careerdesign @Wiki ★緊急特集~新潟地震を受けて~


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★緊急特集~新潟地震を受けて~

2004年10月24日

★緊急特集~新潟地震を受けて~


本日は予定を変更して、昨日夕方に起こった新潟地震に対して、阪神大震災で被災した自治体の職員として、「今、国・県・市町村が何をすべきか!」ということを緊急アピールしたいと思います。

1.被災者の救出
まずは、地域の住民として、周囲で土砂崩れや家屋の倒壊により人的被害が起きている場合は、その救出活動に全力を尽くしてください。今回の地震は日が暮れてから起こったので、被害の把握が十分ではないと思います。特に、被害の連絡がないような場所が一番気になります。そのような場所では、救出活動の応援が到着するのに時間がかかります。周囲の住民の力が救出力の全てになります。力を合わせて救出活動を行ってください。その際にショベルカーなどの重機や金属カッターなどがなければ救出できない場合は、速やかに行政や業者との連絡係の役割を果たしてください。存命率は72時間前後で大きく異なります。本日、そのような動きをしなければ取り返しのつかないことになります。
2.被害情報と自分の安否を職場に連絡した後、早急に出動してください。
まだ出動していない方は、被害が小さくても周囲の状況を職場に報告したうえで、自分の怪我の状況などを報告し、職場の指示に従って、速やかに出動してください。職場と連絡がつかない場合は、周囲の状況が極めて厳しいときは、救出要員、連絡要員として、地元にとどまってください。そうでない場合は、何晩も泊まる覚悟をして、バイク・自転車など公共交通機関を利用できないことや著しく道路が損傷していることを考慮した方法で、出動してください。徒歩で出動することはあまり推奨できません。職場とすれば、理由もなく出動しない職員に強い調子で出動を促してください。出動しない場合は処分の対象となることにも触れるべきです。阪神大震災では小さな子供がいても、子供を連れて区役所での窓口対応にあたっていた職員がいました。そのようなことは理由になりません。
3.被害情報の収集を速やかに行ってください。基本的に全職員が防災要員だと考えて、ふだん間接業務を行っている職員は地域を分けて各地域の被害情報を収集する必要があります。被害情報を集約する場所は、できるだけ電話が輻輳しにくい被災地外で行うのが適切です。
4.自衛隊、消防、警察、海上保安庁、日赤など防災関係機関には空振りでも速やかに応援要請を行ってください。その際、県は、地域ごとに部隊を割り振ることを仕切ってください。指揮命令系統がバラバラですので、同じ地域に多数の部隊が集まってしまうことも、ままあります。本日と明日しか有効な人命救助の機会はありません。すぐにでも被災地入りしてもらう必要があります。
5.様々な物資が必要ですが、まずは、救出のために必要な重機、電動カッターなどが必要で、大手ゼネコンや業界団体を通じて、人員とともに大量に参集をかけてください。その部隊が物資輸送の生命線となる緊急の道路復旧にも役立ちます。
6.他の自治体では、まず人命救助部隊は、要請を待たずに出動してください。その際、自給自足の準備が最低条件です。また、毛布、備蓄食料・飲料水、仮設トイレが被災地では最も喜ばれます。すぐにでも送り込む準備を行ってください。

まだ、いろいろあると思いますが、以上のことが一番緊急的だと思います。


2004年10月30日

★緊急特集(2)~新潟県中越地震に直面して~


 新潟県中越地震が発生して1週間が経過しました。
 被災地では、大きな余震への警戒をしながらも、復旧に向けての動きが本格化してきたと思います。特に、電気・ガス・水道などライフラインが徐々に復旧を始めたことは大きな朗報です。繰り返しになりますが、全くライフラインのない場所での生活は、現代の日本人では1週間が限度です。それ以上長引くと、健康であった人にも心身ともに大きなダメージを与えると思います。とりわけ高齢者と幼児、病人へのダメージは深刻であると考える必要があります。
 私の自治体からも、阪神大震災での支援への感謝を込めて、被災地に多くの職員が派遣されました。私も含めて、当地では募金などの活動も始まっています。自然災害の多い日本においては、被災地にことは他人事ではなく、自らも同様のリスクを負っていることを理解し、日本の良さであるお互いに助け合う精神が発揮される時だと思います。

