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[[■原発09]] から 最新の情報は、[[■原発]] へ #contents *110113 イタリア、原発再開めぐり国民投票へ 憲法裁が判決 [朝日]  【ローマ=南島信也】イタリア憲法裁判所は12日、閉鎖していた原子力発電所の再開について、国民投票で是非を問うことを認める判決を下した。国民投票は今年4月15日から2カ月以内に実施される予定だ。  同国では、1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故を受け、国民投票で当時の原発関連法を廃止。すべての原発が閉鎖され、建設計画も凍結されたため、電力の14%(2009年)をフランスやスイスなどからの輸入に頼ってきた。  しかし、高コストや供給の不安定さなどから産業界を中心に原発の再開を求める声が強まり、ベルルスコーニ政権は脱原発政策を転換。09年2月にフランスと協力協定を結び、13年までに原発建設に着手し、20年までに最初の原発を稼働させる計画を立てていた。これに対し、再開に反対する野党などが署名を集め、国民投票の実施を求めて憲法裁に提訴していた。 *110108 日ロ原子力協定批准、メドベージェフ大統領が署名 [朝日]  【モスクワ=副島英樹】ロシア大統領府は8日、日ロ両政府が2009年5月に結んだ原子力協定の批准法案にメドベージェフ大統領が署名したと発表した。ロシア上下両院が昨年末に批准を承認していた。協定の期間は25年。ウラン濃縮や原発建設、放射性廃棄物処理などでの共同事業が可能となる。  ロシアは、原子力分野での世界的な事業拡大に動いており、東芝など日本の高い原発建設技術にも熱い関心を示している。 *101224 東通原発1号機に設置許可 東電で18基目 [朝日]  経済産業省は24日、東京電力の東通原子力発電所1号機(青森県東通村、改良型沸騰水型炉、出力138.5万キロワット)の設置を許可した。  原発の設置許可は、2008年のJパワー(電源開発)大間原発(同県大間町)以来。東京電力では、97年運転開始の柏崎刈羽原発7号機以来で18基目。完成すれば、約40万世帯分の電気をまかなう国内最大級 *101118 もんじゅ再開、12年にずれ込む恐れ 存廃論議再燃か [朝日]  高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で燃料交換装置が炉内に落下したトラブルについて、日本原子力研究開発機構は17日、装置回収には大規模な工事が必要になると発表した。当初は来年を想定していた試験運転の再開が大幅に遅れ、2012年にずれ込む可能性もある。トラブルの長期化で存廃論議が再燃しかねない状況だ。  もんじゅは1995年のナトリウム漏れ事故で運転を停止し、今年5月に運転を再開した。しかし、第1段階の試験終了後の8月末に「炉内中継装置」(重さ3.3トン)が原子炉内に落下。16日からの調査では、装置の継ぎ目部分が、衝撃で直径1センチ程度膨らんでいることが判明した。  機構は筒状の炉内中継装置を炉から回収するため、装置を入れる「穴」の部分の保護装置「スリーブ」(厚さ8センチ)も一緒に引き抜くと決定。取り外す装置や構造物が大規模なため、一連の作業には数カ月かかるという。  機構は当初、出力を40%に上げて発電能力などを検証する第2段階の性能試験を来夏にも計画していたが、「2011年度中」と修正した。第3段階となる出力100%の運転は13年春に始める目標だが、手間取ればさらにずれ込む可能性も出てきた。  トラブルは装置をつかむツメの設計不備が原因。今年5月に運転が再開されるまでの約14年半、徹底した安全対策がとられたはずだったが、わずか3カ月余りでまた計画が中断した。もんじゅの炉内は不透明の液体ナトリウムで満たされているため、トラブルの状況も簡単には把握できない。停止中も維持費に1日5500万円かかる。 *101107 フランスから使用済み核燃料輸送、抗議4万人 ドイツ [朝日]  【ベルリン=松井健】フランスからドイツへ2年ぶりに輸送される高レベル放射性廃棄物を巡り、ドイツで激しい抗議活動が起きている。廃棄物を積んだ列車は6日にドイツ入り。目的地の中間貯蔵施設のある北部ニーダーザクセン州ゴアレーベン周辺などでは反対派約4万人が集まって阻止を訴え、混乱している。  メルケル政権が9月、国内の原発の運転を平均12年延長する「脱・脱原発」へと政策を転換したことに野党や環境団体が強く反発しており、輸送反対運動に拍車をかけている形だ。  DPA通信によると、妨害活動を排除するために約1万6千人の警官が動員された。廃棄物はドイツの原発から出た使用済み核燃料で、フランスで再処理された。特殊容器に詰め列車で運んだ後、車両に積み替えてゴアレーベンに搬入する。列車は5日にフランスを出発直後、線路に体を縛り付けた独仏の活動家のために約3時間立ち往生した。 *101105 日韓、原子力協定に実質合意 原発共同輸出の可能性も [朝日]  核関連物質や技術を平和利用する原子力協定に、日本と韓国が実質的に合意したことがわかった。年内にも署名する見通しだ。