【種別】
紅世の徒”、通称

【初出】
X巻

【解説】
紅世の王”。真名は“闇の雫”(やみのしずく)。の色は枯草色。
とむらいの鐘]最高幹部である『九垓天秤』の一角にして紅一点で、 単独での暗殺・遊撃を主任務とする隠密頭であった。その職名に反して、部下は存在しなかった。
毛皮の黒衣を纏い、黒髪と黒い獣耳を持つ、色の抜けるような白面の美女。全身で白いのはその顔と耳の中の毛ぐらいで、あとはほぼ黒一色であった。
その痩身に不釣り合いに巨大な右腕を持ち、その先端に黒い無骨な爪が生えていた。また、他の四肢にも鋭い獣の爪が生えており、全て伸縮自在であった。

手足の爪と巨大な腕、伸縮自在の四肢を使って戦う近接戦闘の達人。
また、近距離の影に潜み転移する自在法影浸』を持ち、伸縮自在の四肢と合わせて中距離からの攻撃、または死角から奇襲を仕掛ける。

物事を深く考えるのが苦手で、下された命令をこなすことしかできない単純な性格と自認していた。
それ故に、自分と違って思慮深い宰相“大擁炉”モレクを尊敬し、またその賢さ故にいつも危機に怯えている彼を女性として守ってやりたいとも思っていた。
そして彼の命令に従って、それを遂行するという立場に無上の満足感を持っていた。
つまり彼のことを愛していたのだが、その想いとは裏腹に彼をことあるごとに罵ってしまっていた。
重度のツンデレであり、「黙れ、痩せ牛」がモレクに対する口癖であった。

彼の炎の色と自分の炎の色、両方を持つ花(セイヨウタンポポ)が好きであった。

中世の『大戦』の最終局面でブロッケン要塞に突入してきた『天道宮』に侵入してガヴィダを殺害するが、その直後に『ラビリントス』消失によるモレク討滅に気付いて心神喪失状態に陥る。それでも“紅世の王”として、何もせず全てを終える、主の作る新たな世界を迎えることが受け入れられず、最後にアシズのために何かを成そうと、要塞内の守備兵をかき集めて周辺を包囲する形で配置。

自身はモレクを倒したマティルダに不意打ちで致命傷を与え、向かってきたヴィルヘルミナとの戦闘に入るが、冷静さを失っていたのが災いし、『戦技無双』に同じ手を二度使うという普段なら在り得ぬ拙攻(『全テ』によると「自殺同然の特攻」)を仕掛けてしまい、ヴィルヘルミナに敗れて討滅された。

【由来・元ネタ】
名前の元ネタはスラヴ神話の黒の神チェルノボグ(Chernobog)と思われる。
名前の意味は「黒い神」。闇や夜、悪、破壊、死を司る。
創世神話において、「白い神」ベロボーグと共に世界を作り上げた。世界が完成してからは、互いに善と悪として戦いを繰り広げているという。

「闇」とは、ただ光が無く暗いだけでなく、愚かで正当でないことを意味する。「雫」は中国由来ではない国字であり、落ちる雨水を表現している。
真名全体では、「暗闇からしたたり落ちる、不当なしずく」のような意味と思われる。
この本質は、自在法『影浸』として現れている。隠密頭としての汚れ仕事や無思慮な点、モレクへの不器用な感情表現もまた、「闇」に由来する彼女の本質であるのだろう。

「隠密」とは表立たないよう物事を進めることであり、転じて、権力者が諸侯や市中の動静を把握するために放つ人材を指すようになった。忍者の一種と言える。

【コメント】
アニメシリーズには未登場。
☆モレクの身を案じる独白で「どんなに苛めても」と言ってるあたり、自覚はあったようだ。
☆モレクを失い自暴自棄になっていなければ、ヴィルヘルミナに勝てたかも知れない程の使い手だった。
☆モレクいわく、「色のある花が好き」。これはシャナS巻で、チェルノボーグ自身の発言と判明した。
☆彼女の秘めた想いは、少なくとも“棺の織手アシズイルヤンカアルラウネ、おそらくジャリにもバレバレだったようだ。
☆決して[マカベアの兄弟]のダーインカルンや[]のギータケレブスのような馬の骨に惚れたわけではなかった。
☆好きな相手に素直になれないところはメアと同じだったな。
☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[仮装舞踏会]の盟主創造神祭礼の蛇伏羲や『三柱臣』のベルペオルヘカテーシュドナイや[宝石の一味]のコヨーテフックストンサーイイナンナや[百鬼夜行]のギュウキパラゼミナや[革正団]とも絡んでいたら面白そうだったのにな。
☆番外編『かぐやひめのしゃな』では、10話の猿蟹合戦で熊ん蜂として登場している。
☆番外編『おじょうさまのしゃな』では、シャナ付き小間使いとして登場している。
☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、序幕で観客の一人として登場している。

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最終更新:2024年03月27日 00:44