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■強度偽装事件Ⅱ

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■強度偽装事件 へ続く


耐震偽造:見逃し自治体担当者も処分検討 国交省 [毎日]

 国土交通省は30日、姉歯秀次元1級建築士による構造計算書の改ざんを見逃した地方自治体の建築主事についても、一部で処分を検討する方針を固めた。同省は来月から自治体関係者から経緯を聴く予定だ。

 ◇偽造物件89件に 

 また同日、新たに鹿児島県霧島市のビジネスホテル「サンホテル国分」の偽造を確認。同ホテルは木村建設が施工、県が建築確認を行っていた。これで姉歯氏がかかわった205物件中、偽造が確認されたのは18都府県89件になった。

 同省によると、このうち36件で計25自治体が偽造を見逃していたことが分かっている。各自治体は「偽造は巧妙だった」などと釈明しているが、書類の差し替えなどの単純な手口の見逃しなど審査がずさんな場合は、建築基準法に基づく何らかの処分をするという。同省はこれまでに、偽造物件にかかわった元請け設計事務所、指定確認検査機関などの処分を検討。当初発表の21物件に関係した元請け設計事務所について資格取り消しや業務停止処分を行う方針だ。【長谷川豊】


姉歯・木村・ヒューザーの刑事責任追及へ 詐欺罪も検討 [朝日]

2005年12月31日06時05分
 耐震強度偽装事件で警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は、建築基準法違反容疑で告発された姉歯秀次元建築士(48)に加え、木村建設(熊本県八代市、破産手続き開始)とヒューザー(東京都千代田区)についても刑事責任を問う方針を固めた。事件の背景にはコスト削減を求める施工業者と建築主の強い意向があったとみられる。姉歯元建築士以外はいずれも偽装への関与を否定しているが、捜査本部は総合経営研究所(千代田区)を含め、他の関係者についても年明けから事情聴取を本格化させ、詐欺罪の適用も検討しながら調べを進める。

 姉歯元建築士は構造計算書を偽造し、耐震強度が低いマンションとホテルの計4棟を建てさせたとして告発された。姉歯元建築士自身も98年ごろから多数の偽装を重ねたと認めている。国土交通省のまとめでは、偽装が確認された建物は30日までに89棟に上る。

 木村建設はそのうち半数を超える建物の施工を元請けや下請けとして担当したほか、国交省が告発の対象とした京王プレッソイン茅場町などでは元請け設計者になっていた。元請け設計者には安全な建物を建てる責任があり、仮に偽装に直接は関与していなくても、危険な建物を建てさせた建築基準法違反に問うことができると捜査本部は見ている。

 姉歯元建築士は偽装に手を染めた動機に関し、木村建設の篠塚明・元東京支店長から「鉄筋を減らすように圧力を受けた」と警視庁の事情聴取に供述している。篠塚元支店長は鉄筋の減量を求めたと国会の証人喚問で自ら認めたが、偽造行為は知らなかったと主張している。

 一方で姉歯元建築士は木村建設がかかわっていない建物でも、多数の偽装を重ねていた。偽装に対する篠塚元支店長の関与の有無とともに、姉歯元建築士が木村建設とは別の建物でなぜ偽装したのかについても捜査本部は調べを進める。

 ヒューザーは10月、耐震強度不足の恐れがある建物が同社の完成済みマンションの中にあると知らされた後も、千葉県船橋市のマンションなどについて売買契約を交わしたことが明らかになっている。宅地建物取引業法は重要な事実を故意に告げないで契約することを禁じており、同法に違反する疑いがある。

 同社はマンションの建築主として建築基準法の適用対象にもなる。しかし、建築主の刑事責任を問うには元請け設計者とは違い、偽装が建築主の故意であることを立証する必要がある。

 さらに総合経営研究所は木村建設などに低コスト工法を勧めたほか、開業指導したホテルに鉄筋の減量を指示したと指摘されており、家宅捜索で押収した多数の資料の分析を進めている。

 耐震強度が不足した建物を建てさせたとする建築基準法違反の罰則は50万円以下の罰金。重要事項を故意に購入者に告げなかった宅建業法違反の罰則は1年以下の懲役か50万円以下の罰金で、ともに行為者個人に加えて法人も罰する両罰規定がある。捜査本部が適用を検討しているのは住民を被害者とする詐欺罪で、罰則は10年以下の懲役となる。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1231/TKY200512300237.html

耐震偽装マンション、東京・稲城市が公費支援を拒否 [読売]

 姉歯秀次・元1級建築士(48)が耐震強度を偽装した分譲マンション「グランドステージ稲城」(24世帯)を抱える東京都稲城市が、国が打ち出した公的支援策に伴う財政支出を拒否する意向を、都に伝えていたことがわかった。

 石川良一市長は読売新聞に対し「市に責任はなく、多額の費用を支出する法的根拠がない」と説明している。この問題で、関係自治体による費用負担拒否が明らかになったのは初めて。

 マンションは昨年2月完成。姉歯元建築士の構造計算書改ざんにより、強度は基準の33%しかなく、都は今月16日、使用禁止命令を出している。建築確認をしたのは民間の確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)で、建築基準法上の責任を負う「特定行政庁」は都多摩建築指導事務所(立川市)になる。

 今月6日に国が公表した支援策では、転居先の家賃補助、解体費などの半額を国が負担。東京の場合、残りを都と区市で折半することになり、区市の負担はマンション1件当たり5~6億円になると見られる。

 稲城市は都との協議で「市は特定行政庁にも当たらず、財政負担の法的根拠がない」と主張。国が特別措置法を制定しない限り、市財政からの多額の支出は困難として、財政支出を拒否する考えを伝えた。

 石川市長は、「現状では議会や市民に説明できない。特措法を作らない場合、国と都で負担してもらうのが筋だ」と話している。
(2005年12月31日3時0分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051231i101.htm

耐震偽装マンション、年内退去は4割未満…国交省調べ [読売]

 耐震強度偽装事件で、耐震強度が基準の50%に達せず、公的支援の対象となっている分譲マンション10件の入居者288戸のうち、年内に転居が終わるのは4割未満の108戸にとどまることが30日、国土交通省のまとめでわかった。

 越年する180戸のうち、100戸はまだ転居先や転居日が決まらず、40戸は転居の準備にも手が着いていない状態だという。当初は「年内」を目標としていた全戸転居までには、なお時間がかかりそうだ。

 まとめによると、101戸がすでに転居を終え、7戸が年内に、40戸は来月15日までに転居を済ませる。転居済みのうち89戸は民間の賃貸住宅に転居し、公営住宅の利用は12戸にとどまった。

           ◇

 耐震強度偽装事件で、国交省は30日、姉歯秀次・元1級建築士(48)による構造計算書の改ざんが判明した建物が1件増えて89件に上ったと発表した。新たな1件は鹿児島県霧島市の「サンホテル国分」で、「木村建設」(熊本県八代市、破産)が施工、「平成設計」(東京都千代田区、同)が元請け設計で、耐震強度は基準の52%だった。

(2005年12月30日21時23分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051230it12.htm

工事“丸投げ"全面禁止も 耐震強度偽装で国交省検討  [産経]

 耐震強度偽装問題にからみ国土交通省は30日、分譲マンションなどの施工業者が工事を別の業者に一括して下請けに出すいわゆる“丸投げ"について、全面禁止を含めて見直しを検討する方針を決めた。国交相の諮問機関の社会資本整備審議会が今後、建設業法などの改正を議論する。北側一雄国交相が同日の臨時記者会見で明らかにした。

 現行の建設業法では、一括下請けは民間の工事で発注者である建築主が書面で承諾した場合に認められている。しかし、マンションなどの販売時にこうした情報の開示は義務付けられておらず、消費者は実態が分からないのが現状で、消費者保護の観点から検討の必要があると判断した。

 審議会は、一括下請けの全面的禁止のほか、分譲マンションなどについて建築主が販売する際、実際の施工業者について購入者への説明を義務付けるべきかどうかなども協議する。

