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■司法06Ⅰ

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■司法

このページは、司法全般、裁判、法解釈に関するニュースと意見のページです。裁判となった個別の事件については、それぞれのテーマに該当するページがあればそのページに掲載します。該当するページがなければ、このページに掲載します。


0728 一緒に飲酒、乗らなかった同僚にも責任…ひき逃げ死亡 [読売]

 埼玉県坂戸市で2001年、大学生だった正林幸絵(まさばやし・さちえ)さん(当時19歳)が酒酔い運転の車にひき逃げされ死亡した事件で、遺族が、運転手の元会社員(37)(危険運転致死傷罪などで懲役7年確定)と、運転前に一緒に飲酒した同僚(33)などを相手取り、計約8100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、東京地裁であった。

 佐久間邦夫裁判長は、同僚についても「深酔い状態にあることを知りながら、運転を止めなかった責任がある」と賠償責任を認め、元会社員と同僚、車の所有者だった勤務先の会社に、計約5800万円を支払うよう命じた。

 原告代理人によると、飲酒運転による事故で同乗者の責任を認めた判例はあるが、直前まで一緒に飲酒した者の責任を認めた判決はほとんど例がないという。

 判決によると、元会社員は01年12月28日夜から29日未明にかけ、同僚らと計3店で飲酒した後、駐車場で同僚と別れ、会社の車で帰宅する途中に正林さんら3人をはねて逃走した。正林さんと女子短大生(当時20歳)の2人が死亡し、もう1人が重傷を負った。

 訴訟では、元会社員と勤務先の会社は責任を認めたが、同僚は「法的責任はない」と主張した。この日の判決は、「正常な運転ができないほど飲酒を勧めた者には、運転を制止する義務がある」とした上で、同僚について、「長時間にわたり一緒に飲酒しており、飲酒を勧めたのと同一視できる」と指摘。「深酔い状態で運転すると分かっていたのに、元会社員を駐車場に残して帰宅したのは、飲酒運転をほう助したと言える」と、結論付けた。

 原告側は、元会社員の妻についても、「夫が飲酒運転の常習者で、酒を飲んで帰ると知っていた」として賠償を求めたが、判決は、「帰宅途中の事故を回避させる方策はなかった」として、認めなかった。

(2006年7月28日21時16分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060728it13.htm

0620 光市の母子殺害、無期懲役を破棄・差し戻し…最高裁 [読売]

判決を受けて会見する夫の本村洋さん 山口県光市で1999年に起きた母子殺害事件で、殺人や強姦致死などの罪に問われ、1、2審で無期懲役の判決を受けた同市内の元会社員(25)(犯行時18歳)に対する上告審判決が20日、最高裁第3小法廷であった。

 浜田邦夫裁判長(退官のため、上田豊三裁判官が代読)は、2審・広島高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。同高裁で改めて審理されるが、元会社員に死刑判決が言い渡される可能性が極めて高くなった。

 1、2審判決によると、元会社員は99年4月、本村洋さん(30)宅に侵入し、妻弥生さん(当時23歳)に乱暴して抵抗されたため手で首を絞めて殺害。泣きやまなかった長女夕夏ちゃん(同11か月)も床にたたきつけ、首をひもで絞めて殺害した。

 2000年3月の1審・山口地裁と、02年3月の2審・広島高裁は、元会社員が前科のない少年だったことを重視。母親を自殺で失うという家庭環境や、公判での謝罪の言葉なども考慮し、更生の可能性が残されているとして、無期懲役を選択していた。

(2006年6月20日15時10分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060620it11.htm?from=top

0607 「即決裁判」起訴→判決は14日以内…最高裁方針 [読売]

 刑事裁判の迅速化を図るため、今年10月にも導入が予定されている「即決裁判」を巡り、最高裁は6日、起訴から判決までの期間を「原則14日以内」とする方針を固めた。

 「即決裁判」は、殺人や強盗など重大事件を除く比較的軽微な事件で、被告が認めているものに限り1回の裁判で決着させる新たな制度。従来は、同様のケースで起訴から判決言い渡しまで平均約2・6か月かかっていたが、これが2週間に短縮されることで、大幅な効率化が図れそうだ。

 即決裁判は、司法制度改革の目玉の一つとして導入される。捜査段階で容疑者が罪を認めた場合、検察官が本人や弁護側の了承を得た上で、起訴と同時に裁判所に申し立てる。初公判は原則14日以内に開かれ、被告が起訴事実を認めれば、その日のうちに審理を終え、判決を言い渡す。

 対象は、万引きなど窃盗、覚せい剤使用、外国人の不法滞在事件などの初犯の事件が中心。ただし、執行猶予が付かないような悪質なものは除外される。現在、全国の地裁と簡裁で扱っている刑事事件は年間約13万2800件に上る。最高裁では、このうち「即決裁判」の対象は、約1割の1万数千件と想定している。従来の刑事裁判では、軽微な事件で被告が起訴事実を認め、審理が1日で終結しても、判決は別の日に言い渡されているケースが多かった。

(2006年6月7日9時20分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060607i201.htm

0606 オウム松本被告の弁護側、最高裁に特別抗告 [読売]

 オウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫被告(51)の弁護側は5日、控訴棄却に対する異議を退けた5月29日の東京高裁決定を不服として、最高裁に特別抗告した。

 特別抗告が認められなければ、1審・東京地裁の死刑判決が確定する。

 弁護側は、「松本被告に訴訟能力がないにもかかわらず裁判を打ち切った決定は、憲法が定める『裁判を受ける権利』を侵害した」と憲法違反などを主張している。

 東京高裁は今年3月、松本被告に訴訟能力があると判断し、弁護側が控訴趣意書を提出しなかったことを理由に控訴を棄却。これに対する弁護側の異議について、同高裁の別の部が同様の判断を示し、異議を棄却していた。

(2006年6月6日0時19分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060605i116.htm

0603 代用監獄法案が可決 留置と捜査未分離 参院委 [赤旗]