さて、報道内容など極めて限られた情報からの判断ですが、阪神大震災後の復旧活動に携わった者として、以下のことを指摘・提言しておきたいと思います。

●早急に「災害弱者」を疎開させること
避難所では今でも、8万人以上の方が避難されています。避難所生活の長期化は、被災者の心身に大きなダメージを与えます。仕事の関係などでどうしても被災地から離れられない人を除いて、自宅の全壊などで避難所生活が長引く可能性のある人は、できるだけ早く、ライフラインの整った被災地外に疎開すべきと考えます。その受け皿として、公営住宅、公的宿泊施設、民間ホテル・賃貸住宅の借り上げなどに対応すべきと思います。特に高齢者については、宿泊機能を持つ福祉施設、子供たちは体験学習などを行う学習宿泊施設などに集団で疎開すべきだと思います。被災地に帰還する時期として、ライフラインの復旧時期や仮設住宅の用意ができた時点が考えられます。多くの被災者が被災地にとどまる理由として、仕事の都合、自宅の片付け、公的機関による罹災証明の発行など、もし離れれば何らかの不利益を被るのではないかという不安からによるものが多いと思います。そういった不安を現地の自治体が「出張役場」的な方法で、疎開先を巡回し、証明手続きや被災地情報などの伝達を行うことで、かなり緩和されます。まずは、健康を保持することが「エコノミー症候群」など起こり始めた「二次災害」への対応として急務です。

●大手物流業者による物流体制の構築(自治体職員が荷物運びをしていてはダメ!)
私たちもそうでしたが、物流体制が構築されていない間は自治体職員が市役所などの前の広場や避難所で昼夜を問わず救援物資の荷降ろしを行いましたが、これほど非効率なことはありません。自治体職員にとっては、住民のためにもっとすることが他にあります。慣れない作業を行い自らの健康も損なう非効率な荷降ろしはある意味では自己満足に過ぎません。早急に、日通、佐川急便、ヤマト運輸など大手物流業者にJVを結成してもらい、市内の数箇所をバックヤードに指定して、効率的に避難所などに救援物資を輸送するシステムを早急に構築する必要があります。

●インフルエンザ、肺炎がはやります
避難所の高い密度性から、インフルエンザは必ずはやります。肺炎に悪化して、多くの2次災害による死者も予想されます。教育の再開も大事ですが、一般教室なども活用して、できるだけ被災者を小分けする必要があります。また、発症者はすぐに隔離する体制が必要です。ワクチンによる予防対策も重要です。

●被災地で使える「フードスタンプ」の発給を!
今は救援物資が無料で提供されていますが、そのうち商店などで自ら食料品や衣服を購入する必要が生じます。大規模地震の場合、一般の住民にも大きなダメージがありますが、地元の小規模な商店なども収入が全く途絶え、その結果復興が進んでも商店がまったくないような利便性の低い街になってしまう可能性が高いです。そのためには、被災地で通用するバウチャー的な「フードスタンプ」を被災者に発給し、仮営業を始めている商店などで、できるだけ食料などを購入するように促し、商業機能を保持していく必要があります。

●精神的なケアが重要な時期になりました!
不思議なことなのですが、災害直後は「パラダイス」という心理状態に置かれます。みんなが被災者である間は、みんがお互いに優しく、少ない食料を分け合うような「天国」が具現します。一方で一週間ぐらい経つと、被害が軽微な人と深刻な被害を受けた人の「差」が明確になり、深刻な被害を受けた人にとって「強い取り残され感」が生じます。また、地震がフラッシュバックのように思い出されるPTSDや子供が幼児化する傾向もこの時期から強まります。各避難所の救護所では、精神科医やカウンセラーなどを増員して、「こころのケア」を強化する必要があります。