 国交省の調査では、姉歯秀次元一級建築士の偽装が判明した物件の中にも、受注した施工業者が一括下請けに出し、実際の施工は木村建設だった物件が20件(28日現在)あった。(共同)


建築行政や業者の情報提供窓口を開設…偽装問題調査委 [読売]

 耐震強度偽装事件を巡る行政対応を検証する「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」(国交相の私的諮問機関)は28日、建築行政や業界の関係者から広く意見や情報を受け付ける情報提供窓口を設けた。

 情報は、ファクス(03・5253・8031)、国交省内の同委員会情報提供受付窓口への郵送(〒100・8918)、電子メール(giso110@milt.go.jp)で受け付け、同省ホームページ(https://www.mlit.go.jp/hotline/hotline8001.html)からも入力できる。

 1月5日からは専用電話も設置する予定。

 同委員会では、寄せられた情報を、現行制度の問題点のあぶり出しなどのために活用する。

(2005年12月29日1時34分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051228i119.htm

5検査機関で重大ミス、不備あっても建築確認 [読売]

 国土交通省は28日、全国に50ある民間の国指定確認検査機関に対する立ち入り検査の結果、5機関で、重大な審査ミスが6件見つかったと発表した。

 国交省はこれら機関の処分も検討する。

 国交省が、10階建て以上のビルの構造計算書などを抽出して調べたところ、横浜市の「ビューローベリタスジャパン」、広島市の「ジェイ・イー・サポート」、大阪市の「技研」、同市の「確認検査トラスト」(以上、各1件)、兵庫県西宮市の「阪神建築確認検査」(2件)で、重要な書類の抜け落ちや、計算書の入力データと構造図のデータに食い違いがあるのに建築確認を出していたケースが見つかった。

 ただ、いずれも故意に構造計算書を改ざんしたケースではなく、強度不足もなかったという。

 このほか、必要な書類の添付を省略していた違反が、「オーネックス」(大阪府茨木市)で8件見つかるなど計15機関であり、帳簿など書類上の不備も17機関で見つかった。
(2005年12月28日22時6分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051228it14.htm

「非姉歯」152棟、改ざんなし なお149棟調査 [朝日]

2005年12月28日15時01分
 耐震強度偽装事件で、木村建設と平成設計、ヒューザーの3社が手がけたホテルやマンションのうち、姉歯秀次元建築士が関与していない301棟について関係自治体が構造計算書を点検したところ、26日までに結果が出た152棟すべてで改ざんがなかったことがわかった。国土交通省が28日午後、発表する。残りの149棟は調査中。

 現時点で偽装が判明したのは姉歯元建築士がかかわった物件だけにとどまっており、「『第2の姉歯』に事件が拡大する最悪のシナリオ」(国交省幹部)は避けられている。

 姉歯元建築士による偽装物件の増加を受け、国交省は今月、木村建設の98年以降の建物など、3社が手がけた「非姉歯」物件について、構造計算書の改ざんの有無の調査・報告を要請した。26日までに国交省に報告があったのは計301棟。うち152棟は構造計算書を再計算した結果、「改ざんなし」と判定された。

 残る149棟は、自治体が外部の設計事務所などに再計算を依頼しており、1月10日ごろに結果が出そろう見通しだ。

 ただし、今回、報告された物件以外に、偽装のあったホテルの開業指導をした総合経営研究所が関与したホテルや、木村建設の98年以前の施工物件についても別に調査しており、すべての確認作業を終えるには、かなり時間がかかるとみられている。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1228/TKY200512280259.html

建築全体の構造的問題 耐震偽装で学会が緊急集会 [赤旗]

 耐震強度偽装の背景と問題はどこにあるのか――。日本建築学会は二十六日、東京・港区の建築会館で緊急集会を開き、活発な討論をしました。建築士、研究者、設計会社役員など四百人が参加しました。

 集会の趣旨説明をした村上周三・日本建築学会会長は、姉歯秀次元一級建築士による耐震強度偽装について「技術者に対する信頼を失わせただけでなく、技術を使っての裏切り行為」と厳しく批判。同時に「一人の建築士による偶発的な犯罪行為ではなく、建築設計・生産全体にかかわる構造的なもの」との認識を示し、根本的な改善策を講じていくことを表明しました。

 このあと、偽装問題にかかわって「技術者倫理」構造設計のあり方建築設計などにかかわる法的規制のあり方建築産業の疲弊と仕組みの老朽化などについて八人の学者が問題提起。

 この中で島田良一・東京都立大学名誉教授はリスク管理の弱さに触れながら「規制緩和、民営化の流れに逆らってでもきっぱりとした公的管理システムを作り上げることが大事」と強調。仙田満・東京工大名誉教授は二十一世紀の建築が「安全性よりも安さを追求した建築生産がなされている」ことを批判。「構造設計の内容がチェックされることもなく、する機会をすくなくとも四回あったがすべてノーチェックで通った」ことを指摘した上、生産体制において設計・施工・監理の分離を目指すべきだとのべました。

 討論では会場から「設計者が施工会社に従属しているところに今回の根本問題がある」「検査機関の株主が依頼した物件を検査するのは問題ではないか」などの声が出されました。

 建築学会は新たに設置した「健全な設計・生産システムのための特別調査委員会」で、建築設計の望ましい制度や住宅建設産業の方向性、倫理教育の問題について討議。九月には提言をまとめることにしています。
URL:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-12-27/2005122715_01_2.html

「責任論は不思議」イーホームズ社長主張…緊急調査委 [読売]

耐震強度偽装問題について行政の対応を検証する「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」(国土交通相の私的諮問機関)の第2回会合で、26日、偽装を見逃した民間の2指定確認検査機関と2自治体に対するヒアリングが行われた。

 この中で、35物件の偽装を見逃した「イーホームズ」(東京都新宿区)の藤田東吾社長は、「確認検査機関の見逃しが問題となっていることが不思議でならない」「(鉄筋が多い少ないといった)設計上の視点は必要なく、構造審査では設計図と構造計算書の整合性を見ればいい」などと、独自の主張を展開した。

 これに対し、会合終了後、委員の一人は「設計が法の求める強度を満たしているかをチェックするのが検査機関の仕事のはずだ」と指摘。国交省幹部も「書類の不備をチェックするだけでいいなら、検査機関は必要ない。国民の求めているものとはかけ離れた議論だ」と批判した。

 この日のヒアリングには、「日本ERI」(港区)の鈴木崇英社長と、愛知県の担当理事や東京都台東区の担当部長も出席し、「現行の建築確認制度では偽装は見抜けない。早急に制度を見直してもらいたい」と訴えた。

(2005年12月26日23時20分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051226it15.htm

東京・港区のマンション、解体準備始まる [読売]

耐震強度偽装事件で、国土交通省による警察当局への告発対象となった建物4件の一つ、東京都港区の賃貸マンション「STAGE大門」(9階建て、8戸)で27日、解体の準備作業が始まった。

 同マンションは、姉歯秀次・元1級建築士(48)の偽装により、強度が基準の26%しかなく、震度5強の地震で倒壊の恐れがあるとされている。住民はすでに転居している。

 27日は、建築主の不動産会社「シノケン」(福岡市)から委託を受けた業者が午前9時ごろから、鉄パイプやフェンスで囲いを組み上げる作業を開始した。1月10日から内装部分を解体し、建物本体の解体は同23日から4月1日までを予定している。整地などすべての作業が終わるのは4月22日ごろになるという。

 地元町会の菊島宏会長(74)は、「工事中に地震が起きたら、という不安は残る。もっと早く解体に着手してほしかった」と話していた。

(2005年12月27日12時43分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051227i505.htm

耐震偽造:建替え支援負担、反発自治体が国提訴の構え [毎日]

 耐震データ偽造事件で、国が自治体にも費用負担を求める分譲マンションの建て替え支援策に、東京都などから「責任は国にあり、自治体に費用負担させるのはおかしい」との意見が相次いでいる。国は「緊急事態」を理由に、責任分担などをめぐる議論を後回しにしているが、一部の自治体は国相手に訴訟を起こす構えも見せている。