 捜査当局による自白強要と冤罪(えんざい)の温床になっている代用監獄(警察留置場)を将来にわたって存続させる代用監獄法案が一日、参院法務委員会で自民、公明の賛成多数で可決しました。共産、民主、国民の各党は反対しました。

 採決に先立ち、日本共産党の仁比聡平議員が質問にたち、警察庁のいう「捜査と留置の分離」が法律上も人事上もされていないことを明らかにしました。

 仁比氏は、留置担当官は人事上の職名ではないことを明らかにした上で、▽個別の留置業務ごとにその任務につく▽警察官も留置業務を命ぜられれば留置担当官になることができる―と指摘。警察庁は「留置担当官が被留置者に係る犯罪捜査に従事してはならないというが、例えば、A警察官が留置担当官を命ぜられ被疑者の押送業務にあたるが、同業務が終われば、その被疑者の捜査にA警察官が従事できることになる、と指摘しました。

 警察庁の安藤隆春官房長は、仁比氏の指摘を認めました。

 仁比氏は、警察庁が説明してきた「捜査と留置の分離」が法案では全然担保されていないと強調。代用監獄は廃止すべきであり、廃止までの間、「捜査と留置の分離」をいうのなら、文字通り別個独立した業務として適正に行われるべきだと厳しく指摘しました。
URL:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-06-02/2006060204_02_0.html

0602 「代用監獄」に根拠、収容処遇法が成立 [読売]

 拘置中の容疑者、被告や死刑確定者の処遇について定めた刑事収容施設・被収容者処遇法が、2日午前の参院本会議で自民、公明各党などの賛成多数で可決、成立した。

 同法は、警察の留置場を拘置所代わりに使う「代用監獄」に法的根拠を与える一方で、運用によって電話での接見を認めるなど、容疑者や被告と弁護士の意思疎通の手段を拡充した。

 これで、1908年(明治41年)に制定された旧監獄法は、完全に姿を消すことになった。

(2006年6月2日12時1分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060602ic01.htm

0530 松本智津夫被告の死刑判決、東京高裁が異議を棄却 [読売]

 地下鉄サリン、松本サリン、坂本堤弁護士一家殺害など13事件で殺人罪などに問われ、1審で死刑判決を受けたオウム真理教の麻原彰晃こと松本智津夫被告(51)の弁護人が、2審の控訴棄却決定に異議を申し立てていた裁判で、東京高裁(白木勇裁判長)は「2審の判断は正当」として、異議を棄却する決定をした。

 決定は29日付。弁護側は最高裁に特別抗告する方針だが、認められる可能性は低いとみられており、松本被告の死刑が確定する公算がさらに強まった。

 松本被告の控訴審は、弁護人が控訴趣意書を提出期限(昨年8月末)までに出さなかったため、一度も公判が開かれないまま、今年3月27日、東京高裁(須田賢裁判長)が控訴を棄却。異議申し立ての審理は、同高裁の別の部が担当した。

 今回の決定は、趣意書の提出遅れについて、「期限内に提出は十分可能だった」と指摘。「被告と意思疎通が出来なくても、弁護人は記録を検討するなどし、法律の専門家として趣意書を作成すべき」とし、「公判の停止という自らの主張が受け入れられないため、趣意書不提出という実力行使に出ることは正当化できない」と批判した。

 決定は、松本被告の訴訟能力についても言及し、「拘禁反応(長期拘置による精神の異常)を生じているが訴訟能力は失われていない」と指摘。その上で、「治療して完全に正常な状態に戻して裁判を行う選択肢もあるが、趣意書の提出期限を7か月も過ぎている以上、控訴棄却は免れられない」と述べた。

(2006年5月30日23時14分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060530i111.htm

0524 受刑者処遇法が施行、個人で新聞購読可能に [読売]

 受刑者の人権に配慮する規定などを盛り込んだ「刑事施設受刑者処遇法」が24日、施行された。

 同法は、名古屋刑務所の刑務官による受刑者死傷事件の反省などを踏まえて制定されたもので、「受刑者の人権尊重」を掲げている。6月からは受刑者個人が新聞を購読できるようになるなど、受刑者が外部の情報を知る手段が確保されることになる。

 法務省によると、旧監獄法では、新聞や書籍の閲覧は受刑者の権利として認められていなかった。このため、各刑務所が購入し、運動時間や懲役作業の休憩時間などに、受刑者の間で回覧するよう法務大臣の訓令で定めていた。

 今回の施行で、受刑者自身が刑務所近くの新聞販売店と購読契約を結べるようになり、収容されている房まで毎日、“配達”される。

 購読は、指定された一般紙、スポーツ紙各2紙のうち、1紙ずつ。代金は受刑者が入所する際、刑務所に預ける金から支払われる。

(2006年5月24日10時14分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060524it03.htm

0419 山口・光市の母子殺害事件、最高裁が弁論を開き結審 [読売]

山口県光市の本村洋さん(30)宅で1999年、妻弥生さん(当時23歳)と長女夕夏ちゃん(同11か月)が殺害された事件で、殺人罪などに問われ、1、2審で無期懲役の判決を受けた元会社員(25)(犯行時18歳)の上告審で、最高裁第3小法廷(浜田邦夫裁判長)は18日、口頭弁論を開いた。

 死刑を求めて上告した検察側は、「犯行は冷酷残虐。反省も全くうかがえず、被告の年齢などを考慮しても死刑の適用を回避すべき事情はない」と述べた。

 一方、同小法廷から「出頭在廷命令」を受けていた弁護側は、今回は出席。「1、2審判決には重大な事実誤認がある」などと主張し、再度弁論を開くよう求めたが、浜田裁判長はこれを認めず、結審した。

 浜田裁判長は、弁護側に追加の主張があれば1か月以内に提出するよう求めた。判決言い渡しの期日は後日指定される。

 前回3月14日の弁論は、2月末から3月はじめにかけて新たに弁護人に就任した安田好弘弁護士と足立修一弁護士が欠席したため開けなかった。最高裁は、意図的な審理遅延行為を防ぐために改正刑事訴訟法に新設された「出頭在廷命令」を、2人に出していた。