両国は新興国での原子力発電所の建設受注で競合関係にあるが、協定の発効によって、連携して第三国に原発輸出する選択肢も生まれる。  日韓の政府関係者によると、合意では核物質、設備、技術の相互移転や共同研究を、平和・産業目的に厳しく限って可能にする。移転した核関連物質などは原則として、濃縮や再処理をしないことにした。交渉で日本側は、再処理物質の軍事転用を懸念し、韓国に対して使用済み燃料からプルトニウムを取り出す核燃料サイクルを導入しないことの確認を求めていた。  これまで日韓の民間企業は、平和利用のルールを議論する原子力供給国グループ(NSG)の指針に沿い、例えば韓国が原子炉の部品などを輸入する際、軍事使用はしないと個別に確認していた。  しかし、こうしたやり方は「あくまでも例外措置」(関係者)で、輸出入の手続きを円滑にするためには協定の締結が必要とされていた。また、協定を結べば北朝鮮の核問題を抱える東アジアで、核不拡散の強化につながるとの見解でも一致。2009年1月の日韓首脳会談で交渉開始を決め、協議を続けていた。  協定締結について、韓国政府関係者は、「技術協力や共同研究だけでなく、第三国への共同進出も活発に模索できるようになる」と期待する。日本側関係者も「技術力のある日本と、途上国でのインフラ受注に積極的な韓国の組み合わせは、ともに利益を上げられる関係になり得る」と話している。(中野晃) *101105 美浜原発1号機、40年超の運転了承 福井県・美浜町 [朝日]  福井県と同県美浜町は、28日で営業運転開始から40年を迎える美浜原発1号機(福井県美浜町)について、最大10年間の運転延長を了承すると決めた。西川一誠知事と山口治太郎町長が5日に発表した。40年を超す原発の運転は、敦賀原発1号機(同県敦賀市)に次いで国内2例目となる。  1970年に営業運転を開始した美浜1号機は出力34万キロワットで、加圧水型の原子炉。今年3月、国内で初めて運転期間が40年を超えた敦賀原発1号機は沸騰水型で、国内を代表する二つの形式の原子炉がいずれも「高齢化時代」を迎えることになる。  美浜原発を運営する関西電力は昨年11月に10年間の運転延長が可能とした報告書をまとめ、原子力安全・保安院が今年6月に延長を認めていた。今回、地元自治体が了承したことで、40年超運転に向けた手続きがほぼ完了した。  同社は、美浜原発の敷地内に大型原子炉を新設する方針を表明しており、延命する1号機は大型炉完成までの「つなぎ役」を期待されている。(笹川翔平) *100906 ドイツ、「脱原発」から転換 平均12年運転延長へ [朝日]  【ベルリン=松井健】ドイツのメルケル政権は5日、2020年ごろまでに全廃する予定だった国内の原子力発電所の運転を平均で12年間延長する方針を決定した。「脱原発」の先頭を走ってきたドイツだが、世界的に原発回帰が進む中、「安定的なエネルギー」や産業競争力を求める声に従い、「脱・脱原発」へとカジを切る形になった。  政権側は同時に、風力などの再生可能エネルギーが発電総量に占める割合を高める方針も打ち出した。だが、野党や環境団体などは、原発延命に強く反発している。  連立を組むキリスト教民主・社会同盟(同盟)と自由民主党の首脳と関係閣僚が5日夜の協議で決めた。同夜のレットゲン環境相らの説明によると、現在国内に17基ある原発のうち、1980年以前に建設された原発は従来計画より8年間、80年以降建造の原発は14年間、それぞれ稼働を延長する。従来計画では原発の運転期間は運転開始から原則32年間としていた。独メディアによると、今回の方針転換で、40年ごろまで原発の運転が続くことになる。  運転延長の恩恵を被る電力業界に来年から6年間、年間23億ユーロ(約2500億円)の「原発燃料税」などの負担を課し、財政再建や再生可能エネルギーへの投資にあてる。政権側は無関係としているが、運転延長の見返りと見られている。ただ、産業界は新税には反発している。  98年に誕生した社会民主党と緑の党によるシュレーダー政権は「脱原発」を掲げ、20年ごろまでの全廃を決めた。これまでに2基の原発が停止され、風力や太陽光など再生可能エネルギーの普及に力を入れてきた。05年の総選挙を受け、シュレーダー政権に代わって社会民主党と同盟が発足させた第1次メルケル政権(大連立政権)も、その方針を継続していた。  だが、昨年9月の総選挙で発足した第2次メルケル政権は原発延命を打ち出し、調整を続けてきた。政府・与党は「温室効果ガス削減に原発は必要」「産業競争力を維持するために、安定し経済的なエネルギーが必要」「再生可能エネルギー開発への投資を確保するためにも原発の稼働が必要」と説明してきた。  政府側は6日の会見で、50年までの長期エネルギー構想を発表。再生可能エネルギーが発電に占める割合を30年までに50%、50年までに80%にする目標を掲げた。  野党・社会民主党や緑の党、環境保護団体は、「ドイツにとって暗黒の日だ」(グリーンピース)などと批判した。野党側からは「憲法裁判所に訴える」との声も出ており、今後も連邦議会などで議論が続くと見られる。 *100819 原子力「推進」を明記 連合、エネルギー基本方針を策定 [朝日]  連合は19日、エネルギー問題に関する基本方針を初めて策定した。