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■大阪の事情

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■大阪の事情13 より続く

150413 維新、府議会過半数の奪還ならず 都構想は住民投票焦点 [朝日]

 注目を集めた大阪府・市議選は、いずれも大阪維新の会が第1党の座を守ったが、過半数に及ばなかった。大阪市を特別区に再編する大阪都構想を巡る民意は二分しており、維新は今後、その是非を問う5月の住民投票に力を注ぐ。憲法改正に前向きな維新が勢いを増せば、参院選後の改憲を念頭に置く自民党と連携する可能性もあり、今後の国政にも影響しそうだ。

特集:2015統一地方選
特集:大阪都構想
 「中身を理解していただいたら、都構想で一般の皆さん方のデメリットはないと思う。中身が理解されれば必ず支持は広がると思っている」

 大阪維新の会幹事長の松井一郎・大阪府知事は12日夜のNHK番組で、神妙な顔つきで述べた。府議会(定数88)で42議席、大阪市議会(同86)で36議席を獲得。いずれも第1党を守ったものの、都構想賛成へ雪崩を打つ世論をつくれなかったためだ。

 大阪では、国政の与野党対立の構図と異なり、府議、大阪市議選とも、第1党の維新に、自民、民主、公明、共産などが挑む構図だった。

 都構想を掲げた橋下氏が2010年に立ち上げた大阪維新の会は、前回の府議選で過半数を獲得。都構想推進の原動力となってきたが、維新の政治手法への反発などから党を離れる議員が相次ぎ、13年末に過半数を割った。その「奪還」が今回の目標だった。

 橋下氏が府議会の議席にこだわったのは「力の源泉」だからだ。大阪市の住民投票で賛成多数を得た場合、都構想の実現に向けた主舞台は府議会になる。今は市が管轄する市営地下鉄の民営化のほか、府と特別区の財源配分の決定権も府議会が握ることになる。

 来年の参院選への立候補を期待する党内の声も根強いなか、維新幹部は「府議会が安定すれば橋下氏の仕事は『残務処理』になる。出る、出ないで国政を揺さぶれる」と解説する。

 橋下氏は住民投票で賛成多数を得られれば、今冬の市長選に立候補して移行を見届けると表明している。選挙戦の最終盤ではこう強調していた。

 「僕は住民投票で負けたら、政治家を辞める」

■都構想、賛否競る

 朝日新聞社は12日、大阪市内の60投票所で大阪府・市議選の投票を終えた有権者に出口調査を実施し、2082人から回答を得た。

 調査結果によると、大阪都構想への賛成は48%、反対は47%と、ほぼ並んだ。

 支持政党別に都構想の賛否をみると、維新の党の支持層は賛成が92%。都構想に反対している自民党の支持層は反対が67%の一方、賛成も28%だった。党の姿勢にかかわらず、一定の自民党支持層が都構想に理解を示しているとみられる。

 都構想に反対しながら住民投票の実施に協力した公明党の支持層は賛成が21%で反対は71%。無党派層は反対が58%に上り、賛成の33%を大きく上回った。

 住民投票については、「必ず行く」と答えた人が79%に上り、「できれば行きたい」が16%、「行かない」が3%。「必ず行く」と答えた層では賛成が51%、反対が46%だった。

■安倍首相側、改憲への「援軍」期待

 安倍晋三首相は統一地方選を控え、政府関係者に「大阪で維新がどうなるか見極めてほしい」と語るなど、とりわけ大阪府・市議選を注視してきた。憲法改正に積極的な橋下氏が率いる大阪維新の会が勢いを保つかどうかが、来夏の参院選の行方や政権の改憲戦略に直結するとみているからだ。

 橋下氏は「改憲は絶対に必要だ。できることがあれば何でもやる」と明言している。しかし、大阪都構想の是非を問う5月の住民投票を前に、市長としての対応を優先し、国政とは距離を置く姿勢を示していた。首相側には、都構想の問題にめどがつけば、橋下氏が国政政党である維新の党内で再び発言力を強め、改憲に向けた「援軍」になるとの期待感がある。

