【初出】
III巻
【解説】
真名は“愛染他”(あいぜんた)。
炎の色は山吹色。
姿はリボンをあしらったドレスと鍔広帽子に金髪碧眼の美少女で、フランス人形を思わせる姿をしていた。
外見が瓜二つな兄“愛染自”
ソラトとあわせて“
愛染の兄妹”と称された。
比較的若い“徒”で、兄のソラトを溺愛し、兄の欲望を叶える為に己の全てを捧げた。ただしソラトの他の女に対する欲望は一切甘受せず、特に相手が
ヘカテーの場合は名前を口にしただけで首を絞める程に厳しかった。
兄に対しては徹底的に甘やかし愛情を注ぐが、兄以外や自分達を侮辱する者には残忍で執念深い気質。ただし、愛に生きる者には敵に対してさえ好意的な面もあった。
他者のために当然のように我が身を削り滅びるという“徒”の中でも例外中の例外とも言える本質は『溺愛の抱擁』と呼ばれ、その本性の姿は山吹色の花弁で構成された炎のケープ。
この世を兄と共に渡り歩きながら
自在法『
揺りかごの園』などを用いて、兄の欲望を叶えるためのサポートに回っていた。
戦闘までに、人間に
自在式を埋め込んで“
燐子”『
ピニオン』を多数作り、
宝具『
オルゴール』の力でそれらを起動・維持させて『揺りかごの園』を広域に拡大させることで、兄や自分に強力な回復力を持たせ、『ピニオン』が生み出す無数の蔦や蔓を使って
フレイムヘイズなどの敵をいたぶり殺していた。
自在師に数えられ、彼女の作り出す自在式は埋め込んだ人間を瞬時に高性能の“燐子”『ピニオン』に作り変えた。その技の冴えは
ウィネをして、彼の組織でもなかなか見ることはできないと思わせるほどだった。
“徒”としての統御力は大したものではないが、『揺りかごの園』『ピニオン』『オルゴール』の自在法・“燐子”・宝具の力による戦場の構築さえ完璧なら、その力は“
王”以上となる。
この世に渡り来てすぐの頃、ウィネに連れられて赴いた『
星黎殿』で
ヘカテーから訓令を受ける際に、彼女とちょっとした諍いを起こしているが、一方的にあしらわれた。
全てを兄に捧げるその存在の在り様は、シャナに己の恋愛感情を自覚させる変化を促すことになった。
【由来・元ネタ】
名前の元ネタは、アグリッパが定めたインテリジェンスで、水星を司るとする天使 ティリエル(Tiriel)と思われる。
ウィリアム・ブレイクは、アグリッパから自身の予言書の主人公に名前を採用している。ブレイクの注釈者たちは、ティリエルを物質主義の象徴と見なしている。ティリエルは兄弟たちとともに父親ハルに反乱を起こし、西の暴君となって弟たちを幽閉・追放したり、息子たちを奴隷にしたりするが、最後には盲目となって呪いながら死ぬことになる。
執着するという意味の「愛染」と「他」から真名全体で「他(確実にソラト)に執着する」という意味だと思われる。
最終更新:2024年04月13日 05:29