(1)地域における子育て支援の内容

①地域における子育て支援の役割
保育所には、保育の専門的機能を地域の子育て支援において積極的に展開することが求められています。保育所の地域子育て支援は、児童福祉法第48 条の3 に基づき、保育所が所在する地域の特徴や、保育所自体の特徴を踏まえて支援を行うことが重要です。
地域子育て支援においても、ソーシャルワークの原理を踏まえることは非常に大切です。保護者の受容、自己決定の尊重、個人情報の保護等については、本章の「1.保育所における保護者支援の基本」の内容が参考となります。

②地域子育て支援の二つの機能
地域における子育て支援には、大きく二つの機能があると考えられます。その第一は、地域の子育ての拠点としての機能であり、これには、①子育て家庭への保育所機能の開放(施設及び設備の開放、体験保育等)、②子育て等に関する相談や援助の実施、③子育て家庭の交流の場の提供及び交流の促進、④地域の子育て支援に関する情報の提供があります。いろいろな行事を通じた各種の地域活動もこれに入ります。第二には、一時保育があります。
保育所がどのようにそれらの機能を果たしていくのかは、地域の実情や保育所の体制によって異なります。地域に住む子どもと保護者の状態、地域の関係機関、専門機関の状況などを把握し、地域の状況に応じた子育て支援機能を発揮することが保育所には、求められています。

③子育て支援の活動場面
子育て支援は、様々な場面を捉えて行われます。食事や排泄などの基本的生活習慣の自立に関することや、遊びや玩具、遊具の使い方、子どもとの適切な関わり方などについて、一人一人の子どもや保護者の状況に応じて、具体的に助言したり行動見本を提示することも有効です。
また、具体的なプログラムとしては、親子遊び、離乳食づくりや食育に関する様々な育児講座や体験活動、給食の試食会等があります。特に食育に関わる支援活動は、第5 章3「食育の推進」に示されている趣旨と関連させて行うことにより、地域子育て支援にも役立つことが期待されます。地域における子育て支援においても、保育士、栄養士、調理員、看護師などの職員が配置されているという保育所の特性を生かして、これらの専門職員がその専門性を基盤として子育て支援に関わることが重要です。

④安心して利用できる環境づくり
地域子育て支援を有効に進める上で欠かせないことは、保育所が地域の子育て家庭にとって安心して利用できる環境が整っていることです。
まず何よりも職員が子育て支援の役割の重要性を認識し、保護者が安心して気持ちよく利用できるような雰囲気づくりを心がけます。保護者の様々な思いに対応できるように親しみを持って応じる雰囲気など、保護者に対して細やかな心配りをすることが求められます。子どもが喜ぶ遊びや遊具を提供したり、子どもにも優しく声をかけたり遊びに導いたりすることも大切です。
地域に開かれた保育所は、子育て家庭にとって心強い存在となるでしょう。気軽に訪れ、相談したりすることができる保育所が身近にあることは、子育てする上での安心感につながります。育児不安を和らげ、虐待を防止する役割が保育所にあることを自覚して、地域の子育て家庭を受け入れていくこと
が必要です。

⑤一時保育
一時保育の実施に当たっては、地域の一時保育のニーズを把握し、市町村と緊密な連携を取りつつ行うことが求められます。
一時保育における子どもの集団構成は、通常保育の集団構成と異ることに配慮して、一人一人の子どもの心身の状態などを考慮して保育するとともに、必要に応じて通常保育とも関連させるなどして、柔軟な保育を行うことが求められます。
また、保育中のけがや事故に十分配慮するとともに、事故責任への対応を明確にしておくことが必要です。
最終更新:2009年01月10日 22:59
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