明していたことが28日、わかった。

 被害を受けたホテル経営者らでつくる連絡協議会の質問状に答えた。

 総研は「偽装など思いもよらぬことで、当社に責任はない」と回答。連絡協は「誠意が感じられない」として、総研に抗議声明を送付した。

(2006年3月28日23時39分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060328i218.htm

0328 飛び降り自殺か、姉歯元建築士の妻が死亡 [読売]

 28日午前5時35分ごろ、千葉県市川市富浜のマンション駐車場で、女性が血を流して倒れているのを住民の男性が見つけ、119番通報した。

 行徳署の調べによると、女性は、マンションなどの耐震強度を偽装した姉歯秀次・元1級建築士の妻(49)。全身を強く打っており、約1時間半後に死亡した。

 マンション7階の手すりに妻が手や足で触れたとみられる跡が見つかり、同署は、飛び降り自殺の可能性が高いとみて調べている。

 遺書は見つかっていない。

(2006年3月28日22時17分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060328it12.htm

0327 耐震偽装、国交相・緊急調査委の対応報告案は“甘口” [読売]

 耐震強度偽装事件の行政対応などを検証する「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」(国土交通相の私的諮問機関)の最終会合が27日、国交省内で開かれ、巽和夫座長(京都大名誉教授)がまとめた最終報告案が公表された。

 同委員会は、姉歯秀次・元1級建築士(48)の偽装を相次いで見逃した民間の指定確認検査機関や行政の責任、事件発覚後の危機対応などを問う目的で設置。しかし報告案では、昨年10月、国交省が最初に偽装の通報を受けた後の対応について、「大臣に報告するまで1週間も要したことは反省すべき」とする一方、「その後は関係省庁、自治体との連携が図られている」などと、全体的に“甘口評価”となった。

(2006年3月27日22時19分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060327i515.htm

0327 建築確認審査の形骸化批判 耐震偽装で国交省調査委 [共同]

 耐震強度偽装への行政の対応を検証していた国土交通省の緊急調査委員会は27日、自治体や民間の指定確認検査機関の技術力が低下し、建築確認の審査が形骸(けいがい)化していたと批判する最終報告案をまとめた。
 報告案は構造計算書の偽造などを見逃す可能性があるのに行政側はリスクを「認識していなかった」と指摘。検査機関に対する国や自治体の監督強化などが必要と提言した。
 さらに2005年10月に偽装の情報を国交省の担当者が入手してから、北側一雄国交相に報告するまで時間がかかったことは「事態の重大性にかんがみれば反省すべき点」とした。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2006032701005804

0312 耐震偽造:GS藤沢、所有者決議前に解体 市が議会提案へ [毎日]

 耐震データ偽造事件で、耐震強度が基準値の15%しかない神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ(GS)藤沢」(10階建て)が、所有者の建て替え決議を待たずに取り壊される可能性が出てきた。所有者や建築主・ヒューザーの破産管財人が同意や理解を示しており、藤沢市は再建にかかわる法律面を考慮して建物の一部を残す形で解体に着手する計画。開会中の議会に費用を盛り込んだ補正予算案を提案する方針で、早急な取り壊しを望む他のマンションにも影響を与えそうだ。

 GS藤沢は、使用禁止命令などが出ている11棟のマンションで最弱の耐震強度。震度5弱程度で倒壊する恐れがある。駅前の住宅密集地域に建てられ、隣接する民家や別のマンションとの距離は2~3メートルほどしかない。

 マンションの建て替えには「区分所有法及びマンション建て替え法」で所有者の5分の4以上の賛成が必要。更地にした後で再建を決める場合は全員の同意が必要となってしまい、再建が極めて困難になる。国が示した再建案では所有者への負担が大きいこともあり、建て替えの見通しは立っていない。

 しかし、同市は倒壊の恐れのある同マンションを放置できないと判断。市の顧問弁護士と協議した結果、危険な高層部分だけを壊し、地上3階までを残す形にすれば、取り壊し後でも5分の4の所有者の賛成で再建は可能との結論に達した。ただし、市は「取り壊しは公益性が高い」として議会の承認を得る考えだ。【桐野耕一】


0311 耐震偽造:福岡のサムシング、再計算では基準満たす [毎日]

 福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(02年廃業)が福岡市内のマンション3棟の構造計算書を偽造し、うち2棟で耐震強度が建築基準法の基準を下回っていたとされる問題で、2棟の建築主が実施した別の方法による再計算では基準を満たしていたことが分かった。報告を受けた市は、再計算結果を検証、安全性に問題がないか確かめている。

 ◇2棟の建築主が実施した別の方法で判明

 市によると、2棟は2月8日の発表で耐震強度が「0.9」「0.85」とされた賃貸マンション。市が建築主に安全性の確認を求めていた。

 建築主が、従来の「許容応力度等計算」ではなく、00年から使えるようになった「限界耐力計算」という新しい方法を用いて再計算した結果、基準を満たしていることが判明したという。二つの方法とも、建築基準法で認められているが、限界耐力計算は、地盤の堅さなどの条件を加味しながら計算する方法で、より現実に即しているとされている。

 ただ、2棟のうち、1棟の建築主は「当初設計より弱い構造となっていることは明らかだ」として、補強工事を検討しているという。

 一方、市はサムシングが関与したこれらの物件について「計算書の差し替えがあったとしか考えられない」としており、耐震強度と偽造は別問題との立場だ。【安達一成】


0310 耐震偽造:民間主導の建て替えに住民全員初めて合意 川崎 [毎日]

 耐震データ偽造問題で、分譲マンション「グランドステージ溝の口」(川崎市高津区、7階建て24戸)の住民代表は10日、民間事業者によるマンション建て替え計画をまとめ、10社に提案書を提出させる「プロポーザル方式」で発注先を決めると発表した。07年12月の完成を目指す。同市によると、民間主導の建て替えに住民全員が合意したのは初めて。

 住民代表によると、現時点では同規模で建て替えて全員が再入居する計画。1戸あたりの広さも110~115平方メートルで現在とほぼ同じ。住民の負担額は100平方メートルで2000万円以下を目標とする。自治体がマンションを再建する都市再生機構案より早く入居でき、個人負担も約1000万円少なくなるとして、民間事業者による再建を決めた。

 今後、約1カ月後をめどに事業者から提案を受け、3~4カ月後に最終的に事業者と建て替え計画を決める。

 同マンションはヒューザー(東京都大田区、小嶋進社長)が分譲。耐震強度は国基準の1に対し0.39。震度5強の地震で倒壊の恐れがあるとされ、川崎市は昨年12月、使用禁止命令を出した。住民代表の男性(42)は「やっと、ここまできた。なるべく早く戻りたい」と話している。【広瀬登、市川明代】


0308 耐震壁に自信、信念もって数値置き換え…浅沼建築士 [読売]

一連の構造計算書の偽装について話す浅沼良一2級建築士 札幌市のマンション耐震強度偽装問題で、計33棟の偽装をしたとされる浅沼良一・2級建築士(47)は7日、札幌市役所で記者会見し、「プログラムの基準を満たすために1999年か2000年ごろから入力数値を置き換えていた。建築士としての信念に基づき行った」と述べ、偽装を認めた。

 浅沼建築士は「個人的な解釈で、保有水平耐力の基準そのものに疑問があった」とし、「構造計算に合う数値をこだわることなく入力していた」と説明した。

 「耐震壁を使う耐震工法が優れているとの信念を持っていた」とし、耐震壁の量を多くしたところ、十分な保有水平耐力指数を求めることができなかったという。建築基準法で定める保有水平耐力指数を算出する際に、思うような計算結果が出ない物件については、「入力数値を(都合の良いように)勝手に置き換えていた」と述べた。

 浅沼建築士は、「耐震壁を多く採用して建築した物件は耐震性に問題がないと信じている。過ちは過ちかもしれないが、(建築士としての)考えを理解してほしい」と弁解した。

 また、コスト低減などを理由に「何らかの圧力で数値の入れ替えを行ったことはない」と話し、第三者の指示や関与による偽装であることは否定した。

(2006年3月7日23時38分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060307i216.htm

0307 新宿の姉歯物件、強度不足が一転「安全」 新構造計算で [朝日]

2006年03月07日08時21分
 姉歯秀次元建築士の偽装により耐震強度が足りないとされた東京都新宿区のマンションが、新しい構造計算法である「限界耐力計算」で計算し直したところ、今度は一転して「安全」とされたことがわかった。この計算法も建築基準法に基づく正規の計算法だが、建物の揺れ方など設定する条件によっては従来の「許容応力度等計算」より大幅に高い強度が出る可能性があると指摘されている。同じ建物なのに計算法で強度が大きく違ったことになり、同様の例が増えれば、強度の値で線引きする公的支援の仕組みが揺らぎかねない。

 このマンションは投資用の分譲マンションで、新宿区の調査で昨年12月、建物の一部で強度が1を基準とした場合の0.85しかないと判定された。姉歯元建築士が構造計算したことがわかり、姉歯元建築士が使ったのと同じ従来の計算法で調べた結果、偽装による強度不足が明らかになった。

 建築主が新宿区と対応策を話し合う中で、新計算法で計算し直す案が浮上。設計事務所に頼んで計算したところ、強度は1を超えるという結果が出た。新宿区が行った耐震診断でも問題はなく、同区は安全が確認されたと判断した。

