デーンカルド(Dēnkard)

 デーンカルト(Dēnkart)とも。

 ゾロアスター教の文献。全9巻の「百科事典」的な資料。

 書かれた時代は9~10世紀ごろで、ゾロアスター教神官集団の手になるものである。
最初に編集を始めたのは大神官(フディーナーン・ペーショーバイHudīnān Pēšōbay)のアードゥルファッローバイ・イー・ファッロフザーダーン(Ādurfarrōbay-ī Farroxzādān)で、10世紀にアードゥルバード・イー・エーメーダーン(Ādurbād-ī Ēmēdān)が完成させた。
この時代、イランではイスラムの勢力が伸びてきていて、イランの民族宗教であるゾロアスター教についての知識がどんどん失われていた。それに危機感を持った彼らが文字に書きとめたのが、この「デーンカルド」である。

内容

  1. 現存せず
  2. 現存せず
  3. 異教徒に対する反論。全420章。
  4. 前半は創造の流出論的解釈。後半はペルシア王権との関係の解説。
  5. 教義とザルドシュト(ゾロアスター)の伝説。後半は二元論や『アヴェスター』の内容について。
  6. 倫理忠告集。
  7. ザルドシュトその他の預言者伝説。
  8. ササン朝時代の『アヴェスター』の要約。全21巻を7巻ごと3部分に分ける。
  9. 「ガーサー」への注釈。

日本語訳

伊藤義教『ゾロアスター研究』
7巻と5巻前半(おもにゾロアスター伝説)、関連資料の翻訳がある。

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最終更新:2005年03月11日 17:52