 支援策は、耐震強度が基準の5割に満たない分譲マンション10棟が対象。補正予算を組み、自治体のまちづくりを国が支援する「地域住宅交付金」制度を利用し、解体やマンションの共同部分整備などを公費で行う。費用負担は自治体が55%、国が45%。特別措置法を制定せずに、既存の制度を使う理由について、国は「緊急性」を挙げている。

 10棟のうち9棟の建築確認は民間の「イーホームズ」が出しているが、国が自治体側にも責任分担を求める根拠の一つは、最高裁が6月に出した「民間検査機関による建築確認は、地方公共団体の事務」とした決定だ。

 一方、自治体側は「建築確認制度に不備があり、責任は国にある」との考えが強く、国が「支援は賠償ではない」としたまま、自治体に費用負担を求めることに反発が広がっている。

 石原慎太郎都知事は22日の会見で「暫定措置で(支援策を)受け入れた。この問題は特別立法しない限り片付かないと思う。(地方自治体から)訴訟起こされたら国は負ける。国の責任なんだから」と発言。横浜市の中田宏市長と川崎市の阿部孝夫市長も「自治体に過失がないのに公費を支出すれば、住民訴訟を起こされる。自治体に負担を求める法的根拠を示して」などと国に要望している。

 国は「住民の生命や財産を守るのは行政責任」と説明し、地域住宅交付金を使っての支援を通常の行政施策の延長線上にあるとの立場だ。しかし、都は「国の対応によっては、自治体が負担したものを請求するなど訴訟も辞さない」と強い姿勢を見せている。【渡辺暖】

 ◇地域住宅交付金

 地方公共団体の自主性と創意工夫を生かし、住宅の整備や居住環境整備など地域の暮らしをトータルに支援する制度として今年度に創設。自治体から提出された計画の妥当性などを審査して国土交通省が配分額を決めるもので、9月中旬に全国221計画に計1089億円を配分することが決まっている。最も配分額が大きいのは東京都の247億6800万円。費用負担は自治体が55%、国が45%と決まっている。


国の「不作為」に言及 耐震偽装で武部自民幹事長 [朝日]

2005年12月25日18時14分
 自民党の武部勤幹事長は25日、テレビ朝日の番組で、耐震強度偽装事件について「(国や自治体の責任は)大きい。違法性、不法性の監視、摘発、告発をさぼっていたということは明確じゃないか。責任に応じて補償などの対応をするべきだ」と述べた。国の法的責任について「不作為という問題がある」と踏み込み、与党としてマンション住民らに対する公費投入による支援を強く求めた形だ。

 「住民に政府はどの程度補償するのか」との出席者の質問に答えた。マンション住民の「自己責任」もあると述べつつも、「建築確認制度があるのに何で放置されたままになっていたのか。責任をだれがどの程度負うべきか」について解明すべきだとの考えを示したものだ。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1225/003.html

「姉歯」23物件、大手から木村建設に“丸投げ” [読売]

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)による偽装が判明した85物件のうち、少なくとも23物件の施工は、元請けのゼネコンなどから木村建設(熊本県八代市、破産)に一括下請負(丸投げ)されていたことが国土交通省の調査で分かった。

 元請けには鹿島(東京都港区)などの大手ゼネコンも含まれている。マンション購入者にとっては実際の施工者が分からないうえ、建築に欠陥があった場合の責任の所在も不明確になるため、国交省は、民間の“丸投げ”について何らかの規制を行うことも視野に入れ、実態調査を進める方針だ。

 工事をそっくり下請けに出す“丸投げ”は、公共工事では中間搾取などを招くとして建設業法などにより禁じられている。しかし民間工事では、発注者が書面で了承すれば認められており、元請け業者は監理技術者1人を常駐させるだけで、全体の工程管理などを含めてすべて下請けに出すことが許されている。

 85の偽装物件のうち、25物件は木村建設が元請けとなっていた。その他については、実際の施工者は建築確認申請の書類では分からないため、国交省が元請け業者を通じて調査を進めているが、これまでに12社が計23物件の施工を木村建設に“丸投げ”していたことが判明している。

 姉歯偽装物件のうち、分譲マンション「グランドベイ横浜」(横浜市)と「グランドステージ町屋」(東京都荒川区)の施工元請けは中堅ゼネコン「東鉄工業」(新宿区)だった。だが実質的に施工したのは木村建設。東鉄工業は「建築主のヒューザーの意向で木村に下請けに出した。当社がどこまで工事にかかわったかは調査中」としている。

 ホテルでは、「プラザホテル舞鶴」(京都府舞鶴市)の元請け施工者が鹿島、「ヴィアイン新大阪ウエスト」(大阪市)が大林組(東京都港区)だが、実際の施工者は木村建設だった。

 鹿島は「建築主の不動産業者から『欠陥があった場合の責任は木村に負わせる。ポイントで監理をしてくれればいいから元請けになってほしい』と頼まれ、建設費の数%を受け取る契約で応じた」(広報室)と話しており、責任の所在のあいまいさが浮き彫りになっている。鹿島は、現場に技術者1人を月数回派遣しただけで、鉄筋不足などには気付かなかったとしている。

 “丸投げ”が横行しているのは、各業者にメリットがあるからだ。マンションなどの建築主は「有名ゼネコンが手掛けた」などとPRできる。元請け業者は「監理料」が得られる上に、工事実績を上げることができる。また下請け業者も、大手の下に入ることにより大型物件の受注が可能になる。

 しかし、マンションの購入者らにとっては、大手が施工したと信じて購入したマンションが、実は別の業者が手掛けていたという事態が起きるため、「実質的に工事を行った業者名を表示させる仕組みなどを検討すべきだ」(国交省幹部)との指摘も出ている。

(2005年12月25日3時1分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051225it01.htm

耐震偽造:姉歯氏、相場の4分の1で契約 [毎日]

姉歯秀次・元建築士 耐震データ偽造事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)が相場の「4分の1」という異常に低い金額で、木村建設(熊本県八代市)の構造計算を請け負っていたことが、姉歯氏と取引があった建築関係者の証言で分かった。姉歯氏はこれまで「仕事の9割が木村建設に占められており、生活するために断ることができなかった」と話していた。こうした事実は警視庁などの合同捜査本部も把握しており、木村建設から強い圧力がかかっていた重要な証拠とみて、捜査を進めている。

 関係者によると、マンションの構造計算料金の一般的な相場は「1平方メートルあたり500~600円」とされる。この関係者は数年前に姉歯氏と契約。その際、姉歯氏から「600~700円で契約してほしい」との要望があったという。関係者は相場より少し高いと感じたが、「経済設計ができる」などの理由で承諾。この結果、延べ床面積約1830平方メートルの10階建てマンションの料金として、一般的な相場の約100万円より高い約130万円を支払った。

 ところが、合同捜査本部の調べで、姉歯氏は木村建設とは「1坪(約3.3平方メートル)あたり450円」程度で契約を結んでいたことが判明。1平方メートルあたりに換算すると136円だった。

 同じ10階建て1830平方メートルの構造計算をした場合、姉歯氏の受け取り額はわずか約25万円。一般的な相場と比較すると「4分の1」程度にしかならなかった。

 こうした超低金額での契約が、姉歯氏に多くの仕事を受注せざるを得ない状況を生じさせ、偽造を繰り返す要因になった可能性もある。

 姉歯氏は、14日の衆院国土交通委の証人喚問で「木村建設からコストダウンするよう強い圧力を受けた」などと証言。これに対して木村建設の篠塚明・元東京支店長は「コストダウンは迫ったが、あくまで法律の範囲内でのこと」と説明している。【篠原成行】

毎日新聞 2005年12月24日 3時00分
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051224k0000m040104000c.html

耐震強度50%超にも補助、ホテルは全棟 [読売]

 国土交通省は、耐震強度偽装事件で強度不足が判明した建物のうち、公的支援の対象外となった耐震強度が50%超のマンションと、すべてのホテルの改修費用について、計160億円の予算が計上された「住宅・建築物耐震改修等事業費」の補助対象とする方針を固めた。