●救援物資より「義援金」が喜ばれます
日本のような商業機能が発達している国では、お金があるほうが、被災者が手に入れたい物資を早く入手することができます。下着や毛布などを救援物資で送れば、それだけで莫大な人員が仕分けのために必要になります。義援金のほうが、救援物資よりも、数段、被災地には喜ばれます。

以上、思いつくままに書きました。また気づいた時点で、追加していきたいと思います。

それにしても、被災地での活動は、市町村の動きばかりが目につき、県や国の動きがあまり見えてきません。当然、後方支援しているということでしょうが、こんな非常時には、被災地に直接出向いて、支援するという立場ではなく、「自分の仕事」として、直接、被災者救援活動を行うべきです。被災者は、市町村民である一方、県民でもあり、国民でもあるのです。その安全・安心は、最優先事項として取り組むべきです。役所に閉じこもっている場合ではないのです。


2004年10月31日

★緊急特集(3)~新潟県中越地震に直面して~


昨日に引き続き、新潟県中越地震に関する特集の第3弾です。

NHKの地震特集を見ました。阪神大震災の地元から新潟入りした黒田裕子さんが泣いていました。その姿を見て、被災した高齢者の生活支援という彼女のこの10年の被災者への献身的な活動を身近に見てきた私も泣かざるを得ませんでした。
その涙の意味は何か?
無論、破壊された街の姿や避難所の様子が10年前の地元の姿を思い出されて万感の思いがこみ上げてきたことでしょう。しかし、私はそれだけではなかったと思います。10年という月日が流れても、また同じ悲劇がビデオの巻き戻しのように起こってしまっている。そのような悲劇を防ぎ切れなかったことへの「やるせなさ」もあったと思います。

さて、昨日から気づいた範囲で、災害復旧対策について提言を行いました。多くの方からご意見をいただき本当にありがたく思いました。本日は、阪神大震災時の教訓を踏まえてもう少し踏み込んで提言を行えればと思います。

●罹災証明の発行について
全壊・半壊・一部損壊・死亡・重傷などを公的に認定する「罹災証明」は、被災者に対する様々な支援対策の対象となるか否かを決定する重要な手続きになります。現在、新潟では、他自治体の応援も得て判定活動が行われていると思いますが、大量の家屋の判定を短時間で行いますので、どうしても判定が粗くなってしまうことも多くあります。自治体においては、第一次判定が終了した後も、被災者の言い分も十分に汲み取っていただき、第2次判定、第3次判定を柔軟に実施し、納得性の高い判定を行うよう努力いただければと思います。第1次審査が間違っていたとしても、それは恥ずかしいことではありません。こんな緊急時です。最終的に納得性の高い結果を出せば、誰も批判できないはずです。

●マスコミは興味本位の報道を止めるべき!あくまでも新潟で起こった地震なのです!
私も、阪神大震災時にマスコミの被災地での傍若無人ぶりに閉口した1人です。無論、ジャーナリストとしての立派な見識を持って、被災者支援や災害対応に関する課題・問題点を正面切って取り上げた方もいらっしゃいました。そういう人は例外なく、実像は謙虚な人です。一方、自治体職員を馬鹿にしたような態度をとったり、深夜や早朝の避難所での取材や避難所の周囲で立小便をしたり、平気で崩壊した家屋に立ち入ったりするマスコミ関係者も多数いました。こんな人たちが正義感を振りかざして「正義の味方」を演じることに大きな違和感を感じたものです。さらに最も酷い報道は、今回起こった地震とは直接関係がないのに、「この地震が東京で起こったら!」ということにやたらこだわった報道をすることです。新潟の人たちにとっては、今は将来東京で起こるであろう地震のことなんて意味のないことです。そんなことは、東京都の人や特別区の人が考えればよいことです。マスコミが先回りしておせっかいを焼くことではないのです。マスコミの責任は、脚色のない今の被災地の姿を正確に伝えることです。たぶんもう少し経ってくると、自治体対応への批判のオンパレードになると思いますが、それも「シナリオ報道」の典型です。ネタがないからといって必ず誰かをスケープゴートにする。あきれた態度です。私たちは、こうしたマスコミに対して、常に批判的な態度で厳しい視線を送るとともに、彼らの意図とは異なりますが、その報道の中から本当の被災地の姿を汲み取り、自分として何ができるかを考えなければならないのです。

