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「はぁ、そんだか?あれがお世話になっだと?はぁ、ありがてことで」 <?xml:namespace prefix = o ns = "urn:schemas-microsoft-com:office:office" />
家には90歳近い老婆がひとりだけ。大崎勇蔵の母親だった。
三人は、『工事現場の仕事で勇さんに大変お世話になった田村とその甥っ子』として居間へ通された。
「あれが人さ殺すだなじょ、はぁ、信ずらんねぇだか申すわけねぇだか分かんねけんじょも・・・」
「勇さんとは、どのくらい会っていないんですか?」
「刑務所さ入った後は、はぁ、一度も会っでね。東京さ行ったきりでねか・・・」
もう半ば諦めている調子で母親が言う。
「電話などは、されていないんですか?」
大崎勇蔵が実家へ電話をかけてることは知ってるはずだが、敢えて問うのか。
「かがってくる。だけんじょも、オラ足悪ぃから切れっちまうだ。ピーっとかいう音さ鳴った後は
話しかけてもまったく答ぇねぇ。勝手にしゃべってんだ」
そういって、留守番電話の再生ボタンをぷちっと押した。
(おおおお、がががが、ど、どん、ど、な、まままなが・・・そそそそ・・・)
最後までこの調子で吹き込まれていて、やがて切れる。
「おい、なじょした?すぃっかりしゃべれぇ」
留守録の息子に向かって話しかける母親。息子の声を聞くことはできても話すことができない。
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