現在計画中の原子力発電所の新増設を「着実に進める」とし、これまで内部で意見が分かれていた原子力エネルギーについて推進する姿勢を明記した。  これまでは2年ごとにまとめる国への政策提言の中で、原発を「重要なエネルギー源」と位置づけるにとどめていた。連合傘下の労働組合には、原発に反対の立場をとる旧総評系と、積極派の電力関係労組などの旧同盟系がおり、統一見解には至らなかったためだ。  今回の基本方針は、今後10~20年を見すえた中長期的なものとしてまとめられた。地球温暖化防止に向けて温室効果ガスの排出量削減が迫られるだけでなく、新興国の発展など世界的なエネルギー需要の増加で、資源の獲得競争がますます激しくなってくるとの共通認識に立った。原発の利用向上をはじめ、石油・石炭といった化石燃料によるエネルギーや、再生可能エネルギーとの最適な組み合わせが欠かせないと判断した。  連合が支援する民主党も、昨年のマニフェストで原子力利用の推進を掲げている。連合の古賀伸明会長は同日の定例会見で「これまでの政策から一歩踏み込んだ方向性が出た。具体的な議論を始めなければならない」と語った。 *100720 再処理工場、完成延期17回 使用済み核燃料たまる一方 [朝日]  核燃料を再利用するための日本初の本格的な「再処理工場」(青森県六ケ所村)の10月の完成が危ぶまれている。最終的な試験運転が、設備トラブルで遅れているためだ。全国の原子力発電所には再処理に回せない使用済み燃料が積み上がる。また、たとえ稼働しても使用済み燃料が増え続ける構図になっており、核燃料サイクルが抱える課題は多い。  再処理工場にはこれまで、当初計画の3倍近い2兆1930億円が投じられ、おおかたの設備は完成している。だが、きちんと稼働するかどうかを確認する最終試験に手間取っている。難航しているのは、使用済み燃料からウランやプルトニウムを取り出す過程で生じる高濃度の放射性廃液を、ガラス固化する設備だ。  2007年に試験を始めたが、炉内の温度が安定しないためにガラスがうまく流れず、何度も中断。炉内の耐熱れんががはがれ落ちるトラブルや廃液漏れも相次いだ。れんがは6月17日にようやく取り除くことができたが、すべてが遠隔操作のため、作業には2カ月以上を要した。  今後は炉内の点検などを経て、固化試験をやり直す。工場を運営する日本原燃は、「炉が止まっている間に、模擬材料を使った別の施設での実験でデータを蓄えてきた」と説明する。だが専門家からは「安定した確実な操業のためには、実際の材料と炉を使って、もっとデータを取る必要がある」(京大原子炉実験所の山名元・教授)との声も出る。  日本原燃が本社を置く六ケ所村は、ウラン濃縮工場や放射性廃棄物の貯蔵・埋設施設など、日本の国策である「核燃料サイクル」を担う主要施設が集中している。その中核に位置づけられるのが再処理工場。最初の計画では97年の完成を目指したが、耐震設計ミスなどのトラブルで、すでに完成延期は17回にのぼっている。  再処理工場の近くに建設する「MOX燃料工場」も耐震評価に手間取ったことなどから、07年4月だった着工時期が3年半遅れの今年10月となっている。  この間、全国の原発の敷地内に設けられた「貯蔵プール」には使用済み燃料が積み上がってきた。全体の貯蔵能力は2万410トン分しかない。すでに1万3150トン分は埋まり、一部の原発では数年で満杯になる見通しだ。電力業界関係者は「貯蔵設備は六ケ所村に使用済み燃料を運ぶ前提で作っている。ここまでの延期は予想できなかった」と漏らす。  再処理工場が完成しても、使用済み燃料が増え続ける構図は変わらない。全国に54基ある原発からは年約1千トンの使用済み燃料が出るが、工場の処理能力は年800トン。政府は新たな貯蔵施設の建設に向け、受け入れ自治体に交付金を出すことにしたが、これまでに受け入れが決まったのは青森県むつ市だけだ。  日本の二酸化炭素の排出量を削減する目標の達成に向けて、電力業界は20年までに9基を新増設する計画だ。核燃料サイクルのつまずきは、これらの計画にも悪影響を及ぼしかねない。(竹中和正)      ◇  〈核燃料サイクル〉 日本のエネルギー安全保障の中核をなす政策。原発で使い終わった核燃料棒からプルトニウムとウランを回収し、プルトニウムを含むMOX燃料に加工して再び原発で使うなどする仕組み。輸入頼みのウランを有効活用するのが、最大の狙い。2009年以降、九州電力玄海原発や四国電力伊方原発でMOX燃料を使ったプルサーマル発電が始まっているが、MOX燃料は現在、海外から輸入しており、国内でのサイクル循環はまだ実現していない。 *100623 ベトナム、2030年までに原発13基建設 [朝日]  【ニューデリー=高野弦】ベトナム政府は、2030年までに原子力発電所を8カ所(13基)で建設する方針を明らかにした。経済成長に伴って首都ハノイでも電力不足が深刻化しており、同年までに原発で、電力需要の10%にあたる1万5千~1万6千メガワットの発電を目指す。  ベトナムでは現在、南部ニントアン省で原発2基を建設する計画が進行中で、ロシアの協力で2020年の運転開始を目指している。当初は同年に4基の運転を始める予定だったが、国会審議で慎重論が出て、2基を先行して建設することになった。