 同事業は1981年以前に建てられた「既存不適格建築物」の耐震改修が目的だが、強度偽装により転居や改修費の捻出(ねんしゅつ)を迫られた住民やホテルオーナーから、支援を求める声が高まっており、偽装物件にも拡大適用することになった。

 「住宅・建築物耐震改修等事業」では、耐震診断や改修工事にかかる費用を、国と地方で計15%補助するもので、耐震偽装事件を受けた2005年度の補正予算で30億円、06年度の当初予算で130億円が認められたばかり。

 本来は、1981年の「新耐震基準」設定以前に建てられた1150万戸の「既存不適格住宅」などについて、耐震診断、改修を促すのが目的だった。

 今回の耐震偽装事件で、政府は、耐震強度50%以下の分譲マンション10物件については、解体、建て替え費用などを公的支援することとする一方、耐震強度50%超100%未満の多数の偽装マンションについては対象外とした。

 こうしたマンションも改修などは必要だが、一切の費用を負担する責任がある開発業者「ヒューザー」(東京都千代田区)の対応が不透明であるなど、住民の負担増加の恐れが顕在化していた。

(2005年12月24日3時1分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051224it01.htm

施工図の強度、構造図より劣る 耐震偽造のマンション [朝日]

2005年12月22日23時10分
 神奈川県藤沢市のマンション「グランドステージ藤沢」の耐震強度が不足している問題で、木村建設(破産手続き開始)が衆院国土交通委員会に提出した建設段階の施工図が、姉歯秀次元建築士が作った構造図より強度の劣る内容になっていることが22日わかった。地震の揺れを吸収する「スリット」と呼ばれるすき間が構造図より減っており、配置場所も変わっているという。建設工事が施工図通りに行われていたとすれば、設計段階よりさらに強度が減ったことになる。

 同マンションは当初、国土交通省の発表で耐震強度が0.28とされた。しかし、藤沢市はその後、強度はさらに低い0.15で、震度5弱の地震で倒壊の恐れがあると修正した。

 施工図は実際の工事の内容を反映させた図面。構造図との食い違いは民主党の下条みつ衆院議員が指摘した。

 下条氏によると、地下1階の構造図は柱と壁の間のスリットが19カ所あるのに、施工図では10カ所しかなく、場所も変わっていた。スリットは地震の際、柱と壁が揺れ合ってできるずれで破壊されるのを防ぐために設けられる。

 施工図と構造図の食い違いは衆院の証人喚問でも取り上げられ、木村建設の篠塚明・元東京支店長は「作図のミスがあったと聞いている」と証言した。同マンションの施工担当者は朝日新聞の取材に対して「手抜き工事はしていない。施工図では鉄筋が少ないところもあるが、実際には構造図の通りにした。市役所に出した写真を見てもらえばはっきりする」と話している。

 この件に関連して下条氏は同日、施工図は藤沢市も保管しているが、内容が国土交通委に提出された施工図とは違うことも明らかにした。下条氏は「明確に違う。問題だと思う」と話している。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1222/TKY200512220819.html

耐震偽造:1月にヒューザー社長証人喚問 与党が方針転換 [毎日]

小嶋進社長 自民、公明両党は22日、耐震データ偽造問題で野党が求めていたマンション建築主、ヒューザーの小嶋進社長の証人喚問を受け入れる方針を固めた。来月20日の通常国会召集前に来月、衆院国土交通委員会で行う方向で調整する。与党は当初、捜査当局による捜査開始を理由に喚問を拒んだが、世論の反発を考慮し転換した。

 同問題では姉歯秀次元1級建築士らに対する証人喚問の際「自民党議員による追及が甘い」として自民党本部に抗議電話が殺到していた。一方、民主党は与党の喚問拒否に批判を強めており、世論の怒りが小泉政権批判に波及しかねない、との警戒が与党に働いた。【衛藤達生】

毎日新聞 2005年12月22日 22時42分 (最終更新時間 12月23日 0時39分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051223k0000m010144000c.html

木村建設社長と妻、破産手続きを開始 [読売]

 耐震強度偽装事件で、「木村建設」(熊本県八代市、破産)の破産管財人は21日、同社の木村盛好社長(73)と子会社「平成設計」(東京都千代田区、同)の社長を務める妻(52)に対し、東京地裁が同日、破産手続きの開始決定をしたことを明らかにした。

 木村社長は14日の国会証人喚問で「私の持っているすべての財産は、命以外、全部債権者の方に回す。日本国中で迷惑をかけたのは事実だから、せめて裸になって、と覚悟した」と話していた。

 同社本社隣の木村社長宅の玄関ドアには、社長の破産手続き開始決定を知らせる「告示書」が張り出された。

(2005年12月21日13時11分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051221ic06.htm

偽装発覚後も3戸売却、19戸引き渡し…ヒューザー [読売]

 耐震強度偽装事件で、開発会社「ヒューザー」が、偽装の疑いについて第1報を受けた10月25日以降、分譲マンション3物件の19戸を購入者に引き渡し、他の2物件3戸の売買契約も結んでいたことが分かった。

 21日の衆院国土交通委員会で、長妻昭委員(民主)の質問に対し、北側国土交通相が明らかにした。国交省では、同社が偽造を知りながら説明を怠った宅地建物取引業法違反の疑いもあるとみて、東京都と協力し、さらに調査を進める方針。

 国交省によると、引き渡しが行われたのは「グランドステージ藤沢」の17戸(10月28日)、「グランドステージ茅場町」の1戸(同27日)、「コンアルマーディオ横濱鶴見」の1戸(同26日)。売買契約を結んでいたのは、「グランドステージ藤沢」の1戸(同26日)、「グランドステージ船橋海神」の2戸(同25日と29日)。

 一連の強度偽装をめぐっては、10月25日、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)からの連絡で、ヒューザーの設計担当部長が、姉歯秀次・元1級建築士からヒューザー物件の一部で構造計算書の偽造を行っていたとの説明を受けていたことが分かっている。

 10月29日にグランドステージ藤沢に入居したという男性は「入居時にはヒューザー側から何の説明もなかった。問題を認識していたとすれば腹立たしい。一刻も早く補償して欲しい」と話している。

 グランドステージ藤沢については、東京都が15日、宅地建物取引業法にもとづき、ヒューザーの専務ら4人から事情を聞いたが、同社側は、「10月28日以前には強度不足の認識はなかった」とする報告書を提出している。

(2005年12月21日13時56分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051221i105.htm

「総研」関係4社も捜索…耐震偽装で合同捜査本部 [読売]

 耐震強度偽装事件で、警視庁と神奈川、千葉両県警の合同捜査本部が20日に捜索した関係先に、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)の関係4社が含まれていたことがわかった。

 「総研ビー・エイチ企画」(同)、「トータルサービス・エスジー」(同)、「エス・ジー通商」(同)、「ファン」(新宿区)の4社で、登記簿などによると、総研の内河健所長(71)や親族、総研役員が代表取締役などを務め、建築用資材の輸入・販売やホテルの開業・経営指導などを業務目的としている。

 捜査本部は、21日も姉歯元建築士の建築基準法違反容疑で、「木村建設」(熊本県八代市、破産)の本社や東京支店など19か所を捜索。これまでに、段ボール2000箱分の資料を押収した。

(2005年12月21日14時59分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051221ic07.htm

ヒューザー預貯金5千万円割った…社長が住民に説明 [読売]

 耐震強度偽装事件で、東京地裁に開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の破産申し立てを行う方針を固めたマンション住民らが21日、都庁で記者会見し、「ヒューザーの資産を保全する必要がある」などと、申し立てを決めた理由を語った。

 申し立てをするのは、ヒューザーが販売した「グランドステージ住吉」(東京都江東区)、「グランドステージ東向島」(同墨田区)「同稲城」(同稲城市)「同下総中山」(千葉県市川市)「同川崎大師」(神奈川県川崎市」の住民ら。