 0.85のままだった場合は建築基準法違反となり、補強工事をしなければならないが、建築主は改修しないで済んだ。

 限界耐力計算は00年から使えるようになった。国交省は2月15日、耐震偽装問題について「技術的助言」を出し、強度の検証手順などを示した。この計算法で強度を調べる場合の手順もこの中で明示している。

 偽装物件が安全かどうかは自治体が最終的に判断する。新しい計算法で強度が基準を満たし、自治体が安全だと判断すれば補強しなくてもいい。自治体は判断に際し、日本建築防災協会の助言を受けることができる。

 強度1は震度6強の大地震でも建物が倒壊しない強さを示す。偽装問題をめぐる国の支援策は、分譲マンションは強度0.5未満が建て替えの対象で、0.5以上1未満は改修費用の一部を助成する。ホテルや賃貸マンションについては強度にかかわりなく公的支援の適用例はない。

 新宿区の例のように、建て替えや改修で重い費用負担を迫られているマンションの住民やホテル経営者らが新しい計算法で計算し直し、基準を満たす強度が出ることは他でも起こり得る。ある自治体の担当者は「同じ建物なのに計算法で結果が大きく違えば、収拾がつかなくなるのではないか」と口にする。

 国交省は「計算結果が大きく食い違う場合こそ、安全性を判断するためには専門家の助言が必要になるだろう。ただ、元の強度が著しく低い場合は別の計算法で数値が上がったとしても、安全だと判断されるとは限らないのではないか」としている。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0307/TKY200603060334.html

0306 耐震偽造:北電系マンション、新たに2棟で強度が不足 [毎日]

 北海道電力のグループ会社「北電興業」(本社・札幌市中央区)が建設した同区内の賃貸マンション2棟で耐震強度が不足している可能性のあることが6日、分かった。耐震データ偽造問題を受け、同じ北電グループの設計会社に構造計算書の再計算をさせたところ、国が定める基準を下回っていたという。北電興業は入居開始予定の解約手続きや入居世帯への事情説明を始めた。

 耐震強度不足が判明したのは、昨年3月完成の「エナコート大通22」(9階建て23戸)と今年1月完成の「エナコート山鼻」(10階建て30戸)。同社によると、昨年12月に構造計算書の再計算をしたところ、震度5程度の地震では倒壊しないものの、国の耐震基準を満たしていないという結果が出た。同社は第三者検査機関に三度目となる検査を依頼しており、結果が出次第、補強工事などの対策を決める。2棟の設計には、一連の問題で免許取り消しになった姉歯秀次・元1級建築士は関わっていない。

 エナコート大通22には22世帯が入居している。一方、完成から間もないエナコート山鼻には今月18日から15世帯が入居する予定だったが、入居を見合わせ、契約者との解約手続きを進めている。同社不動産管理部は「契約者に迷惑をかけないよう、転居先確保や費用面など誠心誠意取り組んでいく」と話している。

 同市では、住友不動産(本社・東京都新宿区)が販売していた札幌市内のマンション2棟で耐震性に不安があることが分かり、販売が中止された。【鈴木勝一】

毎日新聞 2006年3月6日 12時45分 (最終更新時間 3月6日 13時10分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060306k0000e040052000c.html

0301 住民追加負担、2千万円以下で…建て替えで国交省素案 [読売]

 耐震強度偽装事件で、震度5強程度の地震で倒壊の恐れがある計11の分譲マンションの建て替えについて、国土交通省は1日、各戸の面積をほぼ現状通りとすることを基本線に、一戸当たりの住民の追加負担を2000万円以下に抑える2次素案を作成することを明らかにした。

 都市再生機構が示した1次素案では、各戸の負担が3000万円を超える場合もあり、住民から反発が起きていた。

 国交省では、設計・施工などを一括発注するなどの手法で、各戸の建築コストを1000万円程度圧縮できると試算。さらに一部マンションについては、「公開空き地」などを設ければ容積率が緩和される総合設計制度を活用、新たに増える住戸の売却代金を建設費に充当するなどして、住民負担を減らすとしている。

(2006年3月1日20時0分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060301i412.htm

0221 強度不足、国交省が「田中研究所」の8棟の調査指示 [読売]

 横浜市鶴見区の分譲マンションで設計ミスによる耐震強度不足が判明した問題で、国土交通省は20日、同マンションを構造計算した「田中テル也構造計画研究所」(東京都杉並区)が手がけた都内と神奈川県のマンションやビル計8件について、調査するよう各自治体に指示した。

(2006年2月20日23時52分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060220ic26.htm

0220 「非姉歯」ヒューザー物件に強度不足、横浜で1棟判明 [読売]

 横浜市は17日、開発会社「ヒューザー」(東京都大田区)が販売し、「木村建設」(熊本県八代市、破産)が施工した同市鶴見区の分譲マンションで、耐震強度不足が判明したと発表した。

 設計ミスによるもので構造計算に偽装の跡はなかったという。国土交通省の指示で、ヒューザーなどが関与した市内の「非姉歯」物件12棟を調査していた。

 建築計画概要書などによると、マンションは10階建てで、東京都内の設計事務所が構造計算を行い、民間の指定確認検査機関「日本ERI」(東京都港区)が、2002年11月に確認済み証を交付した。

 日本ERIは「(耐震強度は)0・5以上あり、補修で対応できる」としたうえで、「設計ミスを見抜けず責任を感じている」とコメントした。

(2006年2月17日23時39分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060217i316.htm

0217 首都圏の5首長、建築基準法改正求め国に要求書 [朝日]

2006年02月17日23時11分
 耐震強度偽装事件で首都圏4都県の知事と横浜市長は17日、建築基準法改正を求める連名の要求書を国に提出した。同法見直しに向けた中間報告案が1月末に示されているが、要求書は「国と自治体、民間検査機関の役割と責任が明確でなく、制度上の欠陥は解決されていない」などと批判している。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0217/008.html

0217 都の聴聞にヒューザー側が欠席、陳述書は提出 [読売]

 耐震強度偽装事件で、開発会社「ヒューザー」(小嶋進社長、東京都大田区、破産手続き開始)が、偽装を知りながらマンションを販売した疑いがあるとして、東京都は17日午前、同社と、販売代理会社「ジャスティホーム」(大田区)に対し、宅地建物取引業法に基づく聴聞を行った。

 しかし、ヒューザー側は16日に弁護士名で「違法性はない」とする陳述書を提出しただけで、聴聞を欠席した。都は聴聞の結果を踏まえ、免許取り消し処分にする方針。

 違反の疑いがでているのは、昨年10月28日の「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)の引き渡し。同社は3日前の25日に姉歯秀次・元1級建築士(48)による偽装を認識しながら、事実を告げないまま購入者に引き渡していたとされる。

 ヒューザーの都側への説明によると、同社役員は25日夜、姉歯事務所に乗り込み、姉歯元建築士がノートパソコンを操作している隣でGS藤沢など7件の偽装を確認したという。

(2006年2月17日13時42分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060217ic02.htm

ヒューザー破産手続き開始決定、住民らの不安消えず [読売]

 多くの欠陥マンションを売っていた開発会社「ヒューザー」(小嶋進社長、東京都大田区)の破産手続き開始が16日、決まった。これにより同社に残る資産が保全できることになり、破産を申し立てていた住民らは安堵(あんど)の表情を見せた。

 だがヒューザーにどれだけの資産が残されているのか。十分な配当は得られるのか。偽装により人生計画が大きく狂った住民らの不安は消えない。

 地裁決定を受け、破産を申し立てていた住民や代理人の弁護士らは16日夜、都庁内で会見。「グランドステージ(GS)稲城」(稲城市)対策委員会の赤司俊一委員長(38)は、「資産の流出を食い止めるという私たちの真意が裁判所に判断され、うれしく思っている」と語った。「GS住吉」(江東区)対策委員の男性(43)も、「申請から2週間余というスピードで決定してもらい、感謝している」と歓迎した。

 破産手続きでは、抵当権が付けられた不動産などの処分は、抵当権者が優先される。このため赤司さんは、抵当権を設定している金融機関に対し、「住民への特段の配慮をお願いしたい」と呼びかけた。

 ヒューザーへの破産申し立てに参加したのは9件のマンションの住民ら。これに対し、ヒューザーが自治体などに起こした損害賠償請求訴訟に望みを託して、申し立てに加わらなかったマンションもあった。「GS東向島」(墨田区)対策委員会の田中拓代表(32)は、「訴訟に勝って住民側に補償するという道は不確かになった」と落胆する。

 破産手続きに詳しい宇都宮健児弁護士は、「現状では、会社を存続させて、その利益を住民の補償に充てるという方法はかなり厳しい。破産が認められれば、資産の散逸や資産隠しを防ぐことができる」と、破産手続き開始を評価する。

(2006年2月17日9時3分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060216i217.htm

伊藤元国土庁長官、政倫審に弁明申し出 [朝日]

2006年02月13日19時37分
 マンションの耐震偽装問題で、ヒューザーの小嶋進社長と一緒に国土交通省幹部に面会していた自民党の伊藤公介元国土庁長官が13日、衆院政治倫理審査会の瓦力会長に審査申出書を提出した。政倫審は近く幹事会を開き、取り扱いを協議する。野党側は政倫審だけでなく証人喚問も求めているが、与党側は政倫審だけで幕引きを図る考えだ。

