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●日米安全保障条約

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日米安全保障体制 [外務省]

日米安全保障協議委員会(「2+2」)会合(2005年10月29日、於:ワシントンD. C.)
「日米同盟:未来のための変革と再編(仮訳・英語版)」(骨子)
日米安全保障協議委員会(「2+2」)会合(2005年2月19日、於:ワシントンD. C.)
米国の軍事態勢見直し
ブッシュ大統領演説(2004年8月16日)
米国の軍事態勢の見直しに関する大統領声明(2003年11月25日)
有事法制 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律(2004年6月14日)
武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律(2004年6月14日)
自衛隊法の一部を改正する法律(2004年6月14日)
日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定(2004年6月14日)
武力攻撃事態対処関連三法(2003年6月6日)
弾道ミサイル防衛システムの整備(2003年12月19日)
内閣官房長官談話 弾道ミサイル防衛システムの整備等について
武器輸出三原則等 内閣官房長官談話(2004年12月10日)
日米安全保障協議委員会(「2+2」)会合(2002年12月17日、於:ニューヨーク)
日米安全保障協議委員会(「2+2」)会合(2000年9月11日、於:ニューヨーク)

参考
「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」(PDF) 主要規定の解説
「日米防衛協力のための指針」(1997年9月)
「日米防衛協力のための指針」Q&A(PDF)
日米安全保障共同宣言-21世紀に向けての同盟-(1996年4月17日、於:東京)
日米地位協定
URL:http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/index.html

日米地位協定 [条約全文]

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定1960(昭和35)年1月19日 ワシントンで署名1960年6月23日 効力発生

 日本国及びアメリカ合衆国は、千九百六十年一月十九日にワシントンで署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条の規定に従い、次に掲げる条項によりこの協定を締結した。

第一条(用語の意義)
 この協定において、 (a)
 「合衆国軍隊の構成員」とは、日本国の領域にある間におけるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍に属する人員で現に服役中のものをいう。 (b)
 「軍属」とは、合衆国の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に居住する者及び第十四条1に掲げる者を除く。)をいう。この協定のみの適用上、合衆国及び日本国の二重国籍者で合衆国が日本国に入れたものは、合衆国国民とみなす。 (c)
 「家族」とは、次のものをいう。 (1)
 配偶者及び二十一才未満の子 (2)
 父、母及び二十一才以上の子で、その生計費の半額以上を合衆国軍隊の構成員又は軍属に依存するもの。

第二条 (施設・区域の提供等) 1 (a)
 合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個個の施設及び区域に関する協定は、第二十五条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなけれぱならない。「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。 (b)
 合衆国が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の終了の時に使用している施設及び区域は、両政府が(a)の規定に従って合意した施設及び区域とみなす。 2
 日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、また、前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに施設及び区域を提供することを合意することができる。 3
 合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。 4 (a)
 合衆国軍隊が施設及び区域を一時的に使用していないときは、日本国政府は、臨時にそのような施設及び区域をみずから使用し、又は日本国民に使用させることができる。ただし、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとって有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る。 (b)
 合衆国軍隊が一定の期間を限って使用すべき施設及び区域に関しては、合同委員会は、当該施設及び区域に関する協定中に、適用があるこの協定の規定の範囲を明記しなければならない。

第三条 (施設・区域に関する措置) 1
 合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。日本国政府は、施設及び区域の支持、警護及び管理のための合衆国軍隊の施設及び区域への出入の便を図るため、合衆国軍隊の要請があったときは、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で、それらの施設及び区域に隣接し又はそれらの近傍の土地、領水及び空間において、関係法令の範間内で必要な措置を執るものとする。合衆国も、また、合同委員会を通ずる両政府間の協議の上で前記の目的のため必要な措置を執ることができる。 2
 合衆国は、1に定める措置を、日本国の領域への、領域からの又は領域内の航海、航空、通信又は陸上交通を不必要に妨げるような方法によっては執らないことに同意する。合衆国が使用する電波放射の装置が用いる周波数、電力及びこれらに類する事項に関するすべての問題は、両政府の当局間の取極により解決しなければならない。日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置を関係法令の範囲内で執るものとする。 3
 合衆国軍隊が使用している施設及び区域における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。

第四条 (施設の返還) 1
 合衆国は、この協定の終了の際又はその前に日本国に施設及び区域を返還するに当たって、当該施設及び区域をそれらが合衆国軍隊に提供された時の状態に回復し、又はその回復の代りに日本国に補償する義務を負わない。 2
 日本国は、この協定の終了の際又はその前における施設及び区域の返還の際、当該施設及び区域に加えられている改良又はそこに残される建物若しくはその他の工作物について、合衆国にいかなる補償をする義務も負わない。 3
 前記の規定は、合衆国政府が日本国政府との特別取極に基づいて行なう建設には適用しない。

第五条 (入港料・着陸料の免除) 1
 合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。この協定による免除を与えられない貨物又は旅客がそれらの船舶又は航空機で運送されるときは、日本国の当局にその旨の通告を与えなければならず、その貨物又は旅客の日本国への入国及び同国からの出国は、日本国の法令による。 2
 1に掲げる船舶及び航空機、合衆国政府所有の車両(機甲車両を含む。)並びに合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、合衆国軍隊が使用している施設及び区域に出入し、これらのものの間を移勤し、及びこれらのものと日本国の港又は飛行場との間を移動することができる。合衆国の軍用車両の施設及び区域への出入並びにこれらのものの間の移動には、道路使用料その他の課徴金を課さない。 3
 1に掲げる船舶が日本国の港に入る場合には、通常の状態においては、日本国の当局に適当な通告をしなければならない。その船舶は、強制水先を免除される。もっとも、水先人を使用したときは、応当する料率で水先料を支払わなければならない。

第六条 (航空交通管理・通信) 1
 すべての非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系は、緊密に協調して発達を図るものとし、かつ、集団安全保障の利益を達成するため必要な程度に整合するものとする。この協調及び整合を図るため必要な手続及びそれに対するその後の変更は、両政府の当局間の取極によって定める。 2
 合衆国軍隊が使用している施設及び区域並びにそれらに隣接し又はそれらの近傍の領水に置かれ、又は設置される燈火その他の航行補助施設及び航空保安施設は、日本国で便用されている様式に合致しなければならない。これらの施設を設置した日本国及び合衆国の当局は、その位置及び特徴を相互に通告しなければならず、かつ、それらの施設を変更し、又は新たに設置する前に予告をしなければならない。

第七条 (公共役務の利用)
 合衆国軍隊は、日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で、日本国政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事業及び公共の役務を利用することができ、並びにその利用における優先権を亨有するものとする。

第八条 (気象業務の提供)
 日本国政府は、両政府の当局間の取極に従い、次の気象業務を合衆国軍隊に提供することを約束する。 (a)
 地上及び海上からの気象観測(気象観測船からの観測を含む。) (b)
 気象資料 (気象庁の定期的概報及び過去の資料を含む。) (c)
 航空機の安全かつ正確な運航のため必要な気象情報を報ずる電気通信業務 (d)
 地震観測の資料 (地震から生ずる津波の予想がされる程度及びその津波の影響を受ける区域の予報を含む。)

