(5)相談・助言におけるソーシャルワークの機能

保育所においては、子育て等に関する相談や助言など、子育て支援のため、保育士や他の専門性を有する職員が相応にソーシャルワーク機能を果たすことも必要となります。その機能は、現状では主として保育士が担うこととなります。ただし、保育所や保育士はソーシャルワークを中心的に担う専門機関や専門職ではないことに留意し、ソーシャルワークの原理(態度)、知識、技術等への理解を深めた上で、援助を展開することが必要です。

①対人援助職としての基本
ソーシャルワークの原理(態度)には、保護者の受容、自己決定の尊重、個人情報の取扱いがあります。保育所におけるソーシャルワークでは、一人一人の保護者を尊重しつつ、ありのままを理解し受け止める「受容」が基本的姿勢として求められます。受容とは、不適切と思われる行動等を無条件に肯定することではなく、そのような行動も保護者を理解する手がかりとする姿勢を保つことです。
援助の過程においては、保育士等は保護者自らが選択、決定していくことを支援していくことが大切です。このような援助関係は、安心して話をできる状態が保証されていること、つまり個人の情報が守られていることによって成り立ちます。ただし、後述するように、虐待の通告や要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)との連携や協力に関わる活動においては、秘密保持義務を超えて情報の提供や交換がなされなければならないことにも、留意する必要があります。

②相談・助言の実際
保育所における相談・助言は、臨床相談機関・施設や行政機関のそれとは異なり、日常保育の様々な機会をとらえて行われます。育児講座や子育てサークルなどの活動を通じて実施されることも多くなっています。相談の形態も、日常場面における相談、電話による相談、面接による相談など様々です。相談の基本原理を踏まえ、関係機関や専門職との連携を密にし、その専門性の範囲と限界を熟知した対応を心がけることが必要です。

コラム:
ソーシャルワークとは
生活課題を抱える対象者と、対象者が必要とする社会資源との関係を調整しながら、対象者の課題解決や自立的な生活、自己実現、よりよく生きることの達成を支える一連の活動をいいます。対象者が必要とする社会資源がない場合は、必要な資源の開発や対象者のニーズを行政や他の専門機関に伝えるなどの活動も行います。さらに、同じような問題が起きないように、対象者が他の人々と共に主体的に活動することを側面的に支援することもあります。
保育所においては、保育士等がこれらの活動をすべて行うことは難しいといえますが、これらのソーシャルワークの知識や技術を一部活用することが大切です。
最終更新:2009年01月10日 22:47
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