 伊藤氏は申出書の中で「衆院の予算委員会や国土交通委員会で、私にあたかも政治倫理に反する行動があったかのような発言があった」と説明。その上で「政治倫理に反する行為はなく、不当な批判を甘受するわけにはいかない」と弁明・審査を求めている。

 政倫審は公開となる可能性もあるが、原則は非公開。発言は偽証罪の適用対象にはならない。政治的・道義的責任があると認めた場合、登院自粛などの勧告を行う。85年の発足以来、審査が行われたのは7例だが、勧告にいたった例はない。

 民主党の野田佳彦国会対策委員長は13日夜、政倫審を公開し、テレビ中継をするのであれば、前向きに対応する考えを示した上で「政倫審を証人喚問につなげていきたい」と強調した。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0213/005.html

「耐震偽装なし」の460件、国交省が再点検指示へ [読売]

 耐震強度偽装事件に絡み、熊本県が著しい耐震強度不足の可能性のある物件の報告を怠っていた問題で、国土交通省は13日、これまでに「偽装なし」と報告があった460件について、耐震強度を満たしていないにもかかわらず、国への報告がない物件がないか、各自治体に再点検するよう指示することを決めた。

 この問題は、熊本県などが、専門家に依頼していた再計算結果で、一部のマンションについては、耐震強度が、震度5強程度の地震で倒壊の恐れのある50%未満の可能性があるなどという指摘を受けながら、国には「偽装なし」とだけ報告していたもの。

 他の自治体が「偽装なし」と報告した分についても、同様に耐震基準を満たしていないケースがないか、点検を求めることにした。

(2006年2月13日20時25分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060213i313.htm

強度不足マンション、熊本で新たに16件 [読売]

 熊本県は13日、木村建設(熊本県八代市、破産)が施工した「非姉歯物件」のうち、耐震強度が基準を下回るマンションなどが、新たに熊本市内で16件見つかったと発表した。

 県はいったん、国土交通省に対し「構造計算書に偽造なし」と報告していたが、この16件について「調査中」と訂正した。同県内の強度不足の建物は、すでに発表された6件と合わせ計22件となった。

 熊本市によると、この16件はマンション15件とホテル1件で、最弱部分の強度は基準の72~99%。市が8日以降、これまでの調査内容を改めて点検した結果、基準以下ということがわかったとしている。

 この問題では、建築確認を行った県、熊本市、八代市が、国交省の指示で、「非姉歯物件」を含め、木村建設が手がけた建物の構造計算を再計算した。県は同省に対し、「構造計算の偽造なし」とだけ報告し、強度不足について伝えていなかった。

(2006年2月13日12時19分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060213i303.htm

伊藤元国土庁長官の喚問、与党が拒否 衆院予算委理事会 [朝日]

2006年02月10日19時31分
 耐震強度偽装問題で、衆院予算委員会は10日、理事会を開き、自民党衆院議員の伊藤公介元国土庁長官の証人喚問について協議した。野党側は喚問を改めて求めたが、与党側は「議員の身分は重く、喚問する必要性は少ない」と拒んだ。伊藤議員は、偽装問題が公表される2日前、ヒューザーの小嶋進社長らとともに国土交通省課長と面会するなどしている。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0210/006.html

サムシング社長、構造計算書の差し替え認める [読売]

 福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(業務休止中)が福岡市内のマンション3件の構造計算書を改ざんしたとされる問題で、同社の仲盛昭二社長は10日、福岡市役所で会見し、「構造計算書の差し替えは1級建築士に与えられた裁量権の範囲内。強度が十分なら偽造ではない」と弁明した。

 これに対し福岡市幹部は10日、読売新聞に対し、「違法が確認されれば、告発をちゅうちょしない」と述べ、問題のマンションなどで強度不足が確認されれば、建築基準法違反容疑で刑事告発する方針を明らかにした。

 福岡市は、サムシングは強度を満たした計算書と満たさない計算書を組み合わせる手法で改ざんしていたとみている。これについて仲盛社長は「当時は、計算書は誰も見ない闇の部分。建物の構造図さえ正確ならいいという認識だった」と計算書差し替えを認めたうえで、「書類の不備」と強調した。

(2006年2月11日3時4分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060211i401.htm

総研などに6億円損賠提訴へ、偽装ホテル初訴訟 [読売]

 耐震強度偽装事件で強度不足が判明し、休業中のビジネスホテル「センターワンホテル半田」(愛知県半田市)は10日、建築確認を行った愛知県と、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」、同社の内河健所長(72)を相手取り、総額約6億円の損害賠償を求める訴えを起こすことを決めた。

 14日、名古屋地裁に提訴する。偽装が判明したホテルが訴訟に踏み切るのは、全国で初めて。

(2006年2月10日22時28分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060210i116.htm

木村建設また強度不足 熊本で6棟、姉歯氏は関与せず [朝日]

2006年02月09日01時12分
 耐震強度偽装事件を巡り、木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が熊本県内で施工したマンション5棟とホテル1棟について、耐震強度不足を指摘されていたことが8日、県の調査で分かった。耐震強度は0.43~0.94で基準の1を下回っている。構造計算に姉歯秀次元建築士はかかわっていないという。県は9日、構造計算を担当した熊本市などの設計事務所から事情を聴く。

 県建築課によると、国の指示を受け、木村建設が関与した県内の物件に耐震強度偽装がないかどうかを調べた。構造計算書の改ざんなどの偽装は確認されなかったが、日本建築構造技術者協会九州支部などに再計算を依頼。昨年12月末に「耐震性に懸念がある」として2棟、さらに今月までに4棟について強度不足を指摘されたという。

 6棟の内訳は熊本市のマンション2棟、八代市のホテル1棟のほか宇土市、西合志町、大津町のマンション3棟。いずれも木村建設が95~03年に施工した。熊本市のマンション1棟の耐震強度は0.43~0.45、大津町のマンションは0.45だった。強度が0.5未満の場合、震度5強程度の地震で倒壊する恐れがあるとされる。

 県は一連の事実を公表せず、1日に「構造計算書の再計算の結果、改ざんなどは認められなかった」と発表。国にも同じ内容で報告していた。

 耐震強度が懸念される物件が指摘されたことについて、県建築課の吉川泰久課長は「県に構造計算の専門家がいなかったので、結果的に見抜くことができなかった。(耐震強度偽装事件を契機に)構造計算のプログラムを購入したのでチェック態勢を確立したい」と話している。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0208/SEB200602080007.html

構造審査の重大ミス、4自治体で8件…国交省調査 [読売]

 耐震強度偽装事件に絡み、国土交通省は8日、建築確認事務を実施している全国243自治体を対象とした構造審査の実態調査結果を発表した。

 この結果、神奈川県、三重県、広島県と沖縄県うるま市の4自治体で、構造計算書に必要な添付書類の一部が欠落していたのに建築確認を出すという重大なミスが計8件見つかった。いずれも耐震強度には問題はないという。

 調査は、各自治体が扱った構造計算書を10件ずつ抽出して検査した。今回の自治体とは別に、偽装物件の見逃しがあった計28自治体に対する調査では、4自治体で10件の重大ミスが見つかっている。

(2006年2月8日19時32分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060208i112.htm

「非姉歯」偽装3棟、福岡市調べで判明…木村建設施工 [読売]

 耐震強度偽装事件で、多くの偽装物件に関与していた木村建設(熊本県八代市、破産)が施工した福岡市内の賃貸マンション3棟の構造計算書に偽造があったことが8日、同市の調べで分かった。

 構造計算はいずれも、福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(仲盛昭二社長)が請け負っていた。姉歯秀次・元1級建築士以外による偽造が明らかになったのは初めて。

 仲盛社長は読売新聞の取材に「法令の範囲内で設計した」と偽造を否定している。

 福岡市が依頼した日本建築構造技術者協会九州支部(JSCA九州)の詳細調査によると、3棟はいずれも、建物の各階の重量を実際よりも軽くして構造計算ソフトに入力し、柱や梁(はり)の太さや鉄筋量が少なくて済むよう偽装していた。重量は最大16%軽くしていたという。

 耐震強度は、1棟は建築基準法が求める基準の「1」を満たしていたが、残る2棟は0・85、0・9と下回っていた。市建築局は「計算書の数値が不自然で、偽装と判断した」としている。同局は「いずれの物件も緊急に安全性が問題となる状況にない」として、住民には偽造を知らせない方針。

 同社の物件は、市が構造計算書を保管しているものと住民から持ち込まれたもの計9件が未調査で、これについても偽造の有無を調べる。

 構造計算を行ったサムシングは1980年に設立された。福岡市の調査に対し、仲盛社長は「福岡県を中心に約1万件の構造計算を手がけた」と話しているという。現在は事業を休止している。

 同社が構造計算をした福岡県篠栗町の分譲マンションでは、管理組合が昨年11月、「天井や壁が入居当初からひび割れ、構造計算書が偽造された疑いがある」として、販売、施工会社などに建て替え費用を求める訴訟を福岡地裁に起こした。

 仲盛社長は「設計士によって構造計算のやり方は違う。基準の範囲内で計算を行った」としている。

(2006年2月8日12時21分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060208i203.htm