第九条 (合衆国軍隊構成員等の地位) 1
 この条の規定に従うことを条件として、合衆国は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族である者を日本国にいれることができる。 2
 合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される。合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外される。ただし、日本国の領域における永久的な居所又は住所を要求する権利を取得するものとみなされない。 3
 合衆国軍隊の構成員は、日本国への入国又は日本国からの出国に当たって、次の文書を携帯しなければならない。 (a) 氏名、生年月日、階級及び番号、軍の区分並びに写真を掲げる身分証明書 (b)
 その個人又は集団が合衆国軍隊の構成員として有する地位及び命令された旅行の証明となる個別的又は集団的旅行の命令書
 合衆国軍隊の構成員は、日本国にある間の身分証明の為、前記の身分証明書を携帯していなければならない。身分証明書は、要請があるときは日本国の当局に提示しなければならない。 4
 軍属、その家族及び合衆国軍隊の構成員の家族は、合衆国の当局が発給した適当な文書を携帯し、日本国への入国若しくは日本国からの出国に当たって又は日本国にある間その身分を日本国の当局が確認することができるようにしなければならない。 5
 1の規定に基づいて日本国に入国した者の身分に変更があってその者がそのような入国の資格を有しなくなった場合には、合衆国の当局は、日本国の当局にその旨を通告するものとし、また、その者が日本国から退去することを日本国の当局によって要求されたときは、日本国政府の負担によらないで相当の期間内に日本国から輸送することを確保しなければならない。 6
 日本国政府が合衆国軍隊の構成員若しくは軍属の日本国の領域からの送出を要請し、又は合衆国軍隊の旧構成員若しくは旧軍属に対しもしくは合衆国軍隊の構成員、軍属、旧構成員若しくは旧軍属の家族に対し退去命令を出したときは、合衆国の当局は、それらの者を自国の領域内に受け入れ、その他日本国外に送出することにつき責任を負う。この項の規定は、日本国民でない者で合衆国軍隊の構成員若しくは軍属として又は合衆国軍隊の構成員若しくは軍属となるために日本国に入国したもの及びそれらの者の家族に対してのみ適用する。

第十条 (運転免許証) 1
 日本国は、合衆国が合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対して発給した運転許可証若しくは運転免許証又は軍の運転許可証を、運転者試験又は手数料を課さないで、有効なものとして承認する。 2
 合衆国軍隊及び軍属用の公用車両は、それを容易に識別させる明確な番号標又は個別の記号を付けていなければならない。 3
 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私有車両は、日本国民に適用される条件と同一の条件で取得する日本国の登録番号標を付けていなければならない。

第十一条 (関税等の取扱) 1
 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、この協定中に規定がある場合を除くほか、日本国の税関当局が執行する法令に服さなければならない。 2
 合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関又は第十五条に定める諸機関が合衆国軍隊の公用のため又は合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の使用のため輸入するすべての資材、需品及び備品並びに合衆国軍隊が専用すべき資材、需品及び備品又は合衆国軍隊が使用する物品若しくは施設に最終的には合体されるべき資材、需品及び備品は、日本国に入れることを許される。この輸入には、関税その他の課徴金を課さない。前記の資材、需品及び備品は、合衆国軍隊、合衆国軍隊の公認調達機関又は第十五条に定める諸機関が輸入するものである旨の適当な証明書(合衆国軍隊が専用すべき資材、需品及び備品又は合衆国軍隊が使用する物品若しくは施設に最終的には合体されるべき資材、需品及び備品にあっては、合衆国軍隊が前記の目的のために受領すべき旨の適当な証明書)を必要とする。 3
 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に仕向けられ、かつ、これらの者の私用に供せられる財産には、関税その他の課徴金を課する。ただし、次のものについては、関税その他の課徴金を課さない。 (a)
 合衆国軍隊の構成員若しくは軍属が日本国で勤務するため最初に到着した時に輸入し、又はそれらの家族が当該合衆国軍隊の構成員若しくは軍属と同居するために最初に到着した時に輸入するこれらの者の私用のための家具及び家庭用品並びにこれらの者が入国の際持ち込む私用のための身の回り品 (b)
 合衆国軍隊の構成員又は軍属が自己又はその家族の私用のため購入する車両及び部品 (c)
 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私用のため合衆国において通常日常用として購入される範囲の合理的な数量の衣類及び家庭用品で、合衆国軍事郵便局を通じて日本国に郵送されるもの 4
 2及び3で与える免除は、物の輸入の場合のみに適用するものとし、関税及び内国消費税がすでに徴収された物を購入する場合に、当該物の輸入の際税関当局が徴収したその関税及び内国消費税を払いもどすものと解してはならない。 5
 税関検査は、次のものの場合には行なわないものとする。 (a)
 命令により日本国に入国し、又は日本国から出国する合衆国軍隊の部隊 (b)
 公用の封印がある公文書及び合衆国軍事郵便路線上にある公用郵便物 (c)
 合衆国政府の船荷証券により船積みされる軍事貨物 6
 関税の免除を受けて日本国に輸入されたものは、日本国及び合衆国の当局が相互間で合意する条件に従って処分を認める場合を除くほか、関税の免除を受けて当該物を輸入する権利を有しない者に対して日本国内で処分してはならない。 7
 2及び3の規定に基づき関税その他の課徴金の免除を受けて日本国に輸入された物は、関税その他の課徴金の免除を受けて再輸出することが出来る。 8
 合衆国軍隊は、日本国の当局と協力して、この条の規定に従って合衆国軍隊、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に与えられる特権の濫用を防止するため必要な措置を執らなければならない。 9 (a)
 日本国の当局及び合衆国軍隊は、日本国政府の税関当局が執行する法令に違反する行為を防止するため、調査の実施及び証拠の収集について相互に援助しなければならない。 (b)
 合衆国軍隊は、日本国政府の税関当局によって又はこれに代わって行なわれる差押えを受けるべき物件がその税関当局に引き渡されることを確保するため、可能なすべての援助を与えなければならない。 (c)
 合衆国軍隊は、合衆国軍隊の構成員もしくは軍属又はそれらの家族が納付すべき関税、租税及び罰金の納付を確保するため、可能なすべての援助を与えなければならない。 (d)
 合衆国軍隊に属する車両及び物件で、日本国政府の関税又は財務に関する法令に違反する行為に関連して日本国政府の税関当局が差し押えたものは、関係部隊の当局に引き渡さなければならない。