●ボランティアについて
被災地でのボランティアの活動は、これからが本番になると思います。この時期に何がありがたいかというと、やはり散乱した家財道具などを一緒に片付けてあげることや、1人暮らしの高齢者に対してマンツーマンで生活支援すること、専門的な知識やノウハウを持っている場合は相談相手になることも、被災者の精神的安定に寄与すると思います。
一方で、こんな「自称ボランティア」が来ていないか厳しい視線を向けなければなりません。とりあえず来ただけで避難所で過ごして救援物資を消費しているだけの人、サークル活動気分で夜間に避難所の近くで騒いでいる人、自分探しに来ている人、親切の押し売りに来た人、こうした人は被災地では歓迎されません。ボランティア活動は、自らが持つ能力を把握したうえで明確な活動目的を持ち、親切を押し売りするのではなく、あくまでも被災者の自立を支援することをはっきりと自覚しておく必要があります。

●理由もなく出動していない職員に厳しい対応をすること
地震が起こって1週間、寝食を忘れて被災者支援対応を行われている自治体職員の方々には、本当に敬意を表します。一方で、致命的なダメージ(本人のけが、親族の死亡、家屋の倒壊など)もなく、出勤を模様ながめしている「やから」がいないのか気になります。だいたいそのような職員の言い分は、「通勤手段がない」「風邪を引いた・健康がすぐれない」「子どもの面倒を見る人が他にいない(休校になっていることが多い為)」などを主張しますが、そんなことは他の職員も同様であり、私の知っている阪神大震災の被災地の職員には、1歳の子どもを背中におぶりながら、本人は発熱しているにも関わらず罹災証明の発行窓口を担当し続けた人もいました。子どもがいれば職場に連れてくればよいのです。言い訳無用です。正直で真面目な職員が馬鹿を見て、要領の良い職員が「職免」などの待遇を得て、得をするようなことが絶対にないように、出勤してこない職員を1人ひとり厳しく監視する必要があります。そういうことをきちんとすることが、住民が自治体職員を信頼する第一歩となります。

まだまだあるのですが、また気づいた時点で追記します。


2004年11月06日

「仙台オフ会御礼!」+新潟県中越地震特集(4)


自治体職員有志の会では、11月5日に仙台市で、第6回オフ会を開催いたしました。
浅野 史郎宮城県知事、山本 啓東北大学教授を始めとして、事務局を務めていただいた東北ブロックのメンバーの皆さん、宮城県・仙台市の職員の皆さんには、厚く御礼申し上げます。
「志」を持って意見交換をすれば、立場を超えて共感を感じることができる。これからも、この1点を大切にし、さらに大切な時間をいただいてお会いいただいたご協力いただいた皆様のご恩に報いるため、各自治体での仕事に、活かしていくことに全力を尽くしてまいりたいと思います。
また、詳しい内容につきましては、後日、ご報告させていただきます。