 八住庸平・グランドステージ住吉対策委員長は「先週、ヒューザーの小島(進)社長と会った際、1か月前に約30億円としていた会社の預貯金が、『今は5000万円を割り込んでいる』と明かされた」として、「ヒューザーは実質的に破たんしている。早期に資金流出を止め、資産を保全する必要がある」と説明。同社がこれまで住民側に示してきた補償案に関しては、「実現の可能性が乏しく、信用できない」と語った。

 申し立て時期は、他のマンションの住民とも相談したうえで決定するという。

(2005年12月21日22時17分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051221i116.htm

伊藤元国土庁長官、ヒューザー社長とゼネコンへ [読売]

 耐震強度偽装事件で、国土交通省が問題を公表する1週間前の11月10日、自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官が、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小島進社長(52)らと共にゼネコン「大成建設」(新宿区)を訪れ、偽装マンションの免震化について相談していたことが22日、分かった。

 大成建設によると、訪問の1週間ほど前、伊藤元長官の秘書から「集合住宅の免震化についてのレクチャーを受けたい」と同社側に連絡があり、伊藤元長官、秘書、小島社長、設計会社「スペースワン建築研究所」(港区)の社員の計4人が大成建設本社を訪れた。

 面会では、対応した大成建設の総務担当者と技術担当者に対し、ヒューザーが建築主でスペースワン建築研究所が設計し、姉歯秀次・元1級建築士が構造計算した、千葉県船橋市の分譲マンション「セントレジアス船橋」(工事停止中)について、「免震化できないか」と相談があったという。技術担当者は「かなり難しい」と判断し、ヒューザー側にその結果を伝えたという。

 伊藤元長官は11月15日、小島社長を国交省の担当課長に引き合わせていたことも明らかになっている。

 伊藤元長官の事務所は「議員がいないので分からない」と話し、ヒューザーも「担当者がいない」としている。

(2005年12月22日15時7分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051222i305.htm

ヒューザー社長喚問、当面なし 与党「捜査見守る」 [朝日]

2005年12月21日12時00分

 耐震強度偽装問題で、衆院国土交通委員会は21日、マンションの建築主ヒューザーの小嶋進社長について、当面、証人喚問をしないことを決めた。「再発防止には事実解明が必要」という野党側と、20日に警視庁などが強制捜査に入ったことを受け「捜査を見守るべきだ」とする与党側が折り合わなかったため。

 姉歯秀次元建築士が最初に構造計算書の偽造をしたと証言した東京都内のマンションはヒューザーの物件で、野党側は小嶋社長の証人喚問を求めていた。しかし、与党側は21日の理事会でも慎重姿勢を崩さず、証人喚問要求は理事会の全員一致が原則のため、当面は喚問しないことになった。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1221/003.html

建築基準法:建物の「完了検査」3割未実施 国交省調査 [毎日] (2)

 建築基準法で建物の完成後に建築主に義務付けられている「完了検査」の実施率が約7割にとどまっていることが、国土交通省の調査で分かった。完了検査を受けない建築主には罰則があるのに、自治体からの告発も行われていなかった。同省は「完了検査を徹底するために、罰則の適用も検討するよう、行政機関に働きかけたい」としている。

 工事完了後4日以内に自治体の建築主事か指定確認検査機関に申請する。建築確認時の図面や構造計算書をもとに現地調査し、建ぺい率や容積率、外壁材や窓ガラスなどが規定通りかがチェックされ、適合していれば検査済証が交付される。提出書類の中には、工事途中の現場写真も含まれ、鉄筋の数や太さのチェックも可能だ。

 しかし、検査を受けることは建築主の義務にもかかわらず、同省の調べでは、昨年度の実施率は全国で73%に過ぎなかった。99年の46%と比べれば向上しているものの、3割近くは完了検査を受けないまま使用されていることになる。

 また、都道府県によって実施率が大きく違い、岩手(90%)▽北海道(89%)▽広島(同)などが高率なのに対し、50%台も茨城(51%)▽和歌山(55%)▽群馬(55%)▽香川(57%)と4県あった。

 さらに、現行法では完了検査を受けなかった建築主は、30万円以下の罰金が科せられることになっているが、自治体からの告発は過去10年間で1件もなかった。自治体が違法状態であることを知りながら、“野放し”にしていた実態が浮き彫りになったといえる。【青島顕、渡辺暖】
毎日新聞 2005年12月22日 15時00分
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051222k0000e040091000c.html

使用禁止命令、自治体の足並みそろわず 耐震偽装事件 [朝日]

2005年12月22日00時03分

 耐震強度偽装事件で国土交通省と関係自治体の連絡協議会が21日あり、倒壊の恐れがあるマンションで多数の住人がまだ退去できていない実態が報告された。国交省は22日に使用禁止命令を出すよう自治体に求める方針だったが、退去の遅れで自治体の足並みがそろっていないことから、年内に命令を出すことを確認するにとどまった。

 強度が基準の半分に満たないマンションのうち分譲10棟で246戸、賃貸7棟で25戸(ともに20日時点)が退去していない。東京都墨田区の分譲マンションの使用禁止命令は来年1月にずれこみ、同中央区の分譲マンションは発令の見通しが立っていないという。

 また国交省はこの日、建物の解体時に鉄筋量などを調べる「検証マニュアル」を新たに作る考えを明らかにした。偽装の実態を記録し、捜査に役立てる狙い。1月に完成させ、自治体やホテル所有者に提供する。
URL:http://www.asahi.com/life/update/1222/001.html

耐震偽装関連3社から献金652万円 上野元副長官らに [朝日]

2005年12月22日16時16分
 耐震強度偽装事件で20日に警視庁などの合同捜査本部の家宅捜索を受けた木村建設(熊本県八代市)など3社側から、上野公成・元官房副長官(自民)と園田博之・同党政調副会長(同)、小林興起・元財務副大臣(新党日本)が少なくとも計652万円の献金を受けていたことが、22日までに公開された政治資金の収支報告書で分かった。このうち上野氏と園田氏の事務所は「全額を返金した」としている。

 事件をめぐっては、自民党森派の政治団体がマンション建築主のヒューザー(東京都、小嶋進社長)などから受けた計660万円を今月8日に返金することを決定。同社が100万円分の政治資金パーティー券を購入していた伊藤公介元国土庁長官が11月、小嶋社長とともに国土交通省幹部と面会していたことも明らかになっている。

 上野元官房副長官側へは、建築確認で偽装を見逃した民間の検査機関・日本ERIの鈴木崇英社長が昨年7月の参院選前に計400万円を献金した。元政策秘書が会計責任者を務める「住宅計画懇話会」と「公成会」にそれぞれ3月と4月に100万円ずつ。さらに5月14日にも、資金管理団体「上成会」と自民党の「群馬県参院選挙区第2支部」にそれぞれ100万円ずつを献金した。

 政治資金規正法は、個人献金の上限額を一団体につき年150万円と定めており、複数の団体に分散献金した形だ。

 上野氏は旧建設省で住宅建設課長などを歴任。鈴木社長は今月7日の衆院国交委員会で「大学の友人として応援した」と献金の理由を説明している。上野氏の元秘書は「あくまで個人としての献金。世間をお騒がせしたので、既に全額を返金した」と話している。

 園田政調副会長の資金管理団体「園田博之後援会」へは施工会社で破産手続きを開始した「木村建設」(木村盛好社長)が02年から昨年まで、毎年政治資金パーティー券の購入費として計180万円を献金したと記載されている。

 さらに、報告書に記載はないが、園田氏の事務所によると、02年に20万円分のパーティー券を購入してもらったという。

 園田氏の事務所は「中選挙区時代から応援してもらっているが、献金を受けるにあたって何らかの依頼や請託を受けたことはない。債権者救済に役立てば、と考え、同社の破産管財人に全額を返金した」と話している。

 小林元財務副大臣は、代表を務める「自民党東京都10区支部」には、ヒューザーから昨年に60万円、03年と01年にそれぞれ6万円の計72万円の献金があった。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1222/007.html

助成対象の家賃上限20万円 中央区がマンション住民に  [産経]


