【種別】
種族

【初出】
I巻

【解説】
この世の“歩いて行けない隣”にある世界“紅世”の住人達。読みは「ぐぜのともがら」で、単に“徒”とも呼ぶ。“徒”という名称は彼らのことを聞いた人間の詩人によって名付けられ、元々自分達の種に対する固有名を持たなかった彼らの間にすぐさま定着した。

存在の力”を自在に操ったり、離れた場所の強い感情や意思を感知したり共感する能力を持つ。人間に似た精神構造を持ち、酒に酔う、食事を味わう、仲間を討滅されたことに憤りを感じる、仲間や人間と愛し合うなど、感覚や感情は基本的に人間と同一である。
人間と同様に(厳密には若干異なるが)男女の別があり、存在の分化(この世の生き物でいうところの生殖)の際の機能や、根本的な性質が酷似している。本来この世の存在でないため、“存在の力”を消費することによってこの世に顕現しており、それぞれ固有のの色を持つ。

強力な“徒”は“紅世の王”と呼称される。普通の“王”は“徒”と強さが違うだけの同一種であり、両方“紅世”での「人間」に相当する存在だが、中には「人間」には相当しない“紅世”の世界の法則の体現者『』と呼ばれる“徒”(または“王”)も存在する。
この世で数千年生きている“徒”もおり、老若の概念はあるが、作中で“徒”の自然消滅には触れられておらず、寿命などは不明。生まれた時からある程度の力と意識を持ち、すぐさま生きるための戦いを始めるとされる。
“徒”も成長するので、先天的な才能や適性に恵まれていたり、後天的な鍛錬や研鑽を積めば、“王”に成り上がることも不可能ではない。

遥か昔、人間の感情と共感することで“歩いては行けない隣”の存在を知った“徒”達は、単純な興味や探究心、生まれ故郷であるものの過酷な環境である“紅世”への忌避などから、ある“紅世の王”が生み出した狭間渡りの術により“紅世”からこの世へ渡り来るようになった。
そして、人間から奪った“存在の力”を糧として、自らの本質や意思を自在に顕現させ、欲望のままにこの世を跋扈するようになった。

彼らが人間の“存在の力”を奪うのは、人間と“徒”が同種同質の意思と精神構造を持つ、非常に似通った存在だからである。人間以外の“存在の力”を吸収すると、自己が飲み込まれかえって存在が薄れてしまうようだ。したがって通常、供給源とするのは“徒”と人間のみだった。
秘法『都喰らい』は、本来喰らうには適さない存在を利用できる形に加工する技術ともいえ、この秘法を用いて生み出された高純度の“存在の力”は、人のものとも無生物のものとも“徒”のものとも言えないが、“徒”は吸収し自らの力として利用できた。

“徒”が“存在の力”を吸収し自らの力として一度に扱うことが出来る量(統御力)は、個体によって違う。
いわゆる“紅世の王”と呼ばれる“徒”は、この統御力が通常の“徒”に比べて強い。
なお、“徒”(“王”も含めて)は、自分の扱える量以上の“存在の力”をその身に取り込んだ場合、取り込んだ“存在の力”に逆に“徒”の意思総体が飲み込まれ消滅する。
なんでも質問箱では、“徒”を船、“存在の力”を燃料に例えると、大きな船(“王”)は小さな船(“徒”)よりたくさんの燃料(“存在の力”)を積む(保有する)ことができる。しかし、どんなに大きな船でも、燃料の積載可能な量を越して燃料を積むと沈没(消滅)するのと同じ理屈と解説されていた。

基本的に統御できる“存在の力”が多いほど強いが、自在法を用いる技術や特性は統御力の大きさとはあまり関係なく、ラミーのように外部に“存在の力”を蓄えたり、ティリエルのように宝具や“燐子”のバックアップで自身の統御力以上の力を使える場合もあるため、一概にはいえない。