●新潟県中越地震特集(4)
余震が落ち着いてきたとは言え、震度5強の地震も起こるなど、まだまだ被災者の方々にとっては不安な日々が続いていると思います。とりわけ土砂によって川がせき止められ、家屋が浸水したり、土石流の危険が指摘されている山古志村の皆様にとっては、いっそう不安な事態が続いていると思います。
一方、全体的に見れば、避難所で就寝する住民の皆さんは、ライフラインの復旧や自宅の後片付けや補強の進捗により、かなり減ってきたことと思われます。避難所や自家用車の中での就寝や生活は、プライバシーの問題やトイレの問題、さらには身体を伸ばせないなど、極限の状況でのものになりますから、何とか支障なく暮らせるのは、1週間が限度だと思います。様々な事情で避難所にそのままいらっしゃる方の心身の状態が、極めて心配です。多少自宅や被災地から離れることになるかも知れませんが、仕事や学校の心配が少ない高齢者の方を中心に仮設住宅の建設や自宅の応急復旧が整うまで、やはりライフラインの整った宿泊施設などにできるだけ移動をされたほうが良いと思います。「自分だけが楽しては申し訳ない」とか「コミュニティを崩したくない」といった気持ちも強いでしょうが、心身の状況が悪くなった後では、取り返しのつかないこともあります。「健康被害」という2次災害を極力防止する方向で、国や県、地元自治体の皆さんには、調整と準備そして被災者への説得をお願いできればと思います。そしてこのような業務は日々の業務で手一杯の市町村ではなく、特に新潟県の果たされる役割は極めて大きいと思います。

さて、ボランティアのほうですが、地震直後の緊急対応と異なって、ニーズもかなり変わってきたものと思われます。
物資は、ほぼ充足しているのではないでしょうか。これからはきめの細かい、さらにはやや専門性を必要とするボランティアニーズが増えてくると思われます。
阪神大震災の際の経験に照らし合わせると、まずは避難所にいらっしゃる人への支援として、
●1人暮らしだった高齢者や障害者などの介護支援
●両親が後片付けや仕事をしている間、幼児などの面倒をみておく
ことなどが最も喜ばれていたボランティアでした。
そのようなボランティアでは、元看護士、保健士などの医療・保健関係者や、元幼稚園・保育園の保育士の方々の活躍は目覚しいものがありました。
また、そろそろ被災者の中でも、被害が甚大(例:肉親の死や自宅の全壊など)な方々と大体元の生活に戻り始めた方などとの格差が拡大する時期なので、被害に大きかった人の心理的ダメージが被災直後よりも大きくなりますので、心理療法士やカウンセラーなどの方々のフォローアップが必要になってくるものと思われます。
さらに自宅での生活再建を手助けする上で自宅の応急復旧が最も重要になりますが、住んでも大丈夫であるかとかあまり経費をかけずに応急復旧するための手法などを専門的にアドバイスできる、建築コンサルタント、設計士、建設会社関係者、大工さんなどのボランティアを被災者は待ち望んでいると思います。そのうえで、自宅が居住可能であるということになれば家財道具の片付けや廃棄物の処理などに一般ボランティアの方の支援を必要とするようになったり、家屋を取り壊すのではなく、ジャッキアップなどで傾斜を補正するような支援も「ありがたい」と思われると思います。
このように、避難所での医療・保健・子育て支援、自宅復旧のための建築・土木的な支援などが必要とされる時期です。
もし自治体関係者がボランティアを考えていらっしゃるのであれば、このような業務をふだん行っている職員が被災地では最も喜ばれるはずです。


2004年11月13日

NOTカリスマ職員の「振り返る自治体と私」日記(26) +新潟県中越地震特集(5)