新たな政府の方針も、具体化の過程で変更される可能性がある。 *100625 日印原子力協定締結交渉へ 政府、産業界要請で方針転換 [朝日]  菅内閣は25日、インドへ原子力発電の技術や機材を輸出するために必要な「日印原子力協定」の締結交渉入りを決めた。核不拡散条約(NPT)非加盟で核を保有するインドとの原子力協力にはNPT体制を弱めるとの懸念があり、日本政府は慎重姿勢だったが、インドに原発を輸出したい産業界などの要請を受け、方針を転換した。  岡田克也外相が記者会見で明らかにした。第1回会合は28、29両日に東京で行われる。2008年に「原子力供給国グループ」(NSG)が原子力関連の対インド輸出を解禁したことを受け、国際社会ではインドとの原子力協力の動きが活発になっていた。菅内閣は18日に閣議決定した経済政策「新成長戦略」で原発などのインフラパッケージの輸出を目標の一つに掲げており、菅直人首相が交渉入りを決断した。  岡田氏は会見で「中身次第だが、しっかり議論して迅速に締結を目指したいと考えている」と表明。ただ、核不拡散への取り組みの観点から「核実験についてどう考えていくか。今後の話し合いの中でしっかりと一定の歯止めを設けることができるようにしたい」とも述べた。核実験への制約を嫌うインドとの交渉が難航する可能性もある。(山尾有紀恵) *100506 高速増殖炉もんじゅ、運転再開 事故から14年半ぶり [朝日]  1995年末のナトリウム漏れ事故で停止していた高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が6日午前10時36分、運転を再開した。燃料のプルトニウムを燃やした以上に生み出す「夢の原子炉」とされ、国が核エネルギー政策の中核に位置づける巨大事業が14年5カ月ぶりに動き出した。ただ、長期の中断を経た再開は世界的にも例が少なく、安全性や経済性に課題を残すなかでの再起動となった。  事業主体の日本原子力研究開発機構は午前10時半すぎ、もんじゅの原子炉の制御棒を炉心から引き抜くボタンを押した。中央制御室に詰めた運転員らは、炉心の核反応を確認しながら、計19本の制御棒を順次動かす作業を始めた。  8日には、核分裂反応が連続して起きる臨界に達する見通し。同機構はまず、14年5カ月にわたり運転を止めていた原子炉が正常に作動するかをみる「炉心確認試験」を行う。臨界状態のまま低い出力を維持し、制御棒の動きや炉心内の温度変化などを2カ月半かけて調べる。  その後はいったん原子炉を停止し、次の段階の準備に入る。来春には、原子炉で加熱した液体ナトリウムを使って水蒸気を作り、タービンを回して発電する「40%出力プラント確認試験」を実施。さらに100%の出力で連続運転させる「出力上昇試験」を予定している。各段階の試験が順調に進めば、2013年春には本格的な運転に入る見通しという。  高速増殖炉の研究構想は1960年代から動きだし、国がめざす核燃料サイクル計画の柱とされてきた。一方、空気や水に触れると激しく反応するナトリウムを冷却材に使い、核兵器にも使用されるプルトニウムを増やすなど、運転管理や保安面の難しさが指摘されてきた。  技術開発や採算性を見極めるための原型炉として、もんじゅは91年に試験運転を開始した。しかし、95年末にはナトリウムが漏れる火災事故が発生。当時のもんじゅを管理していた動力炉・核燃料開発事業団(現・日本原子力研究開発機構)による現場ビデオの改ざんなどが発覚し、安全性への不信が高まった。その後も、ナトリウム漏れ検出器などでトラブルが続いた。  改造工事を施したとはいえ、14年以上も停止していた原子炉やプラントが支障なく動くか、なお不安が残る。複雑なシステムはコストの増大も招き、これまでにかかった建設や維持管理の費用は約9千億円に達する。  国は昨年の政権交代後も、もんじゅの運転再開をめざす方針を確認。今年4月には、地元・福井県も北陸新幹線の延伸などの地域振興策を条件に再起動を了承した。(岡野翔) *0301 伊方原発でプルサーマル試運転を開始 国内2例目 [朝日]  四国電力は1日、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)でプルサーマル発電の試運転を始めた。同日午後1時51分、原子炉のブレーキにあたる制御棒を炉心から引き抜いて原子炉を起動させた。2日朝には核分裂が連続して起こる臨界に達し、30日に営業運転へ移行する予定。プルサーマルによる本格運転は、昨年12月に営業を始めた九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)に次いで国内2例目となる。 *0217 米、原発30年ぶりに新設へ 費用の政府保証を初実施 [朝日]  【ワシントン=勝田敏彦】オバマ米大統領は16日、エネルギー効率の高い新型原子力発電を推進する原発建設費の政府債務保証を初めて実施すると発表した。地球温暖化対策と雇用創出が狙いで、1979年のスリーマイル島事故以降止まっていた米国の原発建設が、約30年ぶりに再開されることになる。  エネルギー省の発表によると、債務保証の対象は南部ジョージア州の電力会社サザンカンパニーのボーグル原発に増設される2基。