第十二条 (調達) 1
 合衆国は、この協定の目的のため又はこの協定で認められるところにより日本国で供給されるべき需品又は行なわれるべき工事のため、供給者又は工事を行なう者の選択に関して制限を受けないで契約することができる。そのような需品又は工事は、また、両政府の当局間で合意される時は、日本国政府を通じて調達することが出来る。 2
 現地で供給される合衆国軍隊の維持のため必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがあるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましい時は日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て、調達しなければならない。 3
 合衆国軍隊又は合衆国軍隊の公認調達機関が適当な証明書を附して日本国で公用のため調達する資材、需品、備品及び役務は、日本の次の租税を免除される。 (a)
 物品税 (b)
 通行税 (c)
 揮発油税 (d)
 電気ガス税
 最終的には合衆国軍隊が使用するため調達される資材、需品、備品及び役務は、合衆国軍隊の適当な証明書があれば、物品税及び揮発油税を免除される。両政府は、この条に明示していない日本の現在の又は将来の租税で、合衆国軍隊によって調達され、又は最終的には合衆国軍隊が使用するため調達される資材、需品、備品及び役務の購入価格の重要なかつ容易に判別することができる部分をなすと認められるものに関しては、この条の目的に合致する免除又は税の軽減を認めるための手続について合意するものとする。 4
 現地の労務に対する合衆国軍隊及び第十五条に定める諸機関の需要は、日本国の当局の援助を得て充足される。 5
 所得税、地方住民税及び社会保障のための納付金を源泉徴収して納付するための義務並びに、相互間で別段の合意をする場合を除くほか、賃金及び諸手当に関する条件その他の雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。 6
 合衆国軍隊又は、適当な場合には、第十五条に定める機関により労働者が解雇され、かつ、雇用契約が終了していない旨の日本国の裁判所又は労働委員会の決定が最終的のものとなった場合には、次の手続きが適用される。 (a)
 日本国政府は、合衆国軍隊又は前記の機関に対し、裁判所又は労働委員会の決定を通報する。 (b)
 合衆国軍隊又は前記の機関が当該労働者を就労させることを希望しないときは、合衆国軍隊又は前記の機関は、日本国政府から裁判所又は労働委員会の決定について通報を受けた後七日以内に、その旨を日本国政府に通告しなければならず、暫定的にその労働者を就労させないことができる。 (c)
 前記の通告が行なわれたときは、日本国政府及び合衆国軍隊又は前記の機関は、事件の実際的な解決方法を見出すため遅滞なく協議しなければならない。 (d)
 (c)の規定に基づく協議の開始の日から三十日の期間内にそのような解決に到達しなかったときは、当該労働者は、就労することができない。このような場合には、合衆国政府は、日本国政府に対し、両政府間で合意される期間の当該労働者の雇用の費用に等しい額を支払わなければならない。 7
 軍属は、雇用の条件に関して日本国の法令に服さない。 8
 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、日本国における物品及び役務の個人的購入について日本国の法令に基づいて課される租税又は類似の公課の免除を個の上の規定を理由として享有することはない。 9
 3に掲げる租税の免除を受けて日本国で購入した物は、日本国及び合衆国の当局が相互間で合意する条件に従って処分を認める場合を除くほか、当該租税の免除を受けて当該物を購入する権利を有しないものに対して日本国内で処分してはならない。

第十三条 (租税) 1
 合衆国軍隊は、合衆国軍隊が日本国において保有し、使用し、又は移転する財産について租税又は類似の公課を課されない。 2
 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、これらの者が合衆国軍隊に勤務し、又は合衆国軍隊若しくは第十五条に定める諸機関に雇用された結果受ける所得について、日本国政府又は日本国にあるその他の課税権者に日本の租税を納付する義務を負わない。この条の規定は、これらの者に対し、日本国の源泉から生ずる所得についての日本の租税の納付を免除するものではなく、また、合衆国の所得税のために日本国に居所を有することを申し立てる合衆国市民に対し、所得についての日本の租税の納付を免除するものではない。これらの者が合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族であるという理由のみによって日本国にある期間は、日本の租税の賦課上、日本国に居所又は住所を有する期間とは認めない。 3
 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、これらの者が一時的に日本国にあることのみに基づいて日本国に所在する有体又は無体の動産の保有、使用、これらの者相互間の移転又は死亡による移転についての日本国における租税を免除される。ただし、この免除は、投資若しくは事業を行なうため日本国において保有される財産又は日本国において登録された無体財産権には適用しない。この条の規定は、私有車両による道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではない。

第十四条 (指定合衆国人の法的地位) 1
 通常合衆国に居住する人(合衆国の法律に基づいて組織された法人を含む。)及びその被用者で、合衆国軍隊のための合衆国との契約の履行のみを目的として日本国にあり、かつ、合衆国政府が2の規定に従い指定するものは、この条に規定がある場合を除くほか、日本国の法令に服さなければならない。 2
 1にいう指定は、日本国政府との協議の上で行なわれるものとし、かつ、安全上の考慮、関係業者の技術上の適格要件、合衆国の標準に合致する資材若しくは役務の欠如又は合衆国の法令上の制限のため競争入札を実施することができない場合に限り行なわれるものとする。
 前記の指定は、次のいずれかの場合には、合衆国政府が取り消すものとする。 (a)
 合衆国軍隊のための合衆国との契約の履行が終わったとき。 (b)
 それらの者が日本国において合衆国軍隊関係の事業活動以外の事業活動に従事していることが立証されたとき。 (c)
 それらの者が日本国で違法とされる活動を行なっているとき。 3
 前記の人及びその被用者は、その身分に関する合衆国の当局の証明があるときは、この協定による次の利益を与えられる。 (a)
 第五条2に定める出入及び移動の権利 (b)
 第九条の規定による日本国への入国 (c)
 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族について第十一条3に定める関税その他の課徴金の免除 (d)
 合衆国政府により認められたときは、第十五条に定める諸機関の役務を利用する権利 (e)
 合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族について第十九条2に定めるもの (f)
 合衆国政府により認められたときは、第二十条に定めるところにより軍票を使用する権利 (g)
 第二十一条に定める郵便施設の利用 (h)
 雇用の条件に関する日本国の法令の適用からの除外 4
 前記の人及びその被用者は、その身分の者であることが旅券に記載されていなければならず、その到着、出発及び日本国にある間の居所は、合衆国軍隊が日本国の当局に随時に通告しなければならない。 5
 前記の人及びその被用者が1に掲げる契約の履行のためにのみ保有し、使用し、又は移転する減価償却資産(家屋を除く。)については、合衆国軍隊の権限のある官憲の証明があるときは、日本の租税又は類似の公課を課されない。 6
 前記の人及びその被用者は、合衆国軍隊の権限のある官憲の証明があるときは、これらの者が一時的に日本国にあることのみに基づいて日本国に所在する有体又は無体の動産の保有、使用、死亡による移転又はこの協定に基づいて租税の免除を受ける権利を有する人若しくは機関への移転について日本国における租税を免除される。ただし、この免除は、投資のため若しくは他の事業を行なうため日本国において保有される財産又は日本国において登録された無体財産権には適用しない。この条の規定は、私有車両による道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではない。 7 1に掲げる人及びその被用者は、この協定に定めるいずれかの施設又は区域の建設、維持又は運営に関して合衆国政府と合衆国において結んだ契約に基づいて発生する所得について、日本国政府又は日本国にあるその他の課税権者に所得税又は法人税を納付する義務を負わない。この項の規定は、これらの者に対し、日本国の源泉から生ずる所得についての所得税又は法人税の納付を免除するものではなく、また、合衆国の所得税のために日本国に居所を有することを申し立てる前記の人及びその被用者に対し、所得についての日本の租税の納付を免除するものではない。これらの者が合衆国政府との契約の履行に関してのみ日本国にある期間は、前記の租税の賦課上、日本国に居所又は住所を有する期間とは認めない。 8
 日本国の当局は、1に掲げる人及びその被用者に対し、日本国において犯す罪で日本国の法令によって罰することができるものについて裁判権を行使する第一次の権利を有する。日本国の当局が前記の裁判権を行使しないことに決定した場合には、日本国の当局は、できる限りすみやかに合衆国の軍当局にその旨を通告しなければならない。この通告があったときは、合衆国の軍当局は、これらの者に対し、合衆国の法令により与えられた裁判権を行使する権利を有する。