 弁護側は弁論で、被害者の傷と検察が主張する殺害方法が矛盾するとして、「被告に殺意はなかった」などと述べた。

 1、2審判決によると、元会社員は99年4月、本村さん宅に乱暴目的で侵入し、弥生さんと夕夏ちゃんの首を絞めて殺害。1、2審は、元会社員が前科のない少年だったことを重視し、無期懲役とした。

 ◆遺族の本村洋さんが会見「極刑以外は納得できない」◆

 「事件から7年が過ぎ、ようやくここまでたどり着いた」。遺族の会社員本村洋さんは弁論後、東京・霞が関で記者会見し、最高裁で結審した感慨を語った。

 弥生さんの両親ら遺族6人とともに上京。妻子の遺影を胸に抱き、傍聴席の最前列に座った。殺意はなかったなどとする弁護側主張については、「真実は、天国の妻と娘が知っている。遺族としては極刑以外では納得できない」と語気を強めた。

 安田、足立両弁護士が所属する2つの弁護士会には、前回弁論の欠席について懲戒処分を請求する文書を送っている。両弁護士に対しては「見識を疑う」と改めて怒りをあらわにした。

 被告からは、今回の弁論直前に、事件後初めて手紙が届いたが、判決の日が来るまで読むつもりはないという。

 「今も殺意を否認するような被告が書いた弁解や反省を読む気にはなれない。本当に謝罪の気持ちがあるなら、裁判が終わってから聞きたい」と語った。

(2006年4月18日22時11分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060418i115.htm

0415 「代用監獄」に法的根拠、処遇法案が衆院委で可決 [読売]

 拘置中の容疑者、被告や死刑確定者の処遇について定めた刑事収容施設・被収容者処遇法案が14日、衆院法務委員会で賛成多数で可決された。

 同法案では、警察の留置場を拘置所代わりに使う「代用監獄」について「都道府県警に留置施設を設置する」と法的根拠を与えている。野党側は拘置所の増設や代用監獄への収容を段階的に減らすよう求める修正案を提案したが、否決された。

 一方、同委員会では政府に<1>容疑者・被告の防御権の尊重<2>代用監獄への収容を少なくする努力<3>代用監獄に収容された容疑者は起訴後、速やかに拘置所に移すこと――などを求める付帯決議を採択した。

(2006年4月15日0時59分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060414i217.htm

0410 日本司法支援センターが発足、10月から業務開始 [読売]

 法的トラブルの相談先の紹介など、民事、刑事両面で総合的な法律サービスを提供する独立行政法人「日本司法支援センター」(愛称・法テラス、本部・東京都千代田区)が10日、設立された。

 理事長の金平輝子・元東京都副知事(79)は会見で、「法律を知らないため被害に遭う人は多い。知名度を高め、多くの人に利用してもらうようにしたい」と抱負を語った。

 業務開始は10月2日の予定だが、窓口となるコールセンターの整備やスタッフの確保など、解決しなければならない課題も多い。

 ◆コールセンター◆ 

 法テラスの業務は、〈1〉法的トラブルに関する情報提供〈2〉民事事件の弁護士費用の立て替え〈3〉刑事事件の国選弁護の運営〈4〉司法過疎対策〈5〉犯罪被害者支援――の五つが柱。

 電話で相談機関などの情報を提供するコールセンターが、利用者との最初の接点になる。中野区内に設置されるコールセンターでは、専門知識を持つ消費生活相談員など約100人をオペレーターとして雇う方針だ。

 ここで受け付けた相談は、弁護士会、司法書士会や自治体など、全国各地の相談機関に引き継がれる。オペレーターが相談内容に含まれるキーワードを入力すると、適切な相談機関が表示されるデータベースの構築も進められている。

 ただ、3月中旬に茨城県で行われたコールセンター業務の試行では、利用者から、「専門の弁護士個人を紹介してくれると思った」といった感想も聞かれた。いかにきめ細かい情報を提供していけるかが、成功のカギとなりそうだ。

 ◆スタッフ不足?◆ 

 法テラスでは、全国50の地裁所在地に拠点となる「地方事務所」を置くほか、弁護士がほとんどいない司法過疎地域に、「地域事務所」を配置する。地域事務所は、50以上の地方都市から誘致の希望が出ているものの、予算や人員の制約から、開業時には10か所程度にとどまる見通しだ。事件数や地方事務所との距離などを考慮して優先度の高い地域から開設していくことにしている。

 地域事務所や地方事務所に常駐するスタッフ弁護士は、10月の開業時点で、二十数人にとどまる見通し。法務省総合法律支援推進室では「まだ待遇も決まっていないので希望者が少ないのはやむを得ない。業務が軌道に乗れば、増えていくはず」と期待をかける。

(2006年4月10日23時13分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060410i114.htm

0327 オウム:松本被告、死刑の公算大に 高裁が被告側控訴棄却 [毎日]

地下鉄、松本両サリンや坂本堤弁護士一家殺害など13事件で殺人罪などに問われ、1審で死刑判決を受けたオウム真理教(アーレフに改称)の松本智津夫(麻原彰晃)被告(51)について、東京高裁(須田賢(まさる)裁判長)は27日、被告の訴訟能力を認めたうえで、控訴を棄却する決定を出した。最高裁の統計がある78年以降、1審で死刑とされた被告の控訴審が、棄却決定されるのは初めて。事件の首謀者とされる被告に対し、高裁で一度も公判を開かずに死刑判決が確定するという異例の事態となる見通しとなった。

 弁護側は28日に控訴趣意書を提出する方針を示していたが、提出期限は昨年8月末で大幅に遅れており、高裁は提出の遅れが裁判を継続するための「やむを得ない事情」に当たらないと判断した。弁護側には高裁に異議を申し立て、さらに最高裁に特別抗告して争う手段も残されているが、この際の審理対象は裁判手続き上の誤りがなかったかどうかに限られ、退けられる公算が大きい。