東京都、ヒューザーを処分へ 「藤沢」取引で宅建法違反 [朝日]

2006年02月07日06時22分
 耐震強度偽装事件で、東京都は6日、マンション販売会社ヒューザー(東京都大田区)が、偽装の可能性を知りながら神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ藤沢」の居室を入居者に引き渡したとして、宅地建物取引業法違反で処分する方針を固めた。今月中に小嶋進社長への聴聞の後、免許取り消しか業務停止の処分が下されるとみられる。

 都や国土交通省によると、ヒューザー幹部は昨年10月25日、民間検査会社イーホームズから姉歯秀次元建築士による構造計算書の偽装を指摘され、27日には小嶋社長が姉歯元建築士らと対応を協議した。だが、28日に「藤沢」の17戸を入居者に引き渡す際、偽装の可能性について説明をしなかったという。

 宅建業法は重要な事実を故意に告げなかったり事実でないことを告げたりする行為を禁止している。昨年12月、都の問い合わせに対し、ヒューザーは「(引き渡し時点で)藤沢が偽装されているとの認識はなかった」と文書で回答している。

 宅建業法での処分に向けた聴聞は、公開で行われる。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0206/TKY200602060515.html

自治体への裁判、住民に参加要請 ヒューザー [朝日]

2006年02月07日06時46分
 耐震強度偽装事件で、グランドステージ川崎大師(川崎市)の住民たちに、ヒューザーが18自治体を相手に約139億円の賠償を求めて起こした訴訟への参加を呼びかける文書が配られていることがわかった。文書は小嶋進社長名で、「当社弁護士からの説明文」として自治体を提訴した法律的な裏付けなどを説明している。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0206/TKY200602060518.html

「姉歯聴聞」国交省が開示拒否…「個人情報」理由に [読売]

 マンションなどの耐震強度偽装事件を巡り、国会議員が国会質問のため、姉歯秀次・元1級建築士(48)を聴聞した記録の開示を求めたのに対し、国土交通省は「個人情報にあたる」などとして拒否した。

 昨年4月に全面施行された行政機関個人情報保護法の規定が理由だが、情報公開法は生命や財産などの保護のため必要なら、個人情報も開示できるとしている。同省は、国会での真相究明より姉歯元建築士の情報保護を優先した形で、論議を呼びそうだ。

 開示を求めたのは、原口一博衆院議員(民主)。国会質問のため、1月下旬に請求したが、国交省は、〈1〉行政機関個人情報保護法8条は利用目的外での個人情報の利用・提供を禁じており、姉歯元建築士もすべての公表を望んでいない〈2〉聴聞は原則非公開の手続き――などとして拒否した。

 しかし、同法8条には、「特別な理由」があれば提供を認める規定がある。また、中央省庁の内部文書などの原則公開を義務づけた情報公開法では、個人情報でも、「人の生命、健康、生活または財産を保護するため、公にすることが必要と認められる」「公益上特に必要がある」場合は、開示できる。
(2006年2月3日3時13分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060203i301.htm

ヒューザー元社員、次々聴取 偽装認識時期探る [朝日]

2006年02月02日06時01分
 耐震強度偽装事件を調べている警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は、マンションの建築主ヒューザーや施工した木村建設の元社員ら関係者について任意の事情聴取に乗り出した。偽装を知った時期や姉歯秀次元建築士に対する偽装問題発覚前の認識などを中心に説明を求めているとみられる。捜査本部は家宅捜索で押収した大量の資料の分析と建物の強度検証を進めている。併せて偽装物件の建築主や施工業者、設計業者など関係者から幅広く事情を聴く方針で、対象者は100人を超える見通しだ。

 捜査本部が元社員らの事情聴取を始めたのは1月下旬から。建物の建設現場の主任クラスや営業担当者たちも対象となっているとみられる。小嶋進ヒューザー社長や篠塚明・木村建設元東京支店長らからも今後事情を聴く方針だ。

 捜査本部はヒューザーについて、姉歯元建築士が構造計算書を偽造した建築基準法違反容疑に対する関与の有無を調べている。また同社は強度不足を知りながらマンションの売買契約を結んだ宅地建物取引業法違反の疑いも浮上している。

 木村建設は多数の偽装物件の施工や設計を手がけていた。姉歯元建築士は偽装した理由について篠塚元支店長から「鉄筋を減らすよう圧力を受けた」と話し、篠塚元支店長は鉄筋の減量を求めたことは認めているものの、偽装は知らなかったと主張している。

 捜査本部は資料の分析や建物の検証、両社をはじめとする関係者への聴取を進め、偽装物件がどのようにして造られたか▽姉歯元建築士の偽装をだれが、いつの時点で把握していたか――などを見極めて刑事責任の追及につなげる。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0202/TKY200602010482.html

耐震偽装マンションの住民、ヒューザーの破産申し立て [読売]

耐震強度偽装
 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)による偽装マンション約20件を販売した開発会社「ヒューザー」(東京都、小嶋進社長)について、9マンションの住民が31日、東京地裁に破産を申し立てた。

 ヒューザーが所有する不動産や預金などの資産を保全し、住民側への補償を確保するのが目的。同地裁は今後、ヒューザーの資産内容などを検討したうえで、破産手続きを開始するかどうか決定する。

 申し立てをしたのは、東京、神奈川、千葉の1都2県でヒューザーの欠陥マンションを購入した計309世帯の住民。これら住民に対しヒューザーは、瑕疵(かし)担保責任に基づく賠償義務を負っている。

 賠償総額は、ヒューザーの試算によると約84億円。これに対しヒューザーは、1月25日現在の純資産が「約7億4000万円」と主張しており、住民側は、破産申し立てによりヒューザーの資産を保全する必要があると判断した。住民側は破産手続きを通し、役員の責任も追及する構えだ。

 過去に被害者が多数出た事件では、豊田商事の「金のペーパー商法」をめぐる詐欺事件で1985年に、宗教法人「法の華三法行(さんぽうぎょう)」による詐欺事件で2000年に、それぞれ被害者が会社と教団の破産を申し立て、いずれも裁判所は認めている。

 住民側の破産申し立てについて、ヒューザーは「まだ確認が取れていないので、コメントの出しようがない」としている。

(2006年1月31日11時36分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060131it03.htm

耐震偽造:ヒューザーが18自治体に139億円賠償提訴 [毎日]

複数の自治体を相手に損害賠償請求訴訟を提訴し、会見するヒューザーの小嶋進社長=東京・霞が関の司法記者クラブで30日午後4時11分、佐藤賢二郎写す 耐震データ偽造事件に絡み、建築主のヒューザー(東京都大田区)が30日、建築確認の際に姉歯秀次元1級建築士の偽造を見逃したのは自治体の責任として、東京都、横浜市など18自治体に総額約139億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。一方、提訴には約2000万円の印紙代がかかった。被害住民からは「そんなに金があるなら住民に配分すべきだ」と怒りの声が上がり、提訴された自治体も「言語道断。本末転倒だ」とあきれていた。【武本光政】

 提訴されたのは、姉歯元建築士が関与した26のマンションが建つ自治体。横浜市や東京都北区など実際に建築確認をした自治体のほか、指定確認検査機関に代行させた自治体についても、「確認の権限がある」として訴えの対象とした。

 賠償額については、▽ヒューザーが買い主に賠償義務を負う売却済みマンションの解体・耐震補強費用など約84億円▽物件を売却出来なかったことによる損害約25億円▽社会的信用低下に伴う損害など30億円--を積算した。姉歯元建築士に対しては、賠償責任が認められても回収の見込みが薄いと判断し、提訴を見送った。【武本光政】

 ▽東京都都市整備局の話 訴状を見ていないので、コメントできない。
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060131k0000m040069000c.html

偽装物件見逃した自治体調査、建築確認10件にミス [読売]

 耐震強度偽装事件に絡み、国土交通省は30日、偽装物件の見逃しがあった全国28の地方自治体に対する構造審査の実態調査結果を公表した。

 各自治体が扱った10件ずつを抽出検査したところ、福岡市(6件)、前橋市(2件)、東京都中央区(1件)、長野県松本市(1件)の4自治体の10件で、構造計算書に添付が必要な書類の一部が欠落していたのに建築確認を出していた重大な審査ミスがあった。耐震強度に問題はないという。

 構造審査を巡っては、民間の指定確認検査機関でも、立ち入り検査の結果、6機関で7件の重大な審査ミスが見つかっている。

(2006年1月30日13時48分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060130ic05.htm

川崎の耐震偽装マンション、検証調査で施工ミスも判明 [読売]

 耐震強度に偽装があった川崎市川崎区中瀬3の分譲マンション「グランドステージ川崎大師」で29日、マンションを施工した「太平工業」(東京)が検証調査を行い、耐震強度をさらに低下させかねない施工ミスがあったことを認めた。

 同社によると、マンション北側の耐震壁と、玄関の梁(はり)に、幅、深さとも約2センチの不必要な溝が垂直方向に掘られていた。壁の溝は壁紙のたるみをなくすためで、梁の溝は下請け業者が誤って掘ったという。