 維新側にも、関西中心に根強い人気がある橋下氏については「参院選で比例で出てもらいたい」(橋下氏に近い維新議員)と、国政転身を望む声がある。

 仮に参院選で維新と自民が一定の議席を獲得し、公明党を巻き込めば、3党を中心に憲法改正の発議に必要な3分の2の勢力が衆参にできる可能性もある。安倍首相と橋下氏の関係は今後も、憲法改正の動きと絡む焦点となりそうだ。

     ◇

 〈大阪都構想〉 大阪市をなくし、東京23区のような特別区に再編する制度改革。橋下徹市長が大阪府知事時代の2010年から提唱している。

 都構想案は、市を五つの特別区に分け、広い地域に及ぶインフラ整備など広域行政の権限を府に集める一方、福祉や教育など身近な住民サービスは特別区が担う。橋下氏は最終的に「大阪府」を「大阪都」とすることをめざしており、「都構想」としている。

 都構想への賛否を問う住民投票は、4月27日告示、5月17日に投開票される。大阪市内の20歳以上の約214万8千人が有権者になる。


150406 大阪都構想、賛否分かれる…橋下氏支持5割切る [読売]

 統一地方選の大阪市議選(12日投開票)を前に、読売新聞社は3~5日、大阪市内の有権者を対象に世論調査を実施した。

 大阪市を廃止して5特別区を設ける「大阪都構想」への賛否は、「反対」39%と「賛成」38%が拮抗きっこうしている。

 昨年9月の前回調査では、都構想について、「どちらかといえば」を含め53%が「賛成」、40%が「反対」と答えた。住民投票実施が決まったことを受け、賛否を二者択一で尋ねた今回は、賛成派が15ポイントも減り、反対派を初めて下回った。5月17日の住民投票を1か月半後に控える中、市民の賛否は二分されている。

 橋下徹・大阪市長を「支持する」とした人は46%。就任半年後の2012年6月には71%に達し、前回も56%だったが、初めて5割を切った。橋下氏の支持率低下も、都構想賛成の割合が減った一因とみられる。

150406 大阪都構想の賛否拮抗 朝日新聞社・朝日放送の世論調査 [朝日]

 朝日新聞社と朝日放送(ABC)は4、5の両日、大阪市民を対象に電話による世論調査を実施した。大阪都構想について、仮に今、住民投票で投票するという前提で賛否を聞くと、賛成が39%、反対が40%と拮抗(きっこう)。賛成が35%、反対が44%だった2月の前回調査より差が縮まった。

 大阪市を廃止して五つの特別区に再編する都構想は5月17日に大阪市民による住民投票で賛否を問う。

 住民投票については、「行くと思う」が68%(前回61%)、「たぶん行くと思う」が22%(同23%)、「たぶん行かないと思う」が5%(同9%)、「行かないと思う」が3%(同5%)。実際に投票に行く可能性が高い「行くと思う」層は賛成43%(同44%)、反対44%(同45%)で並んだが、「たぶん行くと思う」層では賛成37%(同33%)、反対28%(同36%)と賛成が多くなる。

 都構想の中身については、「よく」「ある程度」を合わせて「知っている」と答えた人が57%で、「あまり」と「まったく」を合わせた「知らない」は計42%。「知っている」層は賛成が50%で反対の41%を上回った。一方、「知らない」層では賛成24%、反対38%と逆の傾向になる。

 仮に都構想が実現すれば新設される特別区の区割り案を「知っている」と答えた人は60%で、前回の53%より増えた。この「知っている」と答えた人では、区割り案に「納得できない」は45%、「納得できる」は36%となった。

 都構想が争点となり、12日に投開票される大阪市議選の投票先も聞いた。投票したいと思う政党では、都構想を推進する大阪維新の会が27%、都構想反対の自民党が25%で競り合う。公明、共産両党はともに8%、民主党は4%だった。

 大阪維新代表の橋下徹大阪市長の支持率は43%、不支持率は42%で、前回調査と同じ。政党支持率は自民党が25%(前回25%)、橋下氏が最高顧問を務める維新の党が17%(同12%)などだった。

141123 橋下、松井氏は衆院選不出馬 統一地方選を優先 [東京]