 弁護団は期限だった昨年8月31日、控訴趣意書の「骨子」を高裁に持参しながら、鑑定への立ち会いなどを拒否されたことから提出しなかった。このことについて、決定は「鑑定方法などの問題と趣意書の提出期限順守の問題は、全く次元が異なる別個の問題。鑑定方法は裁判所の裁量に委ねられ、鑑定方法に納得できないとしても不提出が正当化されるとは考え難い」と指摘した。

 さらに、控訴趣意書を提出しなかった行為について「被告から実質審理を受ける機会を奪うという重大な結果を招くおそれをもたらし、弁護士の職責からみても極めて問題がある」と批判。さらに、裁判所が期限後に、数度にわたって趣意書提出を強く求めたことから「刑訴規則の『やむを得ない事情に基づく』とは認められないのは明らか」と判断した。

 また、決定は先月の鑑定結果に基づき、松本被告は訴訟能力を欠いていないと結論付けた。

 高裁は04年6月、控訴趣意書の提出期限を05年1月11日と指定していたが、弁護団が「被告と意思疎通ができず、趣意書は書けない」と主張し、期限を同年8月末に延期した。さらに被告の訴訟能力の有無を判断するため精神鑑定を実施。2月20日に「訴訟をする能力を失っていない」との鑑定書が出されていた。

 刑事訴訟法は、裁判所が指定した期限内に控訴趣意書を提出するよう定め、これに違反した場合は決定で棄却するよう規定している。一方、刑事訴訟規則で「遅延がやむを得ない事情に基づくと認めるときは、これを期間内に差し出されたものとして審判をすることができる」との規定も設けられている。【武本光政】

 ▽松本被告の弁護人の声明 元来、公判を停止して治療すべきであるにもかかわらず、控訴審を開くどころか控訴棄却としたもので、裁判所がすべてを闇の中に葬り去ろうとしていることは明らか。直ちに棄却決定が無効であるとして異議申し立て手続きを取ると同時に、可能な限りの手段を講じて裁判所の暴挙を糾弾していく。

 ▽東京高検の笠間治雄次席検事の話 弁護人が正当な理由もないのに期日までに控訴趣意書を出さなかったのであるから、かねて当庁が申し立てた通り、裁判所が控訴を棄却したのは極めて妥当である。
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060328k0000m040103000c.html

0315 量刑意識、国民にばらつき…最高裁が調査 [読売]

 2009年に実施される裁判員制度に向け、最高裁の司法研修所は15日、刑事裁判の量刑に関する国民と裁判官の意識を比較した調査結果を公表した。

 殺人事件の量刑について、国民の意見が死刑から執行猶予付きの懲役刑まで大きなばらつきがあったのに対し、裁判官は互いに似通った意見を示すなど、両者の違いが鮮明になった。最高裁は制度開始に当たり、裁判官に調査結果を重要な参考資料としてもらう方針だ。

 調査は、前田雅英・首都大学東京教授(刑事法)と現役の刑事裁判官が中心となり、昨年8~9月にアンケート形式で行った。対象は、東京、大阪、仙台など全国8都市で無作為抽出した国民1000人と、刑事裁判を担当する地裁・高裁の全裁判官766人。

 調査では、金銭トラブルや心中、暴力団抗争など、10種類の殺人事件のシナリオを用意。それぞれふさわしい量刑を、死刑から執行猶予まで10段階の選択肢で聞いた。その結果、国民は全事件で回答が分散。一方、裁判官は、それぞれの事件で狭い範囲に8~9割の回答が集中していた。

 また、犯行の計画性や前科など事件の性質を示す複数の要素について、量刑を重くする事情なのか、軽くする事情なのかを聞いたところ、〈1〉被告が少年〈2〉飲酒で判断力が低下〈3〉被害者が配偶者――の3要素では、「重くする」とした国民が目立ったのに対し、裁判官は「軽くする」との回答が多かった。少年事件や家庭内の事件について、重罰を求める国民の意識が浮かび上がった。

(2006年3月15日22時35分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060315it14.htm

0316 保護観察法改正が衆院通過 転居許可制など指導強化 [共同]

 保護観察中の執行猶予者への指導・監督を強化する執行猶予者保護観察法改正案が16日午後の衆院本会議で全会一致で可決された。ただちに参院に送付され、今国会で成立の見通し。
 改正案は、現行法で届け出制になっている転居や旅行を許可制とした上、対象の旅行期間も「1カ月以上」から「7日以上」に短縮。裁判所の意見に基づき保護観察所が、執行猶予者に個別の順守事項を定められる規定も新設した。これにより仮出所者並みに厳しい措置となる。
 東京都内で起きた連続女性監禁事件で、執行猶予判決を受け保護観察中の男が昨年5月に逮捕されたことをきっかけに、政府、与党が保護観察制度見直しに着手。民主党も交え、衆院法務委員長提案の形で改正案を提出した。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2006031601001808

0301 最高裁:判事・判事補1人を再任せず [毎日]

 最高裁は1日の裁判官会議で、4月以降に10年間の任期が切れ、再任時期を迎える判事・判事補184人のうち、1人を再任しないことを決めた。氏名や理由は公表されていない。不再任は4年連続で、記録の残る69年以降、簡裁判事を除いて9人目となる。

 裁判官の適格性を審査する最高裁の「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」が昨年12月、再任希望者のうち4人の再任を「不適当」と答申、うち3人は答申後に自主的に再任願いを撤回した。「判決文が短く訴訟当事者から不満が出ている」として減点評価を受け、再任不適当とされた横浜地裁の井上薫判事(51)も再任願いを撤回したとみられ、任期切れで退官する。

毎日新聞 2006年3月1日 13時02分 (最終更新時間 3月1日 13時52分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060301k0000e040065000c.html

0224 「確信的な加害意図」騒音逮捕の女に懲役3年求刑 [読売]

 大音量で音楽を鳴らし、隣人に不眠や頭痛などの被害を与えたとして、傷害罪などに問われている奈良県平群町若葉台、無職河原美代子被告(58)の論告求刑公判が24日、奈良地裁で開かれた。

