(5)保護者に対する個別支援

育児不安等が見られる保護者に対して支援を行うためには、相談・助言等の専門性が不可欠となりますが、さらに保育指導、中でも個別支援の知識、技術等が求められます。特に以下の点が重要です。

①保育指導について
保護者への支援の基本となる保育士の専門的業務が、保育指導です。これは、児童福祉法に定められた保育士の重要な業務です。
保育指導業務はこれまでも保育所において実施されてきましたが、保育士の業務として法定化されたことにより、その知識・技術やそれを提供するための倫理的事項について、今後、より明確化、体系化することが必要と考えられます。

②個別支援の知識・技術
保育所における個別的な支援は、個々の保護者の思いや意向、要望、悩みや不安などに対して、保育士が培ってきた知識や技術、保育所保育の専門性を中心としながら行う援助活動です。ただし、その内容によっては、保育の知識や技術に加えて、ソーシャルワークやカウンセリング等の知識や技術を援用する必要があります。
さらに子どもの健全育成の観点から、多胎児や低体重出生児、外国籍の子ども、慢性疾患のある子どもの保護者への支援が求められます。また、精神疾患等を抱える保護者、育児不安を持つ保護者等への個別的な対応も必要に応じて行います。

③保育所における個別支援
保育所における個別的な援助に当たっては、保育の専門性という視点から情報収集と分析、援助方法や手段の選択等を行います。収集する情報の例としては、保護者の意向や思い、家族の状況、関わりのある社会資源等に加えて、子どもの発達や行動の特徴、生活リズムや生活習慣、そして保育所における子どもの行動特徴、送迎時や連絡帳の記述等に見られる親子関係等を挙げることができます。保護者への支援業務に責任を持って適切に対応するためには、必要に応じて子どもと保護者を含む援助計画や記録を作成し、援助に生かすことが求められます。

④個別支援の実際
保育所において個別的な支援を行う場合は、必要に応じて他の機関と連携するとともに、作成された援助計画や記録を活用するなど、組織として子どもや家族を援助する体制づくりが重要となります。また、主たる援助者となる保育士を、施設長、主任、他の保育士等が役割分担を行いながら支えます。
最終更新:2009年01月10日 22:55
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