(2) 保育所の特性

(2)保育所は、その目的を達成するために、保育に関する専門性を有する職員が、家庭との緊密な連携の下に、子どもの状況や発達過程を踏まえ、保育所における環境を通して、養護及び教育を一体的に行うことを特性としている。
保育所の役割として2番目に挙げられているのは、保育所の特性ともいうべき事柄であり、ここには保育所保育の重要なポイントが凝縮されています。

①専門性を有する職員による保育
保育所には、保育の専門性を有する保育士をはじめ、看護師、栄養士、調理員など、専門性を有した職員がそれぞれの専門性を発揮して保育に当たっています。保育所職員は、それぞれの職種における専門性を認識するとともに、保育所という実践の場において、子どもや保護者等との関わりの中で常に自己を省察していくことが重要です。また、組織の一員として共通理解を図りながら取り組むことも必要とされます。
なお、保育指針やこの解説書において保育に携わるすべての保育所職員(施設長・保育士・調理員・栄養士・看護師等)を「保育士等」としています。

②家庭との連携
保育は保護者と共に子どもを育てる営みであり、子どもの24 時間の生活を視野に入れ、保護者の気持ちに寄り添いながら家庭との連携を密にして行わなければならないとしています。保育所での保育が、より積極的に乳幼児期の子どもの育ちを支え、保護者の養育力の向上につながるよう保育所の特性を生かした支援が求められています。

③発達過程
保育指針では「発達過程」という言葉が度々登場します。発達過程とは、子どもの発達を年齢で画一的にとらえるのではなく、発達のプロセスを大切にしようとする考え方です。
保育においては、子どもの育つ道筋やその特徴を踏まえ、発達の個人差に留意するとともに、個別に丁寧に対応していくことが重要です。また、子どもの今、この時の現実の姿を受け止めるとともに、子どもが周囲の様々な人との相互的関わりを通して育つことに留意することが大切です。さらに、一人一人の心身の状態や家庭生活の状況などを踏まえて保育することが明記されています。

④環境を通して行う保育
環境を通して、養護と教育が一体的に展開されるところに保育所保育の特性があり、その際、子ども一人一人の状況や発達過程を踏まえ、環境を整え、計画的に保育環境を構成していくことが重要だとしています。保育の環境の重要性やその意義については、3の「保育の原理」において詳しく示されています。

⑤養護と教育の一体性
養護と教育が一体的に展開され、保育の内容が豊かに繰り広げられていくためには、子どもの傍らに在る保育士等が子どもの心をしっかりと受け止め、相互的なやり取りを重ねながら、子どもの育ちを見通し援助していくことが大切です。その際、身体の発育面とともに、心の育ちにも十分に目を向け、子どもの気持ちに応え、手を携え、言葉をかけ、共感しながら、一人一人の存在を認めていくことが大切です。このような保育士等の関わりにより、子どもはありのままの自分を受け止めてもらえることの心地よさを味わい、保育士等への信頼を拠りどころとして、心の土台となる個性豊かな自我を形成していきます。
養護と教育が一体的に展開されるという意味は、保育士等が子どもを一個の主体として尊重し、その命を守り、情緒の安定を図りつつ、乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられていくように援助することです。子どもは自分の存在を受け止めてもらえる保育士等や友達との安定した関係の中で、自ら環境に関わり、興味や関心を広げ、様々な活動や遊びを通して新たな能力を獲得していくのです。
このように、保育士等は、養護と教育が切り離せるものではないことを踏まえた上で、自らの保育をより的確に把握する視点を持つことが必要です。このため、第3章「保育の内容」において、「養護に関わるねらい及び内容」と「教育に関わるねらい及び内容」がそれぞれに詳しく示されています。保育士等がその専門性を発揮し、自らの保育を振り返り評価する上でも、また、新たな計画を立てる上でも養護と教育の視点を持つことはたいへん重要です。
最終更新:2009年01月10日 19:36
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