第十五条(諸機関の管理等) 1 (a)
 合衆国の軍当局が公認し、かつ、規制する海軍販売所、ピー・エックス、食堂、社交クラブ、劇場、新聞その他の歳出外資金による諸機関は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の利用に供するため、合衆国軍隊が使用している施設及び区域内に設置することができる。これらの諸機関は、この協定に別段の定めがある場合を除くほか、日本の規制、免許、手数料、租税又は類似の管理に服さない。 (b)
 合衆国の軍当局が公認し、かつ、規制する新聞が一般の公衆に販売されるときは、当該新聞は、その頒布に関する限り、日本の規制、免許、手数料、租税又は類似の管理に服する。 2
 これらの諸機関による商品及び役務の販売には、1(b)に定める場合を除くほか、日本の租税を課さず、これらの諸機関による商品及び需品の日本国内における購入には、日本の租税を課する。 3
 これらの諸機関が販売する物品は、日本国及び合衆国の当局が相互間で合意する条件に従って処分を認める場合を除くほか、これらの諸機関から購入することを認められない者に対して日本国内で処分してはならない。 4
 この条に掲げる諸機関は、日本国の当局に対し、日本国の税法が要求するところにより資料を提供するものとする。

第十六条 (法令尊重等の義務)
 日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に政治的活動を慎むことは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である。

第十七条 (裁判権) 1
 この条の規定に従うことを条件として、 (a)
 合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服するすべての者に対し、合衆国の法令により与えられたすべての刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有する。 (b)
 日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対し、日本国の領域内で犯す罪で日本国の法令によって罰することができるものについて、裁判権を有する。 2 (a)
 合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服する者に対し、合衆国の法令によって罰することができる罪で日本国の法令によっては罰することができないもの(合衆国の安全に関する罪を含む。)について、専属的裁判権を行使する権利を有する。 (b)
 日本国の当局は、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対し、日本国の法令によって罰することができる罪で合衆国の法令によっては罰することができないもの(日本国の安全に関する罪を含む。)について、専属的裁判権を行使する権利を有する。 (c) 2及び3の規定の適用上、国の安全に関する罪は、次のものを含む。 (i)
 当該国に対する反逆 (ii)
 妨害行為(サボタージュ)、諜報行為又は当該国の公務上若しくは国防上の秘密に関する法令の違反 3
 裁判権を行使する権利が競合する場合には、次の規定が適用される。 (a)
 合衆国の軍当局は、次の罪については、合衆国軍隊の構成員又は軍属に対して裁判権を行使する第一次の権利を有する。 (i)
 もっぱら合衆国の財産若しくは安全のみに対する罪又はもっぱら合衆国軍隊の他の構成員若しくは軍属若しくは合衆国軍隊の構成員若しくは軍属の家族の身体若しくは財産のみに対する罪 (ii)
 公務執行中の作為又は不作為から生ずる罪 (b)
 その他の罪については、日本国の当局が、裁判権を行使する第一次の権利を有する。 (c)
 第一次の権利を有する国は、裁判権を行使しないことに決定したときは、できる限りすみやかに他方の国の当局にその旨を通告しなければならない。第一次の権利を有する国の当局は、他方の国がその権利の放棄を特に重要であると認めた場合において、その他方の国の当局から要請があったときは、その要請に好意的考慮を払わなければならない。 4
 前諸項の規定は、合衆国の軍当局が日本国民又は日本国に通常居住する者に対し裁判権を行使する権利を有することを意味するものではない。ただし、それらの者が合衆国軍隊の構成員であるときは、この限りではない。 5 (a)
 日本国の当局及び合衆国の軍当局は、日本国の領域内における合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の逮捕及び前諸項の規定に従って裁判権を行使すべき当局へのそれらの者の引渡しについて、相互に援助しなければならない。 (b)
 日本国の当局は、合衆国の軍当局に対し、合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の逮捕についてすみやかに通告しなければならない。 (c)
 日本国が裁判権を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行なうものとする。 6 (a)
 日本国の当局及び合衆国の軍当局は、犯罪についてのすべての必要な捜査の実施並びに証拠の収集及び提出(犯罪に関連する物件の押収及び相当な場合にはその引渡しを含む。)について、相互に援助しなければならない。ただし、それらの物件の引渡しは、引渡しを行なう当局が定める期間内に還付されることを条件として行なうことができる。 (b)
 日本国の当局及び合衆国の軍当局は、裁判権を行使する権利が競合するすべての事件の処理について、相互に通告しなければならない。 7 (a)
 死刑の判決は、日本国の法制が同様の場合に死刑を規定していない場合には、合衆国の軍当局が日本国内で執行してはならない。 (b)
 日本国の当局は、合衆国の軍当局がこの条の規定に基づいて日本国の領域内で言い渡した自由刑の執行について合衆国の軍当局から援助の要請があったときは、その要請に好意的考慮をしなければ払わなければならない。 8
 被告人がこの条の規定に従って日本国の当局又は合衆国の軍当局のいずれかにより裁判を受けた場合において、無罪の判決を受けたとき、又は有罪の判決を受けて服役しているとき、服役したとき、若しくは赦免されたときは、他方の国の当局は、日本国の領域内において同一の犯罪について重ねてその者を裁判してはならない。ただし、この項の規定は、合衆国の軍当局が合衆国軍隊の構成員を、その者が日本国の当局により裁判を受けた犯罪を構成した作為又は不作為から生ずる軍紀違反について、裁判することを妨げるものではない。 9
 合衆国軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族は、日本国の裁判権に基づいて公訴を提起された場合には、いつでも、次の権利を有する。 (a)
 遅滞なく迅速な裁判を受ける権利 (b)
 公判前に自己に対する具体的な訴因の通知を受ける権利 (c)
 自己に不利な証人と対決する権利 (d)
 証人が日本国の管轄内にあるときは、自己のために強制的手続きにより証人を求める権利 (e)
 自己の弁護のため自己の選択する弁護人をもつ権利又は日本国でその当時通常行なわれている条件に基づき費用を要しないで若しくは費用の補助を受けて弁護人をもつ権利 (f)
 必要と認めたときは、有能な通訳を用いる権利 (g)
 合衆国の政府の代表者と連絡する権利及び自己の裁判にその代表者を立ち合せる権利 10 (a)
 合衆国軍隊の正式に編成された部隊又は編成隊は、第二条の規定に基づき私用する施設及び区域において警察権を行なう権利を有する。合衆国軍隊の軍事警察は、それらの施設及び区域において、秩序及び安全の維持を確保するためすべての適当な措置を執ることができる。 (b)
 前記の施設及び区域の外部においては、前記の軍事警察は、必ず日本国の当局との取極に従うことを条件とし、かつ、日本国の当局と連絡して使用されるものとし、その使用は、合衆国軍隊の構成員の間の規律及び秩序の維持のため必要な範囲内に限るものとする。 11
 相互協力及び安全保障条約第五条の規定が適用される敵対行為が生じた場合には、日本国政府及び合衆国政府のいずれの一方も、他方の政府に対し六十日前に予告を与えることによって、この条のいずれの規定にも適用も停止させる権利を有する。この権利が行使されたときは、日本国政府及び合衆国政府は、適用を停止される規定に代わるべき適当な規定を合意する目的をもって直ちに協議しなければならない。 12
 この条の規定は、この協定の効力発生前に犯したいかなる罪にも適用しない。それらの事件に対しては、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定第十七条の当該時に存在した規定を適用する。