 維新の党幹事長の松井一郎大阪府知事が23日、大阪市内のホテルで開いた後援会会合で、自身と共同代表の橋下徹大阪市長が衆院選出馬を見送ると表明したことが分かった。両氏は大阪都構想をめぐって対立関係にある公明党が前職を擁立する大阪16区、大阪3区での出馬を検討していた。
 松井氏の後援会会合に出席した橋下氏は「今回は衆院選に出馬せず、(来春の)統一地方選を戦おうという結論になった」と話した。
 関係者によると、会合で松井氏は、都構想の実現をめざし、来春の統一地方選への取り組みを強化する考えを強調。橋下氏とともに、今回の衆院選に出馬することはないと明言した。
(共同)

140902 大阪都構想:総務相了承 橋下氏「修正し住民投票で決定」 [毎日]

 大阪都構想の協定書(設計図)を新藤義孝総務相が了承したことを受けて、橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)は2日、記者団に「野党の力で好きなように修正してもらって構わない。修正した上で、住民投票で決めたい」と話し、大阪府市の9月議会で議論に応じる姿勢を示した。一方で、「真摯(しんし)な議論」を求められたことについて「自民、民主、公明、共産も同じ。相手方も含めてちゃんとするようにということだ」と見解を語った。

 橋下市長は、総務相が了承したことについて「批判もあるが、協定書は合法」と自信をのぞかせた。さらに「野党にボールは移った。合理的な修正には応じるので中身の議論を」と呼びかけた。

 また、新藤総務相が記者会見で、橋下市長らによる専決処分の見通しについて「念頭にないのではないか」との見方を示したことについて、橋下市長は「12月31日までは議会でしっかり(議論を)やる」と話す一方、「(議会が)全く議論しないなら権限を放棄する必要はない」とも語り、含みを残した。

 野党は対決姿勢を強めた。府議会と市議会の野党会派は、維新だけで決定した協定書は無効と主張するなど、今後の対抗策を確認した。公明府議団の清水義人幹事長は「地方自治をつぶすのか、という強いメッセージだ」と語った。府議会の野党会派は、法定協の委員構成を議席数に応じて割り当てた新たな委員名簿を作成し、この日、岡沢健二議長(維新)宛てに提出。今後、法定協で協定書の議論をやり直すことを求める。【林由紀子、重石岳史、大久保昂】

140323 出直し大阪市長選、橋下氏が当選 投票率は過去最低 [朝日]

 出直し大阪市長選は23日、投開票され、地域政党「大阪維新の会」公認で前職の橋下徹氏(44)=日本維新の会推薦=が新顔3人を破り、再選を果たした。橋下氏は大阪市を特別区に再編する「大阪都構想」の議論を進めるかどうかを争点に掲げたが、都構想に反対する政党は候補者の擁立を見送った。投票率は23・59%(前回60・92%)で過去最低を記録。橋下氏の得票は初当選した前回から半減し、大量の無効票も出た。選挙に圧勝することで「民意」を得て政策を進めるという手法が空回りし、橋下維新の政治的な影響力低下は避けられない。

特集:出直し大阪市長選
 再選を決めた橋下氏の任期は、自らの残り任期の2015年12月まで。橋下氏は大阪都構想の設計図を夏までに作る方針だ。

 大阪府知事選とのダブル選となった前回11年は75万票余りを獲得したが、今回は約38万票だった。有権者数に占める得票の割合は35・67%から17・85%と大幅に下落。無効票は過去最多の6万7506票(うち白票4万5098票)に上り、投票総数の13・53%を占めた。圧勝して都構想を進めようという戦略は、正当性に疑問符が付いた。

 橋下氏は都構想を実現する手段として、大阪維新の会や国政政党の日本維新の会を立ち上げた。統一地方選やダブル選に勝ち続けることで自らの足場を固め、国政でも第3党に躍進した。だが、昨年7月の参院選で伸び悩み、9月の堺市長選で公認候補が敗れて失速。今回、橋下維新の退潮傾向は一層鮮明になった。

 橋下氏は選挙期間中、街頭タウンミーティングや個人演説会で、都構想の利点を訴え続けた。これに対し、自民党や民主党、共産党といった都構想に反対する政党が対立候補を立てず、争点とはならなかった。そのため、有権者は投票の選択肢を失い、投票率は低迷。過去最低だった1995年の28・45%にも届かなかった。

 出直し選を経ても、維新が過半数に及ばない大阪市議会や大阪府議会の構成は変わらない。橋下氏は10月に住民投票で賛否を問い、来年4月の大阪都移行を目指すが、必要な議会の議決は厳しい状況。橋下氏は「都構想が崩れたら僕自身の存在意義がない」と主張するが、橋下氏だけでなく党の存在意義も揺るがす局面に陥った。