 溝で強度が落ちるため、壁や梁の厚みを増す必要があったが、対策はとられていなかった。

 地震の揺れを抑えるために柱と壁の間に設けるスリットも、施工されていない個所が確認された。

 同社の金山亜希雄副社長らは記者会見で、「どう対応すべきか、施工の瑕疵(かし)を含めて社内検討を始めたい」とし、管理組合の平貢秀副理事長は「30%と診断された強度よりも低いと想像できる。建て直すしかない。費用はすべてもってもらいたい」と語った。

 同社は当初、「建築確認済みの設計図に従った。施工者の責務は全うしている」としていたが、管理組合が施工上の問題点を指摘、調査を求めた。
(2006年1月30日1時5分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060129i113.htm

耐震偽装、国が地方と同等に負担 石原知事、受け入れ [朝日]

2006年01月27日20時33分
 耐震強度が偽装された分譲マンション居住者への公的支援をめぐり、国が地方と負担を同等にする方針を示したことに関して、東京都の石原慎太郎知事は27日、国の意向を受け入れる考えを記者会見で明らかにした。石原知事は「100%満足するものではないが、(首都圏の)4都県知事の主張をおおむね受け入れたもので、3県の知事と相談して一応受け入れることにした」と話した。

 石原知事は「都がびた一文、責任を負うべき問題でない」と国の責任を指摘し、特別措置法の制定を求めていた。

 国土交通省によると、建て替えの工事費や住民の転居費への補助は国45%、自治体55%の負担割合を変えないが、都市再生機構が建て替えを請け負った際の事務費などを新たに国が負担することにした。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0127/006.html

ヒューザー専務と安倍長官、親睦団体の忘年会で同席 [読売]

 安倍官房長官は26日の衆院予算委員会で耐震強度偽装事件に関連し、安倍氏の知人らで作る親睦(しんぼく)団体「安晋会」の2004年忘年会に出席した際、開発会社「ヒューザー」専務が同席していたことを明らかにした。

(2006年1月26日22時50分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060126ia24.htm

耐震強度偽装事件、1級建築士8人の資格取り消し処分 [読売]

 耐震強度偽装事件で、国土交通省は24日、姉歯秀次・元1級建築士(48)による偽装物件の元請け建築士となっていた6人と、偽装物件を含む多数の物件で元請け建築士の「名義貸し」をしていた2人の計8人について、1級建築士の資格を取り消した。

 構造計算書の改ざんを見逃した責任は大きいなどとして、最も重い処分に踏み切った。

 資格を取り消されたのは、エスエスエー建築都市設計事務所(東京都新宿区)、木村建設東京支店(同)、スペースワン建築研究所(港区、2人)、シノケン東京支店(同)、下河辺建築設計事務所(大田区)、平成設計(千代田区、2人)の建築士。いずれの処分も中央建築士審査会が同意した。

 うちスペースワンの建築士1人とシノケンの建築士は、実際には設計を行っていない物件で、設計上の全責任を負う元請け建築士の名義を貸していた。残りの建築士は偽装物件の元請けとしての責任を問われた。

 処分者の氏名について国交省は、建築士法には実名公表を義務付ける規定がないとして、明らかにしなかった。

 処分に先立ち国交省は聴聞を実施。この中でスペースワンの建築士は、「姉歯元建築士の構造設計は、断面が小さめで鉄筋も少ないという認識はあった」ものの、建築主の「ヒューザー」(千代田区)の担当者から、「建築確認は下りており、これが経済設計だ」と言われ、それ以上の追及をしなかった、と述べたという。またこの建築士は、建設会社「木村建設」(熊本県八代市、破産)の担当者にも同様の疑問をぶつけたが、担当者は「施工の容易さを優先させた経済設計だ」と答えたという。

 国交省は、6社以外で偽装物件の元請けとなっていた建築士についても順次、処分を進める方針。

(2006年1月24日20時14分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060124i313.htm

北側国交相、金融機関に支援を再要請 耐震偽装事件 [朝日]

2006年01月20日11時26分
 北側国土交通相は20日の閣議後会見で、耐震強度偽装事件に関連し、解体・建て替えが必要な分譲マンション10棟の居住者に融資している民間金融機関に住宅ローンの返済繰り延べや金利の減免、毎月の支払額の減額などの協力を再要請する考えを明らかにした。

 北側国交相は建て替えで居住者が新たに住宅ローンを借りる場合、建物への担保の追加設定を自粛すべきだとの考えも示した。「(耐震偽装で)そもそも担保価値がない建物に抵当権を設定していて、建て替え後に新しい建物に当然のごとく抵当権が設定されるのはいかがかと思う」と述べた。

 国土交通省は昨年11月、金融庁を通じて全国銀行協会に協力を要請。全銀協は返済の一時繰り延べなどを申し合わせた。
URL:http://www.asahi.com/business/update/0120/085.html

小嶋社長の国交省への働きかけ、北側大臣が全面否定 [読売]

 耐震偽装事件を巡って、開発会社「ヒューザー」の小嶋進社長が安倍官房長官を通じて国土交通省への働きかけを依頼したとされる問題について、北側国交相は19日午前の閣議後会見で「そのようなことは一切なかったと聞いている」と全面的に否定した。

 衆院国土交通委員会の証人喚問では、(安倍長官の秘書から)国交省の事務次官になる予定の人物に電話をしたなどと指摘された。

 国交省は、局長以上の幹部全員から聴取。北側国交相は、「安倍長官の方から『ヒューザーが』とか『小嶋社長が』というような具体的な指示を受けたことは一切ない」とした。

(2006年1月19日22時18分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060119i203.htm

「小嶋社長に同行も、国交省に紹介せず」伊藤元長官 [読売]

 耐震強度偽装事件で、問題公表2日前の昨年11月15日、多くの偽装マンションを販売した「ヒューザー」の小嶋進社長とともに国土交通省を訪れていた自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官が19日、東京・千代田区の自民党本部で記者会見し、「(小嶋社長に)同行はしたが、私から国交省に紹介したことは全くない」と弁明した。

 さらに伊藤元長官は、「国交省へ行くまでこういう問題だとはまったく知らなかった」と主張。国交省幹部と小嶋社長らとの協議内容についても、「正直、(話の内容は)何のことかまったくわからなかった」などと説明した。

 伊藤元長官によると、国交省を訪問するきっかけになったのは、昨年11月15日、偽装マンションの建築主となっていた「東日本住宅」(東京都新宿区)の桃野直樹社長から、「小嶋社長の紹介で千葉県で建てたマンションが大変なことになった。国交省の指示で工事中止命令が出た」と、電話で相談をうけたこと。伊藤元長官が小嶋社長に電話し、一緒に国交省へ行くことになったという。

 伊藤元長官はその後、国交省内で住宅局長とも面会し、局長に対し、「国としてはなぜこうなったのか十分な検討をしてほしい」と要請したという。

 一方、伊藤元長官が11月10日、小嶋社長とともに「大成建設」(新宿区)を訪れた点については、「小嶋社長から『免震技術のある大成建設を紹介してほしい』と、その3、4日前に電話で相談を受けたから」と明かし、「自分も免震技術について勉強したいと思ったので出向いた」と説明した。

(2006年1月19日13時38分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060119i207.htm

耐震偽装で参考人質疑、住民訴え「生活破たんの危機」 [読売]

 耐震強度偽装事件で参院国土交通委員会は19日、偽装マンション住民や、ホテルオーナーらの参考人質疑を行った。

 このうち、耐震強度が基準の37%しかない分譲マンション「グランドステージ(GS)住吉」(東京都江東区、67戸)で、構造偽装問題対策委員を務める清水克利さん(37)は、「建築確認を信じなければ、何を信じればいいのか」と述べ、姉歯秀次・元1級建築士(48)による構造計算書改ざんを民間の指定確認検査機関が見逃していたことなどについて、不信感と怒りをあらわにした。

 参考人質疑で清水さんは、「私たちを苦しめているのは、多くの違法建築物が同じ業者によって長年、建てられ続け、それを防ぐことができなかった法制度の問題だ」などと述べ、国の制度の不備も訴えた。

 さらに、「今後の生活に対する不安がのしかかり、生活破たんの危機にひんしている」と住民の苦境を訴え、できるだけ住民の負担が少なくなるようにきめ細かな公的支援も要望した。

 本来なら「GS住吉」の住民に対して補償義務を負う建築主の開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)は、計20件以上の偽装マンションを販売しており、すべての補償に応じるのは困難なのが現実。施工業者の「木村建設」(熊本県八代市)は破産した。

 清水さんは「この問題が私たち1件だけなら、開発業者によって瑕疵(かし)担保責任が履行されていたはずだ」と、悔しさをにじませた。

 一方、全国で休業に追い込まれている偽装ホテル。強度不足が判明しているビジネスホテル「センターワンホテル半田」(愛知県半田市)の中川三郎社長(49)は、「(建築確認で偽装を見逃した)愛知県は『過失はない』と言うばかり。建築行政の根幹である建築確認が機能しなかったという点では、マンションもホテルも同じ。ホテルにも何らかの補償制度を考えて欲しい」と、行政支援を訴えた。

 国の支援を巡っては、分譲マンションについては既存制度を活用した建て替えや補修の支援の道が開かれたが、ホテルは、「施工、設計業者を選んだ事業者責任でやってもらう」と、支援の道が閉ざされている。