新潟県中越地震が発生してから、1か月近く経ちました。
まだまだ避難所で避難生活を続けられている方が多い状態で、心身ともに健康状態が懸念されます。しかも、避難所では、高齢者の姿が目立ち始めているのではないでしょうか。避難所に最後まで残るのは、独居高齢者であるケースが多いと思いますが、どのように健康を保つか、いっそうきめ細かいケアが必要になってくると思います。
さて、被災者対策として、これから大きな焦点となってくるのは、「仮設住宅の建設・入居、復興住宅の建設」だと思います。
プライバシーのない避難所生活から一刻も早い仮設住宅への入居へと被災者の切実な思いに応えるため地元自治体の皆さんは必死に頑張られていると思います。
多分、応募数に対して建設数は足りなくなると思いますが、何度かの時期にわけて募集すれば、それも解決していくと思います。阪神大震災の際は、5次にわけて約4万戸の仮設住宅への募集を受け付けました。災害弱者の入居優先ということで、第1次募集は、●高齢者、障害者だけの世帯、●高齢者、障害者、乳幼児のいる世帯、●病弱者、負傷者のいる世帯への優先入居枠を設けて、募集しました。
そのような募集条件にしてしまうと、どうしてもこれまでのコミュニティを維持できず、「超高齢者村」が出現することになりますが、まずは健康を守る「仮のすみか」としてはやむを得ないと思います。ただ、恒久住宅としての復興公営住宅の入居者を募集する際は、このような優先枠入居はやめたほうがよいと思います。弱者世帯だけを集めたコミュニティが形成されると、地域の自立の目途が全く立たなくなってしまいます。「姥捨て山」が出現しないような工夫が必要です。
さて、ひとり暮らしの高齢者が仮設住宅に入ると、今度は「孤独死」という問題に直面します。ドア1つ閉めるとプライバシーが守られるということは、逆に言えば周囲の「見守り」がなくなるということです。こういったことは別に仮設住宅だけで起こることではないのですが、これまでのコミュニティが崩れてしまう分、当面は、行政やボランティアによる見守り活動を強化していく必要があると思います。
その意味では、阪神大震災時に建設された「地域型仮設住宅」は、結果的に高齢者等の健康を守るうえで効果を発揮しました。2階建てのプレハブ住宅なのですが、昔の下宿のように、炊事やトイレ、風呂などを共用化し、日常的に入居者どうしが触れ合う場が確保されるようになっています。またLSAと呼ばれる生活支援員が社会福祉法人などから派遣され、常に入居者の健康状態を見守る体制が整えられています。このような住宅の場合、プライバシーの確保という点では中途半端なことになりますが、地域での助け合いや長屋生活などをしてきた高齢者等にはむしろ周囲に見守られているという安心感を優先したい人たちもあり、一定のニーズがあるはずです。阪神大震災では、このような地域型仮設住宅で新たなコミュニティが形成され、そのコミュニティがそのまま復興住宅に引き継がれたり、グループホームに移行した事例も多く見られました。
また、仮設住宅の建設にあたって、●段差は解消しているか、●ユニットバスの高さをできるだけ低くしているか、●グラウンドや空き地に建てる場合砂利をいれるなど雨の日の対策を怠っていないか、●集会所など入居者が交流したり集まって各種手続きを行うようなスペースを確保しているか、●トラブルとして多発した防音対策をとっているか、●寒冷地として断熱材を入れているかなどの配慮が必要であり、たぶんそのような配慮の上、建設が進められていると思います。
このように、現段階では住宅の問題に焦点が移ってきはじめており、ボランティアニーズについても、仮設住宅を舞台にすることが多くなると思います。だんだんニーズが見えにくく、しかも多様化していくと思いますので、ボランティアやNPOのインターミディアリなどは、個別訪問などでニーズの掘り起こしと把握を行い、データベース化して、情報発信する取り組みが重要になってきます。
1つだけ付け加えておくと、今後、仮設住宅や復興住宅を建設するにあたって、「建てすぎ」に注意いただければと思います。いったん建てればモノはそのまま残り、自治体にしては過大な資産になり、無用に財政を圧迫します。立派な住宅を建てるよりも、既存の民間賃貸住宅・ホテル・旅館・保養所などを借り上げて被災者を受け入れた方が、立地や設備のことなどを考えれば、自治体にとっても被災者にとってもよいことが多いはずです。