 検察側は「特異な犯行で、平群町は『騒音おばさんの町』との不名誉なレッテルを張られた。確信的な加害意図があり、悪質極まりない犯行」などどし懲役3年を求刑した。

 論告などによると、河原被告は2002年11月~05年4月、自宅の勝手口付近に置いたラジカセの音量を上げて音楽をかけ、向かいの家の女性(64)に、高血圧やめまいなど1か月の身体、精神的傷害を与えた。

(2006年2月24日20時27分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060224i113.htm

横浜事件:裁判打ち切る免訴判決 有罪・無罪判断せず [毎日]

戦時下最大の言論弾圧とされる横浜事件再審の判決公判が9日、横浜地裁であり、松尾昭一裁判長は元中央公論社社員の故・木村亨さん(死亡時82歳)ら5被告に、「治安維持法が廃止され、被告が大赦を受け公訴権が消滅した以上、実体審理は許されない」として有罪、無罪の判断に踏み込まず裁判を打ち切る免訴の判決を言い渡した。検察側主張を全面的に認めた。被告はいずれも死亡し、再審を引き継ぎ無罪判決による名誉回復を求めていた遺族らは、来週初めにも控訴する方針。再審公判で被告側の控訴は極めて異例だ。

 このほか免訴判決を受けたのは、▽元改造社社員、小林英三郎さん(同86歳)▽元日本製鉄社員、高木健次郎さん(同80歳)▽元満鉄調査部員、平舘利雄さん(同85歳)▽元古河電工社員、由田浩さん。45年8~9月に治安維持法違反罪で有罪判決を受けていた。

 松尾裁判長は「免訴事由がある場合に有罪、無罪の判断に踏み込むことは出来ない」との最高裁判決(プラカード事件、48年)を引用。旧刑事訴訟法に基づき「免訴事由がある本件では、免訴が相当」と結論づけた。

 被告側は「無実の被告の救済」という再審の理念を強調。無罪判決により確定有罪判決を取り消すことを望んでいた。だが松尾裁判長は「免訴を受けた者にも刑事補償が認められ、有罪判決は免訴判決の確定で失効する。免訴は被告らの名誉回復への道を閉ざすものではない」と述べた。

 一方、即決で有罪判決を下した当時の裁判所の責任については「終戦時の特殊状況下で訴訟記録が廃棄される異常事態もあり、再審開始までかなりの時間を要した。その間生存していた被告人らが死亡したのは誠に残念というほかない」と述べるにとどまった。

 横浜事件は第二次世界大戦中の42年、雑誌「改造」に掲載の論文が共産主義の宣伝だとして、政治評論家の細川嘉六さんが治安維持法違反容疑で警視庁に逮捕されたのを発端に、神奈川県警特高課が編集者ら約60人を逮捕した事件。4人が獄死、約30人が有罪判決を受けた。戦後、特高警官3人が被告に拷問を加えたとして特別公務員暴行傷害罪で実刑判決を受けた。

 最初の再審請求は86年。第3次請求(98年)で東京高裁は昨年3月、「元被告らは拷問を受け、自白の信用性に疑いがある」として横浜地裁の再審開始決定を支持した。再審公判は昨年10月に始まり、同12月の第2回公判で結審していた。【伊藤直孝】

 ▽横浜事件第3次再審請求弁護団の話 誤判の完全除去と被害者の名誉回復の義務を課す再審の理念に徴すと、無罪を言い渡すべきである。検察と一体となって横浜事件の隠ぺいを図ったものといえ、特高警察と検察の言うがままに違法な確定判決を言い渡した横浜地裁の行為への反省の姿勢はみじんも見られない不当な判決と言わざるを得ない。

 ▽梶谷剛・日本弁護士連合会会長の話 治安維持法の下で被害者に対して行われた人権侵害行為への謝罪や補償は、戦後60年を経ても行われていない。国等に被害者の救済措置を早急に行うよう求める。

 ▽ことば(免訴) 公訴権の消滅を理由に有罪、無罪の判断に踏み込まず裁判を打ち切ること。旧刑事訴訟法は(1)確定判決を経た(2)刑の廃止(3)大赦を受けた(4)時効完成--を免訴事由に挙げ、新刑事訴訟法でも同じ。プラカード事件の最高裁判決(1948年)は「大赦があった時は裁判所は単に免訴の判決をすべく、公訴事実の存否について実体上の審判を行うことはできない」と同法規定を追認した。現在も免訴の性質を認定した唯一の最高裁判例となっている。

毎日新聞 2006年2月9日 13時40分 (最終更新時間 2月9日 21時40分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20060209k0000e040091000c.html

電話接見、代用監獄の存続容認…有識者会議が提言 [読売]

 留置場や拘置所に拘置中の容疑者や被告(未決拘禁者)の処遇について定めた「刑事施設刑事被告人収容法」の改正に向けて議論してきた有識者会議は2日、提言をまとめ、法務省、警察庁に提出した。

 容疑者、被告と弁護人が電話やファクスでやり取りできるよう接見機会の拡大を求めたほか、代用監獄の存続を前提とすることなどを明記した。

 両省庁は今後、未決拘禁者の処遇について「刑事施設受刑者処遇法」に盛り込む方針で、今国会に同法の改正案を提出することにしている。

 提言では、電話接見について「通信手段が発達した今日、電話によるやり取りを認めるよう配慮すべき」とし、「弁護人が検察庁、警察署などに出向いて身分を確認したうえで電話をかけるという方法が適当」とした。ファクスについても「認める方向で検討すべき」と両省庁に求めた。

 長年、両省庁と日本弁護士連合会(日弁連)の間で、存廃を巡って意見が対立している代用監獄については「今回の法整備に当たっては」と限定した上で存続を前提とし、「今後、取り調べを含む捜査のあり方に加え、代用監獄のあり方についても検討を怠ってはならない」と付け加えた。さらに、「未決拘禁者の捜査に当たる警察官は、捜査対象者の留置業務を行ってはならないことを法律で定めることも必要」とした。