 耐震強度に問題があると指摘された東京都中央区のマンション「グランドステージ茅場町」の住民に対し、中央区は20日夜、区役所で説明会を開いた。

 区は一時移転者への支援策として、家賃の20万円分までは、その3分の2を助成することを表明した。

 中央区の地価が墨田区や江東区に比べて高いことを受け、住民の自己負担分を両区のマンションと同額程度にとどめるように、差額分を負担することも明らかにした。差額分は建築主ヒューザーに請求する。

 このマンションの管理組合は説明会の後に対応を協議。理事の男性(47)は「個人的には区の決定を評価するが、全員が賛成しているわけではない。意見の調整が必要」と話した。(共同)


総研指導139ホテルを自治体に調査要請 [読売]


 耐震強度偽装問題で、国土交通省は20日、総合経営研究所(総研)が1970年以降に開業指導した36都道府県の計139ホテルについて、姉歯元建築士が関与していないかや、「姉歯物件」以外でも強度不足の建物がないか、関係自治体に調査を要請した。

 総研が同省に提出したリスト記載のホテル203物件から、すでに姉歯元建築士、木村建設、平成設計の関与が判明している64物件を除いたもの。95年以降開業した60ホテルについては、優先的に調査するよう指示した。

(2005年12月20日21時18分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe5500/news/20051220i213.htm

耐震偽装防止 法改正案国会提出へ 政府・与党が方針 [朝日]

2005年12月20日23時56分

 政府・与党は、マンションなどの耐震強度偽装問題を受けて、建築基準法や建築士法などの関連法改正案を次期通常国会に提出する方針を固めた。法が想定していなかった悪意による偽装に対応し、再発防止を図る目的。違法行為への罰則強化や、建築確認をする民間の指定確認検査機関への監督強化などが柱となる。民主党など野党も大筋で異論はなく、通常国会で改正法が成立する見通しだ。

 小泉首相は20日夜、首相官邸で記者団に「全体に罰則が軽すぎるんじゃないかという気持ちを、私は持っている。法律の専門家に言わせると『全体のバランスがあるから』ということだけれども、これから検討していただきたい」と語り、改正作業への期待を示した。

 19日の政府・与党連絡会議で、公明党の神崎代表は「違法設計に対する罰則、建築確認を行う民間機関に対する監督強化の建築基準法改正をしてもらいたい」と要望。自民党の中川秀直政調会長も18日、「通常国会で建築士法や建築基準法を改正しなければならない」との考えを示している。

 偽装問題をめぐっては、すでに北側国交相の諮問機関「社会資本整備審議会」の専門部会が、建築確認行政の在り方の抜本的見直し作業に入っている。政府・与党は、2月に審議会がまとめる中間報告を受け、改正法案をまとめる。

 具体的に想定されているのは、建築確認への監督強化と、最高50万円の罰金となっている罰則の大幅強化(建築基準法)▽建築士免許への更新制の導入(建築士法)▽建築主から購入者への補償制度の充実(住宅品質確保促進法)など。

 建築確認は、98年の法改正で民間にも開放された。今回の問題では、民間や自治体の建築確認で偽装を見抜けなかったことが被害を拡大したと指摘される。こうした事態を防ぐため、抜き打ち検査の導入や中間検査の義務づけなど、国や都道府県の監督機能の強化が検討されている。

 また、実質終身制の建築士免許については、一定期間ごとの更新制導入を検討。職業倫理に問題のある建築士らの免許を国交省や都道府県が職権で取り消すことができるようにする方向だ。

 一方、中川政調会長は、国交省について「産業振興的な住宅行政と監視機能をいっしょにやっている。そこを分けなければならない」と指摘。建築行政のあり方についても見直すべきだとの考えで、与党としても検討を急ぐ。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1220/012.html

偽装マンション、22日に使用禁止命令 強度不足の9棟 [朝日]

2005年12月21日07時56分

 構造計算書の偽造により震度5強程度の地震で倒壊する恐れのあるマンションについて、国土交通省は、地元自治体に、22日付で使用禁止命令を出すよう求める方針を固めた。すでに一部の自治体が使用禁止命令を出しているが、残りのマンションについても住民の退去と解体を急ぐ必要があるとして、21日の関係自治体の連絡協議会で申し合わせを図る。うち賃貸マンションについては、1月上旬に解体命令を出す方向で調整する。

 国交省によると、耐震強度が基準の50%に満たないマンションは20日までに16棟判明している。うち東京、千葉の2都県の分譲5棟と賃貸4棟の計9棟は住民の退去が済んでおらず、使用禁止命令も出ていない。9棟には全397戸中200戸近くが残っていると見られ、特に分譲は住民の8、9割が残っている棟もある。国交省は速やかな退去には、自治体による命令が必要と判断した。千葉県船橋市の賃貸2棟は、市が21日に使用禁止に向けた予備命令を、28日に本命令を出す方針だが、足並みをそろえるよう求める。

 残る7棟のうち5棟は、すでに使用禁止命令が出ており、東京都港区の賃貸2棟は全戸退去している。

 解体命令が出される見通しの賃貸マンションは、千葉県の2棟と東京都の2棟。ほかに港区の2棟は、建築主のシノケン(福岡市)が自ら解体する方針を示している。

 建築基準法は、危険な建物について、建築確認を出す権限のある自治体が、解体や使用禁止を命令できると定めている
URL:http://www.asahi.com/national/update/1221/TKY200512200511.html

耐震偽造:総研「上納金」集め 平成設計から幽霊会社通じ [毎日]

 耐震偽造データ事件で、警視庁など合同捜査本部の家宅捜索を受けた総合経営研究所=東京都千代田区、内河健(うちかわたけし)社長(71)=が、ビジネスホテル建設に絡む設計会社からの「上納金」を、トンネル会社2社に振り込ませていたことが分かった。いずれも登記のみで実体がなく、総研側が裏金作りに利用していた疑いもある。捜査本部も総研の資金の流れに注目しており、調べを進める。

 総研は、経営指導先の「木村建設」(熊本県八代市)の子会社「平成設計」(千代田区)を元請け設計事務所として、姉歯秀次・元1級建築士に多数物件の構造設計を依頼。ホテル開業指導をした地主らから数千万円のコンサルタント料を受け取るほか、平成設計からは設計料の25%を吸い上げていた。

 トンネル会社は有限会社の「内河(ないがわ)」(千代田区)と「栄光企画」(福岡市博多区)。毎日新聞が入手した請求書や証言によると、総研は平成設計に対し、2社に「企画料」などの名目でホテル1棟当たり180万円~1400万円を振り込むよう指示。1回分としては、04年9月30日付で栄光企画に振り込まれた3769万円(5棟分)が最も多かった。

 内河は81年設立で、登記上の住所は、かつて総研本社や平成設計など関連会社が入居していた4階建ての空きビル。先月5日から解体工事に入る「お知らせ」の掲示があった。内河社長の妻子が役員を務め、今月9日に役員変更登記を届け出た。

 栄光企画は、78年の設立から内河社長が取締役だったが、今月8日に解任。かつて役員を務めた福岡県内の1級建築士は「知人に頼まれ名前を貸しただけ。内河さんが作った実体のない会社」と話した。

 平成設計は、ほぼ全部が総研絡みの仕事で、設計料は多い時で年間7億円、上納金だけで1億5000万円を超えたという。関係者は「上納額は設計料の25%に固定され、振込先はその都度総研に指示された。額が大きすぎて、借金しないと追いつかないこともあった」と証言。一方、総研の複数の幹部は「うちが取るのはコンサルタント料だけ」と話している。【吉永磨美、船木敬太】


耐震偽造:強制捜査、「不作為の連鎖」にメス! [毎日]


 耐震データ偽造の発覚から1カ月余を経て、警視庁と千葉、神奈川両県警の合同捜査本部は20日、強制捜査に乗り出した。捜査本部は、姉歯秀次元建築士の建築基準法違反容疑を足掛かりに、詐欺容疑での立件を目指す方針だ。だが、姉歯元建築士以外は「偽造に気づかなかった」などと関与を否定。「法の不備」もあり、捜査には多くの壁が立ちはだかっている。【合田月美、大平誠】

