(2)保育所の自己評価

ア 保育所は、保育の質の向上を図るため、保育の計画の展開や保育士等の自己評価結果を踏まえ、当該保育所の保育の内容等について自ら評価を行い、その結果を公表するよう努めなければならない。

イ 保育所の自己評価を行うに当たっては、次の事項に留意しなければならない。

(ア)地域の実情や保育所の実態に即して、適切に評価の観点や項目等を設定し、全職員による共通理解を持って取り組むとともに、評価の結果を踏まえ、当該保育所の保育の内容等の改善を図ること。

(イ)児童福祉施設最低基準第36条の趣旨を踏まえ、保育の内容等の評価に関し、保護者及び地域住民等の意見を聴くことが望ましいこと。

①保育士等の自己評価に基づく保育所の自己評価
保育所としての自己評価は、施設長のリーダーシップの下に、自らの保育の内容とその運営について、組織的・継続的に評価し検証します。この自己評価は、保育士等の自己評価結果に基づいて、施設長と職員との話し合いを通して行われるものです。
保育所が編成する保育課程とそれに基づく指導計画やその他の保育の計画は、各保育所の保育理念・保育方針・保育目標の達成を目指したものです。それらの実現に向けた実践について、職員相互に話し合いを重ねながら、具体的な評価の観点や項目を定めていきます。適切な評価の観点や項目を考えることは、保育の質の向上のために、また保育所としての機能を十分に果たしていくために必要なものです。

②保育所の自己評価の観点
保育所に期待されている具体的な役割や機能は、その地域の社会資源や保育ニーズに応じて異なるものです。したがって保育所が目指す保育の目標や成果も、それぞれの保育所の設置・運営体制や職員規模、子どもや保護者の状況などによって違ったものとなります。自己評価を行うに当たっては、そうした地域の実情や保育所の実態に即して、適切に評価の観点や項目を設定する必要があります。大切なことは、保育士等の自己評価などで課題となっていることを、短期間にすべて改善しようとすることではなく、課題の重点化を図った上で、期あるいは単年度から数年度の間で、実現可能な計画の中で進めるようにすることです。つねに適切かつ実現可能な評価となるように、評価の観点や項目は、評価に関する様々な情報を収集するなどして見直すことが大切です。評価の観点や項目を設定する際、既存の評価項目を参考にするのも有効です。例えば、一つの方法として、第三者評価基準の評価項目の中から必要なものを選定したり、独自の評価項目をつくるなどして、各保育所にふさわしい項目となるようにします。
このように職員全員が自ら評価することの意味を意識して自己評価を行うとともに、第三者評価など外部評価を受けることは、より客観的な評価につながるでしょう。こうした積み重ねが保育の質を高めるとともに、職員一人一人の意欲の向上につながることに、組織としての自己評価の意義があります。

③自己評価の方法
自己評価は、一年のうちで保育活動の区切りとなる適切な時期を選んで行います。そのために、日頃から保育実践や運営に関する情報や資料を継続的に収集し、職員間で共有するようにします。その資料の中には保育記録をはじめ、保育所が実施した様々な調査結果、あるいは保育所に寄せられた要望や苦情等も含まれます。職員間の情報の共有や効率的な評価の仕組みをつくるために、情報技術(IT)などの積極的な活用も有効でしょう。
自己評価の結果については、具体的な目標や計画、目標の達成状況、課題の明確化、課題解決に向けた改善方策などを整理します。自己評価の結果を整理することで実績や効果、あるいは課題を明確にして、更に質を高めていくための次の評価項目の設定などに生かすようにします。

④自己評価の公表
自己評価の結果を公表する意義は、保護者や地域社会に対して保育所で何をやっているのかを明らかにすることで社会的責任を果たすことにあります。したがって何をどのように公表するのかは、各保育所が判断して定めます。例えば園だよりやホームページなどを利用するといった方法があります。自己評価結果の公表や情報提供によって、自らの保育とその運営について、保護者や地域との継続的な対話や協力関係づくりをすすめ、信頼される開かれた保育所づくりに役立てます。
このように、保育所の自己評価は、保育所の役割や社会的責任を果たせるよう、職員間の連携や組織性を生かした創意工夫が期待されているのです。

◎コラム:第三者評価とは
第三者評価は、2002(平成14)年にスタートしました。根拠となる法律は、2000(平成12)年の社会福祉法であり、その第78 条に「福祉サービスの質の向上を図るための措置等」として、「社会福祉事業の経営者は、自ら提供するサービスの質の評価を行うことなどにより、常に福祉サービスを受ける側の立場に立って、良質かつ適切な福祉サービスを提供するように努めなければならない。国は、社会福祉事業の経営者が行う福祉サービスの質の向上のための措置を援助するために、福祉サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講ずるように努めなければならない。」と規定されています。
第三者評価の意義の第一は、第三者評価を受ける事前の自己評価に職員一人一人が主体的に参画することで、職員の意識改革と協働性を高めることにつながること、第二は、第三者評価結果を利用者(保護者)へ報告し、利用者との協働体制を構築することにあるといえます。
最終更新:2009年01月10日 22:07
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