 提言について、日弁連の梶谷剛会長は同日、「今後も代用監獄の存廃を含めた議論が必要であることを認めている点は評価できる」との声明を発表した。
(2006年2月2日20時39分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060202i113.htm

東京地裁、開廷5回の迅速判決 裁判員制度にらむ [朝日]

2006年01月27日00時55分
 東京都世田谷区の会社役員の女性が殺害された事件で、強盗殺人などの罪に問われた元会社員、石川良被告(49)に対し、東京地裁は26日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。裁判員制度の導入をにらみ、刑事裁判をわかりやすくし、大幅に迅速化するために初公判後に争点を絞る「期日間整理手続き」を同地裁で実施した最初の事件で、法廷が開かれたのは5回。結審から1週間後に判決が言い渡されるスピード審理となった。

 期日間整理手続きは昨年11月の改正刑事訴訟法施行で可能になった。同時に始まった「公判前整理手続き」と同様、審理の充実・迅速化が目的。

 判決によると、石川被告は、東京・品川のホテル客室の区分所有権を取得するとうそをつき、清水楊子さん(当時57)から約1億円を受け取った。返済を免れるため昨年2月、ホテルの部屋で清水さんの首を絞めて殺害。遺体を捨てた。

 手続きで、争点は(1)正当防衛の成否(2)被害者の攻撃の程度(3)殺意の有無(4)殺意の継続性(5)強盗の犯意の有無――の5点に絞られた。弁護側は「最初に清水さんにハンマーで殴られた」と正当防衛を主張するなどした。

 判決で小坂敏幸裁判長は、清水さんがハンマーで被告の頭を殴ったことは認めたが、「被告は馬乗りになって首を3~5分間も絞め、積極的な加害の意思があった」と正当防衛を否定。「だまし取った金を愛人との派手な生活に使い、返済を逃れるために殺害した。動機は低劣かつ卑劣」と厳しく非難した。

 判決後、弁護人は「予備知識もなく、泥縄で手続きに臨んだ。制限時間を守らねばならず、双方の議論を深める時間がなかった」と戸惑いを口にし、「判決は検察の言い分をそのままなぞった」と批判した。一方、東京地検の伊藤鉄男次席検事は「迅速な審理が行われたことを評価する。今後も手続きを活用し、一層迅速な裁判の実現に努めたい」とコメントした。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0127/TKY200601260404.html

愛知・豊川の幼児殺害事件の被告に無罪判決 名古屋地裁 [朝日]

2006年01月24日12時02分
 愛知県豊川市で02年7月、ゲームセンターの駐車場にとめたワゴン車内から男児が連れ去られ、約4キロ離れた三河湾で遺体で見つかった事件で、名古屋地裁は24日、殺人、未成年者略取の罪に問われた住所不定、元トラック運転手河瀬雅樹被告(38)に無罪(求刑懲役18年)を言い渡した。伊藤新一郎裁判長は「誘拐や殺害を認めた被告の自白には重大な疑問がある」と述べた。

 事件が起きたのは、02年7月28日未明。豊川市の会社員村瀬純さん(28)の長男翔ちゃん(当時1歳10カ月)が同市内のゲームセンターの駐車場に止めてあったワゴン車から姿を消し、約4時間半後、三河湾で遺体で見つかった。

 03年4月、駐車場で寝泊まりしていた河瀬被告が不審人物として浮上し、逮捕された。河瀬被告は「男児の泣き声がうるさく、連れ去った。発覚を恐れ、海に捨てた」と容疑を認めたが、起訴後は「連れ去りも殺害もしていない」と否認に転じ、公判では無罪を主張していた。

 判決で伊藤裁判長は、河瀬被告の車に被害者の痕跡がないなど、物証はないと指摘。「ほぼ唯一の争点」とされた自白調書について検討した結果、任意性は認めたものの、「誘拐や殺害の状況、動機に関する自白には不合理な点が多い。捜査員に誘導された可能性を排斥できず、信用できない」と結論づけた。

 弁護側は公判で、犯行を認めた自白調書について、「警察の圧力の下で作成された」として、任意性、信用性を否定。弁護側の申請で鑑定を行った心理学者は「被告は相手に迎合しやすい性格。取調官の期待にこたえるような回答をした可能性がある」と証言した。また、男児を岸壁から突き落としたとする供述は、犯行時は干潮で岸壁の下が岩場だったことから、「遺体に傷がないのは不自然だ」と主張した。

 これに対し、検察側は自白調書は、「詳細で迫真性に富み、犯人しか供述できない内容だ」と反論。男児が乗っていた車や駐車場の様子など、客観的事実とも符合すると述べた。

 また、留置場で同房だった男に「本当はやった」と犯行を認めていたことを明らかにするとともに、遺体の傷も、「犯行時の潮位だと傷はつかない」としていた。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0124/NGY200601240005.html

法の上限超すが罰則ない「灰色金利」、最高裁が実質否定 [朝日]

2006年01月14日03時03分
 利息制限法の上限を超えるが刑事罰に問われない「グレーゾーン金利」をめぐり、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は13日、その高金利が例外的に有効とされる条件を極めて狭める判決を出した。貸金業規制法は「借り手の自由な意思で任意に払ったこと」などを条件にしているが、判決は「明らかな強制だけでなく、事実上の強制があった場合も、上限を超えた分の利息の支払いは無効だ」とする初判断を示した。消費者金融や商工ローンのほとんどはグレーゾーン金利で貸し付けているのが実情で、業界は業務の抜本的な見直しを迫られる。

 第二小法廷はこうした判断を踏まえて、ローン契約で一般的な「分割返済の期日までに利息を支払わなければ、直ちに一括返済を求める」との特約について、「期日通りに約束した利息を支払わないと残った元本をすぐ一括して支払わなければならないうえ、遅延損害金も支払う義務を負うことになるという誤解を与え、上限を超える利息の支払いを事実上強制している」と指摘。上限を超えた利息も払わなければならないとした二審判決を破棄し、審理を広島高裁に差し戻した。