螺旋の風琴リャナンシー封絶を完成させ広めるまでは、“徒”も人間と混じり合いながら暮らしていた。
古くは神や悪魔、時代が下ってからは妖精、妖怪、怪物に魔法使い、あるいは奇人変人として、人間から認識されていた。
しかし、十九世紀後半の封絶の発明と人化の流行で、彼らは正体を隠し、人間社会に紛れる存在へと変貌した。

この世での彼らはある意味トーチのような存在で、滅べば遺した記録も一般人の記憶からも消えてしまう。
ただし文書は暗号化するなどして、意図と文面が大きく外れていれば、消滅を免れる場合もあるようだ。
また、関った人間が作成した二次的な記録は、“徒”が滅んでも残るようだ。

新世界『無何有鏡』の創造により、ほとんどの“徒”は新世界へ渡り行き、“紅世”から新しくこの世(旧世界)に渡ってくることもできなくなったため、この世に残った“徒”はごくわずかとなった。

【由来・元ネタの考察】
徒=無駄、空の意味がある。そのため本来この世にはもともとない存在と言う意味で“徒”とよばれていると考えられる。
もしくは、『徒』の意味である『移動する、渡っていく』から、“歩いて行けない隣”からこの世へやって来たことを指して呼んでいるのかもしれない。
また、大衆、諸人、同胞、といった意味も持ち、単純に「“紅世”の住人」をも意味していると思われる。

○は“徒”、☆は“王”、◎は神、-は“徒”ではない存在 ●・★は討滅・消滅した“徒”・“王”。

フレイムヘイズ

◎“天壌の劫火” アラストール 紅蓮(和:紅)
☆“蹂躙の爪牙” マルコシアス 群青色
☆“夢幻の冠帯” ティアマトー 桜色
☆“不抜の尖嶺” ベヘモット 褐色
☆“絢の羂挂” ギゾー 菫色
☆“破暁の先駆” ウートレンニャヤ 極光 ※ヴェチェールニャヤと一心同体
☆“夕暮の後塵” ヴェチェールニャヤ 極光 ※ウートレンニャヤと一心同体
☆“糜砕の裂眥” バラル 桃色
☆“啓導の籟” ケツアルコアトル 青磁色
☆“殊寵の鼓” トラロック 瑠璃色
☆“清漂の鈴” チャルチウィトリクエ 珊瑚色
☆“憚懾の筦” テスカトリポカ 象牙色
☆“遍照の暈” ウィツィロポチトリ 金糸雀色
☆“虚の色森” ハルファス 薄いオレンジ色(JIS:マンダリンオレンジ)
☆“叢倚の領袖”ジェヴォーナ 胡桃色
☆“勘破の眼睛”フェイ セレスト
☆“珠漣の清韻” センティア マリンブルー
☆“払の雷剣” タケミカヅチ 眩い紫電(特殊)
☆“截の猛狼” ガルー 木賊色
☆“環回の角”ハーゲンティ 支子色
☆“吾鱗の泰盾” ジルニトラ 薄墨色
☆“布置の霊泉” グローガッハ 紫苑色
☆“鬼道の魁主” ヴォーダン 薔薇色
☆“弄巧の摽” フィフィネラ 涅色
☆“応化の伎芸” ブリギッド 鳶色
☆“至知の月輪”ケリドウェン 茶色
☆“奉の錦旆” 帝鴻 紅梅色
☆“突軼の戟”窮奇 鬱金色
☆“賢哲の鑑”白澤 生成色
☆“瘴煙の鉦” 相柳 露草色
☆“曠野の手綱”名乗らず 若草色
☆“爛班の炉”シャフレワル 鴨羽色
☆“祛邪の刻屈”オオヤマクイ 今様色
☆“異験の技工”ヨフィエル 茶色統・感情で変色(特殊)
☆“凜乎の涌沸” スリュム 錆浅葱色
☆“利鋭の暗流”ノート 消炭色
☆“欺蔽の套子” クエレブレ 柳色
☆“虺蜴の帥” ウァラク 丹色
☆“生阜の抱擁”ケレス 朽葉色
☆“紀律の按拍”ダジボーグ 雌黄
☆“長柯の腕”ルグ 狐色
☆“闊遠の謡”カリオペ 東雲色
☆“訓議の天牛”ザガン ワインレッド
☆“觜距の鎧仗” カイム 空色