 ◇詐欺立件に多くの壁

 姉歯元建築士の偽造書類を素通りさせた指定確認検査機関「イーホームズ」▽欠陥のある設計図面のまま工事をした施工者「木村建設」▽強度不足の事実を伝えないままマンションを販売した建築主「ヒューザー」。事件の構図は現在、関係者がなすべきことをしなかった「不作為」の連鎖にとどまっている。

 いずれも民事上の責任は問える可能性があるが、刑事責任追及は難しい。捜査本部は「購入者をだまして欠陥マンションを売った」という詐欺容疑の適用を目指すが、まず第一に「物件の安全性が違法状態と知っていた」ことの立証が欠かせない。さらに、購入者をだます意図があったかなど、越えなければならないハードルは多い。

 ヒューザーの小嶋進社長は11月29日の衆院参考人質疑で「正常でない人によって間違った計算書が作られ、確認済み証通りに(マンションを)着工しただけ」と主張。他の関係者も姉歯元建築士の「個人犯罪」を強調している。「不作為では詐欺容疑の適用は難しい。言い逃れを崩すには、物証が必要だ。一斉捜索でそれが得られるかどうかで流れは変わる」と専門家は指摘する。

 ◇「偽造認識」の翌日引き渡し…GS藤沢

 偽造が確認された78棟のうち、グランドステージ藤沢(神奈川県藤沢市、30戸)は、詐欺罪の立証を阻む「不作為の壁」が最も低いとみられる物件だ。

 完成は9月末で、鍵の引き渡しが始まったのは10月28日。ヒューザーの小嶋進社長が、イーホームズの藤田東吾社長らと協議し「偽造を認識」した翌日のことだ。また、偽造段階で基準値の28%だった耐震強度が、木村建設の施工段階で15%まで落とされ、震度5弱で倒壊の恐れがあることも分かった。

 引き渡し時点で、偽造が確認されていたヒ社のマンションは「藤沢」を含めた完成済み7棟と、建築中や未着工の4棟。藤田社長は「小嶋社長には、7棟を公表しないでくれ、4棟については何としても審査を通してくれ、と言われた」と話す。さらにその際、同席していたデザイン設計事務所経営者が「(審査を通すため)偽の写真を貼り付ければいい」と提案し、小嶋社長が「そうしよう」と勢いづいたという。「偽の写真」とは、中間検査や完了検査の際に検査機関に提出する現場写真で、正規の鉄筋量を使った場合の写真にすり替えることを意味する。

 ところが、ヒ社広報部は「協議でイー社が偽造に言及したのは建築中などの物件。完成済み物件については触れなかったので、大丈夫だと思った」と主張。東京都は、耐震構造に問題があることを知りながら引き渡した疑いがあるとみて、ヒ社から事情を聴き、20日に報告書の提出を受けた。都は「内容は言えない」としているが、同様の説明をしたとみられる。

 耐震強度が15%しかなかったことについて、木村建設の篠塚明・元東京支店長は「施工図にする段階で作図ミスがあった」と国会の証人喚問で釈明したが、真相は闇の中。今後の捜査でポイントになるとみられる。

 ◇建築基準法に限界

 捜査本部が事件に適用する罪名を模索している背景には、国土交通省の告発容疑になった「建築基準法」の限界がある。同法は、構造耐力が基準を下回る建築物について「設計者に50万円以下の罰金」としか規定していない。書面上のミスを対象にした「形式犯」であり、故意の設計偽造を想定したものではない。

 さらに、設計図に忠実な工事をすれば、たとえ強度不足の建物でも、故意でなければ施工者に罰則は及ばないというのが通説。具体的指示がなければ建築主、経営コンサルタントに適用するのはもっと難しい。「捜査の過程で、さらに法の不備がはっきりするだろう」と捜査幹部は指摘する。

 また、罰金相当の犯罪は、裁判所に起訴(公判請求)されず、略式起訴で罰金処分となるのが通例だ。それでは世論が納得しないことは、捜査幹部も承知しており、そのことが、詐欺容疑を視野に入れた「徹底捜査」を迫らせている。

 一方、三菱自動車製大型車のタイヤ脱落事件で、検察当局は昨年、旧道路運送車両法違反で同社元幹部を起訴した。同法違反は最も重くて罰金20万円だが「企業責任の解明に不可欠」との理由で異例の公判請求に踏み切った。警察庁幹部はこの事件を例に挙げ「建築基準法や業界が抱える問題の本質に迫りたい」と意気込みを見せている。

毎日新聞 2005年12月21日 0時18分 (最終更新時間 12月21日 0時33分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20051221k0000m040152000c.html

耐震偽装、100カ所捜索 刑事責任幅広く検討

2005年12月20日15時07分
 警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は20日午前、姉歯秀次・元建築士(48)=千葉県市川市=の事務所兼自宅や建築主、施工業者など計約100カ所について建築基準法違反容疑で家宅捜索を始めた。押収資料の分析とともに関係者の事情聴取を進め、倒壊の恐れがあるマンションが販売されるまでの過程に各業者がどのようにかかわったか解明する。これまでに偽装が確認された建物は全国に計82棟。捜査本部は同法違反を入り口に、宅地建物取引業法違反や詐欺罪など様々な観点から刑事責任の有無を調べるとみられる。

 家宅捜索の容疑者は姉歯元建築士1人で、その他はいずれも関係先として捜索した。捜索先は首都圏と九州の1都5県に広がり、捜査員500人以上を動員した。

 調べでは、設計者には建築基準法20条により、建物の構造を安全なものにする義務があるのに、姉歯元建築士は構造計算書を偽造し、耐震性が大幅に足りないマンション3棟とホテル1棟を建てさせた疑い。

 同条には罰金50万円以下の罰則があり、原則として設計者に適用される。今回の事件で一義的には構造計算書を偽造した姉歯元建築士や、姉歯元建築士に構造計算を下請けさせた元請けの設計業者が責任を問われる。

 国土交通省が告発対象とした四つの建物では、都内の2設計事務所と建築主でもあるシノケン(福岡市)と施工者でもある木村建設(熊本県八代市)が元請けの設計者だった。

 一方で建築主が設計者に偽装を指示した場合は建築主も、それを施工者が知っていた場合は施工者も処罰対象となる。

 姉歯元建築士は国会の証人喚問で、偽装の背景には木村建設からの圧力があったと証言。さらにコンサルタント会社総合経営研究所(東京都千代田区)の幹部が、ホテル建設をめぐって鉄筋量を減らすよう求めた書類を設計会社に渡していたことも明らかになった。

 捜査本部はこれらが姉歯元建築士の偽装にどう関係していたのか、調べを進める。

 これとは別に、建築主が偽装を知りながら、耐震強度が足りないという重要事項を購入者に隠して売った場合は宅建業法違反に問われる可能性がある。

 構造計算書を偽造した設計者、工事を請け負った施工業者、マンションを売った建築主ら、計画から販売に至るそれぞれの担当者が共謀していた場合は、購入者を被害者とした詐欺罪が成立するとの見方もある。

 捜査本部は構造計算書をもとに建築確認済証を発行した検査機関についても、偽装を見過ごした経緯を調べる。

    ◇ 

 家宅捜索を受けた主な関係先は次の通り。

 建築主 ヒューザー(東京都千代田区)▽シノケン(福岡市)▽サン中央ホーム(千葉県船橋市)

 施工会社 木村建設(熊本県八代市、破産手続き開始)▽志多組(宮崎市)▽太平工業(東京都中央区)

 設計会社 平成設計(千代田区、破産手続き開始)

 検査機関 イーホームズ(東京都新宿区)▽日本ERI(東京都港区)

 その他 総合経営研究所(千代田区)


伊藤公介氏、自民住宅土地調査会長を辞任 [朝日]