 委員会では、東京工業大の和田章教授ら専門家4人にも参考人質疑を行った。

(2006年1月19日13時5分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060119i305.htm

阿南元参院議員、アルゼ社長辞任 小嶋氏との関係引責 [朝日]

2006年01月18日22時48分
 パチスロ大手のアルゼ(ジャスダック上場)は18日、阿南一成社長(68)が参院議員時代にヒューザーの小嶋進社長とかかわりがあったことを理由に、同日付で引責辞任して取締役に降格し、岡田和生会長(63)が社長を兼務すると発表した。

 阿南氏は警察庁出身で98年に参院議員に初当選。04年、アルゼ顧問になり、同9月から社長。小嶋社長との関係は、17日にあった衆院国土交通委員会の小嶋社長への証人喚問で表面化した。

 アルゼは社長交代の理由を「議員時代のこととはいえ、当社としてコンプライアンス(法令順守)上、問題があるため」と説明している。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0118/TKY200601180417.html

総研・四ケ所氏が姉歯氏受注の窓口に 耐震偽装 [朝日]

2006年01月19日03時05分
 耐震強度偽装が発覚するきっかけとなった東京都港区のビルについて、総合経営研究所(東京都千代田区)の四ケ所猛チーフコンサルタントが窓口となって姉歯秀次元建築士が受注し、その後も四ケ所氏が直接指示していたことが関係者の話で分かった。姉歯元建築士は、設計段階の打ち合わせに平成設計側として出た形になっていたが、同社元役員は「四ケ所氏が連絡し、平成設計は何も言える立場になかった」としている。

 衆院国土交通委員会は19日、四ケ所氏と平成設計の山口時也代表取締役ら4人の参考人質疑をする。総研と姉歯元建築士とのかかわりが焦点の一つになるとみられる。

 このビルに関し03年11月6日にあった打ち合わせで姉歯元建築士は、平成設計の名刺を使っていた。しかし、平成設計の元役員によると事前に四ケ所氏から「姉歯には連絡しておいたから、一緒に行くように」と電話があったという。

 打ち合わせの結果、契約上は構造設計を平成設計が受注し、姉歯元建築士が担当することになった。だが受注後、四ケ所氏は直接、姉歯元建築士と打ち合わせていたという。元役員は「四ケ所氏は以前から姉歯氏を知っていたはずで、総研の中でメーンで担当していた」と話した。

 04年3月に別の構造設計会社から構造計算上の疑問を指摘され、姉歯元建築士が外れたため、最終的に偽装はなかった。

 平成設計の山口代表取締役は昨年12月、朝日新聞の取材に「四ケ所氏は坪単価や鉄筋量について指導していた。コンサルタントが直接指示することは普通はあり得ないが、うちは総研から百%近く仕事をもらっており、総研が全部牛耳っていた」と話した。

 これに対し総研側は、今月10日の自民党の調査などに、港区のビルは銀行の依頼で総研が窓口となったと認めたうえで、「四ケ所氏は平成設計側に紹介され、11月6日に初めて姉歯氏に会った。誰を呼ぶかは平成設計に任せていた」と説明。「具体的な作業にはかかわっておらず、他の物件で姉歯氏を使うよう指示した事実も確認できていない」としている。

 昨年12月末の国土交通省のまとめでは、総研が関与した203物件のうち、姉歯元建築士は30物件にかかわっている。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0118/TKY200601180433.html

伊藤元長官の表彰延期 耐震強度偽装めぐり [共同]

 衆院議院運営委員会は18日午後の理事会で、自民党の伊藤公介元国土庁長官の議員在職25年表彰を当面延期することを決めた。与党側が提案、民主党も了承した。
 耐震強度偽装問題をめぐり、伊藤氏が問題公表前にマンション販売会社ヒューザーの小嶋進社長を国土交通省の担当課長に引き合わせたことが判明。野党側が伊藤氏の証人喚問か参考人招致を強く要求しているため、与党側が現段階での表彰は得策ではないと判断したとみられる。
 表彰は20日召集の通常国会冒頭の本会議で行われる方向だった。中馬弘毅行革担当相も表彰される予定だったが、延期された。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2006011801004803

ヒューザー加盟の建設協会会員、伊藤元長官に毎年献金 [読売]

 開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小島進社長ら、社団法人「日本住宅建設産業協会」に加盟する会社経営者約20人が、自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官を囲んでたびたび勉強会を開き、政治献金も毎年行っていたことが分かった。

 このうち少なくとも2社は、ヒューザーが開発したマンションで点検業務を行っていた、伊藤元長官の三男(26)が代表取締役を務めるビル管理会社「フューチャービジネスネットワーク」(中央区)に管理業務などを発注。元長官と業界の密接な関係が浮上した。

 関係者によると、この勉強会は数年前、同協会メンバーの1人の開発会社社長を中心に有志で結成され、協会加盟社の社長ら20人前後が参加している。

 メンバーは年に数回、都内のホテルなどで会合を開き、伊藤元長官がたびたび出席。国土交通省の職員が出席することもあった。メンバーの1人は、「伊藤先生から国政の動向について報告を受ける一方、税制問題など業界の要望を聞いてもらっていた」と話している。

 勉強会メンバーは毎月2万円の会費を納め、その中から毎年4万~16万円をメンバー名で元長官の政治資金管理団体に献金。1998~2003年分が政治資金収支報告書に記載されている。別のメンバーは「先生に何回も来てもらっているのに、手ぶらというわけにはいかない」と献金の趣旨を説明している。

 一方、勉強会のメンバーが経営する大田区の開発会社は、フューチャー社に対して2004年12月から、開発会社が施工した完成直前のマンションのクリーニング業務などを発注。現在までに71件・約4800万円分を発注していた。

 またフューチャー社は開発会社所有のオフィスビルに入居している。開発会社は「契約は他社との見積もりを比較した結果で、金額は適正なもの。(ビルの)賃料も、適正な額を毎月支払っていただいている」と説明している。

 さらに、別のメンバーの開発・不動産会社(新宿区)も、同社関連会社が管理するマンション22件の清掃業務を、1回あたり約5万円の契約でフューチャー社に発注し、年間約500万円の取引があるという。メンバーの社長は「三男自身が売り込みに来て、安いから契約した」としている。

 フューチャー社は、これら物件の管理業務などを請け負ったことを認めている。一方、伊藤元長官の事務所は勉強会について「日常さまざまな勉強会に出席しており、専門的な話を聞ける場所と考えている」としている。ヒューザーの小島社長は読売新聞に対し、伊藤元長官と知り合った経緯について、「勉強会に顔を出すようになったのがきっかけ」と説明している。

(2006年1月17日3時8分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060117ic01.htm

小島社長、安倍長官の秘書に国交省への働きかけ依頼 [読売]

 17日の証人喚問では、小島社長が、耐震強度問題が表面化した昨年11月17日に安倍官房長官の政策秘書を訪れ、国土交通省への働きかけを依頼していたことが明らかになった。民主党の馬淵澄夫委員の質問に対し、小島社長が認めた。

 馬淵委員によると、小島社長は昨年11月20日に開かれた「グランドステージ川崎大師」(川崎市)の説明会で、「(安倍長官の秘書から)国交省の事務次官になる予定の方に電話をいれてもらった」とし、国としてきちんと対応する旨の言質を得ていると発言した。

 これに対し、安倍長官は17日午後の記者会見で、「話は(秘書が)聞いたが、国交省などに働きかけたことは一切ない。私も報告を受けておらず、小島社長とも面識はない」と語った。国交省も「安倍長官側から働きかけがあった事実は全く知らない」としている。

(2006年1月17日23時46分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060117ic23.htm

小島社長、核心で証言拒否繰り返す…衆院委証人喚問 [読売]

国会の証人喚問の最中に水を飲むヒューザー・小島社長 耐震強度偽装事件で、20件以上の偽装マンションを販売していた開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小島進社長(52)の証人喚問が17日、衆院国土交通委員会で行われた。

 ヒューザーを巡っては、姉歯秀次・元1級建築士(48)の構造計算に問題があることを知った後も、マンションの引き渡しや契約を行った疑いが浮上しているが、小島社長は喚問で、「宅地建物取引業法(違反)など、違法性があったという認識はない」と述べた。

 しかし、ヒューザー側が姉歯元建築士による構造計算書改ざんを知った経緯や、その後のヒューザーの具体的な対応などについては、「刑事訴追の恐れがある」として証言拒否を繰り返し、一切答えなかった。

 このため同委員会は喚問後、理事懇談会を開き、今後、議院証言法の偽証罪や証言拒絶罪による小島社長の刑事告発や、再喚問を検討することを決めた。

 小島社長は読売新聞に対し、国土交通省が問題を公表する約3週間前の昨年10月25日、姉歯元建築士と会って、構造計算に問題のあることを告げられたと話している。しかしヒューザーはその後も、偽装マンションを引き渡すなどしていた。

(2006年1月17日20時12分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060117i105.htm

ヒューザー役員、元請けに「姉歯使え」と再三指示 [読売]

 耐震強度偽装事件で、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区、小島進社長)の役員が2002年、都内での分譲マンション建築に際し、別の構造設計事務所を使おうとしていた元請け設計会社に対し、「その事務所は『過剰設計』だ。『経済設計』ができる姉歯を使え」と、姉歯秀次・元1級建築士(48)に構造計算を行わせるよう指示していたことが、関係者の話でわかった。

