【種別】
両界の嗣子

【初出】
XXII巻

【解説】
本編開始の直前、宝具零時迷子』に打ち込まれた自在式大命詩篇』によって各部が変異したために、“紅世の王フィレスと永遠を生きられないと悟った“ミステス”『永遠の恋人ヨーハンが、それでも彼女と共に生きるために選んで誕生した史上最初の混“在”児たる『両界の嗣子』。
の色は琥珀色。名付け親はヨーハン。

フィレスが改変した『大命詩篇』を核に、二人が融合した最初の時点では、捩れた球形のフラスコの中の脈動する心臓というものであり、吉田一美に託されていた。『真宰社』周辺を[百鬼夜行]に連れられて逃げ回っている間に、導きの“覚の嘨吟”シャヘルにより、その存在を全ての“”に知らしめられた。

新世界『無何有鏡』創造後にヨーハンから吉田一美に託されたヴィルヘルミナへの伝言によって起動し、多くの“”がこの世に置いていった莫大な“存在の力”を吸収し、人間の生後三ヶ月程の男の子の赤ん坊の姿で誕生した。
その後の養育は『万条の仕手ヴィルヘルミナティアマトーに託され、二人にして一人と共に『天道宮』に乗って新世界へ渡っていった。

新世界へ渡り来てから一年後の春、『天道宮』で無邪気に自在式を玩具代わりに構成していじくる事が可能になっており、早くも自在法を操る天稟の才を表している。また、『天道宮』へやって来たシャナとチャンバラごっこをやっていた。

ヴィルヘルミナのレポートによると、
  • 身体的な特徴は、人間の子供と何ら変わりがない。
  • 発育の速度には明らかな差異が認められる。
  • 幼児期を抜けてからは、発育の速度が緩やかになっている。
  • 成長自体は続いており、(『天道宮』での適切な養育の賜物であろう)健康状態は良好である。
  • 自在法については誕生直後から大いに適性が見られる。
  • 意志に応じて自在法を発現させる特徴は“紅世の徒”に近い。
  • 母たる“彩飄”フィレスの自在法との関連は見られない。
  • 現状、多種多様な自在法を扱えるが、固有のそれは見られない。
などである。
以上の内容が、豪華客船『ロード・オブ・ザ・シーズ』号に集まった主に新参の“徒”に公表され、ユストゥス自身も壇上に躍り出て、「自分が何者かはまだ分からない」と宣言した。

【由来・元ネタ】
メフィストフェレス(=フィレス)との契約で有名なヨーハン・ファウスト博士とヘレンの間に生まれた子供「ユストゥス(Justus)」。
ラテン語で「正当な、公平な」「道理のある」等の意味を持ち、英語の「正義(Justice)」の語源である。
著者は、その名前の由来も意図した上で『ファウスト』伝説を取り入れ、ユストゥスを最後のピースにしたのであろう。

【コメント】
☆[とむらいの鐘]のアシズ願いは、数百年の後にようやく叶えられた。
☆元ネタは、ファウストに出てくるやつだったな。
ゲオルギウスと『約束の二人』はファウスト伝説が元ネタだから、今回もファウストの子供でよかったな。
☆“紅世の王”一人分とさらに果てしなく膨大な量の“存在の力”を使って、やっと人間(?)一人を作ることができたわけだ。なんか人間の“存在の力”を喰うなんていくらでもしてきただろうに、『両界の嗣子』一人作るのにこんなにも力が必要だったんだな。それとも、天罰神アラストールが言ってたような莫大な可能性を秘めてるからこそ、これほどの“存在の力”が必要だったのかな。
アニメ第3期で誕生した。
☆この世(旧世界)の坂井三悠と対比されるキャラクターだったな。
☆これほどに稀有で革新的であり、人と“”の歴史的にも重大な存在が、人間と同程度の寿命しか持たないのであるとすれば、あまりに勿体ないな。
☆フィレスと自在法の類似性を持たないというのは、彼女の自在法の多くが彼女自身の本質からでなくヨーハンが組み上げた自在法に拠っていたからではないかと推測を立てることが一応可能。
☆新世界で“存在の力”が無限にあるからいいものの、この世と“紅世”しかない状態でシャヘルの神託が告げられたらと思うとぞっとする。それはおそらく、“存在の力”の大乱獲を引き起こし、この世の秩序を破壊するところまで行ったかもしれない。
☆[巌楹院]や[とむらいの鐘]と絡んでいたら面白そうだったのにな。
☆将来、両親ともめた[宝石の一味]の“瓊樹の万葉コヨーテフックストンサーイイナンナと遭遇したら面白そうだな。
☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、幕間6で坂井一家と共に登場している。

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最終更新:2023年11月26日 16:38