サザン社が金融機関から借り入れる建設資金の一部83億3千万ドル(約7500億円)を政府が保証し、サザン社の負担を軽くする。  2基は東芝傘下の米ウェスチングハウスが開発した最新型の加圧水型炉AP1000で、同社は米原子力規制委員会(NRC)からすでに立地許可を得ている。来年にも最終的な許可を得て工事を本格化させ、2016~17年の運転開始を目指す。  オバマ政権は、二酸化炭素排出が少ない原子力を地球温暖化対策の柱の一つにしており、11会計年度予算教書で原発建設の債務保証枠を3倍に増額した。エネルギー省のチュー長官によると、今回の2基以外にも実施の予定は続いており、東芝や三菱重工業など日本の原発メーカーには商機拡大の好機になりそうだ。
[[■原発09]] から 最新の情報は、[[■原発]] へ #contents *101224 東通原発1号機に設置許可 東電で18基目 [朝日]  経済産業省は24日、東京電力の東通原子力発電所1号機(青森県東通村、改良型沸騰水型炉、出力138.5万キロワット)の設置を許可した。  原発の設置許可は、2008年のJパワー(電源開発)大間原発(同県大間町)以来。東京電力では、97年運転開始の柏崎刈羽原発7号機以来で18基目。完成すれば、約40万世帯分の電気をまかなう国内最大級 *101118 もんじゅ再開、12年にずれ込む恐れ 存廃論議再燃か [朝日]  高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で燃料交換装置が炉内に落下したトラブルについて、日本原子力研究開発機構は17日、装置回収には大規模な工事が必要になると発表した。当初は来年を想定していた試験運転の再開が大幅に遅れ、2012年にずれ込む可能性もある。トラブルの長期化で存廃論議が再燃しかねない状況だ。  もんじゅは1995年のナトリウム漏れ事故で運転を停止し、今年5月に運転を再開した。しかし、第1段階の試験終了後の8月末に「炉内中継装置」(重さ3.3トン)が原子炉内に落下。16日からの調査では、装置の継ぎ目部分が、衝撃で直径1センチ程度膨らんでいることが判明した。  機構は筒状の炉内中継装置を炉から回収するため、装置を入れる「穴」の部分の保護装置「スリーブ」(厚さ8センチ)も一緒に引き抜くと決定。取り外す装置や構造物が大規模なため、一連の作業には数カ月かかるという。  機構は当初、出力を40%に上げて発電能力などを検証する第2段階の性能試験を来夏にも計画していたが、「2011年度中」と修正した。第3段階となる出力100%の運転は13年春に始める目標だが、手間取ればさらにずれ込む可能性も出てきた。  トラブルは装置をつかむツメの設計不備が原因。今年5月に運転が再開されるまでの約14年半、徹底した安全対策がとられたはずだったが、わずか3カ月余りでまた計画が中断した。もんじゅの炉内は不透明の液体ナトリウムで満たされているため、トラブルの状況も簡単には把握できない。停止中も維持費に1日5500万円かかる。 *101107 フランスから使用済み核燃料輸送、抗議4万人 ドイツ [朝日]  【ベルリン=松井健】フランスからドイツへ2年ぶりに輸送される高レベル放射性廃棄物を巡り、ドイツで激しい抗議活動が起きている。廃棄物を積んだ列車は6日にドイツ入り。目的地の中間貯蔵施設のある北部ニーダーザクセン州ゴアレーベン周辺などでは反対派約4万人が集まって阻止を訴え、混乱している。  メルケル政権が9月、国内の原発の運転を平均12年延長する「脱・脱原発」へと政策を転換したことに野党や環境団体が強く反発しており、輸送反対運動に拍車をかけている形だ。  DPA通信によると、妨害活動を排除するために約1万6千人の警官が動員された。廃棄物はドイツの原発から出た使用済み核燃料で、フランスで再処理された。特殊容器に詰め列車で運んだ後、車両に積み替えてゴアレーベンに搬入する。列車は5日にフランスを出発直後、線路に体を縛り付けた独仏の活動家のために約3時間立ち往生した。 *101105 日韓、原子力協定に実質合意 原発共同輸出の可能性も [朝日]  核関連物質や技術を平和利用する原子力協定に、日本と韓国が実質的に合意したことがわかった。年内にも署名する見通しだ。両国は新興国での原子力発電所の建設受注で競合関係にあるが、協定の発効によって、連携して第三国に原発輸出する選択肢も生まれる。  日韓の政府関係者によると、合意では核物質、設備、技術の相互移転や共同研究を、平和・産業目的に厳しく限って可能にする。移転した核関連物質などは原則として、濃縮や再処理をしないことにした。交渉で日本側は、再処理物質の軍事転用を懸念し、韓国に対して使用済み燃料からプルトニウムを取り出す核燃料サイクルを導入しないことの確認を求めていた。  これまで日韓の民間企業は、平和利用のルールを議論する原子力供給国グループ(NSG)の指針に沿い、例えば韓国が原子炉の部品などを輸入する際、軍事使用はしないと個別に確認していた。  しかし、こうしたやり方は「あくまでも例外措置」(関係者)で、輸出入の手続きを円滑にするためには協定の締結が必要とされていた。