2005年12月20日02時51分
 自民党の伊藤公介衆院議員は19日までに、党住宅土地調査会長の辞表を党に提出し、受理された。伊藤氏は耐震強度を偽装したマンション問題が公表される前、マンション建築主ヒューザーの小嶋進社長らを伴い、国土交通省幹部と面会しており、野党から国会での参考人招致を求める声が出ていた。

 伊藤氏の事務所では「諸般の事情で党にすべてを委ねている」としており、辞任を促されたとみられる。伊藤氏は当選9回。国土庁長官を務め、「公団住宅を守る議員連盟」の会長を務めるなど住宅、土地政策に詳しい。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1220/001.html

偽装施工元請け、木村以外28社に報告求める…国交省 [読売]

 耐震強度偽装問題で、国土交通省は19日、「木村建設」(熊本県八代市、破産)以外で、偽装物件の施工元請けとなっていた建設会社28社に対し、下請け発注先や受注の経緯などについて報告を求めることを明らかにした。

 国交省ではこのほか、元請け28社に対し、請負金額や設計者、受注の経緯などを報告させる。
(2005年12月19日23時54分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051219i318.htm

「姉歯」以外の疑惑物件担当の4社、不正行為否定 [読売]

 耐震強度偽装問題で、「木村建設」(熊本県八代市、破産)が衆院国土交通委員会に提出した「積算対比表」のホテル31物件について、姉歯秀次・元1級建築士(48)以外に構造設計を担当した4社すべてが、19日判明。いずれも強度偽装などの不正行為を否定した。

 このうち、福岡県など6物件のホテルの構造計算を担当した熊本市の設計会社は「十分な時間をかけて、必要な鉄筋を必要な分だけ配筋」しており、問題はないと回答。また、高知県内のホテル1物件を担当した宮崎県の設計会社は「建築基準法を破るようなことはしない」とコメントした。静岡県内の1物件を手がけた会社は、「再計算の結果、強度に問題はなかった」と語った。残る1社の「塩見」(広島市)は17日に記者会見し、偽装を否定している。
(2005年12月19日21時56分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051219i216.htm

「姉歯」偽装、新たに2件で計77物件に…国交省 [読売]

 耐震強度偽装問題で、国土交通省は19日、構造計算書の改ざんが確認された「姉歯物件」が新たに2物件増え、計77物件に上ると発表した。

 新たに地方自治体から報告があったのは、東京都中央区の賃貸マンション「グランディオ日本橋」(15戸)と、川崎市の分譲マンション「グランドステージ江川」(42戸)。

 「日本橋」は耐震強度が50%を下回る恐れがある。2棟で構成されている「江川」は、1棟は強度に問題がなかったが、他の1棟は耐震強度が57%だった。

 いずれも行政が建築確認した物件で、一連の偽装発覚で、自治体がいったんは「偽装はない」と報告したものの、再々調査で偽装が確認された。
(2005年12月19日12時14分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051219i104.htm

木村施工5ホテルの構造計算、広島の会社が偽装否定 [読売]

 広島市の構造設計会社「塩見」は17日、記者会見し、耐震強度偽装問題に絡み「木村建設」(熊本県八代市、破産)が14日に衆院国土交通委員会に提出した「積算対比表」に掲載されている31棟のホテルのうち、6棟の構造計算を受注したことを明らかにした。

 うち5棟について塩見は「鉄筋量が少ないという指摘はあるが、耐震基準は満たしている。複数の担当者が構造設計に携わっており、偽装はない」と述べた。

 6棟のうち福岡県の1棟は、最終的に姉歯秀次・元1級建築士(48)の設計が採用されたホテルで、偽装が判明している。

 積算対比表の31棟のうち、9都県にある14棟は、塩見のほか熊本県などの計4つの構造設計事務所が構造設計を受注したことが国土交通省などの調べで分かっている。

 塩見によると、同社は木村建設が施工したホテルのうち、今回明らかにした6棟を含む計20棟の構造設計を受注していた。さらに木村建設施工の九州地方などのマンション5棟の構造設計も受注しており、「残りのホテル、マンションについても早急に再点検して、公表したい」としている。

 積算対比表に掲載されているホテルで、姉歯元建築士以外が構造計算を手掛けた中には、延べ床面積1平方メートル当たりの鉄筋量が70キロ・グラム以下のものが9棟ある。この鉄筋量について「少なすぎる」と指摘する専門家もおり、国土交通省は重点的に調査をしている。

(2005年12月17日22時40分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051217i114.htm

耐震偽装への税金投入批判、被害住民悩ます中傷も [読売]

 耐震偽装問題で、強度不足マンションの解体・建て替えや住民への公的支援策が打ち出されるなか、国土交通省や自治体に対し、「税金を投入するのはおかしい」といった意見が寄せられている。

 新潟県中越地震の被災者などに比べて支援が手厚すぎるといった指摘も目立つ。一方、インターネットの掲示板では被害者のマンション住民を中傷する書き込みが相次ぎ、「まわりの人に敵意を持たれているようで怖い」と訴える住民も出ている。

 国交省には16日までに、この問題についての意見が電話などで計約1300件寄せられた。マンションを自治体が買い取って解体、建て替え、住民に再分譲する枠組みが発表された6日以降は、反対意見が大部分になった。「住民の自己責任でやるべきだ」などの声が目立つという。

 「グランドステージ東向島」がある墨田区では、当初は家賃減免の方針を示さなかった区への非難が多かった。だが6日からは一転し、「責任を問うべきはヒューザーやイーホームズ。税金を使ってほしくない」とする意見が大勢を占めるようになった。

 「グランドステージ住吉」を抱える江東区にも、「阪神大震災を経験したが、あの時は住宅再建に税金は使われなかった。不公平だ」などとする意見があった。横浜市でも公的資金投入に反対する投書やメールが11件寄せられている。これを受け同市は16日、支援には市ではなく国の予算を使うよう求める要望書を国交省に提出した。

 中越地震などの際の支援との違いばかりでなく、買い取りの対象が耐震強度0・5で線引きされたことなども不公平感につながっているようだ。

 当の住民からは「自分が当事者でなかったら、手厚い支援はおかしいと思うから仕方がない」(「東向島」の女性)というあきらめのような声も。「住吉」の男性は「『私たちは被害者だ』と主張するだけでは本当の解決にならない。当然、我々もリスクを負うべきだと思う」と、批判を冷静に受け止めている。

 こうした批判とは別に、住民たちを悩ませているのは一部のインターネット掲示板だ。住民の発言を「気にくわない」などとやり玉に挙げる心ない書き込みが多い。あるマンション住民は別の住民から、「ネットの掲示板に悪く書かれるので、マスコミに過激なことは言わないで」と頼み込まれたこともあったという。

 マンションの住民代表は「最初は倒壊の恐怖や生活の変化によるストレスが大きかった。ところが、最近では公的支援への批判が高まっていることで、『周囲の人たちに敵意を持たれている』と外出を怖がる人が増えてきた」と、心理的圧迫の深刻さを明かす。

(2005年12月18日10時46分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051218it03.htm

耐震偽造:建築士法改正案を次期国会提出へ 政府・与党 [毎日]

 政府・与党は18日、耐震データ偽造問題を受け、建築士の資格に更新制を導入したり、設計者に対する罰則強化などを盛り込んだ建築士法、建築基準法改正案を、次期通常国会に提出する方針を固めた。自民党の中川秀直政調会長は同日、NHKの報道番組で「次の通常国会で、必ず建築士法や建築基準法を見直し、改正しなければならない」と語った。

 現行の建築士法は違法行為があっても、行政処分を受けない限り、資格が取り消されない仕組み。このため、同法を改正し、一定期間ごとの資格の更新を義務づけ、事実上の取り消しを可能とする案が浮上している。併せて、建築基準法を改正し、耐震基準を満たさない建築物を設計した場合、最高50万円の現行罰則規定を厳格化する。中川氏はさらに、民間の指定確認検査機関の監視体制を拡充するため、国交省内の体制も強化する考えを同時に示した。【高山祐】

毎日新聞 2005年12月18日 18時55分 (最終更新時間 12月18日 20時16分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20051219k0000m010064000c.html

■強度偽装事件Ⅰ から続く

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