【初出】
I巻(『
零時迷子』の本来の持ち主である“ミステス”として。名前はIX巻)
自在法を日々研究している凄腕の
自在師で、数年がかりとはいえ“壊刃”
サブラクが誇る不破の自在法『
スティグマ』を無効化する
自在式の元を作った。
“ミステス”となった17歳当時の容貌のまま『零時迷子』の力で見た目が変わっておらず、繊細な面差しの少年で、壊れんばかりの躍動感と生命の鮮やかさを見せつけた。女装が似合っていたようだ。
フィレスと共に放埒を尽くした人間である
ゲオルギウスの息子。母譲りの金色の髪と黒い瞳を持っていた。妄想に取り憑かれた父親に殺されかけたところを、フィレスに救われ育てられた。
幼い時から“
徒”に育てられ、その力の行使と触れ合っていたためか、物心がつく頃には“
存在の力”を明敏に感じられたようだ。
明るく軽やかな性向だが、反面「
この世の本当のこと」についてその有り様を見つめ、思索にふける面もあったようだ。
フィレスに連れられて様々な所を旅し、あらゆる物事を見て育った彼は、その中で彼女に恋をした。
「この世の本当のこと」を見つめ続け、研究を続けた末、彼は望みを果たす一つの答えを見つけ出した。
そして、愛する彼女との永遠を過ごすために、時計塔を材料に『零時迷子』の“ミステス”になった。
本編の数年前からサブラクの襲撃を受けるようになり、その逃亡の途中、中央アジアにて、“徒”の運び屋一味[
百鬼夜行]を追っていた
ヴィルヘルミナと出会い、行動を共にしていた。
二年後、本編の開始直前にサブラクから致命傷を受け、フィレスによって『零時迷子』の内部に匿われ、
宝具の無作為転移という形で避難させられた。
この時打ち込まれた『
大命詩篇』によって、『零時迷子』の循環部とその中のヨーハンが変異したのを、ヴィルヘルミナと
ティアマトーが目撃していた。
XIII巻にて、フィレスの干渉によって封印が解けないまでも目覚めたらしく、
マージョリーの外から内へ向かう探査の
自在式の力の流れを内から外へと逆転させ、一時的にとはいえ
坂井悠二の体を乗っ取って自力で封印の外へ姿を見せるという、凄腕を見せ付けての登場となった。
一見、彼自身は打ち込まれた『
大命詩篇』による改変の影響を受けずに無事なようだが、実際には完全に変異してしまっており、残った自我の断片をかき集めて、自我が曖昧な状態ながらも変異の根源『大命詩篇』を数十年単位でどうにかしようといじり続けるために、内側には走査と探索の網を常時展開する自在式を張り巡らし、外側には宿主である“ミステス”坂井悠二に鋭敏な感知能力を付与したりもしていた。
『零時迷子』の『
戒禁』と『
暴君』の休眠していた吸収機能を掛け合わせて、自身に“
存在の力”が統御できる分だけ流れ込むようにしたりもしていた。
しかし、そうした対策では間に合わないほど事態は早く進行してしまい、復活は絶望的となった。
XVII巻にて、
ラミーが
ベルペオルから受けた説明の中で、ベルペオルが言った「宝具『零時迷子』に深く絡み付いている不確定要素」とは彼のことであると思われる。
また、『
星黎殿』でラミーを通してヴィルヘルミナに『大命詩篇』を解析する為の虎の巻を渡したりもしていた。
御崎市最終決戦終盤に現れたフィレスの助力で、“祭礼の蛇”坂井悠二が保持していた“存在の力”を元にして
顕現。坂井悠二から分離して『零時迷子』を彼と奪い合いつつ、その企図について論評を加えた。そして[
百鬼夜行]の到着と共に彼らと合流して、主戦場からの離脱を計った。
その逃避行の最中、『零時迷子』を失った自分では永遠を生きられないと判断し、フィレスに改変させた『大命詩篇』を核に、フィレスと存在を縒り合わせて、史上初の『
両界の嗣子』
ユストゥスを生み出し、自身はフィレスと共に消滅した。
【
アニメ版】
第二期から登場。オリジナルシーンとして、クリスマス・イヴに
ヘカテーによって坂井悠二から抜き取られた『零時迷子』の中から『
ヒラルダ』を通して吉田一美に話しかけるシーンがあった。
アニメ第3期では原作通りだった。
【由来・元ネタ】
モデルはドイツに実在したと言われる魔術師ヨハン・ファウスト(Johann Georg Faust)。
父親(ゲオルギウス)もまたファウスト伝説の元となった人物の名が元ネタ。
「フィレス、時に悪戯をしよう。巡った時を、零時で迷子にしてやろう。」は
ファウスト博士の「瞬間よ止まれ、汝はいかにも美しい(Verweile doch! Du bist so schön.)」が元ネタと思われる。
最終更新:2024年01月17日 18:11