元は類まれなる魔法の才と、人一倍強い責任感と慈愛の心の持ち主として将来を有望視されていた聖域に住まう中位天使だった。
だが、その心の在り様からどんなに頑張っても零れ落ちてしまう存在の事をどうしても容認出来ず、どうにかして救えないのかと手段を模索する末に禁忌に手を出してしまう。
『時』を歪める事は『世界』を歪めるに等しいと封じられていた力に触れた代償として、彼女は純白の翼を失い、能力の大半を封印され聖域を追放される事となった。
それでも彼女は後悔に立ち止まる事を良しとせず、弱くなった身の上でも出来る最大限の事をしようと、国境を越えて世界中を旅しながら傷ついた人々に癒しを与えていった。
そんな折、同じく国境を越えて医療活動をしていた特殊医療部隊「瑠璃色の守護天使」の隊長、「ザラキエル」と出会い、「私達の仲間になっちゃいなよ?」と勧誘を受けた。
最初は故郷を追放された負い目から首を横に振っていたが、向けられる瞳に込められた想いは自分と全くの同類であると感じ、やがて首肯したのだった。
慈愛の純白の翼を失い、罪の証たる黒き翼を負い、在り方を認められ献身の瑠璃の翼を得た。そんな遍歴を辿った彼女ではあるが、抱く想いは最初から一貫して変わっていない。
許された事で再び得た力と、献身の志を同じくする仲間と共に、誰一人として取り零さず救いたいという願いを全うするべく、彼女は新たに得た翼を大きく広げる。
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