また、協定を結べば北朝鮮の核問題を抱える東アジアで、核不拡散の強化につながるとの見解でも一致。2009年1月の日韓首脳会談で交渉開始を決め、協議を続けていた。  協定締結について、韓国政府関係者は、「技術協力や共同研究だけでなく、第三国への共同進出も活発に模索できるようになる」と期待する。日本側関係者も「技術力のある日本と、途上国でのインフラ受注に積極的な韓国の組み合わせは、ともに利益を上げられる関係になり得る」と話している。(中野晃) *101105 美浜原発1号機、40年超の運転了承 福井県・美浜町 [朝日]  福井県と同県美浜町は、28日で営業運転開始から40年を迎える美浜原発1号機(福井県美浜町)について、最大10年間の運転延長を了承すると決めた。西川一誠知事と山口治太郎町長が5日に発表した。40年を超す原発の運転は、敦賀原発1号機(同県敦賀市)に次いで国内2例目となる。  1970年に営業運転を開始した美浜1号機は出力34万キロワットで、加圧水型の原子炉。今年3月、国内で初めて運転期間が40年を超えた敦賀原発1号機は沸騰水型で、国内を代表する二つの形式の原子炉がいずれも「高齢化時代」を迎えることになる。  美浜原発を運営する関西電力は昨年11月に10年間の運転延長が可能とした報告書をまとめ、原子力安全・保安院が今年6月に延長を認めていた。今回、地元自治体が了承したことで、40年超運転に向けた手続きがほぼ完了した。  同社は、美浜原発の敷地内に大型原子炉を新設する方針を表明しており、延命する1号機は大型炉完成までの「つなぎ役」を期待されている。(笹川翔平) *100906 ドイツ、「脱原発」から転換 平均12年運転延長へ [朝日]  【ベルリン=松井健】ドイツのメルケル政権は5日、2020年ごろまでに全廃する予定だった国内の原子力発電所の運転を平均で12年間延長する方針を決定した。「脱原発」の先頭を走ってきたドイツだが、世界的に原発回帰が進む中、「安定的なエネルギー」や産業競争力を求める声に従い、「脱・脱原発」へとカジを切る形になった。  政権側は同時に、風力などの再生可能エネルギーが発電総量に占める割合を高める方針も打ち出した。だが、野党や環境団体などは、原発延命に強く反発している。  連立を組むキリスト教民主・社会同盟(同盟)と自由民主党の首脳と関係閣僚が5日夜の協議で決めた。同夜のレットゲン環境相らの説明によると、現在国内に17基ある原発のうち、1980年以前に建設された原発は従来計画より8年間、80年以降建造の原発は14年間、それぞれ稼働を延長する。従来計画では原発の運転期間は運転開始から原則32年間としていた。独メディアによると、今回の方針転換で、40年ごろまで原発の運転が続くことになる。  運転延長の恩恵を被る電力業界に来年から6年間、年間23億ユーロ(約2500億円)の「原発燃料税」などの負担を課し、財政再建や再生可能エネルギーへの投資にあてる。政権側は無関係としているが、運転延長の見返りと見られている。ただ、産業界は新税には反発している。  98年に誕生した社会民主党と緑の党によるシュレーダー政権は「脱原発」を掲げ、20年ごろまでの全廃を決めた。これまでに2基の原発が停止され、風力や太陽光など再生可能エネルギーの普及に力を入れてきた。05年の総選挙を受け、シュレーダー政権に代わって社会民主党と同盟が発足させた第1次メルケル政権(大連立政権)も、その方針を継続していた。  だが、昨年9月の総選挙で発足した第2次メルケル政権は原発延命を打ち出し、調整を続けてきた。政府・与党は「温室効果ガス削減に原発は必要」「産業競争力を維持するために、安定し経済的なエネルギーが必要」「再生可能エネルギー開発への投資を確保するためにも原発の稼働が必要」と説明してきた。  政府側は6日の会見で、50年までの長期エネルギー構想を発表。再生可能エネルギーが発電に占める割合を30年までに50%、50年までに80%にする目標を掲げた。  野党・社会民主党や緑の党、環境保護団体は、「ドイツにとって暗黒の日だ」(グリーンピース)などと批判した。野党側からは「憲法裁判所に訴える」との声も出ており、今後も連邦議会などで議論が続くと見られる。 *100819 原子力「推進」を明記 連合、エネルギー基本方針を策定 [朝日]  連合は19日、エネルギー問題に関する基本方針を初めて策定した。現在計画中の原子力発電所の新増設を「着実に進める」とし、これまで内部で意見が分かれていた原子力エネルギーについて推進する姿勢を明記した。  これまでは2年ごとにまとめる国への政策提言の中で、原発を「重要なエネルギー源」と位置づけるにとどめていた。連合傘下の労働組合には、原発に反対の立場をとる旧総評系と、積極派の電力関係労組などの旧同盟系がおり、統一見解には至らなかったためだ。  今回の基本方針は、今後10~20年を見すえた中長期的なものとしてまとめられた。地球温暖化防止に向けて温室効果ガスの排出量削減が迫られるだけでなく、新興国の発展など世界的なエネルギー需要の増加で、資源の獲得競争がますます激しくなってくるとの共通認識に立った。原発の利用向上をはじめ、石油・石炭といった化石燃料によるエネルギーや、再生可能エネルギーとの最適な組み合わせが欠かせないと判断した。  