 橋下氏は都構想の制度設計を話し合う法定協議会から反対する政党のメンバーを外すことも公約。民意の「追い風」を受ければ府議会の議決などで差し替えを実行する構えだったが、狙い通りの風は吹かなかった。来年4月の統一地方選に向けて、政党間の対立が激しくなるのは確実だ。

140319 大阪市教委、公募校長を更迭へ 「業務を停滞させた」 [東京]

 大阪市教育委員会は19日、市長を辞職した橋下徹氏が主導した公募制度で民間から採用した市立巽中(生野区)の北角裕樹校長(38)を「教職員や保護者との関係を悪化させ、学校業務を停滞させた」として更迭する方針を固めた。市教委関係者が明らかにした。
 市教委によると、北角校長は着任以来、独断的な学校運営を批判され、PTAが更迭を求めていた。昨年7月には校長と口論になった教頭が土下座して謝罪するトラブルがあり、休職した教頭の代わりに前校長が業務を手伝うなどの混乱が、市議会で問題視された。
(共同)

140221 橋下氏指示の事務所退去は労組介入…府労委認定 [読売]

 大阪府労働委員会は20日、大阪市が橋下徹市長の指示で市役所庁舎内に入居していた職員労働組合の事務所退去を求めたことや、給与から職員労働組合費の天引きを認める「チェックオフ制度」を廃止したことについて、それぞれ労働組合に対する支配介入に当たる不当労働行為と認定した。

 府労委は市に対し、不当労働行為を繰り返さないとの誓約文書を労組側に手渡すことを命令。一方、事務所使用については「組合側から使用申請があった時点で、庁舎の状況を考慮して判断されるもの」として、今後の対応を市に委ねた。

 救済を申し立てていたのは、市労働組合連合会(市労連)や市従業員労働組合(市従)、市役所労働組合(市労組)など8団体。

140216 大阪出直し選、64%評価せず 「都構想」は賛否拮抗 [東京]

 共同通信社が15、16両日に大阪市民を対象に実施した電話世論調査によると、「大阪都構想」の具体案絞り込みを進めるため、辞職して出直し選挙に立候補する橋下徹市長(日本維新の会共同代表)の行動を評価しないとした回答が64・2%に上り、評価するとした27・3%を大きく上回った。選挙で事態の打開を図る手法を多くの市民が疑問視した形だ。
 都構想については、賛成が39・1%、反対が40・3%と拮抗した。橋下氏を支持すると答えたのは47・8%、不支持は41・8%だった。
 出直し市長選を評価しないとする理由として、最多の31・2%が「多額のお金がかかる」ことを挙げた。
(共同)

140209 橋下氏「死ぬまで公明選挙区で立候補」 [日刊スポーツ]

 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長(44)は8日、大阪市内の会合で、今回の出直し市長選での“敵”を、選挙協力をほごにされたと主張する公明党に絞り、恨み節を増強させた。

 日本維新の「近畿ブロック維新政治塾」の開講式でのあいさつだった。スーツ姿の橋下氏は、塾生を前に胸を張り「(公明党と支持母体の創価学会による)『常勝関西』の流れをなんとか断ち切るため、ありとあらゆる手段を講じていく」と宣言。「僕は死ぬまで、公明の選挙区で立候補することをライフワークにしていく」。公明を挑発するねらいとみられるが、結果的には、自らの国政進出の意思を明言した形となった。

 維新は12年末の衆院選で、公明と都構想推進の約束をもとに選挙協力をし、大阪の小選挙区に候補を立てなかった。ところが公明は都構想の区割り案絞り込みに反対し、都構想は頓挫。橋下氏は市長辞職、出直し選への強硬手段に出た。

 橋下氏の怒りは増幅の一途で、前日は「一生忘れない」。この日は「大阪で公明党が議席を持っている衆院小選挙区に、僕と松井一郎大阪府知事、大阪維新幹部で立候補することも考える」とし、今後の選挙では自らの小選挙区立候補さえ、ちらつかせ、関西で強い公明地盤を切り崩す覚悟を示した。これに、公明党府本部代表の佐藤茂樹衆院議員は、維新が国会で議席を獲得する以前から「建設的な議論をしてきた。人の道に反する」と強い不快感を示した。