第十八条 (請求権の放棄) 1
 各当事国は、自国が所有し、かつ、自国の陸上、海上又は航空の防衛隊が使用する財産に対する損害については、次の場合には、他方の当事国に対するすべての請求権を放棄する。 (a)
 損害が他方の当事国が防衛隊の構成員又は被用者によりその者の公務の執行中に生じた場合 (b)
 損害が他方の当事国が所有する車両、船舶又は航空機でその防衛隊が使用するものの使用から生じた場合。ただし、損害を与えた車両、船舶もしくは航空機が公用のために使用されていたとき、又は損害が公用のために使用されている財産に生じたときに限る。
 海難救助についての一方の当事国や他方の当事国に対する請求権は、放棄する。ただし、救助された船舶又は積荷が、一方の当事国が所有し、かつ、その防衛隊が公用のため使用しているものであった場合に限る。 2 (a)
 いずれか一方の当時国が所有するその他の財産で日本国内にあるものに対して1に掲げるようにして損害が生じた場合には、両政府が別段の合意をしない限り、(b)の規定に従って選定されている一人の仲裁人が、他方の当時国の責任の問題を決定し、及び損害の額を査定する。仲裁人は、また、同一の事件から生ずる反対の請求を裁定する。 (b) (a)に掲げる仲裁人は、両政府の合意によって、司法関係の上級の地位を現に有し、又は有したことがある日本国民の中から選定する。 (c)
 仲裁人が行なった裁定は両当事国に対して拘束力を有する最終的のものとする。 (d)
 仲裁人が裁定した賠償の額は、5(e)(i)、(ii)、及び(iii)の規定に従って分担される。 (e)
 仲裁人の報酬は、両国政府の合意によって定め、両政府が、仲裁人の任務の遂行に伴う必要な費用とともに、均等の割合で支払う。 (f)
 もっとも、各当事国は、いかなる場合においても千四百合衆国ドル又は五十万四千円までの額については、その請求件を放棄する。これらの通貨の間の為替相場の著しい変動があった場合には、両政府は、前記の額の適当な調整について合意するものとする。 3 1及び2の規定の適用上、船舶について「当事国が所有する」というときは、その当事国が裸用船した船舶、裸の条件で徴発した船舶又は拿捕した船舶を含む。ただし、損失又は責任が当該当事国以外のものによって負担される範囲については、この限りではない。 4
 各当事国は、自国の防衛隊の構成員がその公務の執行に従事している間に被った負傷又は死亡については、他方の当事国に対するすべての請求権を放棄する。 5
 公務執行中の合衆国軍隊の構成員若しくは披用者の作為若しくは不作為又は合衆国軍隊が法律上責任を有するその他の作為、不作為若しくは事故で、日本国において日本国政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権(契約による請求権及び6又は7の規定の適用を受ける請求権を除く。)は、日本国が次の規定に従つて処理する。 (a)
 請求は、日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本の法令に従つて、提起し、審査し、かつ、解決し、または裁判する。 (b)
 日本国は、前記のいかなる請求をも解決することができるものとし、合意され、または裁判により決定された額の支払を日本円で行う。 (c)
 前記の支払(合意による解決に従つてされたものであるとを問わない。)または支払を認めない旨の日本国の権限のある裁判所による確定した裁判は、両当事国に対し拘束力を有する最終的なものとする。 (d)
 日本国が支払をした各請求は、その明細並びに(e)(i)及び(ii)の規定による分担案とともに、合衆国の当局に通知されなければならない。二箇月以内に回答がなかつたときは、その分担案は、受諾されたものとみなす。 (e)
 (a)から(d)までおよび2の規定に従い請求を満たすために要した費用は、両当事国が次のとおり分担する。


日米相互防衛援助協定 [条約全文]

