(3)疾病等への対応

ア 保育中に体調不良や傷害が発生した場合には、その子どもの状態等に応じて、保護者に連絡するとともに、適宜、嘱託医や子どものかかりつけ医等と相談し、適切な処置を行うこと。看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。

イ 感染症やその他の疾病の発生予防に努め、その発生や疑いがある場合には、必要に応じて嘱託医、市町村、保健所等に連絡し、その指示に従うとともに、保護者や全職員に連絡し、協力を求めること。また、感染症に関する保育所の対応方法等について、あらかじめ関係機関の協力を得ておくこと。看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応を図ること。

ウ 子どもの疾病等の事態に備え、医務室等の環境を整え、救急用の薬品、材料等を常備し、適切な管理の下に全職員が対応できるようにしておくこと。
保育所における子どもの疾病等への対応は、保育中の体調不良のみならず、慢性疾患に罹患している子ども等を含めて、子どもの生命保持と健やかな発育・発達を確保していく上で極めて重要です。看護師等が配置されている場合には、その専門性を生かした対応ができるようにします。

①保育中に体調不良や傷害が発生した場合
子どもの状態等に応じて、保護者に連絡するとともに、適宜、嘱託医やかかりつけ医と相談するなどの対応が必要です。特に、高熱、脱水症、呼吸困難、痙攣といった子どもの症状が急変や事故など救急対応が必要な場合には、嘱託医・かかりつけ医または適切な医療機関に指示を求めたり、受診します。必要な場合は救急車の出動を要請するなど、迅速に対応する必要があります。なお、このような子どもの症状に対して、全職員が正しい理解を持ち、基本的な対応等についても、熟知していることが望まれます。

②感染症の集団発生予防

【予防接種の勧奨】
予防接種は、子どもの感染症予防にとって欠くことのできないものです。特に保育所においては、嘱託医やかかりつけ医の指導のもとに、計画的に接種することを奨励することが望まれます。

【予防接種歴、感染症歴の把握】
入所の際には、母子健康手帳等を参考に、一人一人の子どもの予防接種歴や感染症の罹患歴を把握しておくことが大切です。その後、新たに接種を受けた場合や感染症に罹患した場合には、保護者に伝えてもらうようにします。

【感染症の疑いのある子どもを発見したときの対応】

○保育中に、感染症の疑いのある子どもを発見したときには嘱託医の指示を受けるとともに、保護者との連絡を密にし、医務室等にて他児と接触することのないように配慮します。

○保護者には、かかりつけ医等の診察、治療や指導を受けるように助言します。

○感染症に罹患していることが確定したときには、嘱託医の指導のもとに、他の保護者にも連絡を取り、感染の有無、経過観察等について理解を求めます。

○感染症に罹患した子どもについては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10 年法律第114 号)にそって嘱託医やかかりつけ医の指示に従うように保護者に協力を求めます。

【出席停止期間】
○いわゆる学校伝染病として定められた感染症に罹患した子どもが登所を再開する時期については、その出席停止期間を守ることを基本とします。

○感染症が発生した場合には、嘱託医などの指示に従うとともに、必要に応じて市町村、保健所等に連絡し、その指示に従います。

③医務室等の整備
体調不良の子どもが安静を保ち安心して過ごせるよう、また他児への感染防止を図ることができるよう、医務室の環境を整備しなければなりません。また、救急用の薬品、包帯等の材料を常備し、全職員が適切な使用法を習熟するようにします。

④与薬への留意点
保育所において薬を与える場合は、医師の指示に基づいた薬に限定します。その際には、保護者に医師名、薬の種類、内服方法等を具体的に記載した与薬依頼票を持参してもらいます。

○保護者から預かった薬については、他の子どもが誤って内服することのないように施錠のできる場所に保管するなど、管理を徹底しなければなりません。

○与薬に当たっては、複数の保育士等で、重複与薬、人違い、与薬量の誤認、与薬忘れ等がないよう確認します。

○座薬を使用する場合には、かかりつけ医の具体的な指示書に基づき、慎重に取り扱う必要があります。

⑤個別的な配慮を必要とする子どもへの対応

【慢性疾患児への対応】
慢性疾患を持つ子どもの保育に当たっては、その主治医及び保護者との連絡を密にし、病状の変化や保育の制限等について保育士等が共通理解を持つことが必要です。また、対象となる子どもの扱いが特別なものにならないように配慮し、他の子どもまたは保護者に対しても、病気を正しく理解できるように留意します。

【肢体不自由児等への対応】
肢体不自由児等、療育が求められる子どもに対しては、保護者及び療育機関と密接に連携し、保育の中でも可能な限り療育の課題に留意することが大切です。

【アトピー性皮膚炎への対応】
アトピー性皮膚炎が疑われる場合には、保護者にかかりつけ医等の指示を受けるよう助言します。誤食に伴う急性の発疹の場合は、直ちに専門医に救急受診します。

【乳幼児突然死症候群(SIDS)】
乳幼児突然死症候群(SIDS)は、「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によってもその原因が同定されていない、原則として1歳未満児の突然の死をもたらした症候群」と定義されています。
主として睡眠中に発生し、日本での発生頻度はおおよそ出生4,000 人に1人と推定され、生後2か月から6か月に多く、稀には1歳以上で発症することもあります。SIDSのリスク因子として、「両親の喫煙」「人工栄養」「うつぶせ寝」の3点が指摘されており、うつぶせ寝にして放置することは避けなくてはなりません。うつぶせにする際には、子どものそばを離れないようにし、離れる場合には、仰向けにするか、他の保育士等が見守るようにします。特に入所初期の観察は十分に行います。

【その他の医療的ケアを必要とする子どもへの対応】
在宅医療の普及に伴い、様々な医療的ケアを必要とする子どもの入所が求められることもあります。
保育所で医療的ケアを必要とする子どもを受け入れる場合には、主治医や嘱託医、看護師等と十分に協議するとともに、協力医療機関とも密接な連携を確立します。また、市町村からの支援を受けるなどの体制を整えることが重要です。
保育所における医療的ケアの限界と困難度等について、保護者の十分な理解を得るようにすることも大切です。

⑥救急蘇生法等について
救急蘇生を効果的に行うためには、子どもの急変を早期に発見することが重要であり、日常的な保健管理のあり方が大きな意味を持ちます。保育士をはじめ全職員は、各種研修会等の機会を活用して、救急蘇生法や応急処置について熟知しておくようにします。

⑦病児・病後児保育事業を実施する場合の配慮
保育所に併設して病児・病後児保育事業を実施する場合には、専従の看護師等を配置し、嘱託医、連携医療機関と密接な連携を図ります。また、他の子どもへの感染予防のため、通常の保育室とは分離された専用室(保健室・静養室・保育室等)を整備することが必要です。保育中に急性期の病状が見られた場合には、保護者に連絡し、早期にかかりつけ医を受診するように助言するなどの対応も必要です。
最終更新:2009年01月10日 22:18
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