週刊プレイボーイ31号より 尾田栄一郎インタビュー

 -「ワンピース」は、仲間が死なないこと、敵を殺さないことも特徴的です。
  言い換えれば、「人は生き返らない」。 他のマンガの様に「人は生き返る」世界観を採用しなかった理由はなんですか?

尾:だって不自然じゃないですか、人が生き返るのは(笑)。僕は、こてこてのファンタジーは好きじゃないんですよ。
  だから話の中で細かくいろんな事に理屈をつけたいんですけど、死んだ人が生き返るぐらいだったら、最初から死ななきゃいい。
  死ぬような目にあっても、うちのキャラクターは死なないんです。


 -昨今、「泣ける」といわれている作品の多くは基本的に人が死ぬ事で涙を流しますが、「ワンピース」の涙の質は全然違うと思うんです!

尾:人が死んだから泣くってね、感動じゃないんじゃないかと思うんですよ。お葬式に行ったらみんな泣くでしょう。その涙と同じなんですよね。
  (中略)『感動の涙』はそれとは別なんです。
  (中略)とにかく辛い事があったくらいではまず泣かない。もっと辛いことが起こっても泣かない。もっともっと辛いことがあってもまだ泣かない。
  耐えて、耐えて、そして優しい人が現れた時にやっと出て来る涙っていうのはもうしょうがない!
  しょうがないと僕が思えた時にやっと泣く涙が『感動の涙』なんです。その時は僕も泣きながら描いてます(笑)。


 -連載20周年も迎えられそうですか!?

尾:はっきり言って分かりません(笑)。僕はほんと、予定どおりにいかないんですよ。
  『このシリーズは30話で終わる』と思って描き出すと、だいたい3倍の90話かかる(笑)。
  (中略)最終章、最終回のイメージは連載を始めた頃からはっきりあって、そこを目指して描いているんです。

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「『グランドラインでは何でもありだ』と漫画の中で一本筋の通った理屈をつけているから
僕は何を書いてもいいわけですよ。例えば、インドみたいな国を描きたいと思ったら、
次の島で描いちゃえばいい(笑)。スポーツマンガが描きたいなって急に思っても、
“スポーツ島”みたいなのを作ればいいんです。だから、新しい連載をしたいとかは全く
思わないんです」

プレイボーイのインタビューより。


僕はおおまかなストーリーを途切れ途切れのお話しで考えているので、
どの順番で出して、どれくらいの時間をかけて語っていくかとか、そのへんは適当なんです。
連載のネームでボツを食らって別の案を考えないといけないときとかに、
「あ、ここであのネタを使おう」とか、そんな感じで作っているエピソードも多いんですよ。

――それはたとえば?

尾田:「魚人」がそうですね。実は魚人は第3話で登場する予定だったんですが、
その時点ではボツになってしまったんですよ。
でも、そのアイディア自体はずっと僕の頭の隅っこにあり続けて、アーロン編(単行本8巻~)でやっと使えた。
これもホントはもっと早く出すつもりだったんですけどね。


とにかく、描いていると話がどんどんのびていっちゃう。
読者としては「こんなに遠くのことまで考えていたのか!」って印象を受けるかもしれませんが、
僕にしてみれば「こんなに遠くのことになるとは思わなかった!」って気持ちなんですよ(苦笑)。

だから、当初の見込みではもっと早く完結させる予定だったのが、気がついたらこんなことになってる。
1年半くらいで仲間が全員そろって大冒険をして、5年くらいで終わるつもりだったのに。

――ちなみに、完結まではあとどれくらいかかる見込みなんですか?

尾田:それは気が遠くなるのであんまり聞いて欲しくない質問ですね。
うーん、半分は行ったと信じたい。……いや、もうそういうことを考えるのはやめよう!(笑)


 -「ワンピース」は、仲間が死なないこと、敵を殺さないことも特徴的です。
  言い換えれば、「人は生き返らない」。 他のマンガの様に「人は生き返る」世界観を採用しなかった理由はなんですか?

尾:だって不自然じゃないですか、人が生き返るのは(笑)。僕は、こてこてのファンタジーは好きじゃないんですよ。
  だから話の中で細かくいろんな事に理屈をつけたいんですけど、死んだ人が生き返るぐらいだったら、最初から死ななきゃいい。
  死ぬような目にあっても、うちのキャラクターは死なないんです。


 -昨今、「泣ける」といわれている作品の多くは基本的に人が死ぬ事で涙を流しますが、「ワンピース」の涙の質は全然違うと思うんです!

尾:人が死んだから泣くってね、感動じゃないんじゃないかと思うんですよ。お葬式に行ったらみんな泣くでしょう。その涙と同じなんですよね。
  (中略)『感動の涙』はそれとは別なんです。
  (中略)とにかく辛い事があったくらいではまず泣かない。もっと辛いことが起こっても泣かない。もっともっと辛いことがあってもまだ泣かない。
  耐えて、耐えて、そして優しい人が現れた時にやっと出て来る涙っていうのはもうしょうがない!
  しょうがないと僕が思えた時にやっと泣く涙が『感動の涙』なんです。その時は僕も泣きながら描いてます(笑)。
最終更新:2010年07月04日 03:51