 ヒューザー役員はその後も再三にわたり、この元請け設計会社に姉歯事務所を使うよう指示しており、ヒューザーと姉歯元建築士の密接な関係が浮かび上がった。

 関係者によると、この元請け設計会社は02年、都内分譲マンションの設計をヒューザーから請け負った。元請け設計会社は当初、以前から関係のある構造設計事務所に構造計算を委託する予定だった。

 ところが、ヒューザー役員は、その構造設計事務所について「過剰設計だ」と批判。そのうえで、「経済設計ができる設計士を使うべきだ」と、姉歯元建築士を指名した。

 元請け設計会社はその後、このマンションを施工した「木村建設」(熊本県八代市、破産)の篠塚明・元東京支店長(45)を通じ、姉歯元建築士と引き合わされたという。

 このマンションについて、確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)が建築確認を出した後、姉歯元建築士による構造設計を不審に思った元請け設計会社は、「ちょっと柱が小さいんじゃないか。大丈夫か」と指摘した。

 しかし、ヒューザー役員は「検査機関がOKを出しているんだから、建築基準法をクリアしているわけで、大丈夫だ」などと答えていたという。この物件は後に、国土交通省によって偽装物件と認定された。

 この後、元請け設計会社は03年にも、都内分譲マンションの設計をヒューザーから受注。同じヒューザー役員から「姉歯を使うように」と指示を受けた。この物件についても元請け設計会社側は、「柱が少ない」と指摘したが、ヒューザー役員は「こういうのを『経済設計』と言うんだ」と押し通した。この物件も後に、偽装が確認された。

 さらに04年に2件、元請け設計会社が受注した都内分譲マンションの設計でも、ヒューザー役員は姉歯元建築士を指名。特に最後に受注した物件の施工業者は、木村建設でなかったが、ヒューザー役員は「姉歯を使え」と指示しており、ヒューザーと姉歯元建築士が直接の関係を強めていたことがうかがえる。このヒューザー役員は読売新聞社の取材に対し、「ノーコメント」などとしている。

(2006年1月16日14時30分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060116it07.htm

ヒューザー物件の管理業務、伊藤公議員の家族受注 [朝日]

2006年01月16日06時02分
 自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官の家族が経営する会社が、ヒューザー(東京都千代田区、小嶋進社長)の分譲マンション1棟の管理業務を受注していることがわかった。小嶋社長は朝日新聞の取材に対し仲介を認め、ヒューザーの社員が伊藤元長官の選挙運動を手伝うなどしていたとも説明した。両氏の関係は、耐震偽装問題をめぐる17日の衆院国土交通委員会での小嶋社長の証人喚問でも、焦点の一つとなるとみられる。

 管理業務を受注したのは、04年8月に設立されたフューチャービジネスネットワーク(東京都中央区)。代表取締役は伊藤元長官の三男で、元長官の妻、公設第1秘書の次男も取締役に名を連ね、監査役には政策秘書の名がある。

 ヒューザー側の説明では、フューチャー社は昨年8月末、ヒューザーの関連会社グランドサービス(東京都世田谷区)を介し、グランドステージ大井町(東京都品川区)の管理組合との間で建物内の給排水設備や消防設備の点検などを請け負う契約をした。料金は年間51万円という。これに対しフューチャー社は「管理組合から過去に1件、排水ポンプの点検業務を2万3100円で受けたが、それ以外にはない」と答えた。

 マンションは昨夏に完成。構造計算は姉歯秀次元建築士が担当したとされるが、国交省が確認した強度偽装物件には13日現在、入っていない。

 小嶋社長によると、元長官の三男と「パーティーか何か」の場で名刺交換した際、フューチャー社の事業にビル管理があると知り、グランドサービスを紹介した。グランドサービスはヒューザーが販売したマンションの管理業務をしており、代表取締役は小嶋社長の義弟が務めている。

 小嶋社長は「(元長官の三男と自身の義弟を)私が引き合わせた。ヒューザーの事務所だと思う」と説明。「知っているところに頼むほうが、ありがたがられる」と話した。

 小嶋社長によると、業界団体の勉強会で、講師として招かれた伊藤元長官と知り合い、その後、元長官を囲む昼食会を開くようになったという。昨年9月の衆院選では、小嶋社長がヒューザー社員に伊藤陣営に行くよう呼びかけ、社員ははがきのあて名書きなどを手伝っている。

 また企業経営者らと伊藤元長官との旅行にも参加し、中国・大連や箱根を訪れている。

 伊藤元長官は耐震強度偽装問題が公表される2日前の昨年11月15日、小嶋社長が国土交通省課長と面会した場に同席していたことが分かっている。元長官の政治団体「東京公友会」の政治資金収支報告書によると、04年9月の政治資金パーティーでヒューザーがパーティー券100万円を購入、小嶋社長自身も、00~03年に各16万円を献金したとの記載がある。

     ◇

 朝日新聞の取材に、伊藤事務所は次のようにコメントした。「フューチャー社は議員及び事務所とは関係がありませんので回答を差し控えさせていただきます。議員が数十名で中国や箱根を訪れたことはあり、その中に小嶋氏もおられましたが、いずれも小嶋氏との個人的関係で行ったものではありません。議員の政治活動は多くのボランティアや後援者の方々に支えていただいており、ヒューザー社もほかの後援者等と同様と考えております」
URL:http://www.asahi.com/national/update/0116/TKY200601150194.html

ヒューザー、偽装把握の夜 姉歯氏からデータ入手 [朝日]

2006年01月16日08時14分
 耐震強度偽装事件で、マンションの建築主ヒューザーが検査機関イーホームズから最初に偽装を知らされた昨年10月25日の夜、ヒューザーの役員が姉歯秀次元建築士の事務所に乗り込み、本人にパソコンを操作させて偽装されたマンションの名前などを聞き出していたことがわかった。小嶋進社長ら複数の関係者が明らかにした。ヒューザーはこの時点で事態の重大性に気づいた可能性があるが、翌26日以降にマンション2戸の売買契約を客と交わしていた。

 ヒューザーは売買の際に相手に重要事項を伝えることを義務づけた宅地建物取引業法に違反する疑いがもたれている。

 この点について小嶋社長は「売買契約した時点では詳しい偽装の状況がわかっていなかった。改修すれば問題ないという認識で、重要事項に当たるとは思っていなかった。宅建業法違反には当たらないと思う」と話している。

 国会の参考人質疑などによると、ヒューザーは25日午後、イーホームズからの連絡で役員を同社に差し向け、グランドステージ北千住などまだ完成していないマンション4棟で構造計算書が「改ざん」されており、完成済みの物件でも疑いがあるため調査すると通告された。同席した姉歯元建築士は「(地震の際に加わる力を)低減した」と話したものの、詳しい説明はしなかった。

 これを受けて27日、イーホームズの藤田東吾社長らがヒューザーに集まって対応を協議。この席で藤田社長は事態を公表することなどを伝え、小嶋社長と激論を交わしたことがすでに明らかになっていた。

 小嶋社長らによると、実際には25日夕、イーホームズでの会合に出席した役員が姉歯元建築士らを伴って帰社し、小嶋社長が姉歯元建築士と面会。姉歯元建築士が詳しい説明をしなかったことから、小嶋社長は役員に対して、姉歯元建築士に事実を確認し、それをもとに別の設計事務所に調査してもらうように指示した。

 同日夜、役員は姉歯元建築士と千葉県市川市の事務所に向かい、パソコンの構造計算ソフトを操作させて改ざんした数値を画面に表示し、物件名とともにメモした。

 書き取ったマンションは計7棟か8棟で、完成間近のグランドステージ船橋海神や完成済みのグランドステージ稲城などが含まれていた。引き渡しが迫っていたグランドステージ藤沢も「含まれていたことは否定できない」とヒューザーの関係者は話している。

 この作業中に役員の携帯電話に小嶋社長から電話があり、「姉歯を追いつめるな。逃げたりされると困るので適当に切り上げて帰ってこい」などと指示されたという。

 役員は翌26日にゴルフ場にいた小嶋社長に電話で連絡。27日午前、マンション名とデータが入った一覧表を小嶋社長に見せて報告した。小嶋社長は数字の意味がよくわからなかったとしている。

 この後、小嶋社長は藤田社長らとの会議に臨み、同日夕、営業・販売担当の関連会社専務に全物件の販売一時中止を指示した。専務は28日、偽装問題には触れずにこの指示を社員に伝えた。

 ヒューザーは26日に藤沢の1戸、29日に船橋海神の1戸について売買契約を結び、28日には藤沢の17戸を引き渡した。いずれも偽装の可能性は説明しなかった。29日の契約はいったん保留の扱いにしたが、担当者が売りたいと強く要望したため認めてしまったという。

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 〈キーワード:重要事項の説明義務〉 宅地建物取引業法は宅地や建物の売買で「重要事項」を説明するよう宅建業者に義務づけている。「事前には聞いていなかった」「説明と違った」という事態を防ぐためで、買い手が重大な不利益を被るような事実は重要事項に当たるとされる。故意に告げなかったり、事実でないことを告げたりすると1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0116/TKY200601150193.html

耐震偽装10棟、住民支援の具体化へ調整 [朝日]