 また、返済の度に債務者に渡さなければならない受領証について、貸金業規制法が債務者がどの借金を返しているのか分かるように、契約日や金額を書くことを求めているのに対し、内閣府令が契約番号だけでいいとしていることについても、内閣府令を無効とする初判断を示した。

 消費者金融や商工ローンのほとんどはグレーゾーン金利で貸し付けているのが実情。同様の特約は確実に利息の支払いを求める方法として広く使われている。今回の判決によれば、こうした特約などを用いてグレーゾーン金利で貸し付けることはできなくなる。

 今回問題となったのは、大手消費者金融「アイフル」グループのローン会社「シティズ」(京都市)が00年、鳥取県の男性に年29%の利息で300万円を貸した契約。返済が滞ったため提訴したシティズ側は「借り手は自分の意思で契約に応じ、上限を超える利息も任意に支払った」と主張。年29%で計算し、未払い分約189万円の返済などを求めた。一方、男性側は「利息を任意に払ったとは言えない」などとして法定利息で計算し直し、残高は約109万円だと主張した。

 最高裁は04年2月、本来無効であるグレーゾーン金利が有効と認められる例外について「厳格に解釈すべきだ」との判断を示し、以後、例外が認められる範囲を段階的に狭めてきた。

 多重債務者問題などに取り組む弁護士グループによると、消費者金融や商工ローンの利用者は全国で2000万人に上るとも言われる。貸金業規制法は今年、見直しが予定されている。貸金業界には金利の上限の撤廃や緩和を求める声も強く、業界への参画をはかる外資も政界などへの働きかけを強めている。司法が打ち出した「借り手保護」の立場をいかに立法に反映させるかが今後の課題となる。

   ◇

 〈キーワード・グレーゾーン金利〉 利息制限法の上限を超える利息は本来無効だが、出資法で刑事罰が科せられるのは年29.2%を超える高金利。この中間のグレーゾーン金利について、貸金業規制法は(1)返済期間や回数などを明示する(2)弁済の都度ただちに受領証を出す(3)任意の支払いである――の3要件を満たせば有効とみなすという例外を認めている。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0113/TKY200601130355.html

「代用監獄」当面は存続…有識者会議 [読売]

 未決拘禁者の処遇について定めた「刑事施設刑事被告人収容法」(旧監獄法)の改正に向けて設置された有識者会議の会合が13日、開かれ、警察の留置場を拘置所代わりに使う「代用監獄」の存廃などをテーマに議論が繰り広げられた。

 これまで強く廃止を求めてきた日本弁護士連合会推薦の委員からも、「廃止より透明性の確保に努めるべきだ」などの意見が出て、当面は存続の方向でほぼ一致した。

(2006年1月14日1時24分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060113ic27.htm

日弁連と警察など、代用監獄めぐり真っ向対決 [朝日]

2005年12月07日08時30分
 判決が確定していない被告人や起訴前の容疑者などの「未決拘禁者」の処遇について検討する有識者会議(座長=南博方・一橋大名誉教授)が6日、初会合を開いた。最大のテーマである「代用監獄制度」の存続の是非をめぐり、法務省と警察庁、日本弁護士連合会がそれぞれの見解を主張。「冤罪の温床になっている」と廃止を求める日弁連と、「代用監獄をなくすことは非現実的だ」と訴える法務・警察が真っ向から対決した。

 逮捕され、勾留(こうりゅう)が決まった容疑者や被告は、全国に114カ所ある拘置所や拘置支所に収容されるのが原則。ただし旧監獄法は「警察官署ニ付属スル留置場」は「監獄ニ代用」できると定め、例外的に「代用監獄」の使用を認めている。

 しかし04年の1日平均収容人員で比べると、拘置所に勾留されたのが96人(1.7%)に対し、警察留置場は5444人(98.3%)。原則と例外が逆転している。

 これをもとに法務・警察は「勾留先を判断しているのは裁判官だ。司法判断でも代用監獄が選ばれている」と実務上の「定着」を強調した。

 日弁連は「身体拘束に責任を負う機関と捜査機関は明らかに分ける必要がある。容疑者が警察の手元に置かれ、継続的に取り調べの対象になると、自白の強要など人権侵害の危険が高まる」と反論した。国連自由権規約委員会は、政府に代用監獄の是正を勧告している。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1207/TKY200512070084.html

土地の境界、裁判なしで確定…1月20日から新制度 [読売]

 法務省は来年1月20日から、土地の境界を巡る民事紛争を裁判なしで、迅速かつ安い費用で解決する「筆界特定制度」をスタートさせる。

 全国50か所の法務局・地方法務局に「筆界特定登記官」各1人を配置し、民事裁判では現在、平均約2年間を要している土地の境界線の確定を6か月~1年以内に実現することを目指す。

 境界確定訴訟は現在、年間1000件程度起こされている。法務省は、既に係争中の裁判当事者や、境界紛争を抱えながら訴訟をためらっている人など、最低でも年間1000件程度の利用を見込んでいる。

 筆界特定制度は、先の通常国会で成立した改正不動産登記法に基づくもの。土地の境界特定を求める一方または双方の当事者の申請に基づき、筆界特定登記官が、土地家屋調査士、弁護士などの専門家が任命されている「筆界調査委員」に調査を依頼する。その調査委員がまとめる意見書を基に、境界を特定する。

 登記官の決定に法的拘束力はない。不服がある場合は、従来通り境界確定の民事訴訟を起こし、裁判所に判断を委ねることができる。

 費用は、専門家の調査費は法務省が負担するため、土地の面積に応じた申請費と測量の実費程度で済む。
(2005年11月25日15時25分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051125i108.htm

「横浜事件」の再審公判始まる 無罪か免訴か争点 [朝日]

2005年10月17日15時17分
 戦時下最大の言論弾圧事件「横浜事件」の再審初公判が17日、横浜地裁(松尾昭一裁判長)で始まった。弁護側は事件は特高警察によるでっち上げだったとして無罪判決を求めた。検察側は立件の根拠となった治安維持法が廃止されていることを理由に「免訴」を主張した。終戦直後の混乱期に下された有罪判決から60年。元被告全員が他界した後で、ようやく新たな審理が始まった。