日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定昭和二十九年五月一日条約第六号

 日本国政府及びアメリカ合衆国政府は、
 国際連合憲章の体制内において、同憲章の目的及び原則を信奉する諸国がその目的及び原則を支持して個別的及び集団的自衛のための効果ある方策を推進する能力を高めるべき自発的措置によって、国際の平和及び安全保障を育成することを希望千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約に述べられている日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有するとの確信を再確認し、
 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約前文において、日本国が攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従って平和及び安全保障を増進すること以外に用いられるべき軍備をもつことを常に避けつつ、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを、アメリカ合衆国が期待して、平和及び安全保障のために暫定措置として若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持するとある趣旨を想起し、
 日本国のための防衛援助計画の策定に当っては経済の安定が日本国の防衛能力の発展のために欠くことができない要素であり、また、日本国の寄与がその経済の一般的な条件及び能力の許す範囲においてのみ行うことができることを承認し、
 アメリカ合衆国政府が、前記の目的とするところを達成するためアメリカ合衆国による防衛援助の供与を規定する改正後の千九百四十九年の相互防衛援助法及び改正後の千九百五十一年の相互安全保障法を制定したことによりこれらの原則を支持したことを考慮し、
 その援助の供与を規律する条件を定めることを希望して、
 次のとおり協定した。 第一条 1 各政府は、経済の安定が国際の平和及び安全保障に欠くことができないという原則と矛盾しない限り、他方の政府に対し、及びこの協定の両署名政府が各場合に合意するその他の政府に対し、援助を供与する政府が承認することがある装備、資材、役務その他の援助を、両署名政府の間で行うべき細目取極に従って、使用に供するものとする。いずれか一方の政府が承認することがあるいかなる援助の供与及び使用も、国際連合憲章と矛盾するものであってはならない。
 アメリカ合衆国政府がこの協定に従って使用に供する援助は、千九百四十九年の相互防衛援助法、千九百五十一年の相互安全保障法、この二法律を修正し又は補足する法律及びこれらの法律に基く歳出予算法の当該援助に関する規定並びに当該援助の条件及び終了に関する規定に従って供与するものとする。 2 各政府は、この協定に従って受ける援助を両政府が満足するような方法で平和及び安全保障を促進するため効果的に使用するものとし、いずれの一方の政府も、他方の政府の事前の同意を得ないでその援助を他の目的のため転用してはならない。 3 各政府は、相互間で合意する条件及び手続に従い、他方の政府に対し、この協定に基いて供与される装備又は資材(有償で供与される装備及び資材を除く。)で使用に供される当初の用途のために必要でなくなったものの返還を申し出るものとする。 4 各政府は、共通の安全保障のため、この協定に従って受ける装備、資材又は役務の所有権又は占有権を、これらの援助を供与する政府の事前の同意を得ないで、自国政府の職員若しくは委託を受けた者以外の者又は他の政府に移転しないことを約束する。 第二条
 日本国政府は、相互援助の原則に従い、アメリカ合衆国が自国の資源において不足し、又は不足する虞がある結果必要とする原材料又は半加工品で日本国内で入手することができるものを、合意される期間、数量及び条件に従って、生産し、及びアメリカ合衆国政府に譲渡することを容易にすることに同意する。その譲渡に関する取極に当っては、日本国政府が決定する国内使用及び商業輸出の必要量について十分な考慮を払わなければならない。 第三条 1 各政府は、この協定に従って他方の政府が供与する秘密の物件、役務又は情報についてその秘密の漏せつ又はその危険を防止するため、両政府の間で合意する秘密保持の措置を執るものとする。 2 各政府は、この協定に基く活動について公衆に周知させるため、秘密保持と矛盾しない適当な措置を執るものとする。 第四条
 両政府は、いずれか一方の政府の要請があったときは、防衛のための工業所有権及び技術上の知識の交換の方法及び条件を規定する適当な取極であって、その交換を促進するとともに、私人の利益を保護し及び秘密の保持を図るものを作成するものとする。 第五条
 両政府は、アメリカ合衆国政府が実施する援助計画に割り当てられ、又は同計画から生ずるすべての資金について、差押その他の法律上の執行の手続を執ることが援助計画の目的の達成を妨げる虞がある旨をアメリカ合衆国政府から日本国政府に通告したときは、日本国政府が、いずれの人、法人その他の団体、その機関又は政府もその手続を行うことができないように、その資金を積み立て、他の資金から分離し、又はその資金に対する権原を確保するための手続を設ける目的で協議するものとする。 第六条 1 日本国政府は、次のものを許与するものとする。
  a この協定又はアメリカ合衆国政府と他の被援助国との間の同種の協定に基いて日本国の領域に輸入され又はそこから輸出される資材、需品又は装備に対してその輸入又は輸出の際に課せられる関税及び内国税の免除(別段の合意がある場合を除く。) b 附属書Eに掲げる日本の租税が、この協定又はアメリカ合衆国政府と他の被援助国との間の同種の協定に基く資材、需品、装備及び役務の調達のための日本国におけるアメリカ合衆国政府の支出金又は同政府が融資する支出金に影響するときは、その租税の免除又はその払いもどし 2 関税の免除並びに附属書Eに掲げる日本の租税の免除及び払いもどしは、相互防衛のための資材、需品、装備及び役務に対するアメリカ合衆国政府の支出金又は同政府が融資する支出金で、1に定めるもの以外のものについても行われるものとする。これらの支出金は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に適合して支出されもの及び改正後の千九百五十一年の相互安全保障法又はその後同法を補足し、修正し、若しくはこれに代るべき法律に基くアメリカ合衆国政府の対外援助計画に適合して支出されるものを含む。 第七条 1 日本国政府は、アメリカ合衆国政府の職員で、この協定に基いて供与される装備、資材、及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を日本国の領域において遂行し、且つ、この協定に基いてアメリカ合衆国政府が供与する援助の進ちよく状況を観察する便宜を与えられるものを接受することに同意する。その職員(臨時に任用される職員を含む。)でァメリカ合衆国の国民であるものは、日本国政府に対する関係においては、アメリカ合衆国大使館の一部とみなされて大使館の長の指揮及び監督の下に行動するものとし、アメリカ合衆国大使館に属する相当級の他の職員と同一の特権及び免除を与えられる。 2 日本国政府は、この協定の実施に関連するアメリカ合衆国政府の行政事務費及びこれに関連がある経費として、アメリカ合衆国政府に随時円資金を提供するものとする。 第八条
 日本国政府は、国際の理解及び善意の増進並びに世界平和の維持に協同すること、国際緊張の原因を除去するため相互間で合意することがある措置を執ること並びに自国政府が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いて負っている軍事的義務を履行することの決意を再確認するとともに、自国の政治及び経済の安定と矛盾しない範囲でその人力、資源、施設及び一般的経済条件の許す限り自国の防衛力及び自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、自国の防衛能力の増強に必要となることがあるすべての合理的な措置を執り、且つ、アメリカ合衆国政府が提供するすべての援助の効果的な利用を確保するための適当な措置を執るものとする。 第九条 1 この協定のいかなる規定も、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約又は同条約に基いて締結された取極をなんら改変するものと解してはならない。 2 この協定は、各政府がそれぞれ自国の憲法上の規定に従って実施するものとする。 第十条 1 両政府は、いずれか一方の政府の要請があったときは、この協定の適用又はこの協定に従って行われる活動若しくは措置に関するいかなる事項についても協議するものとする。 2 この協定の条項は、いつでも、いずれか一方の政府の要請があったときは再検討することができ、また両政府間の合意により改正することができる。 第十一条 1 この協定は、アメリカ合衆国政府が日本国政府から、日本国がこの協定を批准した旨の書面による通告を受領した日に効力を生ずる。 2 この協定は、いずれか一方の政府が他の政府からこの協定を終了させる意思の書面による通告を受領した日の後一年を経過するまで、引き続き効力を有する。但し、第一条2、3及び4の規定並びに第三条1及び第四条に基いて締結される取極は、両政府が別段の合意をしない限り、なお引き続き効力を有する。 3 この協定の附属書は、この協定の不可分の一部とする。 4 この協定は、国際連合事務局に登録するものとする。


日米安全保障体制  [外務省]

【総論】アジア太平洋地域には、冷戦終了後も複雑で多様な要因を背景とした地域紛争、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散等、依然として不確実、不安定な要素が存在している。日本は、自らの自衛力のみでは、自国の安全が脅かされるようなあらゆる事態には対処できない以上、米国との安全保障条約(日米安保条約)を引き続き堅持することで、米軍の前方展開を確保し、その抑止力の下で日本の安全を確保することが必要である。そのような観点から、日米安全保障体制の信頼性を一層高めるために、たゆまない努力を続けていく必要がある。こうした努力の一環として、日本は、新たな「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の実効性を確保するために、日本有事の際の日米共同対処や周辺事態の際の日米協力につき規定する計画について検討作業を引き続き実施している。
 また、日米安保条約に基づく日米安保体制は、日本に平和と繁栄をもたらしただけでなく、アジア太平洋地域において平和・安定と繁栄を実現していくための基本的な枠組みとして有効に機能している。
 2002年12月にワシントンで開催された日米安全保障協議委員会(「2+2」会合)では、国際的な安全保障環境が変化している中、日米間の安全保障面での協力をいかに進めていくべきかが重要な論点となり、両国間の安全保障に関する協議を強化することが決定された。これを踏まえて、日米間の事務レベルで緊密な協議が継続されてきている。
 また、累次の首脳会談、外相会談等においても、日米関係の基盤が強固な日米安保体制にあるとの認識が共有された。

安全保障に関する日米間の協議の場(2004年3月現在)

【米軍のグローバルな軍事態勢の見直し】
 冷戦の終了以来、米国がかつて直面した脅威である旧ソ連は消滅し、国際テロ、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散等の、より予測が困難な新たな脅威が出現している。米国はこのような新たな安全保障環境に最も適切に対処し得るよう、軍事技術の進展を活用しつつ、より機動性の高い態勢を実現することを目標に米軍の軍事態勢の見直しを行っており、我が国を含め、同盟国、友好国等と緊密に協議してきている。

関連資料

【ミサイル防衛】
 テロと並ぶ重要な安全保障環境の変化として、大量破壊兵器及び弾道ミサイルの拡散が挙げられる。日本は、弾道ミサイルの拡散によって高まりつつある脅威について米国と認識を共有している。弾道ミサイル防衛(BMD)は、弾道ミサイルによる攻撃に対して国民の生命及び財産を守るための純粋に防御的な、かつ、代替手段のない唯一の手段であり、その整備は専守防衛を旨とする日本の防衛政策上の重要な課題である。こうした認識の下、日米間では、1999年から実施しているBMDに関する日米共同技術研究を引き続き進めてきており、政府内の検討の結果、日本としても技術的な実現可能性が高いと判断し、また、BMDシステムが専守防衛を旨とする日本の防衛政策にふさわしいものであることを踏まえ、日本政府は2003年12月にBMDシステムを整備することを決定した。