仮装舞踏会

【盟主】
◎“祭礼の蛇坂井悠二 黒色
-『暴君“銀” 銀色(洋:シルバー) ※“祭礼の蛇”の炎の影
【三柱臣(トリニティ)】
★“千変” シュドナイ 濁った紫色(和:滅紫)
★“頂の座” ヘカテー 明るすぎる水色(和:白藍)
☆“逆理の裁者” ベルペオル 金色(和:黄金)
【外界宿征討軍】
『総司令官』
★“淼渺吏” デカラビア 鉄色
【西部方面主力軍】
『司令官』
☆“煬煽” ハボリム 楝【おうち】色(参考サイトはこちら
『布告官』
○“翠翔” ストラス 縹【はなだ】
『ギリシア方面軍指揮官』
☆“獰暴の鞍” オロバス 橙色
『ギリシア方面軍副官』
☆“朧光の衣” レライエ 灰白色
『ギリシア方面軍所属』
●“放弾倆” ファレグ 藍錆色
『エジプト方面軍指揮官』
★“冀求の金掌” マモン 黄檗【きはだ】色
【東部方面主力軍】
『司令官』
☆“驀地祲” リベザル 弁柄色(巡回士)
『副官』
○“蠱溺の盃” ピルソイン 菖蒲【あやめ】色(和:菖蒲【あやめ】色、捜索猟兵)
『部隊長』
☆“駒跳の羚羊” ブファル 杏色
☆“珠帷の剔抉” エギュン 生壁色
【星黎殿直衛軍・要塞守備隊】
『要塞司令官』
★“嵐蹄” フェコルー 臙脂【えんじ】
『守備兵』
★“哮呼の狻猊” プルソン 鉛丹色
★“駝鼓の乱囃” ウアル 桧皮【ひはだ】色(参考サイトはこちら
『部隊長』
★“呻の連環” パイモン 洗朱【あらいしゅ】色(和:洗朱【あらいしゅ】色)
★“匣迅駕” バティン 土器色
☆“化転の藩障” バルマ 若苗色
『予備兵力部隊長』
☆“翻移の面紗” オセ 浅緑色
【その他】
『巡回士』
★“千征令” オルゴン 不気味な緑青色(和:緑青色)
●“吼号呀” ビフロンス 樺色
『捜索猟兵』
●“琉眼” ウィネ 藤色
●“聚散の丁” ザロービ 飴色
『不明』
★“道司” ガープ 浅葱

とむらいの鐘]:『』内は役職。

【首領】
★“棺の織手(冥奥の環)” アシズ 青色(和:青)
【九垓天秤】
『宰相』
★“大擁炉” モレク 黄(和:黄色)
両翼の右』
★“虹の翼” メリヒム 虹色 ※虹の色数は時代・文化・民族により異なる
『両翼の左』
★“甲鉄竜” イルヤンカ 鈍【にび】色
『先手大将』
★“巌凱” ウルリクムミ 濃紺色
『先手大将』
★“焚塵の関” ソカル 黄土色
『中軍首将』
★“天凍の倶” ニヌルタ 黝【あおぐろ】
『遊軍首将』
★“戎君” フワワ 焦茶色
『隠密頭』
★“闇の雫” チェルノボーグ 枯草色
『大斥候』
★“凶界卵” ジャリ 亜麻色
【その他】
●“架綻の片” アルラウネ 薄桃色(和:薄桜)