 事件では「共産党の再建を準備した」などとする治安維持法違反容疑で出版、言論関係者ら約60人が神奈川県警特高課に逮捕され、拷問で4人が死亡、約30人が有罪判決を受けた。再審請求は4次にわたり、中央公論出版部員で、懲役2年執行猶予3年の有罪判決を受けた木村亨さんら元被告5人が起こした3次請求で認められた。いずれも死去しており、木村さんの妻まきさん(56)ら遺族が請求を受け継いだ。

 起訴状などの記録が残っていないことから、冒頭手続きで松尾裁判長は弁護団が復元した判決書などを元に審理を進める方針を検察側に示した。

 検察側は「免訴に当たる場合だ」として、有罪か無罪かの判断に踏み込まずに裁判の手続きを打ち切るよう求めた。

 弁護側は「被告の名誉回復のためには誤判に対し謝罪すべきだ」と裁判所に謝罪を求めた。そのうえで、治安維持法違反罪に問われた木村亨さんら被告の生前の証言をもとに「竹刀やこん棒で1時間にわたり全身をひっぱたかれた」などと拷問の実態を詳述。

 事件の本質について、拷問によって共産党の再建準備をしたとの架空の容疑をでっち上げることで「中央公論」や「改造」を廃刊に追い込むなど、言論や出版全体を弾圧したと結論づけた。

 司法の責任にも言及。証拠調べなどを行わずに自白を唯一の証拠として有罪判決を言い渡したり、戦犯追及を恐れて戦後、書類を焼却したりするなど、裁判所も事件の一端を担っていたと指摘する。

 第2回公判では、木村まきさんら請求人4人が証人として出廷する。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1017/TKY200510170129.html

犯行状況再現写真、「証拠能力なし」 最高裁が初判断 [朝日]

2005年10月01日17時19分
 捜査官が被害者らの供述をもとに犯行状況を再現させた写真は証拠にできるのか――こんな問題が争われた刑事裁判で、最高裁第二小法廷(滝井繁男裁判長)は「原則として証拠能力はない」との初判断を示した。従来は証拠採用される例が多かったが、最高裁は、こうした再現写真が被害者の供述と同じ意味を持つことを重視。「被告が公判で反証できない供述証拠は採用できない」という刑事裁判の鉄則を再現写真についても適用する立場を明確にした。

 裁判員制度を前に、わかりやすさが重視され、視覚に訴える立証が模索されている。しかし、写真には偏った印象を強く与える危険もあり、厳格な基準を示した形だ。

 問題となったのは、大阪の地下鉄で女性を触ったとして無職男性(24)が大阪府迷惑防止条例違反の罪に問われた事件。被害者が犯人役の警察官を相手に犯行を再現した場面が、写真と説明文によって実況見分調書にまとめられ、検察側から提出された。被告側は証拠採用に反対したが、一、二審判決とも有罪の証拠として採用していた。

 これに対し第二小法廷は9月27日付の決定で、「再現写真も、証拠にするには、供述証拠と同じ条件をクリアする必要がある」と判断。今回の場合は「クリアしておらず、証拠能力はない」として、一、二審の判断は「違法」と断じた。

 刑事裁判には「公判で被告側に反対尋問の機会がない供述証拠は採用できない」との鉄則がある。供述が正確か、うそでないかを確かめる必要があるからだ。

 調書などの供述書面を証拠採用するためには、「供述が信用できる特別の状況がある」などの条件をクリアする必要がある。だが、捜査機関が作成する現場の図面などの実況見分調書は特別に、その条件を満たさなくても採用できるとされてきた。

 では、実況見分調書の中に、被害者の供述に基づく再現シーンの写真が含まれていた場合、同様に採用できるのか。今回はこれが問題になった。

 この場合、実質的には供述調書と同じなのに、厳しい条件をクリアせず脱法的に採用されているという指摘はあった。ただ、弁護側も争うことが少なく、問題が顕在化してこなかった。裁判官、検察、弁護側ともに意識変革を迫られそうだ。

 同小法廷は一方で「この証拠がなくても有罪は認定できる」として二審の罰金40万円の結論は支持。男性の上告を棄却した。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1001/TKY200510010170.html

「不起訴不当の議決、最大限尊重を」東京第2検審が勧告 [朝日]

2005年09月22日11時17分

 東京第二検察審査会が「不起訴不当などの議決を最大限尊重すべきだ」と東京地検に勧告していたことが関係者の話でわかった。審査会の議決に沿って不起訴処分を覆す件数が少ないと地検に注文をつけた形で、審査会がこうした勧告を出すのは極めて異例。

 検察審査会法は、検察の事務の改善について審査会が建議・勧告できると定めている。最高裁によると、審査会による建議・勧告は全国で00年に2件あったが、01年~04年は4年連続で全くなかった。

 勧告は3月8日付で、「不起訴不当、起訴相当の議決に対し、検察が不起訴の判断を覆すことがあまりに少ないことに疑念を感じる」「審査会の判断は国民を代表する意見であり、最大限尊重するべきではないか」と述べている。また、「法律の解釈は一般国民の視点での判断が大切。検察と同じ視点で犯罪をとらえ、構成要件の当てはめを考える必要は全くない」などとしている。

 これに対し、東京地検は3月30日付の文書で「検察は議決を最大限尊重して再度の処分をしている。審査会の判断を軽視してはいないが、懸念が生じないよう今後も的確な検察権の行使に努める」と回答。勧告内容の一部について「『不起訴不当の事件は地検も一般国民の視点で公訴権を行使すべきだ』というのが勧告の趣旨であれば、起訴に伴う不必要な負担や不利益を与える危険がある」と反論もしている。

 審査会の議決をめぐっては、起訴相当と2度議決されれば必ず起訴される制度が09年までに実施される。
TITLE:asahi.com: 「不起訴不当の議決、最大限尊重を」東京第2検審が勧告 - 社会
DATE:2005/09/22 15:54
URL:http://www.asahi.com/national/update/0922/TKY200509220134.html
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