(1)専門性を高める研修

(1)職員は、子どもの保育及び保護者に対する保育に関する指導が適切に行われるように、自己評価に基づく課題等を踏まえ、保育所内外の研修等を通じて、必要な知識及び技術の修得、維持及び向上に努めなければならない。

①望ましい研修像
保育所の職員の研修においては、
1)職員の意欲が向上し主体性が尊重されること、
2)一人一人の学びの深まりにつながっていること、
3)職員間の連携が密であること、
4)日々の実践に生きるものであること、
などが求められます。

②研修内容と研修方法
保育所では、職員の修得すべきねらいや目的に応じて、研修内容、形態や方法、時間などを適切に組み合わせて研修を行います。
職員配置など、保育条件が厳しい状況の中で、施設内での研修を中心に、派遣研修や自己啓発の支援がそれぞれの努力と工夫によって展開されています。
研修の形態としては、職場内研修(OJT)、職場外研修(Off-JT)、自己啓発支援(SDS)があります。また研修方法は多種多様で、講義、演習、質疑応答、グループ討議、ワークショップ、研究発表、事例検討、読書会、共同研究などがあります。

③職場内研修の実際
保育の質の向上を図る上で研修が重要であることは、既に述べてきました。中でも、同僚と話し合い、自らの保育を振り返りながら次の課題をみいだすために、職場内での研修を行うことが大切です。ここでは、既に保育所内で実際に行われている研修の手法やその具体例をいくつか示します。

【小グループでの学び合い】
長時間に及ぶ保育を実施しているために、多くの保育所ではローテーションでの勤務体制がとられている中で、より実効性のある研修を行うためには、課題に応じて数名のグループで学び合うというのも一つの方法です。
その際、メンバーも保育経験年数、担当する子どもの年齢、職種など、課題に即して組み合わせます。また、小グループで検討した内容を職員全体で共有できるように、記録などを活用して伝達していくことが求められます。

【既存の記録・資料を活用しての研修】
短時間で効率的に職場内研修を行うためには、具体的な資料をもとに検討することが大切です。資料を用いることで、事前に自分の疑問や考えをまとめることができたり、研修に参加しなかった職員も内容を共有することが可能になります。その際、資料は、日常的に記録している保育日誌、連絡帳、児童票などを資料として活用することも有効です。こうした記録の研修への活用は、発達の連続性を捉えやすくする上でも重要です。ITを効果的に活用して効率化を図ることも必要でしょう。

【保育の公開や他の保育所・施設での保育参加】
保育の取組を他の保育士等や関係者に公開することにより、自らの保育を多様な側面から客観的に検討することができます。また、他の保育所や施設を訪問し、直にその保育に触れることは、自らの保育の良さや課題を改めて見つめ直すきっかけとなります。互いに保育の役割を担い合うために保育士の人数が研修によって不足する事態を避けることができるだけでなく、それぞれが工夫していることを伝え合うという利点もあります。

【職員相互の学び合い】
職場外研修を受けてきた職員が、その研修で学んだ知識や技術などを職場内の他の職員に伝達することや、職員一人一人の得意な領域を生かして職場内研修などの講師を務める方法もあります。研修を受けるだけでなく自ら提供する中で工夫が図られます。このように職員が能動的に研修に関わることにより、それぞれの知識や専門性を高めていきます。

【外部の専門職からの学び】
職場内のメンバーに、時には外部の研究者や地域の関連する機関の職員などを加えて研修を行うことも有効です。そのことにより、職場内では気が付きにくい新たな観点からの保育の検討や見直しが可能となります。また、保育に関連する最新の情報や他の分野の動向などを知ることもできます。講師の研修の進め方や手法などから学ぶこともあるでしょう。

【複数の施設が協力して実施する研修】
課題を設定して複数の保育所がそれぞれ情報を提供し合うことによって、その課題についてより深く広く学ぶことができます。外部からの講師を招いての研修など、単独の保育所では実現することが難しい研修を企画することも、複数の保育所が協力することによって可能になることが期待されます。
最終更新:2009年01月10日 23:26
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