連合が支援する民主党も、昨年のマニフェストで原子力利用の推進を掲げている。連合の古賀伸明会長は同日の定例会見で「これまでの政策から一歩踏み込んだ方向性が出た。具体的な議論を始めなければならない」と語った。 *100720 再処理工場、完成延期17回 使用済み核燃料たまる一方 [朝日]  核燃料を再利用するための日本初の本格的な「再処理工場」(青森県六ケ所村)の10月の完成が危ぶまれている。最終的な試験運転が、設備トラブルで遅れているためだ。全国の原子力発電所には再処理に回せない使用済み燃料が積み上がる。また、たとえ稼働しても使用済み燃料が増え続ける構図になっており、核燃料サイクルが抱える課題は多い。  再処理工場にはこれまで、当初計画の3倍近い2兆1930億円が投じられ、おおかたの設備は完成している。だが、きちんと稼働するかどうかを確認する最終試験に手間取っている。難航しているのは、使用済み燃料からウランやプルトニウムを取り出す過程で生じる高濃度の放射性廃液を、ガラス固化する設備だ。  2007年に試験を始めたが、炉内の温度が安定しないためにガラスがうまく流れず、何度も中断。炉内の耐熱れんががはがれ落ちるトラブルや廃液漏れも相次いだ。れんがは6月17日にようやく取り除くことができたが、すべてが遠隔操作のため、作業には2カ月以上を要した。  今後は炉内の点検などを経て、固化試験をやり直す。工場を運営する日本原燃は、「炉が止まっている間に、模擬材料を使った別の施設での実験でデータを蓄えてきた」と説明する。だが専門家からは「安定した確実な操業のためには、実際の材料と炉を使って、もっとデータを取る必要がある」(京大原子炉実験所の山名元・教授)との声も出る。  日本原燃が本社を置く六ケ所村は、ウラン濃縮工場や放射性廃棄物の貯蔵・埋設施設など、日本の国策である「核燃料サイクル」を担う主要施設が集中している。その中核に位置づけられるのが再処理工場。最初の計画では97年の完成を目指したが、耐震設計ミスなどのトラブルで、すでに完成延期は17回にのぼっている。  再処理工場の近くに建設する「MOX燃料工場」も耐震評価に手間取ったことなどから、07年4月だった着工時期が3年半遅れの今年10月となっている。  この間、全国の原発の敷地内に設けられた「貯蔵プール」には使用済み燃料が積み上がってきた。全体の貯蔵能力は2万410トン分しかない。すでに1万3150トン分は埋まり、一部の原発では数年で満杯になる見通しだ。電力業界関係者は「貯蔵設備は六ケ所村に使用済み燃料を運ぶ前提で作っている。ここまでの延期は予想できなかった」と漏らす。  再処理工場が完成しても、使用済み燃料が増え続ける構図は変わらない。全国に54基ある原発からは年約1千トンの使用済み燃料が出るが、工場の処理能力は年800トン。政府は新たな貯蔵施設の建設に向け、受け入れ自治体に交付金を出すことにしたが、これまでに受け入れが決まったのは青森県むつ市だけだ。  日本の二酸化炭素の排出量を削減する目標の達成に向けて、電力業界は20年までに9基を新増設する計画だ。核燃料サイクルのつまずきは、これらの計画にも悪影響を及ぼしかねない。(竹中和正)      ◇  〈核燃料サイクル〉 日本のエネルギー安全保障の中核をなす政策。原発で使い終わった核燃料棒からプルトニウムとウランを回収し、プルトニウムを含むMOX燃料に加工して再び原発で使うなどする仕組み。輸入頼みのウランを有効活用するのが、最大の狙い。2009年以降、九州電力玄海原発や四国電力伊方原発でMOX燃料を使ったプルサーマル発電が始まっているが、MOX燃料は現在、海外から輸入しており、国内でのサイクル循環はまだ実現していない。 *100623 ベトナム、2030年までに原発13基建設 [朝日]  【ニューデリー=高野弦】ベトナム政府は、2030年までに原子力発電所を8カ所(13基)で建設する方針を明らかにした。経済成長に伴って首都ハノイでも電力不足が深刻化しており、同年までに原発で、電力需要の10%にあたる1万5千~1万6千メガワットの発電を目指す。  ベトナムでは現在、南部ニントアン省で原発2基を建設する計画が進行中で、ロシアの協力で2020年の運転開始を目指している。当初は同年に4基の運転を始める予定だったが、国会審議で慎重論が出て、2基を先行して建設することになった。新たな政府の方針も、具体化の過程で変更される可能性がある。 *100625 日印原子力協定締結交渉へ 政府、産業界要請で方針転換 [朝日]  菅内閣は25日、インドへ原子力発電の技術や機材を輸出するために必要な「日印原子力協定」の締結交渉入りを決めた。核不拡散条約(NPT)非加盟で核を保有するインドとの原子力協力にはNPT体制を弱めるとの懸念があり、日本政府は慎重姿勢だったが、インドに原発を輸出したい産業界などの要請を受け、方針を転換した。  岡田克也外相が記者会見で明らかにした。第1回会合は28、29両日に東京で行われる。2008年に「原子力供給国グループ」(NSG)が原子力関連の対インド輸出を解禁したことを受け、国際社会ではインドとの原子力協力の動きが活発になっていた。菅内閣は18日に閣議決定した経済政策「新成長戦略」で原発などのインフラパッケージの輸出を目標の一つに掲げており、菅直人首相が交渉入りを決断した。  