カユーマルス、スィヤーマク

 ペルシア伝説時代の王。

 カユーマルスは、中期ペルシアのゾロアスター教におけるガヨーマルト?のこと。
 ペルシアがイスラム化してからは神話的な最初の人間ガヨーマルトの神話は失われ、伝説上の王カユーマルスとして物語が変容することになる。

 『王書?』によれば、世界で最初の王がカユーマルスである。カユーマルス本人が王権を創始し、文化を始め、衣服や食料を新たにした。
 山の玉座に君臨していたその姿からは太陽のような光が輝き、全世界からこの偉大なる最初の王をみることができた。

 カユーマルスの治世は30年間続いた。

 カユーマルスの一人息子はスィヤーマクといい、美しく、徳の高い男だった。しかし無防備のまま悪魔の軍勢に立ち向かって腹を割かれて殺された。その報を耳にした王は大いに嘆き悲しみ、また国中が悲しみに沈んだ。この悲しみが一年続くと創造主がカユーマルスを慰めにきて、反撃の準備を整える段階に入った。

 スィヤーマクには一人息子のフーシャングがいた。その名前のように、彼には知性(フーシュ)と教養(ファルハング)が備わっていた。フーシャングはカユーマルスのもとで宰相を勤めており、他の誰よりもこの王に愛されていた。
 悪魔の軍勢との戦いではフーシャングが先頭に立ち、カユーマルスが群の後衛に当たった。軍勢には人間ばかりでなく妖精や獅子、狼、虎などの野獣が加わり、これらの進軍によって悪魔たちはいっきに蹴散らされた。フーシャングは悪魔を捕らえて頭から足まで一気にその皮を剥ぎ(これはイラン伝統の悪魔退治方法である)、そして首を切り、踏みにじり、復讐を成し遂げた。しかしそれと同時にカユーマルスもこの世を去ったのである。

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最終更新:2005年03月21日 23:55