2006年01月15日02時56分
 耐震強度偽装事件で、自治体がマンション建て替えの素案を住民たちに説明し始めた。対象は耐震強度が0.5未満の分譲マンション10棟に住んでいた計約300戸で、この素案をもとに具体的な支援策が固まっていく。各自治体では住民支援策をめぐる予算の編成が進み、建て替えに向けた動きが本格化する。

 建て替えの素案は国土交通省が都市再生機構とともに作り、10棟のマンションがある東京都と神奈川県の計9自治体に示していた。

 東京都中央区では13日夜、グランドステージ茅場町の住民代表と中央区の担当者の話し合いがあり、同マンションをどのように建て替えるか、そのたたき台となる案を区が説明した。国交省の素案に沿った内容だったとみられる。

 住民側は「希望からは遠い」という思いを区側に伝えた。建て直して各部屋を再分譲する際に全体の戸数を現在より増やすため、逆に部屋の広さを元の8割ほどに狭くするという内容だったといい、広さを求めて同マンションを選んだ住民たちにとっては受け入れ難かった。区と住民は話し合いを続けながら内容を詰めていくことを確認した。

 建て替え支援で自治体は路線価をもとに算定した土地の買い取り価格など再建案を示して住民と交渉し、合意が得られれば買い取る。そして解体・建て替えに着手する。こうした手続きに最低でも5カ月はかかると国交省はみている。

 地震など自然災害の被災者支援で、国は私有財産への個人補償はしないという原則を掲げてきた。被災者生活再建支援法が議員立法で成立したのは阪神大震災後の98年。家財道具のような生活必需品などに限って現金給付する道が開かれたが、住宅本体の建築・改築費には今も使えない。

 これに比べて今回の支援策は、かなり踏み込んだ内容になっている。新設された制度はなく、さまざまな助成はすべて既存の制度を活用して行われるが、危険性の高い建物を自治体が買い取るという支援策は「前例はほとんどないはず」と国交省幹部も認める。

 踏み込んだ支援策が打ち出された理由の一つは、建築主が10年間負う瑕疵(かし)担保責任が果たされない恐れがあることだ。10棟の建築主はすべてヒューザーで、本来なら住民は買い戻しを求めることができるし、施工業者らにも賠償請求できる。

 ところが、ヒューザーは資金難に陥り、木村建設は経営破綻(はたん)した。安全を確保するため住民には速やかに移転してもらい、建物を解体する必要があると国交省は判断し、公的支援を決めたとしている。

 もう一つは建築確認で偽装を見落としたことに伴う行政の責任だ。建て替え支援対象の10棟のうち9棟は民間の検査機関イーホームズが偽装を見逃した。国は建築確認を民間に開放する制度をつくり、検査機関を指定したうえ、監督権限も持っている。

 現行の支援策には反対し、建築基準法の改正などを求めていく――10日夜の話し合いで、そう合意した東京都と千葉、神奈川、埼玉県の知事たちは「支援の必要性は分かるが、国の制度に欠陥があるのに、なぜ自治体がより多くの資金を負担しなければならないのか。法的根拠もあいまいだ」などと会合後に話した。

 イーホームズなど都道府県をまたがって営業する検査機関は国が指定し、監督権限も持つ。だが、建築確認の報告を受けるのは自治体で、建築基準法上の責任を負う。

 知事たちが反発しているのは、国が定めた建築確認制度にはこうした責任のありかがあいまいな側面があるのに、建て替え支援策では国45%、自治体55%と自治体の負担の方が多いためだ。

 神奈川県の松沢成文知事は「法的根拠がないなかで(自治体が税金を)出せば、住民監査請求を起こされる恐れもある」と指摘した。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0115/TKY200601140297.html

耐震偽装の建て替え、国の負担割合増へ 自治体と同等に [朝日]

2006年01月12日22時43分
 国土交通省は12日、耐震強度が基準の50%に満たない分譲マンションに対する公的支援について、国の負担割合を増やし、自治体の財政負担とほぼ均衡させる考えを明らかにした。計画では建て替えや住民の転居の費用は国が45%、自治体が55%を負担するが、都市再生機構が建て替えを請け負った際の事務費を新たに国が全額負担する。自治体の負担が大きすぎるとする東京都など4都県の反発に配慮した。

 国交省の佐藤信秋事務次官はこの日の定例会見で、「トータルの負担は(国と自治体が)ほぼ同じになると理解してもらえるよう議論を深めたい」と述べた。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0112/013.html

新たに4棟の偽装が発覚、計93棟に 耐震強度偽装 [朝日]

2006年01月11日23時22分
 耐震強度偽装事件で国土交通省は11日、構造計算書が偽造されたマンションが東京都内で新たに4棟確認され、偽装物件は計93棟になったと発表した。うち2棟は大田区のマンションで、1棟は98年に初めて偽装した建物だと姉歯秀次元建築士が国会で証言した大田区のグランドステージ池上とみられる。しかし、大田区は「(2棟ともに)強度はまだ調査中で、偽装を確認したと報告した事実はないのに国交省が発表した。抗議する」とし、言い分が食い違っている。

 国交省は東京都からの連絡を基に発表したと説明している。

 グランドステージ池上以外の3棟は大田区の賃貸マンションと北区の分譲マンション、杉並区の賃貸マンション。

 グランドステージ池上について、大田区は偽装はなかったといったんは判断した。しかし、その後、建築主のヒューザーが強度が不足していると住民に連絡。書面では偽装の有無や強度がはっきりせず、大田区が現地で調査を進めている。

 杉並の賃貸マンションは耐震強度が基準を満たしていること、また北区の分譲マンションは強度が確定していないことを理由に、両区はともにマンション名を公表していない。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0111/TKY200601110388.html

建て替えの素案、9自治体に説明 国交省「支援必要」 [朝日]

2006年01月11日23時20分
 耐震強度が偽装され基準の50%に満たない分譲マンション10棟の建て替えについて、国土交通省は、東京、神奈川両都県の関係9自治体に計画の素案の説明を終えたと11日、明らかにした。両都県の知事は政府案に基づく建て替えへの公費支援に慎重だが、国交省は「公的支援が必要との認識は各自治体とも一致している」とし、現在の枠組みで事業を進める考えを改めて示した。

 素案は、国交省と、建て替え・再分譲を請け負う都市再生機構が作成。元の住民がすべて再入居するとの前提で、工事費や補助金の概算を計算し、住民負担について複数の案をまとめたという。外部には非公表で、各自治体が検討した上で月内にも住民に提示する見通し。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0111/TKY200601110389.html

愛知・刈谷のビジネスホテル解体開始 [読売]

姉歯秀次・元1級建築士による耐震強度偽装が判明した愛知県刈谷市のビジネスホテル「名鉄イン刈谷」の解体作業が10日から始まった。

 一連の問題でホテルの解体は全国初。

 ホテルは、総合経営研究所(総研)が開業指導し、木村建設が施工。2003年5月に開業したが、昨年11月23日、営業休止に追い込まれた。

(2006年1月10日22時39分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060110i316.htm

耐震偽装、建て替え費用支援拒否 4知事が合意 [朝日]

2006年01月11日00時50分
 マンションなどの耐震強度が偽装された問題で、首都圏の4知事が10日夜、東京都内で対応策を協議した。国が打ち出す建て替え費用の支援について、「法的根拠があいまい」として拒否することで合意した。また建築基準法の改正や特別措置法の新設により、被害マンション住民への助成金の負担を国に求めていくことで合意した。

 東京都の石原慎太郎知事の呼びかけに、松沢成文(神奈川)、上田清司(埼玉)、堂本暁子(千葉)の3知事が応じた。

 耐震強度が基準の50%未満だった分譲マンション住民への支援策としては、移転先家賃の3分の2の補助などがすでに決まっており、現行制度では国が45%、自治体が55%を負担することになる。4知事は「国の建築確認制度に欠陥があって問題が起きたのに、自治体の負担割合が大きいのはおかしい」との認識で一致。「少なくとも半分以上は国が払うべきだ」との主張を確認した。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0110/TKY200601100316.html

建築主への損賠請求権…都、譲り受け案に反対 [読売]

 耐震強度偽装事件で、「ヒューザー」(東京都千代田区)ら建築主に対する損害賠償請求権をマンション居住者から譲り受ける計画に対し、東京都が「債権が十分に回収できない可能性がある」として、反対の意向を国に伝えていたことがわかった。

 5日開かれる国土交通省と自治体の連絡協議会で正式に反対を表明するとみられる。

 国は、震度5強で倒壊の恐れがある分譲マンションについて、居住者が建築主に対して持つ損害賠償請求権の一部を、国と自治体で譲り受ける方針を自治体などに示し、4日までに受け入れるかどうかの結論を出すよう求めていた。

 反対理由を巡り、都では「建て替え費用まで含めると財政負担が巨額となり、根拠法が必要。特別措置法が国会で成立しない限り、負担できない」としている。さらに、「公的支援が完了するまで、建築主が破たんしないとは限らない。財政的に多大なリスクを背負う以上、特措法の制定が不可欠」と説明している。こうした考えには、都内の他の区や市も同調するとみられる。

(2006年1月5日3時1分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060105ic01.htm

■強度偽装事件Ⅱ から続く

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