岡田氏は会見で「中身次第だが、しっかり議論して迅速に締結を目指したいと考えている」と表明。ただ、核不拡散への取り組みの観点から「核実験についてどう考えていくか。今後の話し合いの中でしっかりと一定の歯止めを設けることができるようにしたい」とも述べた。核実験への制約を嫌うインドとの交渉が難航する可能性もある。(山尾有紀恵) *100506 高速増殖炉もんじゅ、運転再開 事故から14年半ぶり [朝日]  1995年末のナトリウム漏れ事故で停止していた高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が6日午前10時36分、運転を再開した。燃料のプルトニウムを燃やした以上に生み出す「夢の原子炉」とされ、国が核エネルギー政策の中核に位置づける巨大事業が14年5カ月ぶりに動き出した。ただ、長期の中断を経た再開は世界的にも例が少なく、安全性や経済性に課題を残すなかでの再起動となった。  事業主体の日本原子力研究開発機構は午前10時半すぎ、もんじゅの原子炉の制御棒を炉心から引き抜くボタンを押した。中央制御室に詰めた運転員らは、炉心の核反応を確認しながら、計19本の制御棒を順次動かす作業を始めた。  8日には、核分裂反応が連続して起きる臨界に達する見通し。同機構はまず、14年5カ月にわたり運転を止めていた原子炉が正常に作動するかをみる「炉心確認試験」を行う。臨界状態のまま低い出力を維持し、制御棒の動きや炉心内の温度変化などを2カ月半かけて調べる。  その後はいったん原子炉を停止し、次の段階の準備に入る。来春には、原子炉で加熱した液体ナトリウムを使って水蒸気を作り、タービンを回して発電する「40%出力プラント確認試験」を実施。さらに100%の出力で連続運転させる「出力上昇試験」を予定している。各段階の試験が順調に進めば、2013年春には本格的な運転に入る見通しという。  高速増殖炉の研究構想は1960年代から動きだし、国がめざす核燃料サイクル計画の柱とされてきた。一方、空気や水に触れると激しく反応するナトリウムを冷却材に使い、核兵器にも使用されるプルトニウムを増やすなど、運転管理や保安面の難しさが指摘されてきた。  技術開発や採算性を見極めるための原型炉として、もんじゅは91年に試験運転を開始した。しかし、95年末にはナトリウムが漏れる火災事故が発生。当時のもんじゅを管理していた動力炉・核燃料開発事業団(現・日本原子力研究開発機構)による現場ビデオの改ざんなどが発覚し、安全性への不信が高まった。その後も、ナトリウム漏れ検出器などでトラブルが続いた。  改造工事を施したとはいえ、14年以上も停止していた原子炉やプラントが支障なく動くか、なお不安が残る。複雑なシステムはコストの増大も招き、これまでにかかった建設や維持管理の費用は約9千億円に達する。  国は昨年の政権交代後も、もんじゅの運転再開をめざす方針を確認。今年4月には、地元・福井県も北陸新幹線の延伸などの地域振興策を条件に再起動を了承した。(岡野翔) *0301 伊方原発でプルサーマル試運転を開始 国内2例目 [朝日]  四国電力は1日、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)でプルサーマル発電の試運転を始めた。同日午後1時51分、原子炉のブレーキにあたる制御棒を炉心から引き抜いて原子炉を起動させた。2日朝には核分裂が連続して起こる臨界に達し、30日に営業運転へ移行する予定。プルサーマルによる本格運転は、昨年12月に営業を始めた九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)に次いで国内2例目となる。 *0217 米、原発30年ぶりに新設へ 費用の政府保証を初実施 [朝日]  【ワシントン=勝田敏彦】オバマ米大統領は16日、エネルギー効率の高い新型原子力発電を推進する原発建設費の政府債務保証を初めて実施すると発表した。地球温暖化対策と雇用創出が狙いで、1979年のスリーマイル島事故以降止まっていた米国の原発建設が、約30年ぶりに再開されることになる。  エネルギー省の発表によると、債務保証の対象は南部ジョージア州の電力会社サザンカンパニーのボーグル原発に増設される2基。サザン社が金融機関から借り入れる建設資金の一部83億3千万ドル(約7500億円)を政府が保証し、サザン社の負担を軽くする。  2基は東芝傘下の米ウェスチングハウスが開発した最新型の加圧水型炉AP1000で、同社は米原子力規制委員会(NRC)からすでに立地許可を得ている。来年にも最終的な許可を得て工事を本格化させ、2016~17年の運転開始を目指す。  オバマ政権は、二酸化炭素排出が少ない原子力を地球温暖化対策の柱の一つにしており、11会計年度予算教書で原発建設の債務保証枠を3倍に増額した。エネルギー省のチュー長官によると、今回の2基以外にも実施の予定は続いており、東芝や三菱重工業など日本の原発メーカーには商機拡大の好機になりそうだ。

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