【有事法制】
 国家と国民の安全の確保は、国家存立の基盤をなすものであり、そのための法制の整備は、日本の安全保障上の長年にわたる懸案であった。2002年4月に政府が武力攻撃事態対処関連3法案を国会に提出して以来、活発な議論が行われ、これらの法律が与野党の幅広い合意の下で2003年6月6日に成立した。
 武力攻撃事態対処関連3法が成立したことにより、政府の最も重要な責務である緊急事態への対処に関する制度の基礎が確立した。政府としては、これを受けて、国民の保護のための法制に加え、武力攻撃事態等に際し日米安保条約に従って行動する米軍を支援するための法制等の個別の法制の整備に取り組んだ結果、2004年6月14日に有事関連7法3条約(PDF)が成立・承認となった。
 このうち、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定(略称:日・米物品役務相互提供協定改正協定)は、それまでの日・米物品役務相互提供協定(ACSA)に基づく枠組みを、(1)武力攻撃事態等、(2)国際の平和及び安全に寄与するための国際社会の努力の促進、大規模災害への対処その他の目的のための活動に適用できるようにするものである。

【在日米軍の駐留に関する諸問題】
 日米安保体制の円滑かつ効果的な運用のためには、在日米軍の活動が施設・区域周辺の住民に与える負担を軽減し、米軍の駐留に関する住民の理解と支持を得ていくことが重要である。米国もこの点を十分に認識しており、例えば、2002年12月の「2+2」会合においても、米軍と地域社会との間の「良き隣人」関係を促進するための努力を含め、在日米軍の駐留に関する諸課題の解決のために真剣な努力を継続する必要があるとの日米両国の認識が明らかにされている。
 特に、在日米軍専用施設・区域の約75%が存在する沖縄県の県民の負担軽減の重要性については、累次の首脳会談や外相会談等の種々の機会にも確認されている。日本政府は、1996年12月にとりまとめた沖縄に関する特別行動委員会(SACO)最終報告の着実な実施に取り組んでおり、2003年3月には、土地の返還に関し、キャンプ桑江の北側部分(約38ha)が返還された。その他に、米軍の訓練及び運用の方法の調整、騒音軽減イニシアティブの実施、日米地位協定の運用の改善などの項目が既に実施されている。
 普天間飛行場の移設・返還問題については、日本政府は、1999年末の閣議決定「普天間飛行場の移設にかかわる政府方針」に基づき取り組んできており、2003年には代替建設協議会が設立された。このように、普天間飛行場の移設・返還に向けた作業は、地元との緊密な調整を踏まえつつ、着実に進められている。
 日米地位協定の運用の改善に関しては、国民の目に見える形で、一つ一つ成果を上げていくことが重要である。例えば、在日米軍施設・区域にかかわる環境問題については、2002年8月に発表された、在日米軍施設・区域内にあるポリ塩化ビフェニル(PCB)含有物資を米本土に搬出するとの米国防省の方針に基づき、2003年8月までに、その時点で使用済となっていたものがすべて米国に向け搬出された。今後とも、この分野においては2000年9月の「2+2」会合において発表された「環境原則に関する共同発表」を踏まえ、日米間で協力の強化に取り組んでいく。
 刑事裁判手続については、2004年4月2日の日米合同委員会において、2003年6月以降行われてきた日米地位協定の下での刑事裁判手続に関する日米交渉の結論として、日米間の捜査協力の強化等に関する合同委員会合意(仮訳・英語版)(PDF)を作成した。また、この機会に1995年の刑事裁判手続に関する合同委員会合意にいう「その他の特定の場合」について、日米間で認識の一致を確認した。
 今回の合同委員会合意により、1995年合同委員会合意に基づく起訴前の身柄の引渡しの対象となる事件について、米軍当局が速やかに捜査を行うことができるようにするため、米側からの要請に基づき、その事件について捜査権限を有する米軍司令部の代表者が日本側当局による被疑者の取調べに同席することが認められることとなった。


日米安全保障条約(主要規定の解説) [外務省]


○第1条
 国連憲章は、加盟国が従うべき行動原則として、「その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」(第2条4)としており、加盟国は、自衛権の行使に当たる場合や国連安全保障理事会による所要の決定がある場合等国連憲章により認められる場合を除くほか、武力の行使を禁じられている。第1条の規定は、この国連憲章の武力不行使の原則を改めて確認し、日米安保条約が純粋に防衛的性格のものであることを宣明している。

○第2条
 この規定は、安保条約を締結するに当たり、両国が当然のことながら相互信頼関係の基礎の上に立ち、政治、経済、社会の各分野において同じ自由主義の立場から緊密に連絡していくことを確認したものである。

○第3条
 この規定は、我が国から見れば、米国の対日防衛義務に対応して、我が国も憲法の範囲内で自らの防衛能力の整備に努めるとともに、米国の防衛能力向上について応分の協力をするとの原則を定めたものである。
 これは、沿革的には、米国の上院で1948年に決議されたヴァンデンバーク決議を背景とするものであり、NATO(北大西洋条約機構)その他の防衛条約にも類似の規定がある。同決議の趣旨は、米国が他国を防衛する義務を負う以上は、その相手国は、自らの防衛のために自助努力を行ない、また、米国に対しても、防衛面で協力する意思を持った国でなければならないということである。
 ただし、我が国の場合には、「相互援助」といっても、集団的自衛権の行使を禁じている憲法の範囲内のものに限られることを明確にするために、「憲法上の規定に従うことを条件」としている。

○第4条
 この規定は、(イ)日米安保条約の実施に関して必要ある場合及び(ロ)我が国の安全又は極東の平和及び安全に対する脅威が生じた場合には、日米双方が随時協議する旨を定めている。
 本条を根拠として設けられている日米協議の場としては、安全保障協議委員会(日本側は外務大臣及び防衛庁長官、米国側は国務長官及び国防長官という、いわゆる「2+2」で構成される。)が存在するが、これに限られることなく、通常の外交ルートを通じての協議もこの規定にいう随時協議に含まれ得る。

○第5条
 第5条は、米国の対日防衛義務を定めており、安保条約の中核的な規定である。
 この条文は、日米両国が、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃」に対し、「共通の危険に対処するよう行動する」としており、我が国の施政の下にある領域内にある米軍に対する攻撃を含め、我が国の施政の下にある領域に対する武力攻撃が発生した場合には、両国が共同して日本防衛に当たる旨規定している。
 第5条後段の国連安全保障理事会との関係を定めた規定は、国連憲章上、加盟国による自衛権の行使は、同理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの暫定的な性格のものであり、自衛権の行使に当たって加盟国がとった措置は、直ちに同理事会に報告しなければならないこと(憲章第51条)を念頭に置いたものである。