革正団

★“征遼の睟” サラカエル 碧玉(参考サイトはこちら
○“吠狗首” ドゥーグ 灰色

百鬼夜行

○“深隠の柎” ギュウキ 唐紅
○“輿隷の御者” パラ 白緑色
○“坤典の隧” ゼミナ 竜胆色
●“剡展翅” セムルヴ 銀鼠 ※臨時雇い

宝石の一味

☆“瓊樹の万葉コヨーテ ナイルブルー
☆“狙伺の疾霆” フックス グレイ
☆“無比の斬決” トンサーイ フォッグ
☆“絶佳の望蜀” イナンナ マゼンダ

君主の遊戯プレイヤー([仮装舞踏会]以外)

◆[巌楹院]首領
★“盤曲の台” ゴグマゴーグ 憲房色

導きの神と眷属

◎“覚の嘨吟” シャヘル 純白
●“笑謔の聘” ロフォカレ 常磐色

マカベアの兄弟

★“潜逵の衝鋒”ダーイン 雄黄【ゆうおう】色
★“紊鎚毀”カルン 茶鼠【ちゃねずみ】色

★“攵申”ギータ 錆浅葱【さびあさぎ】色
★“頒叉咬”ケレブス 老竹【おいたけ】色

中立

★“髄の楼閣” ガヴィダ 乳白色
★“彩飄” フィレス 琥珀色

無所属

★“狩人” フリアグネ 薄白色(和:胡粉色)
●“愛染自” ソラト 山吹色
●“愛染他” ティリエル 山吹色
●“纏玩” ウコバク 爛れた赤銅色(和:赤銅色)
●“穿徹の洞” アナベルグ 鉛色
●“澳汨肢”ラハブ 腐った藻のような暗い緑色(JIS:ボトルグリーン)
●“駆掠の礫” カシャ アイボリー
●“羿鱗” ニティカ 鼠色
★“皁彦士” オオナムチ 代赭【たいしゃ】色
●“戯睡郷” メア 朱鷺【とき】色

◆[仮装舞踏会]の客分
○“屍拾い” ラミー 深い緑色 ※リャナンシーと同一の存在
○“螺旋の風琴リャナンシー 深い緑色 ※ラミーと同一の存在
★“探耽求究” ダンタリオン 馬鹿みたいに白けた緑色(洋:スカイグリーン)
★“壊刃” サブラク 茜色

番外

コミック版二巻限定版付録“GRIMOIRE”収録
鎌池和馬による二次創作『討滅の獄』オリジナルの“紅世の王”
☆“筆記の恩恵” ペネムエ 不明
☆“秘説の領域” ラツィエル 薄紅色

【コメント】
アニメ版から登場していた。
☆炎の色を変更し、このサイトを参考にしました。表現できない色はそのままである。
☆色の表記を 炎の色名 ●(参考サイトでの表記名)に変更。アシズとモレクは、原色から和名色に差し替えてみました。追記:表現できない色のいくつかを、別の参考サイトに基づき追加変更しました。“祭礼の蛇”も、原色黒から和名黒へ変更した。
☆とりあえず、黒塗りが完了した。見難かったり、邪魔だったら直して下さいな。
☆フィレスは死亡でよかったのかな?「消えるならヨーハンと一緒」っていったけどな。
☆↑『両界の嗣子』をどう扱うかによるな。小麦粉と水を練ってパンを作ると、小麦粉そのものは存在しないけど、成分としては存在するからな。
☆それから、ユーリイの船を襲った海魔ラハブは討滅されたから、修正しといた。
コーエンが“徒”だったら面白そうだったのにな。
☆いろいろな神話から神や悪魔の名前を取り込んでいたが、仏教とイスラームからは採用されなかったようだ。
高橋弥七郎の新作『カナエの星』でも、『半閉じの目』という異形の輩が登場している。

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最終更新:2024年04月03日 18:36
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