 また、出直し市長選は3月9日に告示、23日に投開票の日程に決まった。

140201 橋下市長:辞意…大阪都構想頓挫、出直し選へ [毎日]

 大阪市の橋下徹市長(大阪維新の会代表)は1日、東京都内で開かれた大阪維新の全体会議で「市長選をやる」と明言し、市長辞職と出直し選挙出馬を表明した。松井一郎大阪府知事(大阪維新幹事長)については「私の参謀になってもらう」と述べ、辞職させない方針を示した。自らが提唱する大阪都構想が野党各党の反対や慎重姿勢で事実上頓挫しており、出直し市長選に勝利し、民意を得たとして事態打開を図る構えだ。

 全体会議の出席者によると、自らも辞職する意向を示した松井氏を橋下氏は制し、そのうえで出直し市長選で敗れた場合には「2人とも政界を去る」と述べた。また、「代表として失格かもしれないが、組織選挙でなく個人としてやりたい」との考えを示し、維新は公認という形をとるかどうか検討する。辞職時期は明言しなかった。この時期に辞職すれば新年度予算の編成中の選挙となるため、「住民不在」との批判を懸念する声が党内にある。

 大阪府・市を再編する都構想を巡り、制度設計をする法定協議会で1月31日、市を分割してつくる特別区の区割り案4案を1案に絞り込むとの橋下氏らの提案を、維新以外の各会派の反対で事実上否決した。特に、これまで協力関係にあった公明党も反対。府・市両議会で過半数に満たない維新にとって公明の協力が不可欠だが、今後期待できない状況に追い込まれていた。【林由紀子、茶谷亮、阿部亮介】

140109 大阪市、283億円支払いへ 経営失敗の複合ビルで和解 [朝日]

 大阪市交通局の土地信託事業で経営が行き詰まった複合ビル「オスカードリーム」を巡り、借金を肩代わりしたみずほ信託銀行が大阪市にその補償を求めていた訴訟で、市は8日、約283億円を銀行に支払う内容の大阪高裁の和解案を受け入れる方針を決めた。

 オスカーは、大阪市住之江区の市営地下鉄住之江公園駅前で1995年に開業した19階建ての複合ビル。赤字の市バス事業の経営改善を狙い、バスの車庫跡地を信託事業で運用し、配当を受けとる予定だった。

 市はみずほ信託銀行に2020年度まで運用を任せる契約を結んだが、テナント料収入が低迷。06年にビル建設に伴う借金の返済期限を迎えたが、収益では支払えず、銀行が返済を肩代わりした。銀行は08年、借金相当額約276億円の支払いを市に求めて提訴。11年の大阪地裁判決で市が全面的に敗訴し、大阪高裁で和解協議が続いていた。

 交通局によると、高裁が提示した和解案は、ビルの空調や消防設備の費用7億円を加えた計約283億円を市が支払う一方、年6%の遅延損害金約120億円は免除する内容。市は8日、橋下徹市長が出席する戦略会議を開き、受け入れる方針を決めた。銀行は応じる姿勢といい、市議会で承認されれば3月に和解する見通しだ。

 支払い費用についてはビルや土地を売却するほか、バスや営業所の土地売却などで捻出する。ただ、大幅な不足が予想されるため、市幹部によると、一般会計からの支出も検討する。

 橋下市長は記者団に「280億円の支払いとなれば普通であれば完全に倒産。従業員は路頭に迷う。そんな状況であることを職員全員が重く認識しなければならない」と述べた。今後、開発を決めた当時の意思決定過程について外部チームに調査を依頼し、結果を公表する意向を示した。

 大阪市の土地信託事業を巡っては、港区の複合ビル「オーク200」もバブル崩壊で経営が悪化。大阪地裁は昨年3月、銀行側が肩代わりした借金相当額637億円の支払いを市に命じた。現在、大阪高裁で和解協議が進んでいる。

 橋下市長は「大阪市役所態勢を続けたら市民がどんどん不幸になる」と述べ、大阪都構想の必要性を改めて強調したが、巨額の支出は都構想を実現する上での財源不足につながりかねず、反対派を勢いづかせる可能性も指摘されている。(川田惇史、左古将規)
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