○第6条
 侵略に対する抑止力としての日米安保条約の機能が有効に保持されていくためには、我が国が、平素より米軍の駐留を認め、米軍が使用する施設・区域を必要に応じて提供できる体制を確保しておく必要がある。第6条は、このための規定である。
 第6条前段は、我が国の米国に対する施設・区域の提供義務を規定するとともに、提供された施設・区域の米軍による使用目的を定めたものである。日米安保条約の目的が、我が国自身に対する侵略を抑止することに加え、我が国の安全が極東の安全と密接に結びついているとの認識の下に、極東地域全体の平和の維持に寄与することにあることは前述のとおりであり、本条において、我が国の提供する施設・区域の使用目的を「日本国の安全」並びに「極東における国際の平和及び安全の維持」に寄与することと定めているのは、このためである。
 第6条後段は、施設・区域の使用に関連する具体的事項及び我が国における駐留米軍の法的地位に関しては、日米間の別個の協定によるべき旨を定めている。なお、施設・区域の使用および駐留米軍の地位を規律する別個の協定は、いわゆる日米地位協定である。
 米軍による施設・区域の使用に関しては、「条約第6条の実施に関する交換公文」(いわゆる「岸・ハーター交換公文」)(PDF)が存在する。この交換公文は、以下の三つの事項に関しては、我が国の領域内にある米軍が、我が国の意思に反して一方的な行動をとることがないよう、米国政府が日本政府に事前に協議することを義務づけたものである。 米軍の我が国への配置における重要な変更(陸上部隊の場合は一個師団程度、空軍の場合はこれに相当するもの、海軍の場合は、一機動部隊程度の配置をいう。)。 我が国の領域内にある米軍の装備における重要な変更(核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設をいう。)。 我が国から行なわれる戦闘作戦行動(PDF)(第5条に基づいて行なわれるものを除く。)のための基地としての日本国内の施設・区域の使用。

 なお、核兵器の持込みに関しては、従来から我が国政府は、非核三原則を堅持し、いかなる場合にもこれを拒否するとの方針を明確にしてきている。

○第10条
 この条文は、日米安保条約は、当初の10年の有効期間(固定期間)が経過した後は、日米いずれか一方の意思により、1年間の予告で廃棄できる旨規定しており、逆に言えば、そのような意思表示がない限り条約が存続する、いわゆる「自動延長」方式である。本条に基づき、1970年に日米安保条約の効力は延長されて、今日に至っている。


日米安保条約 [条約全文]

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約Treaty of mutual cooperation and security between Japan and the United States of America(日米安全保障条約・安保条約)

1960(昭和35)年1月19日 ワシントンで署名1960年6月19日 国会承認1960年6月23日 批准書交換、効力発生

1960(昭和35)年6月23日 条約第6号


 日本国及びアメリカ合衆国は、
 両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、
 また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的な安定及び福祉の条件を助長することを希望し、
 国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、
 両国が国際連合憲章に定める個別的または集団的自衛の固有の権利を有しているを確認し、
 両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、
 相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、
 よって、次のとおり協定する。


第一条(平和の維持のための努力) 1
 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武器の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。 2
 締約国は、他の平和愛好国と共同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。

第二条(経済的協力の促進)
 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。

第三条(自衛力の維持発展)
 締約国は、個別的に及び相互に協力して、持続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。

第四条(臨時協議)
 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。

第五条(共同防衛) 1
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。 2
 前記の武力攻撃及びその結果として執った全ての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

第六条(基地の許与) 1
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持の寄与するため、アメリカ合州国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。 2
 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合州国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合州国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

第七条(国連憲章との関係)
 この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響を及ぼすものではなく、また、及ぼすものとして解釈してはならない。

第八条(批准)
 この条約は、日本国及びアメリカ合州国により各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力を生ずる。

第九条(旧条約の失効)
 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合州国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生のときに効力を失う。

第十条(条約の終了) 1
 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合州国政府が認めるときまで効力を有する。 2
 もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意志を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行われた後一年で終了する。

 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。(両国全権委員氏名省略)

交換公文(条約第六条の実施に関する交換公文)

(日本側往簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、本日署名された日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に言及し、次のことが同条約第六条の実施に関する日本国政府の了解であることを閣下に通報する光栄を有します。
 合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動(前記の条約第五条の規定に基づいて行なわれるものを除く。)のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。
 本大臣は、閣下が、前記のことがアメリカ合衆国政府の了解でもあることを貴国政府に代わつて確認されれば幸いであります。
 本大臣は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
    千九百六十年一月十九日にワシントンで

岸 信介     

 アメリカ合衆国国務長官
   クリスチャン・A・ハーター閣下

(合衆国側返簡)
 書簡をもつて啓上いたします。本長官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。 (日本側書簡省略)
 本長官は、前記のことがアメリカ合衆国政府の了解でもあることを本国政府に代わつて確認する光栄を有します。
 本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
    千九百六十年一月十九日

アメリカ合衆国国務長官           クリスチャン・A・ハーター     

  日本国総理大臣 岸信介閣下


旧日米安保条約 [条約全文]

(旧)日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約昭和27(1952)年4月28日 条約第4号
 日本国は、本日連合国との平和条約に署名した。日本国は武装を解除されているので、平和条約の効力発生の時において固有の自衛権を行使する有効な手段をもたない。
 無責任な軍国主義がまだ世界から駆逐されていないので、前記の状態にある日本国には危険がある。よつて、日本国は、平和条約が日本国とアメリカ合衆国の間に効力を生ずるのと同時に効力を生ずべきアメリカ合衆国との安全保障条約を希望する。
 平和条約は、日本国が主権国として集団的安全保障取極を締結する権利を有することを承認し、さらに、国際連合憲章は、すべての国が個別的及び集団的自衛の固有の権利を有することを承認している。
 これらの権利の行使として、日本国は、その防衛のための暫定措置として、日本国に対する武力攻撃を阻止するため日本国内及びその附近にアメリカ合衆国がその軍隊を維持することを希望する。
 アメリカ合衆国は、平和と安全のために、現在若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持する意思がある。但し、アメリカ合衆国は、日本国が、攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従って平和と安全を増進すること以外に用いられうべき軍備をもつことを常に避けつつ、直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを期待する。
 よって両国は次の通り協定した。

第一条
 平和条約及びこの条約の効力発生と同時に、アメリカ合衆国の陸軍、空軍及び海軍を日本国内及びその附近に配備する権利を、日本国は、許与し、アメリカ合衆国は、これを受諾する。この軍隊は、極東における国際の平和と安全の維持に寄与し、並びに、一又は二以上の外部の国による教唆又は干渉によつて引き起こされた日本国における大規模の内乱及び騒じょうを鎮圧するため日本国政府の明示の要請に応じて与えられる援助を含めて、外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与するために使用することができる。

第二条
 第一条に掲げる権利が行使される間は、アメリカ合衆国の事前の同意なくして、基地、基地における若しくは基地に関する権利、権力若しくは権能、駐兵若しくは演習の権利又は陸軍、空軍若しくは海軍の通過の権利を第三国に許与しない。

第三条
 アメリカ合衆国の軍隊の日本国内及びその附近における配備を規律する条件は、両政府間の行政協定で決定する。

第四条
 この条約は、国際連合又はその他による日本区域における国際の平和と安全の維持のため充分な定をする国際連合の措置又はこれに代る個別的若しくは集団的の安全保障措置が効力を生じたと日本国及びアメリカ合衆国の政府が認めた時はいつでも効力を失うものとする。

第五条
 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国によつて批准されなければならない。この条約は、批准書が両国によつてワシントンで交換された時に効力を生ずる。

 以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。

 千九百五十一年九月八日にサンフランシスコ市で、日本語及び英語により、本書二通を作成した。 日本国のために             吉田茂
アメリカ合衆国のために         ディーン・アチソンジョーン・フォスター・ダレスアレキサンダー・ワイリースタイルズ・ブリッジス

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